貴方にとってウルトラマンとは?諦めないことっすかね(白目)   作:クレナイハルハ

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英雄 -ウルトラマン-

 

馴れるつもりの無かった浮遊感と、両手両足と首元や体を締め付ける感触。

普段なら不快だったり、苦しいとか思う筈なのになんでだろうな。

何も、何も感じない。

 

心は、一切の感情が荒立たない。

 

ただ、ガタノゾーア達から何かを吸われるような感覚に、ぼんやりとこのままいったら死ぬのか?俺、死ぬのは……やだなぁと考える。

やっぱり、俺はウルトラマンになるような人間じゃない。

この状況で案じるのは自分の体だけ、この世界とみんなを案じないのは本当にクズだ。

 

ドシンッ!

 

と大きなものが、それこそ隕石でも落下したのではないかと考えるほどの衝撃音。

視線だけを向ければ、市街地を背に現れたのは見覚えのあるウルトラマン、ウルトラマンジードが立っていた。

そして彼はまっすぐ此方へと走り、レッキングリッパーでガタノゾーアの触手達を切り裂きながらアグルと肩を並べる。

そうしていると、またドシンという音が聞こえた。見れば降星小学校の前に着地し立ち上がるウルトラマンギンガの姿があった。

ギンガは即座にギンガファイヤーボールでガタノゾーア達の触手達を焼きながら、ギンガファイヤーセイバーで俺がオーバーアローレイシュトロームやクロスレイシュトロームでも切り裂けなかった触手達を切り裂き、焼き消していく。

ギンガファイヤーセイバー、確かウルフェスで披露した新技?凄いな、実際に使うところを見るのははじめてだ。

 

……凄いな、本物だ。

 

そんなことを考えていれば遠くで、光の柱が昇る。青い体が特徴的な慈愛の勇者ウルトラマンコスモスが現れ、更に金色の光を纏い姿をエクリプスモードへと変える。

そうして放ったエクリプスブレードはさっきの俺とはけた違いの威力でガタノゾーア達の展開した触手達を消滅させていく。

更に現れたウルトラマンアークがアークテラショットやアークアイソードで敵を切り裂いていく。

 

なんだ、俺みたいな偽物なんていなくても……ウルトラマンがいるんだ。

 

……あぁ、本当に凄い。

 

その時だ、遠くの空から優しい光の粒子が降ってくるのが見えた。そして光の粒子が降っていたその場所にドシンとウルトラマン、ウルトラマンメビウスが着地する。

現れたメビウスは即座に此方へとかけながらメビウススラッシュで触手達を切り裂いていく。

 

……あぁ、やっぱり本物は凄いな。

 

俺がネクサスに変身するなんて解釈違いだと叫んでいたけど、違った。

俺は諦めてしまう、こうして心が折れてしまうから、ネクサスだなんて間違いなんだ。

確かにウルトラマンという作品を知っているなら、好きなら……物語なら、きっと変身者は諦めないという選択が出来た。

でも、()()()()()

ここで諦めるなと、諦めるとかウルトラマン変身者としてあり得ないと、ウルトラマンファンの人に殴られるのが想像できてしまう。

でも、でももしそういう人がいるなら教えて欲しい。

現実で、ウルトラマンの力を得た普通の……戦闘のせの時も知らないような人が、空想作品でも勝つのが絶望的と言われるような邪神ガタノゾーア、闇ノ魔王獣マガタノゾーア、闇の支配者メガロゾーア、最後にして最強、最大の邪神デモンゾーア。

この全てをたった二体のウルトラマンで挑めるのか、と。助けに現れるウルトラマンの見込みはなく、地球で動ける軍は見た限りいない。

防衛隊なんているわけもなく、自衛隊が動いたとしてもあの邪神達に明確なダメージを与えることが出きない。

そんな状況で諦めずガタノゾーア達へと挑み続ける?そんなの、出きるわけがない。

無理だ、一体ずつなら可能性はあったかもしれない、勝った未来があるのかもしれない。

でも4体纏めて現れ、同時に戦う?

そんなの無理だよ、諦めるよ。

何かが体へと浴びさせられた感触と同時に身体中の拘束が消えた、一瞬感じた落下する感覚の後、誰かに体を支えられた。

見ればウルトラマンコスモスが俺の体を支えるようにして地面、正確には海面へと降下していた。

あぁ、この人たちは……本物は凄いな。

諦めるような俺とは違い、こうして諦めずに戦い続けてる、本当に凄いよ。

海に足がつく、でも俺はその瞬間に両膝をついて項垂れた。

なんだか、体が重いな………それに何だか力が入らない。

風邪の時みたいだな、うまく考えられなくていくら足に力を込めても立ち上がれない。

 

あぁ、こんなネクサスは……デュナミストは間違いだな。

ノア、早くこの世界の孤門さんや憐、姫矢さんを探してあの人たちと一体化すれば良いじゃないか。

俺のような、ウルトラマンになるのが間違いな人間との一体化なんて止めてさ、そうすればこの世界は救われてハッピーエンドだろ。

 

─ピコン、ピコン、ピコン、ピコン、ピコン─

 

胸のエナジーコアが点滅する、それは活動限界ではなく、デュナミストに命の危機が迫っていることを警告する物だ。

 

ほら、もう俺はダメみたいだし。

 

そう考えていたときだった、俺の肩に誰かの手が乗せられた。

 

「バンスケくん、君のお陰で僕らはこうして立ち上がれた。だから、今度は僕たちが君を立ち上がらせてみせる。」

 

「バンスケ、君なら立ち上がれる筈だ。立て、バンスケ」

 

そんなメビウスとアグルが声が聞こえた。

俺は、ただウルトラマンが好きなだけで……英雄なんてなれない只の一般人なんだよ。

だから、だからもう止めさせてくれよ。

止めてくれよ、立てねぇよ。

俺にはウルトラマンなんて無理だ、諦めてしまった俺には無理なんだよ。

 

「そうだよ、あなたのお陰で僕は大切なことを思い出せた。だからこうして戦えたんです!」

 

「そうだぜバンスケ、お前の戦う姿に勇気付けられて、俺は1歩を踏み出すことが出来たんだ!」

 

「君が優しさの強さを、大切さを教えてくれた。だから僕はここにいる!」

 

はは、そうかよ。

俺のお掛けで『立ち上がれた』、『大切なことを思い出せた』『1歩を踏み出すことが出来たんだ』『優しさの強さと大切さを知った』か……ハハ。

それは俺のお陰じゃなくて、お前らが自分で決めたことで、自分で気付いたことでウルトラマンに目覚めただけだろ。

ノアにネクサスにされたばかりの頃は、ネクサスらしく戦えていたと思う。

でも時間がたった今の俺は情けなく両膝を付いて、立ち上がる事もせず項垂れている、理想とはかけはなれた、解釈違いの姿。

俺は、デュナミストになってしまったならせめて、せめてネクサスらしく戦いたかった。

でも、俺には無理だったよ。

心が折れて、諦めてしまった俺にはもうネクサスとして戦う権利も、資格もない。

諦めてしまった俺には、ウルトラマンとして戦うことは、もう……。

 

「兄さんが教えてくれた言葉を君に、君だからこそ伝える。大切なのは、最後まで諦めず、僅かな希望でも、勝利を信じて戦うこと、それが……()()()()()()だ!」

 

あぁ、そうだ。

ウルトラマンは、最後まで諦めず不可能を可能にする、奇跡を自分の手で起こす英雄だ。

そんな英雄になってしまった俺は、諦めてしまった俺は、このままでいいのか?

俺の見てきた、ウルトラマンへと変身した人たちは、ウルトラマンは立ち上がらない?

こうして現れてくれたウルトラマンアグル、ジード、ギンガ、コスモス、アーク、メビウスが並び立ち、鼓舞しているのに立ち上がらずにいる?

そんなネクサスは、ウルトラマンは、ウルトラマンの変身者はッ!

 

拳を握りしめ、両足に体全体に力を込める。

 

だが、エナジーコアの点滅速度が早くなるだけでネクサス()の体は動かない。

ガタノゾーア、マガタノゾーア、デモンゾーア、メガロゾーアに力を吸われたんだ、当たり前か。

なぁ、ノア頼む、俺に力を貸してくれ。

ノア、俺に未来を……この世界の明日を掴む力をくれ。

この世界を、みんなを守る希望にしてくれ。

今だけで良い、俺は……諦めるなと言われたんだ、ウルトラマンに。

今だけ俺を、本物(ウルトラマン)にさせてくれ。

瞬間、重かった体が僅かに軽くなる、片足の膝を立てて力を入れ、一気に体を立ち上がらせる。

 

「解釈、違いだ……」

 

あぁ、お前はいつもそうだなノア。

 

俺がいくら邪神だと蔑み、拒絶してもお前は俺を、(ウルトラマン)にしてくれた。

どんな無茶振りも、どんな苦しい中でも応えてくれたな。

お前(ノア)になること、(ジュネッス)を選ぶこと(ジュネッスブルー)を選ぶことを拒否した俺に新しい選択を、(ジュネッスヴィオレ)をくれた。

 

光を望めば、お前はいつも俺に光をくれた。

 

「…立ったか」

 

アグルが頷き。

 

「バンスケさん!」

 

「やっと起きたなぁバンスケ!」

 

ジードがジードクローで、ギンガがギンガスパークランスで触手を切り払いながら、嬉しそうな声を上げる。

アークがネクサスを一別して頷く。

 

「君なら、立ち上がってくれると信じていたよ!」

 

「この星の未来を、取り戻そう!バンスケくん!」

 

メビウスが頷きながらメビウスブレードで伸びてくる触手を切り裂き、コスモスは伸びてくる触手を拳で捌く。

 

相変わらずエナジーコアが鳴り響き、俺に命の危機を告げる。

だが、これがどうした。

ウルトラマンなら、ここで戦う。

諦めるなと、そう言われて戦わないのは解釈違いだから。

 

それに、誰かが言ってたっけな。

 

「なぁ、邪神ども……俺のこれが鳴って、勝ったと思ってるか?それは違う。これは、危険信号なんかじゃない……アンタらを全力で倒すっていう合図なんだよっ!!」

 

そう啖呵を切りながらそう叫んだ。

 

─ピコン、ピコン、ピコ……─

 

瞬間、点滅していたネクサスのエナジーコアの点滅が止まり、エナジーコアに灯っていた光が消えた。

 

「バンスケっ!」

 

その場にいたウルトラマン達が、彼の名前を呼ぶ。

ガタノゾーア、マガタノゾーア、デモンゾーア、メガロゾーアが歓喜したような咆哮上げる。

勝ちを確信したような、その咆哮と威圧にウルトラマン達が身構える。

その瞬間、力強く()()()と鼓動を上げネクサスのエナジーコアに輝きが、光が、希望の炎が灯る。

 

ネクサスの体をエナジーコアから溢れる光が包み込む。

 

『コア・ファイナル』

 

それはウルトラマンネクサスに存在する能力。

ウルトラマンネクサス本編で自らを取り込もうとした暗黒の蔦を弾き飛ばしたり、バンピーラの糸を焼き切ったり、忘却の海・レーテに蓄積された闇を吹き飛ばしたり、最終決戦で姫矢や憐の応援に呼応するかのように孤門の変身したネクサスを本来変身不可能なジュネッス、ジュネッスブルーに変化させたり、ウルトラマンノアへの究極最終変身を遂げさせた能力だ。

コア・ファイナル、それはいわばデュナミストの力を……可能性を引き出す力。

 

適能者(デュナミスト)が自らの意思で、己の命を懸けて戦おうとするからこそ、光は力となる。─

 

海面へと突き刺さっていた契剣銃アリアンスが、光を纏いながらひとりでに海面から引き抜かれ浮遊し、ネクサスへと向かう。

それを阻止しようとガタノゾーアが、マガタノゾーアが、メガロゾーアが、デモンゾーアが触手を伸ばすが、アリアンスの纏う光に弾かれる。

そうしてアリアンスはネクサスのエナジーコアへと入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

邪神達に啖呵を切った瞬間、気がつけば俺はあのインナースペースのような場所に立っていた。

そして右手のブレスレット、アリアンスが光を放つ。

そうして放たれた光がやがて一枚のメダルの形状へと変化していく。

正面に背中を向けたノア、手前にジュネッスヴィオレ、左には左側に向いてるジュネッス、右には右側を向いているジュネッスブルー。そんなそれぞれへと手を伸ばしているアンファンスの腕が描かれたメダル。

目の前に浮かぶそれに手を伸ばし、しっかりと掴みとる。それを、どうすれば良いかは自分の身でよく知っている。

 

「ありがとう、ノア」

 

ネクサス達の姿が描かれたメダルを掴み、アリアンスへと装填する。

 

【デュナミス!エボルシオンッ!!】

 

【立ち上がれッ!軌跡と共にっ!】

 

デュナミスメダルが装填され発光するルラシオンの熱に、改めて右手を強く握り締めルラシオンの柄を左手で握り締める。

 

「ネクサスッ!!」

 

アリアンスを引き抜き、エボルトラスターのように宙へと掲げながら引き金を引く。

瞬間、ネクサスがジュネッスへと変身するような、水のような音と神秘的な音が鳴り響く。

気がつけば俺の意識はインナースペースから、元のネクサス視点へと戻っていた。

そして何故か先程までのような体から力が抜けていくような感覚がしない。アリアンスを握っている左手ではなく、右腕を強く握り締めては開くことを繰り返す。

見た限り腕には変化はない、左手にアローアームドネクサス、右腕にはアリアンス。

ふと海面に移った自分の姿が見えた、両肩に装着された銀色に赤いエナジーコアのようなY字のマークの入った装甲のような物。

胸にはストーンフリューゲルの真ん中の部分がエナジーコアを覆うような鎧となって装着され、背中にはノアのような翼、ノアイージスが生えていた。

ノアじゃなくて、ネクサスだよな?

この姿、昔にネクサスの設定資料で見たネクサスとストーンフリューゲルが合体したような姿に似てる? 

 

【ウルトラマンネクサス-ルラシオン-】

 

  【コア・ファイナル!】

 

ンネクサース♪─この姿は私と並ぶ、いやそれ以上の……!?─

 

なんだろう、なんだか今ならあの邪神どもをどうにか出来るような、そんな気がする。

アリアンスを構え、もう片方の手で拳を強く握り締めガタノゾーア達へ向き直る。

 

今だけは、俺はウルトラマンだ!

 

「シェアッ!!」

 

ネクサスの低く力強い声が、響いた。

 

 

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