天使使役系の美少女にTS転生しました。お金ください(切実)   作:寺西

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第2話

 さて、α天使ちゃんをβ天使ちゃんに進化させようって決めた訳なんだが、何をしたらいいのかっていうのは割と明白だったりする。

 

 というのも、より上位の天使を呼び出してバラして吸収させればいいだけなのだ。上位の天使ほどより強い戦闘個性を持っているから、それをα天使ちゃんに継承させれば少なくとも戦闘の面ではより強くなるという見立てである。

 

 ね、簡単でしょ?

 

 ……だなんて言えたらよかったんだけどな。それを実行するには一つ大きすぎる壁があるのだ。

 

 それは、上位天使を召喚してバラすと簡単に言ったが、実際に上位天使を召喚するための対価はどうやって用意するのか、という問題。

 

 なにせ、現状俺はただの孤児。あいにく金なんて持ち合わせていないので、上位天使が対価として好む魔力石を用意することが出来ないのだ。

 

 一応、時間をかければ金を稼いで魔力石を買う事だってできる。この世界で女は1人で生きていくことは出来ない、とは言ったがそれでも看板娘とかみたいなアルバイトは出来たりする。稼ぎは少ないが、それでもコツコツ金を溜めれば魔力石を買う事だってできるだろう。

 

 だけど、残念な事に今の俺には時間がない。なにせ、今の俺はもう既に16歳なのだ。この年になってくると孤児院からは結婚相手を見つけろとしつこく言われる。そろそろ自立しないといけない年ごろなのだ。

 

 そして、18歳になり成人すると、強制的に孤児院を追い出されてしまう。今は何とか色々「まだ結婚相手が見つからない」だとか言い訳して居座れているが、あと2年もすれば孤児院から出なくてはいけなくなる。

 

 そうなると、残された運命は野垂れ死ぬ事だけだ。

 

 まぁ、当然それを回避するために頑張っているんだが。

 

 そういう訳で、どうにかして短期間で魔力石を買うための金を、大量に集めなきゃいけないのだが……、数日間位考えてみた。

 

 ──その結果、マフィアの事務所にカチコミして金を得よう、という事になりました。

 

 いや、ね。自殺願望がある訳ではないぞ。流石の俺でもこの方法は自殺に近いと思うけど、まぁ……ぶっちゃけやれる事と言ったらこれしかないんだよな。

 

 なにせ、働かずに、かつ大量の金を短期間に得る方法だなんて、それくらいしかないのだ。

 

 このまま何もせず死ぬか、あるいは死ぬリスクがあることを覚悟のうえで金を得るために挑戦するか、選ぶなら後者だろう。少なくとも俺は何もしないまま死にたくはない。できれば、足掻いた後に死にたいからな。

 

 と言う訳で、と言う訳でマフィアの事務所を襲って金を得よう、という方針を立てた訳なんだが……当然俺は勝てない勝負をするつもりはない。当然、マフィアとやり合えるだけの戦力を用意する必要がある。当たり前の事だけど。

 

 まぁ都合がいい事にその戦力というのは丁度良くそろっていたりする。そう、α天使ちゃん、加えて普通の天使ちゃんたちの事だ。

 

 この天使ちゃんたちを使って、マフィアを攻めようって言う訳だ。

 

 尤も、α天使ちゃんですら戦闘能力皆無だから、正面衝突するとあっさり負けてしまうと思う。だからちゃんと準備する必要がある。

 

 とは言っても、もう既におおかた準備は終わっているが。この数か月、攻めるマフィアたちについて徹底的に情報を集めた。張り込んだり、メンバーを確認したり色々大変だったけど、なんとか攻め込んでも大丈夫なくらい計画は練れた。

 

 そうして完璧に計画を立て終わったので、今日はさっさと寝ることに。

 明日はいよいよカチコミの日だからな。英気は養っておくに限る。

 

 と言う訳で、その日はシスターたちに「おやすみなさい」と告げて早めに寝床に入っていった。

 

 

▽▲▽▲

 

 翌日、日が沈んでからおおよそ7時間後。

 まあ、つまりは夜の12時ってことだな。 

 

 町はすでに静まり返っていて、通りを歩く人はもう滅多に見なくなったから、今なら計画を実行してもよさそうだろう。

 

 そうして、俺が何者か知られないために、覆面を被りマフィアの事務所へゆっくりと近づき、壁をよじ登っていく。そして、とある部屋──つまりはマフィアたちが金を保管している部屋、の前まで辿り着いたらそのまま待機。

 

 このまま窓をカチ割って中に入っても、中にいるマフィアたちにボコボコにされるだけだからな。どうにかして中にいるマフィアたちをどける必要がある。

 

 と言う訳で、ここで普通の天使ちゃんたちを使う。

 α天使ちゃんとは違い、思考能力がない普通の天使だ。

 勿論、マフィアと正面からやり合えるだけの戦闘能力はない。

 

 でも物は使いよう、だ。

 

 ガッシャーン!

 

 と、表の方で派手にガラスが割れる音がする。

 どうやら待機させていた普通の天使ちゃんたちが動き出したようだ。

 

「ギャアアアアアア!!!」

 

「ヒッ、ヒィィィィ!!!」

 

「やべーやつが来たぞおおおおお!!!」

 

 お、なんかマフィアたちの声が聞こえてきた。

 ……おいおい、一体表では何が起こっているんだ!?

 

 はい、普通にあれですね。

 普通の天使ちゃんたちにガソリン被ってもらって突撃してもらいました。

 数にすると7体なので、割とマフィア側の被害はやばそうです。

 

 ……倫理観。

 

 ま、まぁ、ね、なんでもいう事聞いてくれる天使ちゃんが悪い。だってさ、普通ガソリン被ってマフィアに突撃しろだなんて命令、聞くはずがないと思うじゃん。実際俺も、まさかできるとは思っていなかったんだ。

 

 だけど、実際に現実に出来てしまった。

 うん、俺は悪くない。

 俺は使えるものを使っただけだ。

 文句を言うなら何でも言う事を聞く天使ちゃんに言ってくれ。

 

 と言う訳で表で天使ちゃんたちが派手にやっている間に、建物の中のマフィアたちがかなりの数表に移動したので、今のうちにさっさと金を回収することにする。

 

 窓をカチ割って、ボスの部屋的なのに入る。そして、部屋を漁り金目の物をポイポイッと回収してく。

 

 うはー、やっぱマフィアってすげー。なんだこの金銀財宝。こんなの持ってたのかよ。テンション上がるなー。

 

 一通り金目の物を漁り終えたら、後はトンずらこくだけだ。俺はカチ破って入ってきた窓から外に出ようとした。

 

 が、その時問題発生。

 

 なんとこの部屋の主が帰ってきてしまったのだ。

 

「おい、お前何やっている!!!」

 

 やっべ、この事務所のボスとご対面してしまった。

 見てみると完全にぶちぎれモード。まぁ、そりゃキレるよな。

 

 全身火だるまにした天使ちゃんたちに突撃された挙句、金目の物を盗まれているとなればそりゃ誰だってキレる。

 

 だけど、こっちだって生きるか死ぬかの瀬戸際なのだ。

 すまないが、大人しく捕まる気はない。

 

 と言う訳で、作戦変更。

 イレギュラーが発生したが、こいつを倒すことにしよう。

 幸い、準備はしてきたんだ。

 

「ふざけやがって、ぶっ殺してやる!!!」

 

 ご立腹の様子のボスさん。

 殺意満々にこちらをにらみつけ、そして殴り掛かってくる。

 だが甘い、こちもそれに対応してα天使ちゃんを召喚。

 

 地面に簡易的な魔法陣が出現し、俺が立っていた位置にα天使ちゃんが現れる。

 

「こんにちはマスター、ご用件h──」

 

 グシャリ

 

 当然、俺が立っていた位置に居たα天使ちゃんが鈍い音共に殴られ、吹っ飛ばされる。ああ、かわいそうに。後でなんかご褒美でも挙げることにするから許してクレメンス。

 

 そして、ちゃっかりと俺は回避し、ボスの後ろに回り込む。

 拳を振りかぶったことにより隙が出来たボスさんに、強烈なドロップキックをお見舞い。

 

「ゴフッ」

 

 すると、強烈な一撃を食らったボスさんは吹っ飛ばされ、一発で白目を剥き気絶。はい、試合しゅーりょー。対戦ありがとうございました。

 

 そうしてイレギュラーもあったものの、無事に金目の物を盗み出した俺はとんずらをこき、その場から逃げ出した。その後はなんとかマイハウスこと孤児院に辿り着き、自分の部屋まで何事もなく金銀財宝を持ち帰ることに成功した。

 

 ひゃっはー、マジで最高だぜ。

 これがあればもっと上位の天使が呼び出せる。

 そしたらα天使ちゃんをβ天使ちゃんに進化させることが出来るようになる。

 うはー、ワクワクしてきたぜ。

 

 ……あ、ちなみに火だるまになった普通の天使ちゃんたちはあの後普通に再召喚の術を使って何事もなく回収することが出来ました。多少ダメージは負ったものの……まぁ、重症ではあるけどまだ生きてるからヨシ!

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