天使使役系の美少女にTS転生しました。お金ください(切実)   作:寺西

3 / 4
第3話

 マフィアを襲った翌日、俺はすこぶる上機嫌だった。

 なにせ、数年は働かないと得られないような大金を一日にして得たのだ。

 日本円にざっと換算するとなんとその額、200万円にも上るだろう。

 

 それもマフィアをボコして得た金だから、誰かに迷惑をかけているという事もない。むしろ、社会に貢献しているとも言えるから、罪悪感もない。まぁ、この金は汚れているから慎重に使う必要があるが。

 

 何はともあれ、金を得ることに成功したのだ。

 あとは、これを最上級の魔力石と交換して上位天使を召喚するだけ。

 

 と言う訳で近所の魔導ショップに突撃して、さっさと金を魔力石に交換してきました。まぁ、いきなり大量の金を渡されたせいで店主は怪訝な顔をしていたけど、何かを察したのか有無を言わずに魔力石と交換してくれた。いやー、理解が早くて助かるね。

 

 そうして、良質な魔力石を大量に得ることが出来た俺は、孤児院の自分の部屋に帰り、上位天使を召喚する準備をする。とは言っても、簡単な魔法陣を書くだけだからそこまで時間はかからなかったが。

 

 地面に魔法陣を書き終えたら、準備した魔力石を対価として魔法陣の中央に置く。

 

 さあ後は天使を呼び出すだけだけど……まだ呼び出しはしない。その前に、α天使ちゃんがβ天使ちゃんに進化したときに比較できるように、α天使ちゃんを呼び出しておく。

 

「α天使ちゃん、気分はどうかな?」

 

「おはようございます、マスター。個体名:αは先日負った傷がまだ残っておりますが、気分は良好です」

 

「そりゃ皮肉かな?言うようになったな。ま、取り合えずα天使ちゃん、今の気持ちはどうかな?これから進化するんだが、嬉しかったりするか?」

 

「嬉しい、という感情は分かりかねますが、これからマスターのお役に立てる事は私にとって嬉しいのでしょう」

 

「なるほどね……」

 

 さて、今のを見てもらったら分かるのだが、このα天使ちゃんには”感情”という物がない。勿論、思考能力があるため、機械的に会話することは出来る。

 

 だがしかし、人間の様な感情という物は持ち合わせていない。。

 

 まぁ、ぶっちゃけ天使ちゃんを進化させていくにあたって、はたして”感情”という物が本当に必要なものなのかはよく分からない。

 

 というか、”迷い”や”焦り”といったマイナスの感情を獲得したときに、それが果たしてプラスの方向性に働くのだろうかと言ったことは、まだ未知である。

 

 けど、まぁ、個人的な思いとしては、”あった方が嬉しいなー”って感じ。だって、今のα天使ちゃんと会話してても面白みに掛けるからな。

 

 と言う訳で感情を獲得してくれることを期待している訳なのだが……ま、ぶっちゃけ感情を持つかどうかだなんて分からないけどな。実際に獲得できるかどうかは未知数なのである。だから、”できたらいいなー”程度に留めておくべきだろう。

 

 なにせ、今回解決すべき問題は”のっぺらぼうな事”と、”戦闘能力皆無”な事だ。感情の問題についてはさらなる進化を遂げたγ天使ちゃんに期待するべきである。

 

 ……うん、とりあえず今のα天使ちゃんについて知れたし、比較のための最後の会話ももう十分だろう。β天使ちゃんに進化したら、もう今の機械的なα天使ちゃんに会うことは出来なくなるが、そう言ってたらいつまでも進化させられないためさっさと進化させることに使用。

 

 と言う訳で、用意した魔力石を用いて、上位天使の召喚を始める。

 

 ブワアアアア

 

 って感じで風が魔法陣の中心に吹き込み、青色の魔力が宙に浮いた。

 まぁ、もう見慣れた光景だが。

 

 何度もやっている事であるためさくさくと召喚を進めていく。

 すると、ひときわ大きな光を放ったかと思うと、魔法陣の中心に上位天使が出現した。

 

 おお、すげ。

 

 今まで召喚してきた下位天使と違ってちゃんと顔がある。

 なんだろう、凛々しい見た目の女性だ。

 背中からふわりとした羽が生えていて、純白の布切れで胸と鼠径部を隠している。

 

 流石は上位天使だ、放っている雰囲気がすごく神々しい。

 これは、吸収させたときが楽しみだな。

 

 と言う訳で、見とれてないで、さくっと召喚した上位天使をバラす。まぁ、その手順は少々可哀そうな内容が含まれているから、ここでは割愛するが……。

 

 そうして、魔力の残滓となった上位天使を、横で待機しておいたα天使ちゃんに吸収させる。

 

 ……おや!? α天使ちゃんのようすが……!

 おめでとう!α天使ちゃんはβ天使ちゃんにしんかした!

 

 うおー、すげー!!!

 マジでしんかしたー!!!

 初めて見たー!!!

 

 ……だなんて茶番は置いておいて、進化したβ天使ちゃんの様子を表すと……なんかすごい可愛い。めっちゃ可愛い。

 

 金髪のサラサラロングヘアーに、神秘的な蒼白眼。頭の上からは光輝く天使の輪っかが浮いていて、天使っぽい雰囲気を放っている。

 

 だけど、顔は丸っこく、凄くなつっこい感じ。

 

 おい、さっきの凛々しい天使の要素どこに行った!?

 どうしてこんな感じになってしまったのかイマイチよく分からない……。

 なんでだろうか。どこの個性が介入したのだろうか。

 

 とまぁ、そんな事はさておいて、俺がβ天使ちゃんを観察していると、彼女はとろんとした表情でこちらに話しかけてきたではないか。

 

「えへへー、マスター。私、ちゃんと進化できましたか?」

 

「えあ?」

 

 おいおい、なんだこれは。 

 声に感情がこもってるやんけ!?

 

「どうかされましたか、マスター?」

 

「い、いや、あまりにもβ天使ちゃんが自然に喋るから、ちょっとびっくりしちゃっただけだ」

 

「えへへ、マスターに喜んでもらえて嬉しいです!」

 

「そ、そりゃ良かった……」

 

 おい、これは想定以上だぞ!? 

 俺が思ってた以上にずっと個性的で、人間らしい。

 

 試しに、「もしも俺がずっと遠くに居て、久々に手紙を送る」というシチュエーションで手紙を書かせてみたのだが……なんと人間もビックリなくらい人間らしい手紙を書くではないか。

 

 まさか、γ天使ちゃんへの進化にとっておいた課題がこんなすぐに解決されるとは……全くの予想外だった。うん、嬉しいね。

 

 ……いや、まだだ。

 まだ、戦闘能力の面での問題が解決されたかどうか分かっていない。

 それが一番重要な事なのだ。

 

 と言う訳で、さっそくそこら辺にいた犬と戦わせてみる。

 そして、あっさりと犬を瞬殺してしまった。

 

 それも、バチン、と白雷を犬に飛ばしたのだ。

 おいおい!魔術使ってるやんけ!!!

 マジかよ、魔術使えるのか!?

 

 と、驚きのあまりあんぐりとしていると、

 

「マスター?これだけでいいんですか?」

 

「え?」

 

「魔力的にまだまだ余裕がありますし、もっと強力な魔術が使えますよ?」

 

「はあ!?」

 

 おい、この娘、サラッととんでもないことを吐かしやがったぞ!?

 って事はだが、つまりはもっと強い敵とも戦えるって事か?

 やばいな、それ。

 

 ……えっと、もしかしてだが、俺なにかやっちまったんじゃね?

 上位天使を一体吸収しただけで、ここまで強くなるのか……。

 こりゃ、完全に想定以上だ。

 

 って事はだが……もっと上位天使を吸収させたらもっと強くなるって事なのか?

 

 どうやら、今のところ雷魔術しか使えないようだが、このまま吸収させ続けたら他の魔術も使えるという事なのだろう。

 

 うーん、これやってますね、ハイ。

 ぶっ壊れに他ならない。

 

 普通の魔術師が、10年を費やして得るのが、一属性の魔術だけ。だというのに、この天使は、数百万もの魔力石を用意すればより多くの魔術を習得させることが出来るのだ。

 

 これは……俺の時代が来たんじゃないか?

 いや、ダメだ。油断した者が破滅しているのは決まりきっているものだからな。

 大きな力を得たときには、きちんと兜の兜の緒を締めるべきである。

 

 うん、そうだ、ちゃんと気を引き締めよう。

 

 と言う訳で、最初のα天使ちゃんからのβ天使ちゃんへの進化は、図らずも大成功に終わった。

 

 これからは、もっとやれる事が増えるだろう。 

 ……こりゃ、楽しみになって来たな。

 

 俺は、大人げなく、なんともワクワクしてしまった。




さらっと片付けられた犬さんに涙を禁じ得ない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。