“枢相”イグラは敗残兵   作:チト 熟練見張員

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書き上がって、読み返す。

<<8500字>>

……
………
………はぁ?!
この小説の平均文字数、3500字前後だぞ!?

バカッ……!刻むだろっ!普通もっと……!段階をっ…!


第十話 違いを共感せし青春の守護者(下)

“ヒナ!レーザーで狙われてる!避けて!”

 

「くっ!?」

 

「うへ〜、委員長ちゃんばっかりによそ見してるヒマあるのかな〜?」

 

AWACS BANDOG

<<アパッチ3、ミサイルだ!フォックス2(赤外線誘導)!>>

 

『ありったけ撃ち尽くすザマスわよ!!』

 

『はっ発射してくださいぃ〜』

 

「ん、ドローンアタック」

 

「ほどほどに行くっスよ〜」

 

 

アビドス砂漠にて

シャーレの一行は、ビナーと対峙していた。

 

神聖十文字(デカグラマトン)の預言者

『違いを痛感せし静観の理解者』

ビナー

 

先に戦闘を始めていた万魔殿に合流したシャーレ一行だったが、依然として戦況は芳しくなかった。

 

「行ける?小鳥遊ホシノ。」

 

「うへ〜、OK風紀委員長ちゃん」

 

ヒナとホシノが同時に飛び上がり、一気にビナーの頭部に肉薄する。

ビナーは無誘導ミサイルで迎撃を試みるも、ヒナは自らの羽を使って空中で躱し、ホシノは盾を横にずらしてミサイルを弾いた。

 

「発射ッ」

 

「いっくよ〜」

 

ヒナとホシノは同じタイミングで、それぞれの得物をビナーの急所と思われる頭部に突きつける。

ヒナは『終幕:デストロイヤー(M G 42)』の7.92×57mm弾の弾幕を、ホシノは『Eye of Horus(ベレッタM1301)』の12ゲージのスラッグ弾の速射を、ビナーの頭部に両側面から叩き込んだ。

 

“ヒナ、ホシノ、一旦引いて!”

 

先生の声に二人が反応し飛び退いた直後、ビナーは大きく首を振り回して地面に叩きつけた。

 

『ビナーの頭が地面に下がりました、皆さん今です!』

 

「目標ビナー頭部。全車、撃ち方始め!ファイエル!!」

 

「お紅茶砲を喰らわせてやりますわよ!ファイヤー!!」

 

 

ビナーの頭が地面に降りてきたタイミングを逃さず、ゲヘナ万魔殿のティーガー戦車隊/ティーパーティー砲術研究会の野戦砲隊の一斉射撃が、寸分違わずに撃ち込まれる。

 

「ん、この期を逃さない」

 

「もういっちょー!!」

 

「社長!」

 

「任せなさい!」

 

それと並行して、大量のC4や爆発物が入ったムツキのバックをシロコのドローンがビナー頭部の直上で投下し、それを便利屋社長が自身の『ワインレッド・アドマイヤー(PSG−1)』の7.62mmNATO弾で撃ち抜く。

撃ち抜かれたバックは引火し、ビナーの頭部に爆発炎を起こした。

 

“……やったか?”

 

「あ、その言葉は嫌な予感がするっス…」

 

爆発煙が立ち込めてビナーが見えなくなり、先生は思わずそう呟いた。

その言葉を聞いた仲正イチカ*1が、顔を青ざめる。

 

グオオオオオオオ!!!

 

爆発煙の中から光が漏れたかと思うと、次の瞬間光の柱が先生たちのすぐ近くにはしる。

 

「こ、こっちに!?」

 

「先生!?」

 

“ッ!?”

 

先生は咄嗟に、腕を前で組む。

だが光の柱は直撃することはなく、先生達の居る場所を避けるように不自然に屈折した。

 

『せ、先生!?』

 

「だ、大丈夫っスか先生!?」

 

“う、うん。大丈夫だよイチカ…”

 

先生はそう答えると、自身が抱えていたタブレット端末をチラッと見る。

 

『ば、バッテリーの42%を消費しましたぁ!!…防げても、あと一回ですよ先生!!』

 

“ごめんアロナ、なんとか耐えて…”

 

『もぉ!!これはOS虐待ですよ!!』

 

タブレット状の端末ーーシッテムの箱に映るOS、アロナが顔を青くしながら先生に抗議する。が、実際問題、シッテムの箱の充電は今さっきのバリアを張るのに、かなりの充電を消費してしまっていた。

 

「先生ッ!!大丈夫なの!?」

 

「大丈夫!?怪我してない!?」

 

“ヒナ、ホシノ。大丈夫だよ、ごめんね心配かけて。”

 

先生がシッテムの箱から目を逸らすと、真っ先に駆けつけてくれたであろう二人の生徒が、心配そうに先生に駆け寄った。

先生は顔の横で小さく手を振りながら、自分の無事を伝える。

 

「ん、それにしても…あの蛇、さっきのコンボでもまるでダメージを受けてない。」

 

「な、なんですってぇぇええ!?」

 

『クソ、なんて固いんだ化け物め!!』

 

一方他の生徒達は、ビナーのその硬さに焦りを隠せないでいた。

 

ビナーの攻撃は正直に言うならば、今この場にいる猛者たちにとっては遅すぎた。

またその攻撃も、ミサイルや薙ぎ払いなどの攻撃が主であり、稀に口から出すレーザービーム以外は、それほど脅威のある攻撃ではなかった。

それ故に、タイミングを見計らってカウンターをかけることも、さして難しい訳ではなかった。

ならばなぜ、未だ劣勢なのか?

ここまで戦力が集まっているのにも関わらず、シャーレと生徒達が未だに劣勢な理由、それはまさにビナーの圧倒的な耐久力だった。

 

どんなにカウンターを当てても、それらの攻撃はビナーの体制を崩す程度に留まり、目に見えて明確にダメージを与えられていなかった。

 

その事実が、生徒達を物理的なだけでなく、心理的にも圧迫し始めていた。

 

このままでは、ジリ貧である。

先生は、未だ有効な方法を見出せずにいた。

 

“(大人のカード……使ったとして、これでビナーを倒せるのか?)”

 

まだキヴォトスに来て浅い先生は、黒服の前では堂々と出して見せたはいいものの、まだ完全には『大人のカード』を使いこなせるようになってはいなかった。正確に言うならば、この『大人のカード』が、どこまでできるかを、先生は計りかねていた。既に、この戦闘が始まってから大人のカードは使っている。だがその使用は、味方へのバフや、大技のタイミング調整、確率変動程度にとどまっていた。

先生は、自分の不勉強さを責めた。

 

生徒達は、多かれ少なかれ傷を負っている。

特に、他の生徒達より長く前線に立ち続けていたヒナとホシノは、目に見て分かるほど消耗していた。

万魔殿生たちもかなりの負傷者を出しているし、空から援護してくれているヘリコプター部のVTOLも燃料が心許なくなってきているらしく、動きが明らかに悪くなっていっていた。

トリニティ砲技研も、後から急いで駆けつけた所為で少ししか砲弾を持ってきておらず、弾切れも時間の問題であった。

 

このままでは、ビナーに押し切られる。

 

“(最悪…最悪の場合、このカードで自爆すれば…せめて生徒達だけでも…)”

 

キヴォトス人と違い体力の劣る先生は、長時間の戦闘指揮で砂漠の熱にやられつつあった。それに加え、ホシノを失ってしまうかもしれないという緊張や、慣れない戦闘からの疲れも重なり、しばし冷静な判断を下せなくなっていた。

 

“(………保って、あと……30分)”

 

VTOLの燃料、戦車や野戦砲の残弾、タンカー役の消耗率、生徒達の疲労限界…

様々な要素から総合的に考え、先生はタイムリミットをそう設定した。

 

“何か…打開の一手があれば………(せめて、大人のカードを使いこなせるようになっていれば…ッ)”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Tirez!」

 

ピカッ

ドガガガガガッッッzzzz

 

『グュルオオオオオオォォォォ!!!』

 

“な、なんだ!?”

 

突如、ビナーの後頭部に巨大な光源ができたかと思うと、それは一瞬で爆ぜ強力な衝撃波を生み出した。

地響きのような音が空気を揺らし、悲鳴をあげながらビナーは倒れ込んだ。

が、直ぐに体勢を立て直して、自らを揺らした下手人を視界に収めようと体を捩った。

 

「ホンホンホン、聞いていた通り頑丈ですねぇ!」

 

呆気に取られた皆は、戦闘を止めその方向を見た。

その向こう、丘の上に数人のゲヘナ生が居た。

ボロボロの黒い制服は、見る人が見ればそれは万魔殿の制服だと言うことが分かる。

ゲヘナ生達は、台車に乗せられた黒い筒状の器具を、数人がかりで抑えていた。

 

「対岩盤掘削弾、全弾命中…効果は今ひとつだがな…」

 

「ホンホンホン!、いや上出来ですとも。温泉開発部の置き土産が役に立ちましたね!」

 

そう言って笑った台車の上に乗っかる生徒は、頭にボロボロの煙突帽子を載せ、ひび割れたモノクルを身につけていた。

 

“君は…”

 

「どうもシャーレの先生、お久しぶりです。英印イグラです」

 

イグラは大袈裟に、先生にお辞儀した。

お辞儀したせいで台車のバランスが傾き、ゲヘナ生達は咄嗟に台車を安定させた。

普通に間に合わず、イグラは落ちた。

 

「あうち」

 

「………イグラ、どこに居るかと思えば、自分でこの計画を立てておいて、一体何をしていたのかしら?」

 

台車からコメディに転げ落ちたイグラには突っ込まず、そのまま自分の疑問を口にする。

 

「それは内緒です。」

 

イグラは普通に回答を拒否した。

ヒナはイラっときたが、ここで言い争ってるほど余裕がある訳でもないので、とりあえず流すことにした。

 

「それで?このタイミングで出てきたってことは、何か打開策でもあるのかしら?」

 

不本意ではあったが、ヒナはイグラのことを買っていた。

情報部時代勤務の時から知っていたことだが、イグラはティーパーティー候補生である。

絶大なコネでも無い限り、バカにティーパーティー候補生はできないのである。*2

計算高いイグラがマコトのように何の意味もなく、ここ(戦場)に顔を出すようには思えなかった。

 

「もちろん、ありますよ。それには、そちらのシャーレの先生のお力添えが必要ですが…」

 

“……私の?”

 

「ええそうです。見たところ、かなり劣勢のようでしたので、ここで一つ博打をと…」

 

「何をする…いや、させる気?」

 

「……ホンホンホン!」

 

ヒナはイグラを睨んだが、イグラは笑って誤魔化した。

先生以外に答えるつもりはない、そう暗に言っていた。

ヒナは背後にいる先生の方を振り返った。

こうなった以上、判断は先生に委ねられる。

 

“…私にできることなら、そこに可能性があるなら私は賭けるよ。”

 

「それは、仮に掛け金が自分の命だったとしても?」

 

“元々、生徒たちの為に捧げるつもりの生涯…それで成せるのなら本望だよ”

 

「ホンホンホン!いいでしょう作戦を伝えます。まずは敵を撹乱し、隙を作ってください。準備したいものがあるので」

 

“分かったよ。ヒナ、ホシノ!悪いけど、イグラが準備を終えるまで、もう少しだけ耐えて欲しい。”

 

「うへ〜、先生は人使いが荒いな〜…でも、おじさん頑張っちゃおうか〜」

 

「……先生がそう判断するなら、私は従うだけよ。」

 

“ありがとう。二人とも”

 

『戦車隊の皆さんも、各車散開しつつ各個に砲撃を実施してくだい!』

 

AWACS BANDOG

<<よし囚人共、残業の時間だ。定時退社は許されんぞ!各機、交戦開始7!>>

 

先生の覚悟の回答を端に、皆最後の反抗を行うために動き始める。

満身創痍ではあったが、この場の空気が一種の興奮状態を引き起こし、皆一同にやる気にを振り絞っていた。

 

『グギャアアアァアッッッ!!!』

 

それを感じ取ったビナーも、応戦するように動き始めた。

この30分こそが、勝敗を分けると皆察してしていた。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

“それで?作戦っていうのは”

 

近くまで寄ってきたイグラに、先生は尋ねた。

生徒を疑う訳ではないが、イグラの作戦がこの勝敗を決めると確信していたため、少し圧がかかった。

 

「シャーレの先生、『大人のカード』はお持ちですね?」

 

“ッ……どこでそれを?”

 

先生は、思いもよらない質問に驚いた。

黒服が言っていたように、この大人のカードは無闇矢鱈と使って良い代物ではない。

そのため、生徒達にこのカードのことは話したことがなかった。

 

「今は追求は勘弁を。私も、あと少ししか保ちませんので」

 

そう言って、イグラはボロボロの服を捲る。

なぜいきなり脱ぎ出してるの?!と先生は思ったが、イグラの服の下を見た瞬間に先生は息を呑んだ。

 

“イグラ…ッその傷はッ”

 

服の下のイグラの腹には、ぐるぐる巻きに包帯が巻かれていた。

そして、その何重にも巻かれた包帯は、赤黒く血が滲み出ていた。

医療に明るくない先生にも分かる、重症だった。

 

「少しヘマしてしまいまして…ご安心ください。応急処置は済んでいますし、有識者*3からは後でちゃんと治療すれば後遺症も無いと預かっていますので。」

 

“……無理はだめだよ。”

 

本音を言えば、今すぐにでもイグラを病院に担いでいきたいところだが、状況がそれを許さない。決め手に欠ける我々には、イグラに頼らざるを得ない。自らの不甲斐なさを噛み締めつつ、無理はしないようにとイグラに念を押した。

 

「それでは、本題に戻るのですが……シャーレの先生、その『大人のカード』は生徒を呼び出すことができる……しかも、()()/()()()/()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

“ッ……イグラの言う通り、私はそう聞いている。ただ、実際に試してみたことはないよ。”

 

まだ一度も試した事がない。それ故、できるかどうか分からない。

それが先生の見解だった。

 

“よく条件は分かっていないのだけれど、このカードで呼び出せるのは、私と繋がりの深い生徒だけのようだ。私の知り合いで戦いに強い生徒は、すでにここに全員居る訳だし、未来に出会う自分の生徒なんて、想像できないよ…”

 

一度、『大人のカード』を使って、全ての混乱の元凶である連邦生徒会長?って生徒を呼び出そうとしたが、うまくいかなかったのだ。

 

そして、先生は生憎、このキヴォトスに来たばかりである。

過去/現在と言っても、それほど多くの生徒と関わってきた訳ではない。

その中から戦闘に強い子となると、それこそ今ここにいるヒナやホシノなどくらいであった。

だからと言って、出会った事のない未来の生徒を、どうやって知ることができるだろうかか…*4

 

「なるほど、それだけでも十分です。ではシャーレの先生、今から私のいう生徒を二人呼び出してください。あ、両方ともミレニアムの生徒ですよ」

 

“私、ミレニアムに行った事ないから知り合い全然いないんだけど…”

 

「ホンホンホン、ご安心ください。二人とも近い将来、きっと貴方の心強い生徒になっているでしょうから。」

 

“……よく分からないけど、やってみるよ”

 

「では、さっそくカードでお願いします。まずはセミナー3年生の____」

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「各車、止まるな。スモーク撃ちまくれ!!」

 

「誰が駆け足と言った!?増速せよ!!」

 

「相互援助なんかしてる場合か!!奴の突進は60kmだぞ!!」

 

万魔殿戦車隊は、頻繁に陣地を入れ替えながら絶えず攻撃を実施していた。

もちろん効果はほとんど無いが、敵の意識を反らせる事くらいならできると、88mm砲をドラムの様に叩きつける。

 

『2番機、3番機!敵の頭上目掛けてジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!』

 

『おうッ!』

 

『やってやらー』

 

ヘリコプター部の攻撃ヘリも負けじと、燃料が少ないながらもビナーに連携攻撃を仕掛ける。

先陣を一番機が、機関砲でダメ出しの目潰しをする。

 

『もういっちょぉ!!』

 

その後に続く2番機が、無誘導噴進弾をありったけ叩き込む。

 

『次は私が__』

 

AWACS BANDOG

<<待て三番機!敵の対空砲火に注意!!>>

 

そして続こうとする三番機だったが、対応したビナーが三番機を捉えレーザーで撃墜しようとする。

 

『しまっ!?』

 

「おフ●ックですわ!!」

 

ビナーがレーザー攻撃を繰り出す寸前に、砲技研のQF 3.7インチ山岳榴弾砲が火を噴き、見事ビナーに命中するーーーーが、

 

カンッ…

 

「……。」

 

「……。」

 

『………。』

 

『………。』

 

砲技研の撃った砲弾は、虚しい音をたてビナーの装甲に弾かれた(をノックした)

 

「あはは……全然効いてないように見えるんですが…」

 

「やはり43.5インチ(ドアノッカー)では茶葉が足りませんでしたの…」

 

『____ッッッッ!!!!!』

 

だが、砲技研の当初の思惑通り、攻撃ヘリからビナーの意識を逸らすことには成功した。

 

問題は、その意識が自分たちに向いていることだがーー

 

「ま、まずいです!こっち向いてますよ!しかも、何か口から出しそうに光ってます!!」

 

「ジ、エンドってやつですわ」

 

「うわぁぁ!?何でもっと強い大砲を持ってこなかったんですか!」

 

これ(ドアノッカー)くらいしかヘリに積み込めませんでしたの!文句なら、ちっさいヘリしか持ってないツノ付きを攻めるのですわ!」

 

『ああん!?んだとトリカステメェ、人様のヘリに乗せてもらっておいて何様のつもりじゃゴラァ!!』

 

「ナニ様もナニも、お嬢様ですってよ!!この野蛮人!!」

 

『(汚いゲヘナスラング)!!!?!』

 

AWACS BANDOG

<<おいゴミども!黙って仕事ができないのか!?……はぁ、北東よりボギー接近。聞いてないぞ、どこのだ!?>>

 

ゴゴゴゴゴ……

 

遠くから地響きのような音が近づいてくる。

 

『こちら二番機、確認した……これは……列車……?』

 

二番機の操縦手が機体を傾け、地表を這う影を見つけた。

現れたのは、 アビドスの校章が刻印された旧式6両編成の装甲列車だった。

その姿を捉えたイチカが叫ぶ。

 

Заамурец(ザームレツ級装甲列車)!?ノースポイント(旧レッドウィンター)の骨董品が、なんでアビドス砂漠なんかにあるんスか!?」

 

『わ、我々にもわかりません。』

 

「ん、アビドスに装甲列車があるなんて、聞いてない。」

 

アビドス対策委員会の面々も、寝耳に水といった様子だった。

 

『カイザーがアビドスから徴収した物資の中に、コレが眠ってました。もしかしたら、借金の足しとして過去にアビドス生徒会がカイザーに売却したのかもしれません。動きそうだったし、大砲もいっぱいついてたので、ヘリに乗れなかった砲技研のメンバーも連れて来ちゃいました!』

 

「ななな、何ですってぇ!?!?」

 

『と!いう訳で、会長!おっ紅茶(榴弾砲)のおかわりをお持ちいたしましたわぁ!!』

 

「撃ちまくれですの!!」

 

『ソコニ、ヤッツラガイルゾ!イソイデコロセ‼︎(^q^)』

 

『紅茶研究会…じゃなくて、砲技戦術研究会の実力を見せてやれ!目標、左舷のデカブツ野郎!こんなにデカけりゃ狙う必要はねぇですの!!』

 

装甲列車の砲塔は、ビナーの姿を照準器に捉え…

 

『「ファイヤー!!」』

 

計12門のQF. 6ポンド砲が、左側面のビナーに向かって一斉に花咲く。

その姿はさながら、中世の戦列艦のようであった。

 

AWACS BANDOG

<<いいぞ、敵が砲撃に怯んでいる!戦車隊、今のうちに体勢を立て直せ!>>

 

『何だよ…結構当たんじゃねぇか…』

 

『何やってんだよ会長!!いいぞもっとやれ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ところで、この線路。あそこで終わってない?」

 

装甲列車が走る線路。

その先を辿っていくと、途中で寸断されていた。

這いずり出てきたビナーに引きちぎられていたようだった。

 

『ゑ』

 

高速で線路の上を駆けて行く装甲列車。

だが、その終着地点はすぐそこまで迫っていた。

 

AWACS BANDOG

<<聞こえるか装甲列車!その先、線路が無い!!直ちに減速し停車せよ!!>>

 

『ぶ、ブレーキ!!』

 

砲技研の一人が急いでレバーを引き、ブレーキをかける。

いきなりの急ブレーキに砲手を務めていた生徒達は転び、装甲列車は激しく揺れた。

車輪と線路の間には強力な摩擦が起こり、金属が擦れる悲鳴のような音をあげながら火花を散らす。

 

『ダメダ、コレイジョウオサエラレナイ(^q^)』

 

「いけない!スピードが出過ぎてますの!!」

 

「まずい…あれ、脱線するよ…」

 

「なななんですってェ!?」

 

スピードが乗りすぎていて、装甲列車は減速の気配を出さない。

線路の途切れ目は、すぐそこまで迫っていた。

 

AWACS BANDOG

<<ダメだ!衝撃に備えろ!!>>

 

 

勢いの乗った装甲列車はそのまま跳ね上がった線路を越え、宙に放り出される。

が、重力に従ってそのまま地面に衝突し、勢いの乗った後部車両に追突されながら、前部車両は砂の中に突っ込んだ。

 

そして装甲列車によって牽制されていたビナーは、砲撃が止んだこのタイミングを逃さず反撃にでる。

目標は__

 

AWACS BANDOG

<<全員、いますぐ装甲列車から離れろ!!ビナーからの反撃が来る!!狙われているぞ!!>>

 

__今この場で最も高い火力を持ち、同時に逃げることのできない装甲列車だった。

 

『グュルオオオオオオォォォォ!!!』

 

再度、ビナーの咆哮部に光が集まる。

だが、装甲列車から逃げていく生徒の姿は無い。

車長含め乗組員達は、脱線の衝撃で気絶していた。

 

「ッ!!ホシノ、装甲列車が狙われるッ!!」

 

「ッ(だめ、間に合わないッ)!!」

 

遅れてヒナとホシノもビナーの思惑に気づくが、装甲列車はビナーを挟んだ向こう側だった。

万全な状態ならいざ知らず、ビナーとの戦いで何回もレーザーを受けたタンク役のホシノはかなりの体力を消耗していて、レーザー発射までに装甲列車の前まで跳ぶのは不可能だった。

 

「「副長(さん)ッッッ!!!」」

 

砲技研のリーダーとヒフミが叫ぶ。

他の万魔殿の生徒達も、その後の悲惨な結末を幻視し目を瞑る。

 

『……り…ぃ……だ…___』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『軌道演算__完了、射角固定。追尾システム連動。』

 

「電力の供給、目標値まで上昇…出力予想が臨界点に到達。イグラ、いつでもいけるわ」

 

「Ideal timing……インフェルノ・カノーネ(試製シエマタⅡ)__Fuck'em up!」

 

 

その日、アビドスに伸びた青白い光の柱は空を割った。

 

*1
サボっていたのではなく、先生の護衛をしていた。

*2
ミカ「…ハックションッ!!」

*3
「医療免許は持っていませんが、まぁ後は神秘の力でどうにかなるでしょう。」

*4
??「ピックアップ募集される生徒は、こちらをご覧ください!」




これで終わり!
終わりったら終わりなの!!

え、先生視点でもう一話書く…?
(審議中_)
ダメだ、半話で収めろ。

それはそれとして、読者の皆さま…
いつも読んでいただき、ありがとうございます。
いつも感想をくださる手前方々にも、溢れんばかりの感謝を!!
百鬼夜行焼くね!

感想、バシバシ送っちゃってください。
投稿の励みになります。


_________________

Заамурец/ザームレツ装甲列車(1916〜___)

1916年にオデッサにて建造されたロシア帝国の装甲列車。
装甲列車には、戦艦から転用された大型火砲と自衛用の銃座機銃を多数装備しており、戦場で轟音を轟かせた。ガリツィアでロシア軍の移動対空砲台として投入された後、チェコスロバキア軍団で「若鷲」の名で使用されボリシェヴィキ相手に遺憾なく力を発揮、やがてシベリアで日本軍に鹵獲された。1918年の休戦を超えて生き延び、ロシア帝国の崩壊に伴って、いくつもの手を渡り歩くことになったが、最終的な運命はいまだに知られておらず、荒唐無稽な伝説の種となっている。

この世界(キヴォトス)では、ノースポイント(後のレッド・ウィンター)で建造されたようだが、その後はオリジナルと同じく行方知れずとなっている。

カイザー潰しが終わった後のイグラは…

  • リオと共謀して魔王を倒しました。
  • セイアを誘拐しに行きました。
  • ティーパーティー候補時代を思い返した。
  • 雷帝になりたいと思いました。(if)
  • シャーレに加入しました。
  • チアキと過酷()したんだ!あいつら過酷s
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