“枢相”イグラは敗残兵   作:チト 熟練見張員

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友人「好きなブルアカキャラを4人あげると、その人の癖がわかるらしいよ」
筆者「チアキ、ミノリ、マコト、ミネ」
友人「なるほど………お前は多重人格者だ」
筆者「ヘイトスピーチやんけ」


間話 絶対にマコトにバレてはならぬ24時〈3〉

山海経の門主である竜華キサキは、ベッドがある簡素な部屋で頭を抱えていた。

 

 

 

「なぜよりにもよってこのタイミングで、クーデターが起きるかのう…」

 

 

 

発端は、ゲヘナとの学園交流だった。

 

元々、この山海経はすごく保守的だった。

よそからの文化を全く受け入れず、変化を好まない。

よく言えば伝統を重んじる、悪く言えば頭の硬い、それが山海経だ。

 

連邦生徒会長の出奔により、キヴォトスの犯罪率は一時的に急上昇した。

外界との関わりを断絶していたといえ、山海経もまた人ごとでは済まない。

 

山海経だけでは、食料自給の全てを賄うことができない。

サンクトゥムタワーの停止によってインフラがストップした時、山海経は食糧危機に見舞われた。

他所から買おうにも、外界との関わりがない山海経に、このような混乱した時期に商売をしてくれる訳がない。

 

一時期配給制にまで追い込まれた山海経を前に、竜華キサキは危機感を募らせた。

このままではいけない、山海経に広く開かれた市場を。

 

 

一部から不満の声が出る中で、キサキはなんとかレッドウィンターとの学園交流を取り付けた。

しかし、ある日を境にレッドウィンター事務局との連絡がとれなくなった。

元よりレッドウィンターは政治不安が続き、政変が絶えない修羅の場所と聞く。

 

キサキは、山海経を変えられるこのチャンスを逃したくなかった。

 

だがレッドウィンター以外の学園は、都合が悪く呼べる時期ではない。

百鬼夜行連合は空いていたが、そもそもそことは一定の繋がりがあるので、今更学園交流する魅力に欠けた。

 

そんな中、救いの手を差し伸べたのがゲヘナ学園だった。

 

ゲヘナ学園のトップである羽沼マコトは、所用により外出できないとのことだったが、学園交流には前向きに考えたいと返答をもらった。

キサキは、半ば強引に交流会を推し進めた。

 

だが、その動きは保守派の反感を高める結果となった。

ただでさえ認めたくなかったレッドウィンターとの交流会がドタキャンされ、いつの間にかゲヘナとの交流会に変わっていた。しかも先方は、トップが直々に来ないというオマケ付きで。

 

これらの悪感情は、ゲヘナ外交団の到着を前についに爆発した。

 

 

 

「門主様……いや、竜華キサキ。臣下として近頃の門主様の狂行は見過ごせるものではない頭を冷やされるまで、門主様におかれましては暫しの休養をお摂りになって頂く!!」

 

 

 

漆原カグヤを主犯に演劇部などを中心とした『憂国義勇団』なる組織が結成、クーデターを決行した。

憂国義勇団は玄龍門や玄武商会などを襲撃し、キサキや抵抗する側近を拘束。

その後にやってきたゲヘナの使節団もついでに投獄した。

 

 

 

「まさか妾も軟禁されるとはな、妾の政策を快く思っていない者達が多くいるのは覚悟していたのじゃが、まさかこれほど過激な行動に移してくるとはのう。」

 

 

 

漆原カグヤはキサキに忠誠を誓っている為、何か直接暴力を振るったりする事はなかった。

寧ろ、キサキが一番心配しているのは先日に山海経へ到着した筈のゲヘナの外交団だった。

 

 

 

(まさかとは思うが、逮捕などは流石にしておらんよな…?流石に…流石にな?*1

 

 

 

フラグである。

 

今回のこの騒動の主犯である漆原カグヤについて、キサキはあまり詳しく知らない。

知っていることは、彼女が京劇部の部長である事と、自らに忠誠を誓っているらしい事くらいだ。

彼女がどれほど過激な思想を持ち、それを行動に移すのか。

今回の事件に、彼女以外に黒幕が居そうなことをキサキは感じていたが、それはそれとして、カグヤが使節団に手を出さないという保証はなかった。

 

ましてゲヘナは、キヴォトス3大学園の一つであり、その軍事力は並大抵のものではない。

最近では、トリニティとの条約締結の噂も聞く。

もし山海経とゲヘナが戦争になれば……

 

 

 

(想像しただけでもゾッとするのう)

 

 

 

こういう時にミナが居てくれると心強いのだが、生憎彼女は行方知れずである。

きっと、キサキを探し出そうと山海経中を探し回っているのだが……

 

キサキは豪快にベッドに飛び込み、仰向けで大の字になった。

今自分にできることは無く、ただこの無機質な部屋の天井を見上げる。

 

 

 

「しかしここは一体、どこなんじゃろなぁ………」

 

 

 

そこには、キサキを監視する監視カメラが設置されていた。

 

 

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

 

連邦生徒会直轄地

D.U.シラトリ区

中心街 連邦生徒会シャーレビル

 

 

 

 

“ふ〜ふふ〜ん〜ふ〜♪”

 

 

 

仕事を済ませ時計を確認すると、時刻は昼過ぎを指していた。

昼食を取っていなかったシャーレの先生は、シャーレ隣接のコンビニエンス・ストア『エンジェル61』でカップ麺を買い、今はそのお湯を作っているところだった。

 

 

 

着任以来アビドスの一件でその知名度を大きく上げたシャーレは、その後の地道な活動により今では多くの生徒が自ら当番を名乗り出てくれるようになった。

特にここ最近は多くの生徒がシャーレを出入りしていて、私がミレニアムに出かけていて留守にしている時も、生徒がシャーレに来ていたらしい。

鍵を閉めないのも流石に不用心な気もするが、そもそも鍵をちゃんと閉めていったような…?

 

まぁ、荒らされた跡もないので、そこまで深刻視する必要はないのかもしれない。

 

ここ数日、ミレニアムのとある部活に付きっきりなっていてシャーレを留守にしていた為か、久々にシャーレに帰ってくると流石に生徒は来ていなかった。

 

シャーレの先生、久しぶりの1人飯である。

 

 

 

『先生、今日はカップ麺ですか?』

 

 

 

近くに置いてあったタブレット端末が、ブラウン管テレビのようにブゥーンと点く。

シッテムの箱と呼ばれるソレの画面に、青髪ショートの女の子が写った。

 

 

 

“いつもはユウカが『カップ麺は健康に悪いです』って止めてくるけど、今日くらい昼飯の手を抜いてもいいよね”

 

 

 

少しの罪悪感を感じながら、先生は沸騰したヤカンを手にとって、コンロの火を消した。

買ったのは、こってりとした細麺醤油ラーメンである。

ネギがいっぱい入っていて、贅沢感を感じられる逸品だ。

外で非常勤講師をやっていた時からの愛用品だが、まさかキヴォトスでも売っているとは思っていなかった。

 

 

 

『カップ麺で済ませるのは健康に悪いんですよ先生!』

 

“見逃してアロナ”

 

『じゃあアロナにもよこせ〜』

 

 

 

アロナと呼ばれた女の子が、画面の中でほっぺを膨らませる。

あげません〜、と揶揄いながら、先生はこってりしたスープに箸を突っ込んだ。

体に悪そうな油と、比較的濃いめのスープ。

なんてジャンクなフードなのだろうか、恐ろしきカップラーメンの脅威ッ!!

ゲヘナの給食部の部長をしていフウカなんかが聞いたら、怒るかもしれない。

 

 

 

ズズズ…と、テレビを見ながら麺を啜っていく。

テレビの話題はもっぱら、エデン条約とミレニアム・プライスについてだ。

 

……先日のアビドスでの一件は、ゲヘナとトリニティが緘口令を引いているのか一切報道されていない。

カイザーコーポレーションも、カイザーPMCを切る方向に舵を切ったようだ。

だがアビドスの借金問題が解決した訳ではない。

アビドスの土地は、未だ大部分がカイザーの所有物となっている。

過去の取引記録になんら不正が無かった為、カイザーに返還を求める事ができない。

 

 

 

“いわば…『Abydos Irredenta(未回収のアビドス)』といったところか”

 

 

 

今後、土地の所有権を巡って再び争いが起こらないとも限らない。

できるだけアビドスの生徒たちを助けてあげたいとは思うが、先生も永久に面倒を見てあげることはできないのだ。

 

 

 

『アビドス領のことについてですが……』

 

“何かあったの?”

 

『どうやら最近、何者かがアビドスの土地に関して取引をした記録がありました』

 

“アビドスの土地が?”

 

『断片的な情報から計算すると、だいたい3500ヘクタールくらいの土地です』

 

“東京ドーム748個分!?”

 

『あまりそういう驚きかたする人少ないと思いますよ…』

 

“いったい誰が!?”

 

 

 

寝耳に水だった。

先生はシッテムの箱をガシッと掴み詰め寄る。

ちなみに敷地換算だと10587500坪である。

誰が要るんだこの例え…?

 

 

 

『それが、取引はどうやら複数のバイヤーを介して行われたらしく、その痕跡も巧妙に隠されていて追跡ができませんでした……』

 

“そっかぁ……”

 

 

 

アビドスの脅威はカイザーグループだけでは無い。

カイザーPMCと手を組んでホシノを誘拐した黒服、ゲマトリア。

黒服と会合したビルはもうも抜けの殻だったが、まだホシノを諦めていないのならアビドスの何処かに潜んでいても不思議ではない。

さらに、アビドスの砂漠ではデカグラマトンの預言者なる巨大ロボットも闊歩していた。

撃退できたはいいが、エンジニア部の子達の見解ではまだ完全なトドメを刺せた訳ではないらしい。

 

 

『こういう兵器は自己修復機能がついてるものなんだ…何故分かるのかって?もちろんロマンだからさ』

『きっと自爆機能もついているに違いないッ!!』

『ぜひ分解したいっ!!』

 

 

これでも一応、キヴォトス機械工学の第一人者の見解だ。

先生は生徒は信頼しなくてはならない。

 

最近はミレニアムにつきっきりになってしまっていたが、近い内にまたアビドスにも顔を出そうと決意した時、シャーレのドアが開いた。

 

 

 

“あれ?今日は当番は休みの筈なんだけど………ッ!?”

 

 

 

カップ麺を持ってドアの方に振り返る。

そこで先生は目を疑った。

 

見たことのない制服を着た、初めて出会う生徒

だけど全身傷だらけの重傷を負った生徒が、そこに立っていたからだ。

 

 

「ぐっ———」

 

“大丈夫?!”

 

 

 

すでに限界なのか、腕を押さえて崩れ落ちそうになったところを先生は慌てて駆け寄り抱き止めた。

生徒は、先生の顔を見ると必死な形相で尋ねた。

 

 

 

 

「貴様が……シャーレの先生だな…っ?」

 

“そうだけど、まずは怪我の治療を——”

 

「そんな暇は無いッ…シャーレの先生っ!」

 

 

 

ガシッと先生の腕を掴む。

 

 

 

「どうか———どうか我々の門主様を助けてくれ!!」

*1
カグヤ「全力で推して参りまする」




残念、ストックはもう無いよ。
ホンホンホン

カイザー潰しが終わった後のイグラは…

  • リオと共謀して魔王を倒しました。
  • セイアを誘拐しに行きました。
  • ティーパーティー候補時代を思い返した。
  • 雷帝になりたいと思いました。(if)
  • シャーレに加入しました。
  • チアキと過酷()したんだ!あいつら過酷s
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