“枢相”イグラは敗残兵   作:チト 熟練見張員

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Q.なんでウチの小説に、イブキが出てこないんです?
A.知らん。

今回は、筆者の勝手な妄想をつらつらと書きました。
ゲヘナの政治よ、雷帝時代のトラウマから独裁者を否定しつつも、悪魔としての種族特性からカリスマ的指導者を欲してしまう、そんな二心の間で一生拗らせていてくれ。興奮するから。
なのでストーリーは進展なし。

筆者だって早く、燃え残った全て(カイザーPMC)に火をつけるAH-64(アパッチ)の話を書きたいんですよ。


第四話 七百四以下略の地獄の悪鬼達(万魔)の宴。

ゲヘナ風紀委員会によるアビドス侵攻より3日後

 

ーー万魔殿(パンデモニウム・ソサエティ)予算本会議

 

“仮設”議事堂、議場にて

 

『ーーーーーこれにて、質疑は終局した。これより採決をする。本案に賛成の者は起立を求める。』

 

噴水前広場に臨時で設置された大会議場。

議長席や秘書席などの長机を取り囲む椅子をゲヘナ生達が各々後ろに引き、立ち上がって万雷の拍手を送る。

中には、万魔殿の議員だけではなく、風紀委員会の腕章をつけた生徒や救急医学部の生徒、そして枢密院の院生などもその騒乱に加わる。

 

『…………過半数と認める。キキッ…よって、万魔殿提案の“トリニティ境界の監視所の大規模改修予算案(ヘリコプター基地案)”は否決され、代案である枢密院提案の“監視所の老朽化所等の補修予算案(妥協案)”を可決する。』

 

温泉開発部を許すな、風紀委員会は早く捕まえろ、等のヤジが飛び交う中、騒乱の向けられる中心…万魔殿議長は目を閉じ、満足げな表情で歓喜に浸っている。

その様子を、周りの万魔殿の側近達が面白そうに、あるいは怠そうに、あるいは純粋に喜んで取り囲んでいた。

 

そして、その様子を議会席の最外縁から望む、冷ややかな目。

 

「はぁ……」

 

ゲヘナ風紀委員長、空崎ヒナである。

 

「全く、キャンキャンと犬みたいに吠えて、うるさいですねッ!!」

 

「……万魔殿の議事堂が吹き飛んだから、変なテンションにでもなっているのかしら」

 

同じくキャンキャン吠える部下(アコ)を軽くあしらいながら、配られている予算案や動議などの書類を流し読みしていく。

 

ところで、なんで万魔殿(背広組)の会議に風紀委員長(軍服組)がいるのだろうか。

ゲヘナ学園の予算本会議に、風紀委員会が参加していることが一見すると場違いに思えるが、これにはバイカル湖よりも深い理由がある。

通常、学園の予算は生徒会が決定するが、ゲヘナでは予算決定は「万魔殿(パンデモニウム・ソサエティ)」が主催する予算本会議で行われる。この会議には、万魔殿の他に風紀委員会や救急医学部などの部活も参加し、議論と多数決を通じて学園の予算や法が決まる。トリニティのティーパーティーが君主制を引いているのとは対照的に、英国議会や現代日本などの議院内閣制に通ずる制度を有するのが、このゲヘナ学園の政治の特色である。

 

ゲヘナの政治がこのように複雑になった背景には、「万魔殿(パンデモニウム・ソサエティ)」の成立過程に由来する理由がある。

 

万魔殿(パンデモニウム・ソサエティ)」は、過去の独裁的な前生徒会による恐怖政治の反省から生まれた組織であり、その結果、権力集中を避けるための設計がなされている。特に「ゲヘナ生徒会」という名称を避け、組織名に「生徒会」を使わないことがその象徴である。ゲヘナ学園内では、未だ独裁や恐怖政治に対する嫌悪感が強く根付いており、それが現在の政治体制にも大きな影響を与えていた。

 

現万魔殿のトップである羽沼マコトは、年齢的にも前生徒会を打倒したメンバー最後の一人であり、また同時にゲヘナ初の民意によって選ばれた代表(笑)でもあった。そういう背景もあってか、マコトは意外にも自由民主主義者(リベラルデモクラシー)の信奉者である。ほんと意外である(ありえねぇだろ)(失礼)。

 

だからこそ、風紀委員会のほとんどを一人で担い、ゲヘナの政治に強い影響力をもち、不良たちに恐怖の対象として恐れられる空崎ヒナを、マコトは無意識の内に恐れていた。風紀委員長に就任してからの空崎ヒナの後ろ姿に、前生徒会長の影を見出すのにそう時間は掛からなかっただろう。

 

無論、こんな複雑かつ込み入った問題に、たびたび単細胞などと揶揄されるガサツなゲヘナ人の万魔殿(デカ乳女)風紀委員会(ヨコ乳女)が察せられる訳もなく、結果<<羽沼マコトは癇癪持ちである>>などという微妙に間違ってもいない認識が広まる結果となった。

まぁ、本人もヒナへの嫌がらせの理由に『イブキとの時間を邪魔された』などと理由に持ってくる辺り、トラウマを自覚してなさそうである。

 

多分気づいているのは、外から入ってきた察しの良いトリカス(英印イグラ)か、張本人である察しの良い前生徒会長(某雷帝)くらいである。二人、仲良くポップコーンでも貪りながら鑑賞していることだろう。

 

ーーー閑話休題ーーー

 

 

「それにしても、妙ね…」

 

キャンキャン五月蝿い副官(服官)を無視しつつ、空崎ヒナは先程の決議を思い出す。

 

ヘリコプター基地計画。

 

トリニティ境界にある万魔殿の監視所を、ヘリコプター基地に作り替えてしまおう、という野心的な計画だ。

もとよりヘリコプター部隊の創設については、長らくヘリコプター部隊の必要性を訴えていた万魔殿の一派閥と、万魔殿戦車部所属の生徒達との間で、度々論争の火種となっていた。だがここ最近になって、ヘリコプター派閥は活発になりつつあった。知り合いの情報部の報告によれば、ヘリコプター基地計画も元々はただの監視所改修案だったものに、無理矢理捩じ込まれたものだという。

 

エデン条約前という事もあり、なるべくトリニティを刺激させてくなかったから、前回の予算本会で廃案にせざるを得なかった。

ただ、今回の予算本会で出された修正案で、予算額から見て大規模な改築は無理だろうと踏み、予算案成立に異議を唱えなかった。

 

だが不思議なのは、その万魔殿一派が異様なまでに静かだったということだ。彼女らとて、バカではない。修正案でヘリコプター基地を作るほどの予算ではないことぐらい分かる筈だが、修正案に大した抵抗もせず本案は可決してしまった。

 

前回の予算本会が荒れに荒れた事もあり、いっそ不気味なまでスムーズにいった可決に、ヒナは不信感を拭えなかった。

 

「(万魔殿だって、可決された予算案を無視するほど無法ではないはず…本当に諦めただけなの?それとも、何か裏が…)」

 

「風紀委員長、少し宜しいでしょうか?」

 

思考の波に潜っていたヒナの意識を引き戻したのは、部下の風紀委員の声だった。

 

「何?」

 

「実はーーーーーー」

 

『これにて、予定一の“監視基地”増設予算案についての討議を終える。続いては、先日ゲヘナ温泉開発部によってーーー』

 

風紀委員がヒナに近づき、耳打ちする。

その内容に、ヒナは顔を歪めた。

 

「シャーレの先生が私を訪ねてきた…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

席から離れ、行政官を残し議場を後にする空崎ヒナを、優雅に紅茶を飲みながら遠くから眺める生徒が一人。

 

「枢相、シャーレの先生が風紀委員長に面会を求め、訪ねて来ているようです。」

 

「ホンホンホンッ、シャーレの先生がですか?」

 

「はい。なんでも、アビドスについてだそうですが…」

 

「アビドスですか…この前のこと(アコのやらかし)で、風紀委員会に苦情でも入れにきたので?」

 

「……諜報機関によれば、数時間前にカイザーPMCがアビドスに軍事侵攻したとの報告が上がっています。シャーレの先生が、風紀委員長に援軍を乞いに来た可能性が高いかと。」

 

「ホンホンホンッ、なるほどなるほど…いよいよ、アビドス編も区切りというところですね。」

 

「…?」

 

「すみません、後でチアキに私の部屋に来るように、と伝言を。

マコト議長には……私から伝えておきましょうか。

あとそれから、ヘリコプター計画の責任者も私の部屋に呼んでおいてください。」

 

「わかりました。」

 

『ーーー万魔殿の議事堂再建予算についは、より威厳を強めるため、より絢爛な物が必要であり、またエデン条約締結を前に周辺自治区に舐められないようーーー』

 

マコトは議場で立ち上がり、大きく手を広げ、議会の注目を集める。

出席している議員達の視線は、マコトの一点に集中していた。

 

『ーーーであるからして、新しいゲヘナの象徴として、巨額の予算を投じてーーー』

 

議場は再び、出席議員たちの歓声に包まれる。

途中で退場した風紀委員長に気づく者はおらず、むしろこれからが本番といった様相で、討議はより一層熱を帯びていった。

七百四十五万千九百二十六の地獄の悪鬼達(万魔)の宴は、今宵まだまだ始まったばかりである。

 

 

「チアキ!アビドス砂漠へアビドスタダイマ・ユメ=モドキ(小鳥遊ホシノ)の生態調査に行くぞぉ!」

 

「え〜、また砂漠ですかイグラ先輩、アビドスシリアス・ユメ=モドキ(小鳥遊ホシノ)なら、この前撮ったじゃないですかぁ」

 

「アビドス砂漠でロリコンカイザーPMC理事vs先生だいしゅきクラブvsおじさんの今カノ隊の戦いだよ。しゃしんとって、やくめでしょ。」

 

変態どもの宴も始まりそうであった*1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

アビドス自治区

アビドス高等学校、分校校舎、対策委員会教室

教室の中では、5人の人間が今まさに戦いに身を投じようとしていた。

 

「やれることはやりました。」

 

“みんな、ホシノを迎えに行くよ”

 

「ん、カイザーを襲う(皇帝の首に刃を突き立てる)。」

 

 

栄華を極めるカイザーの世に、小さなほころびが生じようとしている。

シャーレの名の下に集う、新しい力。

歴史がうねり始めている…

*1
チアキ「私は違いますよ!?」




次々回、カイザーとの衝突です。
あと一話、与太話にお付き合いください。

イグラちゃん!(は〜い)何が好き?
ロイヤルティー(イギリス) よりも ボス・トン・ティー(1776年)

グレンヴィル「処刑するえ」
ルイ16世「処刑されてて草」
ギヨタン「おっ、そうだな。」

カイザー潰しが終わった後のイグラは…

  • リオと共謀して魔王を倒しました。
  • セイアを誘拐しに行きました。
  • ティーパーティー候補時代を思い返した。
  • 雷帝になりたいと思いました。(if)
  • シャーレに加入しました。
  • チアキと過酷()したんだ!あいつら過酷s
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