色々、大目にみていただければ…と思います。
私は設定をまとめ大筋を書いた後、AIに添削をしてもらい文章の内容をブラッシュアップする形で小説を書いています。
いわばAIとの合作です。
「それでも良いよ!読んであげる」という心優しい皆様、お楽しみいただければと思います。
第1章 春の旅立ち
冷たい雨に打たれながら傷だらけでうずくまる幼い少女。
彼女の瞳はどこか遠い場所を見つめているようだった。
…誰も悪くない。そう、悪くないのだ。
⸻では…何故?
そう心の中でつぶやく少女に寄り添う影がひとつ。その瞳は悲しげに揺れている。
「泣かないで、アブソル。いつか一緒に広い世界を見に行こう」
⸻きっと広い世界なら、もう少し…息ができる気がするから。
⸻私たちは、何があっても唯一無二の相棒(パートナー)だ。この『絆』に偽りなんてあるはずがない
では、間違っているのは⸻?
どうしてこんなことに、なってしまうのだろう。
⸻ ⸻ ⸻
シンギ地方の小さな海辺の町、バンシュタウン。
この町を見下ろす丘で少女は立ち止まった。
相棒のアブソルは隣に立ち、静かに空を見上げている。
朝の光はまだ弱い。遠く御神木の影を青く伸ばしている。
その時大きな声が響いた。
静かに立ち去ろうとするふたりを呼び止める声が。
「待ってくれ!」
「…っ、何も言わずに行こうとするなんて」
声を上げながら駆け寄ってくるのは、幼いころより共に育った気心の知れた幼馴染達だった。
「……ほんとに、行くんだな」
低く落ち着いた声だった。
つぶやいたのは体格の良い少年、カズキ。
浅く跳ねた茶色の髪を風に揺らし、悔しそうに口を結んでいる。
その隣で心配そうに少女を見つめるのはナナミ。
長い黒髪をひとつに結いあげている小柄な少女だ。
普段はきっちり結いあげている髪は乱れ、慌てて駆けつけたことが伺える。
そんな2人に向けて少女は小さく笑みを向けた。
「うん。……大丈夫だよ。ずっと、夢だったから」
カズキは言葉に詰まった。
『世界を巡る旅に出る』
彼女が長年抱き続けた夢であることを2人は重々承知している。
しかし、この旅立ちは違う。とても祝えるものではなかった。
「これは違うだろう!」と、今にも口に出してしまいそうだ。喉元まで上がったその言葉を噛み殺す。
…追い出されたような形で決まった旅立ちだと誰もが知っている。
祝いたい気持ちはある。夢を応援してやりたいとも思う。だけど…それでも、こんな形で送り出すなんて。
真っ直ぐに祝う気持ちにどうしてもなれない現実が…こんなにも苦しい。
しかし、まっすぐ見返してくる少女の瞳には微塵の曇りもなかった。
そんな彼女にこれ以上言い募ることは、できなかった。
2人の苦い胸中を置き去りにして爽やかな風が吹いてゆく。
ポケモンと協力して行うものづくり「クラフト」
シンギ地方の人々は幼い頃より頼れる相棒と共にものづくりに親しむ。
道具を作り、薬を作り、衣服を編み、家を建て、船を作る。料理や機械製作など、多種多様なものづくり。
その基礎を学び、さらに得意分野を伸ばしていく。
そうして最終的にはクラフトランクを上げ「クラフトマスター」を目指すのだ。
ものづくりの技を極めることは、この地に生きる者の誇りだった。
彼女は十代にして、「道具製作(アイテム クリエイト)」のマスターと認められた。
特に、彼女の作るモンスターボールは「至高」とまで評された。
だが、その才能と相棒のアブソルについて回る「災いポケモン」への迷信がふたりに暗い影を落としていた。
「もっと世界を見てこい」
「お前の技術は、この町には惜しい」
口では賞賛を並べながら、その目は冷ややかだった。
まるで、ここにお前の居場所はないと告げるかのように。
それでも少女は真っすぐに。
ただそれを受け止めた。
「世界を巡って、たくさん物を見て、学んで、作る。……それが私の夢だから」
アブソルが静かにそっと寄り添う。
その紅い瞳は「行こう」と語りかけているようだった。
表情の変化も少なく、抑揚の少ない淡々とした声。
けれど、カズキとナナミにはわかる。
その瞳の奥、言葉の奥にどれほど深いの想いが込められているのか。
ナナミはさっと少女の側によると頭をグイッと押さえつけた。
「え、何?」
「旅の餞別よ。あなた他の腕は良いけど、編み物と裁縫は苦手じゃない」
大切にしてね。
その言葉を聞きながら、そっと頭に手を当てるとしっかりした布の感触がある。帽子だ。
ナナミは高ランクの裁縫師。少女が着ている服もクラフトマスター就任のお祝いに贈られた品だ。
他地方の人間なら見慣れないだろう古風な仕立てを取り入れたモダンな服装。
紺色の作務衣風の上着と袴風のワイドパンツ。
クラフトの邪魔にならないよう工夫された、シンプルで動きやすいこの洋服は少女のお気に入りだ。
その服に合わせた素敵な帽子。
紺色を基調とした、少しふっくらとしたシルエットのワークキャップだ。
「ありがとう」
平坦な声。しかし瞳だけは雄弁に感謝と喜びの念を伝えて来る。
たまらずナナミは少女を軽く抱きしめた。
少女は思った。
(こんなにも想ってくれる2人ともまた会えるのかすら分からない。)
この旅立ちへの虚しさ。別れの寂しさを今更ながら噛み締める。
それでも、この思いに蓋をしなければならない。
どのような思惑がきっかけであれ、私は望んでこの町を出る。
⸻それが旅立つ理由の全てでなくてはダメなのだ。
「遅くなって、すまなかった」
少し間をおいて声をかけたのは、少女の父だった。
がっしりとした体格に、柔らかい目元。
頼れる自慢の父だ。
その肩には父の相棒、愛くるしいプクリンが肩車されるように乗っている。
「これを持って行きなさい」
差し出されたのは、旅に必要な道具をつめた小さなリュック。そして、ものづくりに必要な愛用の工具を収納したベルトポーチだった。
どちらも父が作った品のように見えた。
持ち歩くのは難しいからと、泣く泣く持っていくことを諦めた愛用の工具たち。
全ては難しくとも、よく使うものはこれで持っていくことができる。
少女の瞳が輝いた。
急に決まった旅立ちであった。
1日と猶予のなかった中で、母と共に準備をしてくれていたのだろう。
まさか娘が、人目につかぬように夜明け前に出立するとは思わなかっただろうに、察して追いかけてきてくれた。
父は、そんな娘に小さく息をつく。
「無理はするな。……困ったら、必ず連絡しなさい」
短い言葉。
それでも十分すぎるほど想いが伝わった。
少し間を置いて、父は続けた。
「いつでも帰ってこい、自分の家なんだから」
その言葉に少女は一言返すのが精一杯だった。
「………ありがとう」
(その気持ちだけで。十分私は幸せだ)
父の隣では、母がひとつの包みを抱えて立っている。
母の足元でコダックが間の抜けた顔で小さく鳴いた。
「お弁当作ったから。…途中でちゃんと食べなさい」
「……ありがとう」
少女は少しだけ、口元を緩めた。
しっかり味わって食べようと心に決めた。
「姉さん!」
次に駆け寄ってきたのは、双子の弟、コウキだった。
まだ少年らしい面影を残す顔に、真剣な表情。
その背後には、通常の2倍はあろうかという大きさの凛々しいブラッキーがぴたりと寄り添っている。
「……オレ、頑張るよ。クラフト職人にはなれなくても自分の道を見つける。それで家族をしっかり支えられるような人になるよ。だから…!」
「うん。…本当に頼もしい。あとは任せたよ」
少女はコウキの頭を、ぽん、と軽く撫でた。
コウキは目を細めたが、何も言わなかった。口を開けば泣きそうだったから。
最後に、祖母がゆっくりと歩み寄った。
小柄で皺だらけの手。
少女の手を包み込み、そっと握る。
「行く道は遠く離れども、心は近く共にある」
それは、シンギ地方に古くから伝わる旅立ちを見送る言葉だった。
ついに、時が来たのだ。
旅立ちのときだ。
「行ってらっしゃい」
少女は深く、深く頭を下げた。
アブソルも、隣でぴたりと頭を垂れる。
頭を上げると勢いよく歩き出す。
もう呼び止める声もなく、少女も振り返らなかった。
様々な想いを押し流すように、春の風に乗って故郷の匂いが遠ざかっていく。
ふたりはまっすぐに前を向き
ただひとつ、絆を手に歩み出す。
⸻少女とアブソルの世界を巡る旅が、始まった。
(小話)オリ主が旅立った後の話↓
「姉さん、行っちゃったね」
寂しげにコウキはポツリとつぶやいた。
「…大丈夫よ。彼女、案外たくましいところがあるし…何よりアブソルが一緒なんだから」
自分に言い聞かせるようにナナミが言った。
「そういえば、おじさん。」
「…何だい?カズキ君。」
言葉を返しつつも静かに、もう見えない少女の姿を探すように道の先を見つめ続ける。
「連絡しなさいって言ってたけど、どんな連絡手段を準備したんですか?」
やっぱり手紙?あいつ携帯端末持ってないですもんね。と言葉を続ける。
「…あ。」
そこで母は思い至る。あの子のためになるようにと今日の準備に追われていた私達。
「………まさか、あなた…」
「やってしまった…その辺りのこと、何も決めてない。」
あの子はとても天然というか、マイペース。
そして、この旅立ちはだいぶん訳あり。
きっと私達に親不孝をしたと気を遣っている。
こちらは、あの子の居場所を特定する手段がない。
つまりこちらからは連絡できない。
「いつ、あの子は連絡をくれるだろうか。」
「「………。」」
家族の、眠れぬ日々が…始まった。