クラフト旅物語 ―螺旋の証と絆のキセキ―   作:ユゥイ

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事件が急展開を迎えます。
思いの外綺麗に話がまとまって自分でもびっくりです。
独自設定についてはしっかり作り込んで書き始めましたが、実は船がホウエンのカイナシティに到着するところまでしか決めていませんでした。
その先の旅の流れはほぼ決めずにその場で思いついた流れを書き連ねています。
自分で書いてるはずなのに「この設定がこう生きるのか…!」と驚いています。

そして最後にAIさんに文章を整えてもらうとさらに読みやすく仕上がる。
すごい時代ですね。





第6章 暴走ポケモン

 

 

辺りを埋めるほどに押し寄せたポケモンたちであったが、ツツジと少女の働きによって徐々に落ち着きを取り戻し始めていた。

 

「ノズパス、でんじは!…動きを封じて!」

「アブソル、サイコカッターで動きを牽制。進路を誘導!」

 

「よし、そこよ!イシツブテ、いわおとし!」

 

 

あらかじめイシツブテの「あなをほる」で作っておいた大きな落とし穴。

岩落としの衝撃により穴が姿を表し、ポケモンたちが落下していく。

 

これでポケモンたちの気持ちが静まるのを待てば解決するのではないか?

 

そう思ったが、安堵するにはまだ早かったようだ。遠くから地鳴りのような振動が伝わってくる。

穴の中の野生ポケモンたちの様子もおかしい。より一層…怯えているようだ。

 

足元の小石が、ピクリと跳ねた。

地鳴りでもない、明らかな“異変”が地面を震わせている。

 

 ── 何かが、来る。

 

 少女がそう感じた瞬間、森の奥から一体のポケモンが飛び出してきた。シルエットは確かに見知ったポケモンのものであるはずなのに、どこまでも異様な様子だった。

 

まず体の大きさがおかしい。通常の3倍はあるのではないだろうか。そして体表には亀裂のような紋様が浮かび、背中から赤黒い光が漏れている。瞳は濁ったまま赤く発光し、こちらを睨みつけている。

 

息は荒く、理性が抜け落ちているのが見てとれた。

 

「……あれは…本当にヤルキモノ、なの……?」

 

ツツジの呟きが風に紛れて消えた。そう、あれはトウカの森に暮らしている「ヤルキモノ」なのだろう。だが、あまりにもその姿は異様としか表現できないものだ。

 

それは、無理やり“進化の途中”にねじ込まれたかのような苦しみの形だった。

 

「アブソル、構えて! ツツジさん、合わせてください」

 

「ええ!」

 

二人が指示を飛ばすと、アブソルとノズパスが同時に走り出す。戦いは熾烈を極めた。技が通っても、すぐに立ち上がって向かってくる。明らかに“何か”がおかしい。

 

アブソルの爪が、ヤルキモノの肩に食い込んだ。そのときだった。

 

少女の目に、一瞬だけきらめくものが映る。ヤルキモノが振り上げた右手。

その手に、何かが“喰い込んで”いた。まるで寄生するように張り付いた、赤黒い鉱石——

少女の中に、冷たい震えが走った。

 

まるで体に喰い込むようにくっついる。

不気味に光る鉱石。

 

どこか既視感を感じる不思議な石のカケラだった。

そして少女はその鉱物から、歪にゆがんだ苦しげな“響き”を感じた。

そう、ナニカが響いている。

 

「右手、あの石……!」

 

少女が叫ぶと、ツツジも視線をそちらに向けた。

 

「わかったわ! きっとあれが原因ね。」

 

特に合図をしたわけではない。

それでも二人はタイミングを合わせて指示を出す。

この一体感はなんだろう。

双子の弟とさえ感じたことのない不思議な安心感を少女は感じていた。

 

「ノズパス『でんじほう』!」

「アブソル『じごくづき』!」

 

雷光が轟き、でんじほうが暴走ヤルキモノを包み込む。

麻痺したその隙を縫って、アブソルが地を駆ける。

赤い瞳が標的を捉え、禍々しい鉱石へ放たれた鋭い一撃が石を砕いた。

 

 その刹那 ── 金属を叩きつけたような高い音があたりに響き、砕け散った。

 

 赤黒い光が暴れるように舞い上がり、やがて風に吹かれて消えていく。ヤルキモノはその場に崩れ落ち、静かに気を失った。体は元の姿に戻っている。そこに異常な気配はもう欠片も存在しなかった。

 

もう妙な「響き」も感じない。少女は静かに息を吐いた。

そしてふと、アブソルの胸元のブローチが目に入る。

クラフトマスター就任の際に授与される二つの品の片割れ「絆の輝石」

それが、かすかに震えているようにみえた。

 

「まさか……これと同じ……?」

 

ツツジがそっと近づいてくる。

その手には粉々と言っても良い有り様に砕かれた鉱石のカケラがあった。彼女は真剣な目でそれを見つめている。

 

「この鉱石……ただの石じゃない。これは……“存在そのもの”を歪める……何か、よ」

 

少女は何も言わなかった。ただ、アブソルの胸元の「絆の輝石」を見つめていた。

 

吹き抜ける風が、ようやく街に静けさを取り戻す。その中で、二人はただ無言のまま砕けた鉱石の残骸を見下ろしていた。

 

 

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