倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

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直太って実はちゃんと良い奴だし、プロローグで佑斗と一緒に美羽助けに行くしそういう部分を見れば惚れる人間の1人くらいいるのでは?と思った次第
そんで「丁度攻略不可能のネームド一般キャラ(但し吸血鬼の事についてはかなり知ってる)いんじゃーん」となったのでこうなった
ちなみにひよ里はかなりお気に入りのキャラ


chapter1-1『ちょっとお人好ししただけなのに……』

「つー訳で佑斗、俺もう少しこっちにいるから見舞いくらい行かせろよ」

 

「分かったよ、だが出来れば夕方以降に来て貰えると助かる。昼間は色々と検査があって立て込んでるんだ」

 

「OK、んじゃま俺はまだまだこの島を楽しむとしますか!そんじゃーな!」

 

「おう」

 

 俺、倉端直太と親友六連佑斗はこの夏休みを利用して噂の海上都市アクアエデンにやってきていた。

 色々と話に食い違いがあったものの俺は風俗街を楽しみに、佑斗は食事だったか、それぞれ楽しみにしている事があってやってきたのだからパーッと遊んで最高のひと夏に……するはずだったんだ。

 

 だけども何とも不運な事に、俺と佑斗はなんと風俗街に行く直前で誘拐事件を目撃しちまって、佑斗は誘拐犯を追いかけちまうし俺も放っておけないしで首を突っ込んじまった訳だ。

 まあ、この風俗街まで案内してくれた上に俺のドM心を揺さぶってくれた大恩のある綺麗な女の子だったからそりゃまあ追い掛けるよなって話ではあるんだけど。

 

「ふぁ〜、にしてもどうすっかなあ〜」

 

 が、俺は大誤算を犯してしまった。

 本当なら兄貴にパスポート借りて偽造をして風俗街に行くはずが、当日に間違えて自分のパスポートできてしまう痛恨のミス。

 そのせいで警察に通報した時身分証明として出したパスポートで風俗街への出入りに関しては厳重な目をつけられ遊びに行けなくなってしまった。

 島にはいられるものの、これじゃやる事に困っちまう。

 

「せっかくだし佑斗の無念を受け継いで食べ歩くのも良いかもな」

 

 そうなると、やる事と言えばこのアクアエデン特有の合法カジノか佑斗の無念を引き継いで食べ歩きかの二択って訳だがカジノが出来るような金は持ち込んでないんだよなあ、学生の財力じゃ無理だった。

 だからやれる事と言えば食べ歩きくらいか。

 海に囲まれてるだけあって海の幸が美味いらしいし、俺も食べる事は好きだし、佑斗のやりたかった事だしな。

 

 うん、それが良いな。

 

「さーてそうと決まればグルメガイドだな〜」

 

 本当はサプライズで親友の為に買ってあったグルメガイド雑誌。

 まさか親友の為じゃなくて自分の為に使う事になろうとは。

 

 さてさて、何処に行こうかね。

 

 

「や、やめてください……」

 

「そう言わずにさァ、俺様と良いコトしようぜェ?」

 

「私、そういうのに興味無いので……それに今からお仕事が……」

 

「いーじゃんいーじゃん、仕事なんてサボっちまおうぜ」

 

 

「う、うわぁ……」

 

 気分上げて夜のグルメ巡りでもしようと思っていた矢先に目の前に広がったのは、典型的なナンパの光景だった。

 暗くて良く見えないけど、声や話し方的に女の子の方は……ワンチャン同年代っぽい?

 

 う、うーむ……1日に2件もこういう事に首を突っ込むと次は自分の番……なんて予感も思い浮かんでくるけど……

 

 

「あの、ほんとに私急がないと」

 

「チッ、んだよ連れねえなあ。お前は俺に着いてこりゃ良いんだよッ!!」

 

「きゃっ」

 

 

 でも、こうして目の前で助けが欲しい人がいて、人通りもほとんどない裏路地みたいなところだと俺以外助けられる奴なんていないもんな。

 それに何より、ああいうイケメンだからって何しても許されると思ってるような奴は純粋にムカつく!

 

 

「おいコラ!女の子が嫌がってるじゃないか!」

 

「あぁ?なんだお前……俺はお前みたいなのに用は無いんだけど?」

 

「俺だってお前みたいないけ好かないイケメンに用なんて無いですよーだ!でもなあ!女の子を強引にナンパするのはダメじゃん!可哀想じゃん!」

 

「はぁ?勝手な事言ってんじゃねえぞガキ!こっからは大人の世界だ、引っ込んでろ!」

 

 いや勝手な事言ってるのはアンタじゃないんかい。

 いくらバカな俺だってそこまで何も分からない訳じゃないぞ。

 

「勝手って言うなら……キミ、コイツはお知り合い?」

 

「ち、違います……」

 

「それじゃ、強引にナンパされてた?」

 

「…………は、はぃ……その、本当に仕事……行かないといけないので」

 

「ほら見ろ!勝手な事言ってんのはどっちだって話だ!バーカバーカ!」

 

「なっ!?テメェこのクソアマッ……」

 

 そら見た事かと煽っていると逆ギレし出したイケメンクソ野郎が女の子に向かって手を振り下ろそうとしているのが見えた。

 

「ぶべっ!」

 

 ので、女の子を突き飛ばして俺がその拳を顔面で受け止める。

 女の子の顔に傷が付くなんてそんなの許せるはずがないし、わざわざ顔を狙うド外道クソ野郎の思い通りになんてさせて堪るかってんだ。

 

「いって〜!!」

 

「は、ははは!マヌケめ!わざわざ殴られに来るとかバカじゃねーの?」

 

「でも女の子は守れたし。顔が良いからって何でもかんでも思い通りに行くと思ってんじゃねーぞドクサレが!」

 

「あ……その、顔に傷が……」

 

「良いって良いって!痛いっちゃ痛いけど、それよりも女の子守れたって方が嬉しいし!そんな訳で早く逃げて!」

 

 コレであとは女の子が逃げられたら俺の思い通りなんだけどなあ。

 ……なーんか嫌な予感するんだよなあ、そんでもって当たってほしくないこういう時にだけ当たるんだよな。

 

「そ、その……」

 

「……あのー、もしかして」

 

「はい……恥ずかしいんですけど……あ、足がすくんで……」

 

 あーやっぱり。

 女の子だもんなあ、そりゃ怖い思いしたら足震えて立ち上がるのも難しいってなるのはあるよなあ。

 ええいこうなったら覚悟決めろ倉端直太、女の子1人守れずして何が漢か倉端直太、イケメンにもう一泡吹かせてやろうぜ倉端直太、やってやろうじゃねえか倉端直太。

 

「だ、だったら俺の後ろに隠れててくれ」

 

「……な、なんで私の為にそこまで……?」

 

「俺ってばお人好しなもんで、親友と一緒にすーぐこういう事に首突っ込んじゃうワケ。バカでそこまで頭回らないけどさ、困ってる人見つけたら放っておけないんだよね」

 

「たったそれだけで邪魔してきたってのか?このガキ……一度本気で痛い目見ねえとこういうバカは分からないみたいだな、あ?王子様気取りやがって……ぶっ殺す!!」

 

「や……やれるもんならや、やってみやがれっ!お、おおお俺は一歩も引いてなんかやらないんだからな!」

 

 危うく即落ち二コマになるところだった。

 ま、まさか本気で殺意向けられるとかいくらなんでも治安悪くないアクアエデン……俺はちょっと粘って相手が引いてくれたらな〜って思ってただけなのに!

 

 でも一度首を突っ込んだ手前逃げる訳には行かない。

 

「……ああ分かったよ、そこまで言うなら本当の本当に本気になってやるよ。まだ俺様でさえ使った事の無い『奥の手』でぶっ殺してやるよ」

 

「奥の手ぇ?」

 

「そうだ……これだよこれ」

 

 覚悟をもう一度決めた俺の前に差し出されたイケメンクソ野郎の奥の手……それは『パックに入った赤い液体』だった。

 それがどうしたというのか、俺には全くさっぱり分からない。

 

「それが奥の手……?ん?んんん?」

 

「まあお前には分からないだろうなァ」

 

 ニヤニヤと悪い笑みを浮かべる男に、取り敢えず警戒だけは解かない。

 ハッタリなんだろうけども……

 

「あれは合成血液……いやでも色も粘度も一般流通しているものとは全く違う……まさか……」

 

 ん?でも後ろにいる女の子は何かぶつぶつ話しているような……なんか心当たりがある……いやまさかね。

 そんなファンタジーか創作みたいな事普通起きないし。

 

「そこで見てると良いぜクソガキ、俺様は『今から人間を辞めるから』な」

 

 男がパックのキャップを外す。

 いつだ、いつそのブラフをキャンセルしてくるんだ……?

 ……あれ?本当に飲もうとしてないこの人?え?

 

「……ッ!!ダメです!それを飲んでは!」

 

 そんでこの子は何か知ってるの!?え!?

 全く何も分からないけど、とにかくそれを飲ませるとこっちに不都合な事が起きる可能性があるってか!?

 

「だったら止めてやる!!うおおおおおおお!!」

 

「あっ!ダメっその液体に掛かると――」

 

「は!?嘘だろ!?突っ込んでくるってバカなのか!?お前それは吸血鬼の血えグッハァ!?」

 

「う、うええええええまっずー!?」

 

 と、止めたは良いがなんだよこの液体は!?

 男を吹き飛ばした拍子にパックの液体が俺に飛んできてしまったみたいだ、というかそのまま綺麗に全部口に入っちゃったみたけどクソまずい、というか口全体に鉄の味が広がるんだけどこれって血?え?血!?

 

「あれ?なんか身体が熱く……アツゥイ!?てか頭がいたぁい!?」

 

 しかもなんかものすごく頭が痛くなって身体が燃えるみたいに熱くなって……って嘘だろナニコレ!?本当にナニコレ!?

 こんな劇物持ってないで欲しいんですけど!?

 

「ひ、ひぃ!?」

 

「風紀班よ!手を挙げて投降しなさい!……貴方が通報者ね、大房さん」

 

「は、はいっ!あの、それで大変なんです!」

 

「なに?どこか怪我でもしたの!?」

 

「い、いえそうじゃないんです。……そ、そこの男の子が……その、吸血鬼の血を誤飲してしまってっ!」

 

「なんですって!?主任!緊急事態です!……ええ、吸血鬼の血を誤飲した少年が『また』現れました!今すぐ救護班の手配を!」

 

 

「ど、どうしてこんな事……に、ガクッ」

 

 薄れゆく意識の中、吸血鬼だの誤飲だの意味不明な単語が聞こえた気がしたけど……そんな事より俺死ぬんですかね……童貞のまま……

 そ、それだけは嫌だ……俺は、俺は童貞のまま死ぬのだけは……

 

 そう思ったのを最後に、意識がブラックアウトしたのだった。




倉端直太
兄貴のパスポートを使って偽装入国しようとするも、出発当日に間違えて自分のパスポートを持ってきてしまった世界線の倉橋直太
お陰で島外退去にならない
ひよ里を助けるも有り得ない経緯で吸血鬼の血を体内に入れてしまう

大房ひよ里
アレキサンドに出勤する途中で厄介な勘違い野郎に絡まれていたところを直太に救ってもらった
初対面の自分を身を呈して庇ってくれた事から既に好感度はかなりある

イケメンクソ野郎
何をどうとち狂ったのか吸血鬼の事を知っており、吸血鬼の血を手に入れていたクソ野郎
ナンパを邪魔されたという理由で吸血鬼になって直太殺害を画策するも直太にあえなく吹っ飛ばされた
ちなみに吸血鬼にはすぐなれると思っていて副作用の事は一切知らなかったらしい、実にクソ野郎である

六連佑斗
一方その頃直太がまだ数日滞在するという事でお見舞いに来るので精神はそれだけ安定しているが元樹ワールドに引きずり込まれるのは変わらない運命
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