倉端直太だって恋がしたい! 作:ひよちゃんLove
「で?で?まずはユートから!おっぱいは好きなの?好みは?」
この子はどうしてこんなに火力が高いんだろうか。
お兄さんびっくりしてドン引きしちゃうよ?もうしてるけど。
あと佑斗、お前はこれに答えるつもりなのか?なんでそこでちゃんと考えてるんだよ。
「ふむ、やはり大きさ重視だな」
「いや答えるんかい」
「おー、大きさか。ユートはおっきいのが好きなんだね」
「早とちりしてもらっては困る、俺は小さい方が好みだぞ」
平然と答えるんじゃないよお前は。
いくら俺が変態って言ってもそれくらいのエチケットは弁えるっての、すらすらと答えてどうすんだよ。
あとお前が貧乳派なのは俺は昔から知ってるからな、そんな訳で同級生には無関心も無関心だったからな。
……布良さんは同級生っちゃ同級生だけど例外なんだろうな。
「ナオタはどう?」
「……お、俺も答えないとダメ?」
「ダーメ、逃がさないんだからっ」
「ぬぐぐ……」
そして俺は逃がしてもらえないと。
これに答えるのは……しゅ、羞恥心が……いやでも、なんか久々にドM心が擽られてちょっと良いかも?確信犯のエリナちゃんと無知の稲叢さんに聞かれながら答えるの、あ、なんか良いかも。
済まないひよ里ちゃん、俺はちょっとだけ敗北しようと思う。
「そ、そうだな〜。俺は大きさは大き過ぎなきゃこだわりは無いかな、貧乳でも巨乳でも中間でもなんでもごされ!的な!」
「そうなの?それじゃエリナのおっぱいは?」
「悪くはない、だが良い感じで膨らんでしまっている。それはそれで良いとは思うが」
「チョー良いと思いまっす!」
「あ、直太のドMスイッチ入ったなこれ」
「そっか……もうおっきいんだね……」
うるせえ、俺はもう吹っ切れたんだ。
正気の沙汰じゃないお前とはワケが違う。
「でもそうすると、アズサのちっぱいなんかは?」
「とっても良いと思います!」
「わお素直、ねね、ユートは?」
「ふむ……」
とは言ったものの、正直なとこ布良さんへの見解は気になる。
というのも変な好奇心とかじゃなくて何となく話とか聞いてると佑斗と一番相性良さそうなのは布良さんな気がしてるんだよな。
ああいうちっちゃくて一生懸命で包み込んでくれそうな優しい子は絶対佑斗の好みだ、結構長いこと親友やってるからその辺は詳しいんだ。
「……アリだな、絶妙なバランスが極上だろう」
「わお、もっと素直な意見」
「その潔さは男として尊敬するが友人としてはドン引きするわ」
当たったっちゃ当たったが潔すぎて気持ち悪い。
本人が聞いてなくて良かったと思えよ、絶対キレられてたぞ。
「じゃあじゃあナオタ、ヒヨリのおっぱいは?」
「それを答えたら全ての尊厳を失いそうなんでやめてください……」
頼むからそれだけは勘弁してください。
ただ、1つ言うならあれくらいの大きさがベストバランスだと思ってることは俺だけの秘密である。
「うーん……?あの、一体なんのお話なんですか?」
「いや、別に人に言うことじゃないんだ。全ては自分の心の中に答えがあればいいことで――」
「ってぇ!?俺は一体何を言い出してるんだ!?」
「あ、正気に戻った」
コイツ貧乳のことになると何故か語り出すからなあ。
うん、気持ちは分からんでもないぞ何せ男だからな、男のロマンはおっぱいだもんなその気持ちは痛いほど分かる。
でもな、何故それを稲叢さんに語ってしまったんだ。
「コホン、申し訳ない。今の話は忘れてくれ。それよりもそっちは?何か変わったことはないか?」
いやそれは無理じゃないか?特にエリナちゃんと俺は。
「はい、特には。六連先輩がいなくてちょっとさみしいくらいですね」
「元々俺は住んでなかったんだ、大したことじゃないと思うが」
「そんなことありませんよ、だから早く戻ってきてくださいね、先輩」
「そうだぞ、お前めちゃくちゃ慕われてるんだから」
「そ、そうか、分かった。善処するよ」
この無自覚野郎は本当に。
お前じゃなきゃ一刻も早くあの楽園に帰りたいと奮起するもんなのに、そういうとこ1つも無いのかねコイツには。
「んじゃ俺はこれで帰るわ」
「おう、わざわざありがとな本当に」
「良いって、それより早く治して来いよな」
「ああ」
何にせよ元気で良かったけど。
長居し過ぎるのもあんまり俺には向いてないからもう学院に向かうとしますかね、ひよ里ちゃんも待ってるだろうし。
「じゃあな〜」
まだ話してる3人にヒラヒラと手を振り病室を後にする。
その後聞こえてきた『オナニー』というエリナちゃんの発していただろう単語に、心底あそこで離脱して良かったと思ったのはまた別の話。
「とは言っても、今から行くのもまだ早いしなあ」
「おや、倉端くん」
「あ、扇先生……ちゃんと服着たんすね」
「酷いなあ、僕をなんだと思ってるんだい?」
「少なくとも上裸に白衣姿で佑斗に襲いかかろうとしてた人間に何か思わない人間はいないと思うんですけど」
病室を出たは良いもののまだ微妙に行くには早い時間帯でどうしようかと自販機で適当にジュースを買って暇つぶしをしてたら扇先生と遭遇した、今度はちゃんと服を着てた。
「人はそれをお茶目って言うのさ」
「アレをお茶目で終わらせたら人間としての大事な何かを失う気がするんすけど」
「てへぺろっ」
「男のてへぺろ程虚無なものも無いッスね」
最初は優しくてイケメンな医者くらいにしか思ってなかったのに、どうしてこう俺の前に現れるイケメンはどいつもこいつも良く分からない奴かいけ好かないクソ野郎かの二択なんだろうか。
「っと、一応君には大切な話をしておかないといけないんだ」
「……真面目な話ッスよね?」
「今回はちゃんと真面目だ」
ちゃんと真面目になれるなら最初からなってほしいんだけどな。
しっかし俺に用事って珍しいな、佑斗ならまだしも。
「俺に?珍しいッスね」
「ああ、あまり大きな声じゃ言えないからちょっと空き病室を使わせてもらうよ。……来てくれるね」
「そこまで真面目な話なら、行かないって選択は無いからなあ」
しかも他人には聞かせられない話?
そうなると大体俺が吸血鬼になったあの事件のことか、後天的吸血鬼になったあとのそれ自体についてってところか。
それは確かに聞かせられないよなあ。
「よし、ここなら良いかな」
「それで、どうしたんすか?」
「ああ。実は君と取っ組み合いになって君が吸血鬼になるキッカケを作ることになった例の男から押収した血液パックの分析が終わったんだけどね。やっぱりアレは純粋な吸血鬼の血だったよ……それも鑑定の結果、複数人の血が混ざったものじゃなく1人の血液を採取したものだった。それも現在行方不明の吸血鬼のものだ」
「……ちょ、ちょっと待ってほしいンすけど。1人?」
「そうだ、それで今一度君に問いたい。――あの血液パックの中には『一体どれだけの血液があったんだい』?」
ぞわりと身の毛がよだつのが分かった。
あの時、暗がりで良くは見えなかった。でもかなり上までドロっとした血液が見えた。
それに確実に言えることがある……それは何人何十人の吸血鬼の血を採取してると今まで思っていたから別にそこまで気にしてなかったってこと。
そんでアレは普段飲んでる合成血液のパックに詰められていた、となると大きさは250ml
間違いない、これは異常事態なんだと。
「……暗がりだったんで確実なことは言えないッスよ。でも……かなり上の方まで血液が溜まってたのは見ました。適当なことは言えないけど、確実に普段入ってる合成血液の内容量の半分よりはかなり多かった。200前後ってとこじゃないですかね」
「そうか……」
「先生、1つ聞いてもいいッスか」
「なんだい」
でも異常事態なんかじゃないと思いたかった。
超レアケースだけどアレはもう終わった事件なんだって言ってもらいたい、それでまったりとした生活を送れればそれで良い。
だから思わず、そんな言葉が出た。
「吸血鬼ってのは、一度に200mlも採血出来るもんなんですか?人間は一応出来るけど……」
「……単刀直入に言おう、それは基本的には無理だね。何せ吸血鬼は人間と違いヴァンパイアウイルスに大きく生命活動が左右される。人間のように数百mlも抜いてしまえば、直ちに命に関わる。ただ、生理現象で起きる出血や吸血直後の出血に関しては除外されるけどね」
「つまり……」
「簡単に言えば、鑑定結果から割り出された吸血鬼が行方不明である以上その吸血鬼の身に大きな何かが起きた、という事件の可能性が浮上している。尤も、その吸血鬼が無事なら大事にはなりにくいけど」
「マジかよ……」
『可能性がある』程度の話にしてはあまりにも重すぎた。
ワンチャン吸血鬼殺しの話が絡んでくるってことになるんだぞ、これ。
ただチンピラから女の子を守っただけなのに、こんな話になるなんてそんなバカな話があるかよ。
「こ、この話ってどこまで伝わってるんすか?扇先生が知ってるってことは佑斗とかも知ってたり?」
「いや、それは無い。僕はこう見えて市長と直接簡単に接見出来るくらいの立場ではあるから知ってるだけで、これを知ってるのは陰陽局各班のトップと市長サイドの上層部くらいなものさ」
「……思ったより凄い存在だったのかよ先生。あとそんな重要なこと俺に話して大丈夫なんスか?」
この人こう見えて市の上層部なのかよ。
全然見えない……って、それよりそんなこといくら当事者って言っても陰陽局にすら所属してない俺に話して大丈夫なのか。
「上層部もかなり迷ったみたいだけどね。当時現場にいた中で一番冷静に当時を振り返ることが出来る人物にだけ、話を開示して聞くってことになったんだ。責任者は僕で。ちなみにこれが君経由で漏れた場合結構危ないことになるけど、そうならないように監視という名の護衛を工作班から付けることになってるから。
……ってことでもう1つ質問、その男が何を言ってたか思い出せるかい?」
「何か……」
もうこの際工作班とかはどうでもいい、こんなこと誰かに話す気なんてなれる訳がないんだから。
それよりも今はあの時を思い出すことが最優先だな。
あの時は確か……
「『……ああ分かったよ、そこまで言うなら本当の本当に本気になってやるよ。まだ俺様でさえ使った事の無い『奥の手』でぶっ殺してやるよ』
『今から人間を辞める』
それに、吸血鬼の血液だってことも明確に知ってた言葉を口にしてたのと、俺が悶えてる時驚いてたから副作用は知らなかったんだと思う」
アイツは吸血鬼になる方法は知ってたし中身も知ってた。
にも関わらず、副作用は知らなかった。
今思えばなんか妙にちぐはぐしてる知識だった。
「……なるほど、吸血鬼になる方法とパックの中身を知っていて尚且つ副作用は知らなかった。分かった、陰陽局の上層部には君の言葉をしっかりと伝えておくよ」
「わ、分かりました……」
「すまないね、漏らしさえしなければ何も無いから。漏らしかけてもギリギリまで工作班がフォローに入るし、何かあれば君を守ってくれるはずだから」
それに答えられるくらい冷静にはなれなかった。
漏らす漏らさないじゃなく、あの男が軽々しく口にしたことで、万が一その後ろに組織がいた場合俺や……そしてひよ里ちゃんまで襲われる可能性が出てくることになる。
そうした時、俺はひよ里ちゃんを守れるだろうか……そんな不安だけが頭をよぎってしまって仕方なかった。
倉端直太
前半ギャグだったのに後半で1話の話が急にぶり返してきて、更にワンチャンとんでもない方向に事件が行きかねないと知ってさすがに焦燥感を隠しきれないでいる
扇元樹
実は結構市の重要人物なのは原作と変わらず
六連佑斗
この時空では強制的に貧乳派