倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

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ドラクリのキャッチコピーがここまで合う奴もいねえわな


chapter1-2『童貞捨てるつもりが、人間辞めてました』

「う、うーん……?」

 

 目が覚める、知らない天井だった。

 確か俺は……えーっと、家じゃないってことは……あっそっかアクアエデンで女の子助けてたら変な液体が顔に掛かって、そしたら急に頭痛とか身体が熱くなって死にかけたんだっけ。

 と、取り敢えず童貞のまま死ぬのだけは避けられたらしい、あれで死んでたら死んでも死にきれなかったから助かった。

 というかどこかに寝かされてるらしい、見渡してみると多分どっかの病院なんだろうけど。

 

「ふぅ、とにかく頭をリフレッシュするためにまずは日光を浴びようそうしよう。人間、日光浴すると心が落ち着くからな」

 

 朝か昼か知らないけど何故かどこもかしこもカーテンで光がシャットアウトされてるみたいでちょっと人間としては物足りないんだよな。

 やっぱり日光を浴びるのは人間の常、それでこそ思考能力の復活が――

 

「アッ」

 

 カーテンを開けた瞬間、まるで俺は目の前で懐中電灯を照らされたみたいな、それでいて目が爆散するようなとんでもない刺激を受けた。

 あれ?なにこれ?と思う間もなくベッドでのたうち回るしかなかった。

 

「ぎぃやあああああああああああああああああ!!!!目が!!!!目がああああああああああああ!!!!!」

 

「お見舞いに来ました……ってだ、大丈夫ですか!?扇先生!扇先生ー!?」

 

 取り敢えず10分くらい視力が戻らずに悶絶していた、トホホ……

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、いやあまさか2日連続で同じような光景を目にするなんてね……もう視力は大丈夫そう?ちゃんと見えるかい?」

 

「ぜぇ、ぜぇ……し、死ぬかと思った……な、何とか大丈夫そうっす……って、あ、キミは確か昨日の……」

 

「昨日は助けていただいてありがとうございました、大房ひよ里って言います」

 

 2日連続で同じ光景とか何とかなんか妙に気になる……ワードもあったけど、一番気になるのは女の子の方だった。

 昨日は暗くてあまりちゃんと姿が見えなかったけど、雰囲気や話し方、猫の髪飾りで昨日の女の子だと分かった。

 

 てかまじまじと見るとめちゃくちゃ美少女だ……小柄で朗らかそうな顔立ちがベリーキュート。ふむふむ大房ひよ里ちゃんか、よし覚えたぞ。

 

「それじゃ僕も自己紹介しようか。僕は扇元樹、ここで医者をしているよ」

 

「俺は倉端直太って言います。この島には遊びに来たんだけど……」

 

「その……ごめんなさい、私のせいでせっかくの旅行が台無しになってしまいましたよね……?」

 

「ああ違う違う!キミ……じゃなかった、大房さんを助けようとしたのは俺の勝手だから!それに、助けずにスルーしてた方がぜっったいに後悔してた!だからこれでいーのさ!親友もきっと親指立ててくれるしさ」

 

「そ、そうですか……?それなら、その……良かったです」

 

 しかし大房さんはめちゃくちゃ優しい子みたいだなあ。

 こんな俺の為に気に病んでくれるなんて……でもそのまま気に病まれるのは後味が悪いからそこはしっかり訂正!

 人間笑顔でいる方が楽しいからな!

 

「よし、それじゃあ自己紹介も終わったから『本題』に移りたいんだけど良いかな」

 

「本題?」

 

「そう。君はおかしいと思わなかったかい?ただの日光がどうしてこんなにも自分の害になったのか……と」

 

「……た、確かに!?」

 

 本題と言われて一瞬訳が分からなかったが、確かにさっき日光浴をしようとして死にかけていたのを思い出す。

 あれはおかしい、確かにおかしい、だって人間にとって日光浴は必然、浴びなければ元気が出ないまであるってのにそれで死にかけるなんて何がどうなってるんだ!?

 

「あー、このやり取りをするのも2日連続なんだけど……単刀直入に言おう、君は……吸血鬼になってしまったんだ」

 

「…………はへ?」

 

 待って待って、今この人なんて言った?

 え?吸血鬼?吸血鬼って、あの吸血鬼?ファンタジーとかで出てくる、ヴァンパイア?はい?俺が?

 

「まあ、信じろという方がおかしな話だと思うけど……実際キミは、日光で危うく失明しかけた。自分の身体に異常が出ている事は自覚しているんじゃないかい?」

 

「いや、いやいやそうだけども……え?じゃ、じゃあそうだとしてどうやってなったって言うんだよ!今まで人間として何の問題もなく過ごせてたのに……」

 

 とはいえ全く信じられない訳じゃないのが怖い。

 だって吸血鬼って夜行性だし……日光に当たると死ぬとか言われてるし……そりゃ状況証拠としてはちょっとくらい信じても良いのかもしれないんだけど……じゃあなんでなったんだって話。

 突然変異な訳無いだろうし。

 

「……昨日の男の人が持ってた血液パック」

 

「そう、それさ。調べによるとそのパックから検出されたのは紛れもなく吸血鬼の純粋な血液。そして、人間が唯一後天的に吸血鬼になる方法がある――『吸血鬼の血を体内に入れてしまう』事」

 

 あ、あれかー!!

 確かに俺はあのパックの液体を全部口で受けて飲み込んじゃったから……ってあれ本当に血だったのかよ!?

 クソォあの忌々しいイケメンクソ野郎めぇ……

 

「でもそれって、数日間一定量を飲まないとならないんじゃ」

 

「ああ、本来はそうなんだけどね……本来その量ってのはあのパックの数十分の一程度。つまりは血液の過剰摂取で免疫が一気に再構築され細胞が変革してしまい吸血鬼になってしまったんだろうね。本来はそれを抑える為のワクチンがあるんだけど、既に手遅れだったみたいだよ……」

 

「ええ……ちょ、ちょっと待って!?じゃあ俺、人間に戻る事は……」

 

「残念だけど、今のところ方法は見つかってない」

 

 童貞捨てるつもりが、人間辞めてました。

 どういう事だよと言われるかもしれないけど、俺にも分からない。

 

 ふむ……ただ、ただだ。1つだけ言える事がある。

 あのクソ野郎のせいでなった事は気に食わないが俺としてはこう、ファンタジー物って凄く好きで……つまり、だ。

 

「……先生」

 

「なんだい?」

 

「戻れないなら戻れないで、吸血鬼ライフ楽しんで良いっすか」

 

「……君はとてもポジティブなんだね」

 

「ヴァンパイアは男のロマンですから」

 

 もう、楽しむしかない。

 このヴァンパイアライフを。

 

「はは、そうかい……そういうポジティブな男の子、僕は好みだよ。でももう1つだけ、言わないといけない事があるんだ」

 

「と言うと?」

 

 振り切ってこのままどうにかしてヴァンパイアとして本土に戻って『俺実はヴァンパイアなんだよね』って口説き文句に加えようと思ったのになんか嫌な予感がする。

 

 チラッと大房さんを見る。

 

「本当に……ごめんなさい」

 

 なんか謝られた。

 さっきの事はもう済んだ事だから謝られるようなものじゃないとして、じゃあこの謝られる案件とは一体……

 

「この都市、アクアエデンはね。吸血鬼が国内で唯一居住を認められた場所なんだ。つまり……君は吸血鬼である限り、アクアエデンから出る事は許されない」

 

「……えちょっと待って、え?俺閉じ込められた?この都市に?」

 

「まあ、その通りだね。逆説的に吸血鬼はこのアクアエデン以外での居住を許可されていない、そして出る事すら認められていない。それは後天的に吸血鬼になった君のような存在にも当てはまる。でもこれから君が吸血鬼として過ごす以上、生きる術を探すのだとしたらどちらにせよこのアクアエデンが拠り所になるはずさ」

 

 謝れた理由が一瞬で分かった。

 吸血鬼になったら強制的にアクアエデンに閉じ込められるってそりゃなんのこっちゃとなるに決まってる、俺だってそう思ってるし今すぐツッコミを入れたい気分だ。

 

 でも……

 

「私のせいで……」

 

 ショック受けてる子に追い討ちみたいになる事言える訳が無い。

 家族に会えなくなるのも、学園の友達に会えなくなるのも、何より親友ともあと数日で会えなくなるのも辛いっちゃ辛いけど、それで女の子泣かしてたら男が廃る。

 

「家族への連絡は」

 

「本来吸血鬼の事は秘匿なんだけど、事故で後天的に吸血鬼になってしまった元人間に対しては二等親までには説明をして、外部に漏らさないように監視を付ける事になってる。連絡はこちらからするから安心して」

 

「良かったぁ。……というワケだから、一応心配事無し!大房さんは元気出して!」

 

「でも私……」

 

「んじゃあさ、この都市を案内してよ。これからここにお世話になるし、もしかしたら大房さんと関わる事もあるかもー?なんて」

 

「あ……はい、分かりました。それじゃあ精一杯ご案内させてもらいますね?……優しい人なんだな、それに昨日も助けてくれたし、私……

 

「え?何か言った?」

 

「う、ううん。なんでもないですよ。それよりも昨日のお礼も兼ねてたくさん案内しますからね」

 

 最後の方何か言ってたような気もするけど気のせいかな。

 なんにせよ笑顔になってくれたなら良かった良かった。

 

「そ、そっか、ありがとう。……あ、そうだ。せめて親友に別れの挨拶くらいしておきたいんすけど」

 

「その憂いを帯びた表情も良いねえ。……うん、それも配慮するよ。君の親友がどこにいるか分かるかい?」

 

 色々なショックは今は飲み込むとしても、取り敢えず佑斗に別れの挨拶だけはしておきたい。

 今コイツだってこの島に……ん?そう言えば佑斗って……

 

「ん?あれ?確かアイツもこの病院に入院してるはずだぞ?」

 

「そうなのかい?」

 

「確か一昨日だっけか、俺達誘拐犯を追い掛けてたんだけどアイツだけ捕まって。そんで色々あって検査入院してるとか何とか……」

 

 そう、この病院にいるはず。

 何なら病室の番号も教えてもらったから今から会いに行く事だって出来るはず、なーんだ別れの挨拶くらいなら余裕……

 

 ……なんでこの先生はそんな絶句したような顔で固まってるんだ?

 

「……その、倉端直太くん?」

 

「はあ、なんすか?」

 

「その……親友の子は男の子?」

 

「はい」

 

「年頃は同じくらい?」

 

「はい」

 

「名前は……六連佑斗くん?」

 

「はい。……あれ?なんで先生が佑斗の名前を?」

 

 ん?んんん?なんで先生が佑斗を知ってるんだ?

 いやいや佑斗を知ってるのはまだしも、俺と関連付けてくるのが盛大に意味が分からない。

 

「……非常に言いにくい事ではあるんだけどね」

 

 先生が重苦しそうに口を開ける。

 一体これから何を言われるって言うんだ俺は。

 

 冷や汗がタラ〜と背中を流れる。

 

「その六連佑斗くん、数日前に…………吸血鬼になってるんだ」

 

 

「ん?え?はい?は?今なんて?」

 

 

 俺の小さい脳みそじゃ入り切らない情報過ぎた。

 自分が吸血鬼になったとかよりも衝撃を受けて頭が痛い。

 助けてくれ、いやほんとに。




倉端直太
ドラクリオットのキャッチコピーを100%回収した男
バカだしスケベだが女の子を泣かせる事はしない主義
多分世界初、直太が吸血鬼になった世界線を書いた作者になったし世界初、直太×ひよ里を書いた作者でもある

大房ひよ里
色々と負い目を感じてるが、それはそれとしてかなり励まされたのと身を呈して助けてくれたのとで一気にフラグが建ったというかフラグ以上というか…

扇元樹
今は佑斗にお熱なので浮気はしない主義
直太目線かなり真面目な医者に見えていることだろう

後天的吸血鬼の設定
流石に二等親に言わないのは難しいので設定を追加しておいた
二等親には伝え、漏らさないように工作班の監視を付けるか島内に移住させ閉じ込めるかの二択で隠蔽する
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