倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

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chapter6-1『サプライズは二度刺す』

「まさかこのサプライズに俺も呼んでもらえるなんて思ってなかったな〜」

 

「そりゃ呼ぶと思いますよ?皆さん、直太くんのことをちゃんと友達だって言ってますから」

 

「そう言われると照れちゃうな。本土じゃ友達は専ら男だらけだったもんで」

 

「むぅ、ダメですよ浮気しちゃ。私、こう見えて結構ヤキモチ焼きなんですから」

 

「大丈夫、デレデレするのは……ひ、ひよ里……だけだし?」

 

 恋人になったんだから呼び方も変えるべきなのでは?というひよ里……の提案を断れなかった末路のおかげで現在俺はめちゃくちゃ恥ずかしいことになっている。

 色々迷惑をかけたお詫びとして、何か出来ることがあったらなんでも言ってほしい!なんて俺が言ったのが全ての始まりだから何も言えないんだけど、その時に

 

「では直太くんと私は恋人になったんですから、直太くんからの呼び方を変えてみるのはどうですか?」

 

 なんて言われて。

 変えるにしてももう名前で呼んでるから、ここから変えるとしたら呼び捨て以外残されてないということに気が付いてめちゃくちゃ悩んだ末に、やっぱり断れないし俺もちょっと変えてみたい気持ちがあったのも事実だからこんなことになった。

 

 

 ちなみに今は佑斗の入寮1ヶ月記念のサプライズパーティに2人揃って呼ばれたので2人でケーキを買って向かっている。

 

 佑斗へのサプライズなのに、この呼び方と寮から既に居なくなって仲直りしたってところでザワつかれているのは確かなのでこっちのサプライズもかなりデカいものになっている。

 ひよ里曰く佑斗と布良さんにはバレたらしいからそこでややこしいことにはならないみたいだけど、どういう偶然だよこれ。

 

「それなら良かったです」

 

「機嫌めちゃくちゃいいな」

 

「それはそうですよ。大好きな男の子と恋人になれて、友達とサプライズパーティも出来る、幸せだと思わない方が失礼なくらいです」

 

「そう思ってもらえてるなら男冥利に尽きます」

 

 まあ、何にせよひよ里が鼻歌歌いながら歩くくらいには機嫌がいいからなんだっていいけどな。

 幸せそうな彼女を見るのってこんなに幸せなんだなあ、なんて漠然と考えてしまう辺り俺も脳みそがピンク色に染まってる。

 

 ふと、ひよ里が立ち止まる。

 

「あ、布良さんからメールですね。ふむふむ、もう佑斗くんは寮に着いたみたいです。私達が最後ですね」

 

 それならそれで都合がいいな、ケーキが最後に届くなんてなんかオシャレっぽく見えるし?

 

「なるほど、後から来た方がサプライズ感はあるかな?佑斗と布良さん以外に関しても」

 

「かもしれないですね。……手、恋人繋ぎして入っちゃいます?

 

「男子高校生には刺激が強すぎ……!」

 

「ふふ、冗談です」

 

 ひよ里が言うと冗談に聞こえないんだってば。

 ケーキと共にとんでもない爆弾が到着したらそれこそ情報量が多過ぎてツッコミが追い付かなくなるぞ!

 そういうのはゴールデンウィーク明けクラスに入る時にちょっと見せつけるくらいでいいのよ。

 

「ヒヤヒヤしたって〜。っと、着いた着いた」

 

「それじゃ鳴らしますね」

 

「よろしく〜」

 

 さてさて、中ではもう聞かされてんのかね。

 どっちにしても俺達が来るのは聞いてないはずだけど。

 

「は〜い、ナイスタイミングだよ2人とも〜」

 

「はい、ケーキ到着しました」

 

「なんか昨日の今日で戻ってくるの、ちょっとだけ不思議な感覚だな」

 

「あ、そのことでもみんな気になってるみたいだから……そっちのサプライズもする?」

 

「私はしようと思ってました。直太くんも大丈夫そうなので」

 

「どうせすぐバレるんだしだったらサプライズでやりたいじゃん?ね、ひ……ひよ里」

 

「おお〜、呼び方も変えてるんだ……いいねいいね!ほら入って入って!」

 

 布良さん、ノリノリだなあ。

 ひよ里に聞かされてからも結構どういう話をしたのかとか聞かれたりしたみたいで、恋バナに花が咲いてたとか言ってたし気になるお年頃なんだなあ。

 

 こうなると他のメンバーからもかなり迫られるのは覚悟しとくべきか……腹を括ろう。

 

「こんばんはー」

 

「よう、来たぜ佑斗!」

 

「大房さんと直太まで?」

 

「あれ?そう言えば倉端先輩と大房先輩はいつの間に仲直りを?」

 

「……そ、その話はまた後でなっ!」

 

 来て早々稲叢さんに核心を突かれて死にかけたけど気にしない。

 気にしないったら気にしない、ひよ里も顔を赤くするのを何とかこらえて目を逸らしてるけど時間の問題そうではあるけど、気にしないったら気にしない。

 

「ごめんなさい、遅くなってしまって」

 

「いやーちょうど良さそうなケーキが中々見つからなくて」

 

「ほんとにどうしたんだ、一体」

 

「お待たせしました、ちゃんとケーキ買ってきましたよ」

 

「いえーい!」

 

「ケーキ?誰かの誕生日か何か?俺、プレゼントの用意なんてしてないぞ。すまない、言っておいてもらえたら……」

 

 お、この反応を見る限りじゃまだ何も聞かされてないなさては。

 佑斗はこういうの気が付かないタイプだからなあ。

 

「違いますよ、誕生日じゃありません。もしかして、まだ言ってないんですか?」

 

「反応見る限りじゃ、そう見えるな〜」

 

「うん。驚かせようと思って」

 

「でも、そろそろいいんじゃないかな。主役もケーキも来た、料理も揃った。時は満ちた!……って感じだと思うけど」

 

「そうですね、そろそろいいかもしれないです」

 

「それじゃ、早速始めよっか!」

 

「始めるって……これは一体なんのパーティなんだ?」

 

 さてと、そろそろネタばらしのお時間だな。

 ここまで来てまだ気が付いてない辺り、サプライズを企画する方としてはありがたい存在なんだろうなと思いつつとびきりの笑顔を向ける。

 

「それは勿論」

 

「ユート、入寮して1ヶ月目」

 

 後輩組が音頭を取る、そして俺達はそれに続く。

 

「おめでとうー!」

 

 口々にお祝いの言葉を投げ掛ける。

 思えばこの1ヶ月本当に色んなことがあったもんなあ、それを言えば俺もなんだけど。

 

「俺が……入寮して、1ヶ月……」

 

「そうだよ、もう1ヶ月経つんだよ」

 

「お互い色々あったなあ、佑斗」

 

「そうか、もうそんな……」

 

 お互い事件に巻き込まれて、吸血鬼になって、女の子に縁が出来て、凄い1ヶ月だったよほんと。

 困惑しながらもこの状況を受け入れて、笑顔でわいわいと喋る佑斗を見ながらしみじみしてしまう。

 

「みんな、本当にありがとう。俺のためにパーティを開いてくれて」

 

「気にしないの。私たち友達でしょ?大切な友達をお祝いするのは普通のことだよ」

 

 ほんと、お前って人に恵まれてるよな。

 この都市に来て初めて出会ったのが吸血鬼としての手ほどきをしてくれた矢来さんで、ちょっと過激なことを言うけど気遣いが上手いエリナちゃん、朗らかで癒し系な稲叢さん、場の雰囲気が明るくなるニコラ、それに今一番見てて息が合ってるしお互いにお互いの距離感が心地良いと感じてそうな布良さんと。

 俺はお前が幸せで嬉しいよ、佑斗。

 

「何腕組んで頷いてるんだ?」

 

「いやあ、佑斗ってひとに恵まれてるなあと」

 

「それを言うなら直太だってそうだろ」

 

「あ、そーだ!ナオタ!数日こっちにいるって言ってたけど急に『大丈夫になった!』って言っていなくなっちゃったのしか聞いてなかったから!仲直り、出来た?」

 

 あ、感傷に浸ってたら爆弾が向かってきた。

 マジかこのタイミングかよこれ。

 

「……どうする、ひよ里?」

 

「言うならこのタイミングしか無いんじゃないでしょうか」

 

「はわっ、はわわっ。今、今倉端先輩、大房先輩のこと呼び捨てで……!」

 

「……ほほーう」

 

「ふーん」

 

「これはあれかな?『そういうこと』なのかな?」

 

 佑斗と布良さんを除く全員が思い切り呼び捨てで呼んだことに食いついてきた、さすが恋バナ大好き女の子達だな。

 

「ごっほん。……えー、俺倉端直太と」

 

「私、大房ひよ里は」

 深呼吸をする。大丈夫、告白する時と比べたらこれくらいの緊張なんてあって無いようなもんだから。

 

「結婚を前提にお付き合いすることになりました」

「なりました、えへへ」

 

 一拍、二拍、三拍。

 

 そして。

 

「ええ〜〜〜〜!?お、おめでとうございます〜!!」

「わぉ、仲直りどころかカップル成立まで行くなんてこれまたおめでたいサプライズだね!おめでとう!」

「まさかボク達までサプライズされるとはね、驚いたよ。でも良かったよ、おめでとう」

「おめでとう。……ま、大房さんの反応的に、倉端くんが漢を見せたって解釈にしといて良さそうね。しかしこういうサプライズでリアクション芸人をしそうな2人が反応しない辺り……知ってたわね?佑斗、布良さん?」

 

「偶然だよ偶然。事情聴取の帰り、大房さんを送るために俺と布良さんで送迎した時にな」

 

「びっくりしちゃったよ〜!でもあの時のひよ里ちゃん、本当に幸せそうで私もホッとしちゃった」

 

 みんな祝ってくれて良かった。

 たくさん迷惑掛けたのにほんとに優しい人達だ。

 

「本当にご迷惑お掛けしました、はい……そしてありがとう」

 

「倉端先輩が謝ることじゃないですよ」

 

「そーそ、恋は山あり谷ありなんだから、そういう時は持ちつ持たれずってコトで」

 

「友人ってのは助け合いだからね」

 

「世話の焼ける友人ではあるけれどね」

 

「それには俺も同意だ」

 

「でも、本当に本当に良かった」

 

 拝啓、本土の友人達と父さんと母さんと兄貴へ。

 

 俺、こっちでの生活めちゃくちゃ充実して楽しいので何も心配しないでください。

 

「さあ、ここからは2人の永遠の契りを祝うパーティも含めて、更に盛り上がっていこうじゃないか」

「正解だけど言い方が照れくさい……!」

 

 でも、今度会う時は俺の自慢で最愛の彼女にして未来の嫁を紹介するという名のテロ行為を行うので覚悟していてください。

 

「えっ?」

 

「嫌だった?」

 

「……いいえ、むしろ嬉しいですよ」

 

 ギュッとひよ里の手を引き寄せて恋人繋ぎをするのだった。




倉端直太
呼び方が呼び捨てに変わった
割と大胆なことをするようにもなった
ひよ里に育てられたおかげ(1ヶ月)でそれらしい男になってきてる

大房ひよ里
冗談は言うものの、本当にクラスメイトの前で恋人繋ぎは積極的にはしないタイプ
節度を守れる女の子、それはそれとしてちょっとからかうくらいはするかわいい女の子

矢来美羽
何故か後方から腕組みして2人を見守るような立ち位置になってる
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