倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

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chapter6-2『家 族 来 訪①』

「それで、君の能力は自分で考えうる限りでは『反射』かそれに近い何かじゃないかって話なんだよね?」

 

「そうそう、そうなんすよ!無効化した!ってよりは感覚的に弾き飛ばしたって感じで洗脳の言葉を吹き飛ばして、ひよ里に掛かってた洗脳も俺が触れた瞬間にバチンッ!ってなって無くなって、ほんと『跳ね返した』感覚だったんですよ」

 

「なるほど……」

 

 定期検診、毎回ここだと風紀班の人協力による吸血と能力確認があった訳だけど今日は違う。

 色々あったせいでかなり期間は空いちまったけれど、覚醒した能力について扇先生に聞かれたから、あの日あったこと、感じたことをそのまま伝えている。

 

「先生の見解的にはどうなんすか?」

 

「そうだね、その感覚が正しいのであれば無効化ほど強いものでは無さそうだ。ただもちろん、あの男が使っていた洗脳を跳ね返すほどの強さがあるんだからそれなり以上には強い能力だろうけどね」

 

「おお……待ってただけあるなあ、俺の能力」

 

「まあ、あくまでも僕の見解ってだけだから正確かどうかは分からないよ。本当はもっと強い能力だった、なんてこともあるかもしれない」

 

「マジっすか」

 

「ああ。少なくとも、僕の見解より弱いなんてことは無いだろうさ。あの男、高野の使っていた催眠術はかなりそこそこ強いランクに位置するものだからね。洗脳強度そのものはそこまでだけど、洗脳するだけなら誰でも一度は出来るんじゃないかってレベルだ」

 

「そ、そんなに……」

 

 確かに、佑斗から聞いた話だとアイツも洗脳されかけてたって言ってたから、無差別に誰でも操ろうと思えば操れるみたいなヤバい奴だったのかもしれない。

 にしてもその結構強い洗脳を『解く』んじゃなくて『弾き返す』ってのは、俺の能力思ったより強いんじゃないかってのは本当なのかも?

 どっちにしても覚醒して良かったと思えるのは確か。

 

「まあ、何にしてもちゃんと能力を使えたみたいで良かったよ。覚醒してすぐの能力は暴発も多くてね。ほら、六連くんだってそうだったって聞いたし」

 

「アイツは暴発ついでにラッキースケベもしてましたけどね。ちくしょう今思い出しても羨ましいったらありゃしねえな!」

 

「でも君は今彼女がいるんだから、下手なことは言わない方がいいよ。それで破局なんてなったら笑い事にならないからね」

 

「分かってますよぉ!それでもアイツのラッキースケベ力は男のロマンなんですって!先生だって佑斗にそれが出来たら嬉しいとか思うでしょ!?」

 

「くっ、否定が出来ないね……!」

 

 ああ、それと吸血鬼の能力とは別に俺は今猛烈に佑斗のラッキースケベ能力が欲しい。

 ずっと羨ましい羨ましいと思っては来たものの、やっぱりね、いざ彼女を手に入れてしまうとこう……悶々とすることがある訳でして。

 でも手を出すだけの勇気が無い……だからまずはラッキースケベから取っ掛りを作れればきっと良い感じになれるはず。

 ほら、扇先生もそうだそうだと言ってるじゃないか。

 

「ごほん、その話はまたするとしてだね。話を変えるがどうやら近いうちに君の家族がアクアエデンに来るらしい」

 

「へ〜……は?」

 

「その反応を見る限り、僕の方にだけ連絡が来たみたいだね」

 

「いやいや!いやいやいや!俺家族なんですけど!?来るなら来るで連絡の1つくらい寄越せよ!?いくら放任主義つっても限度があるくない!?」

 

 そして話が変わると言って思いっきり話が変わった。

 は、良いんだけどどうにも俺はあの家族からどう思われてるのか若干怪しくなってきた。

 もうちょっとこう、連絡するってことくらい出来たよね君達ってツッコミを入れたくなってしまう。

 

 俺の扱いが放任主義ってレベルを超えてる件。

 

「ま、まあまあ。僕らへの連絡は一応義務付けとかないといけなかったからこっちに行くのは仕方ないさ。多分」

 

「息子に連絡入れるのも半分くらい義務なのでは?」

 

「それを言われると何も言えなくなっちゃうね」

 

 ちくしょうなんだってんだよほんと。

 こうなったらかくなる上は彼女自慢しまくってやる。

 俺に彼女が出来たなんて言っても信じないようなレベルで俺はモテてなかったからな、ここで一発サプライズぶち込んでやる。

 

 今に見とけよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?直太くんのご家族が今日アクアエデンに?」

 

「うん。これまで来れなかったけれど、俺がアクアエデンに移住しないといけなくなった経緯を吸血鬼の話含めてするらしくて。その後こっちに移住するのかあっちに住み続けるのかで対応も変わるっぽくて、結構長い話になるみたいって扇先生は言ってたな」

 

 俺がここアクアエデンに来て早2ヶ月が経った。

 いやほんと、最初の1ヶ月くらいは変な男から女の子を守ったり、その影響で急に吸血鬼になったり、その女の子と同じ場所で住んで同じ場所で働いて、学院にも通い出したり、その女の子と仲良くなったり、また助けたり……遂に彼女になったりと激動だったけれどその後は別に言うほどのことはあんまり無く。

 あったのも、ゴールデンウィーク明けに呼び方を変えてるのをクラスメイトに弄られた時に付き合い始めたのを白状したら色々と聞かれたことくらいか。

 

 いやあれはあれで疲れたけどね?今まで質問攻めにしてくるクラスメイトの側にしかいなかったから分からなかったけど、あれは本当に凄い。

 ひよ里にフォロー入れながら話してたから特に。

 でもまあほんとにそれくらいだ。

 

 アレキサンドで働くのにも慣れて、今や結構な種類酒を出しても良いって認められるようになったくらいには戦力になれてる。

 今日も充実した仕事を終えたあとにこの話をしてるしな。

 

「なるほど〜、2ヶ月ぶりのご家族との再会、楽しんできてくださいね」

 

「もちろん楽しんでくるけどさ」

 

「ふぇ?どうかしましたか?」

 

「いや、俺としてはひよ里を家族に紹介したくて」

 

「私を……ですか?」

 

「うん。あっちは俺に連絡入れてくれなくてさ、その仕返しにサプライズとして未来の嫁さんってことで紹介すんの。どっちにせよ近い将来紹介するなら今の方が良いだろうしさ」

 

「……つ、つまり私、ご両親への挨拶を……?」

 

「ほんと急でごめん。本来は予定がもう少しあとだったんだけど、急に予定変えて今日来るって言うからさ」

 

 しかしあの両親と兄には呆れたもんだ。

 あの後まさかもう一度予定変更をしてこっちに入国してくるなんて、こっちにはこっちの準備ってもんがあるってのに。

 おかげでひよ里に説明するのが当日になっちゃったじゃんかよ。

 

 自由人なのも大概だよ、まったく。

 

「急に緊張してきました……」

 

「そんな緊張しなくても良いよ。それよりも多分、市長と会う方が緊張すると思うし」

 

「そ、そうですか?」

 

「佑斗曰く、市長と会った時結構プレッシャーみたいなの覚えたーとか言ってたし。っと、ここか」

 

 吸血鬼の説明をするには市長が必要……とは言っても、俺はもちろんひよ里も会ったことが無いみたいだからどんな姿をしてるか分からないんだけど。

 もちろんだがひよ里が来るのも了承済みだからそこは安心。

 

 コンコン、とノックをする。

 

「倉端直太です」

 

『うむ、入るが良い』

 

 おや、結構幼そうな声だな?と思いつつドアを開ける。

 そこには、どこかで見覚えのあるメガネを掛けた女性、金髪でTheロリな女性と俺の両親+兄貴がいた。

 さっきドア越しに聞いたのは……金髪のロリ?

 いやまさかと思ったが、メガネの女性からは感じない威圧感というか、逆らっちゃいけないんだろうなという謎の本能が働くから多分そっちが市長なんだろうなあ。

 

「おや、君も市長を見抜けたのかい?」

 

「い、いや何となくですけどね?多分これ、吸血鬼特有のもの……ッスよね?」

 

「そうだね、六連くんもそう言っていたよ」

 

「さて、主役も揃ったところでまずは改めてお主らに自己紹介じゃな。ワシは荒神小夜、このアクアエデンの市長にしてこう見えてざっと200年を生きる吸血鬼じゃ」

 

「私はアンナ・レティクル。表向きは私がこのアクアエデンの取り締まりをしているから、どこかで見たことがあるかもしれないね。ちなみに私も吸血鬼だよ」

 

「えーっと……倉端直太ッス。知ってるとは思うんスけど、本土では普通の高校生しててこっちに旅行しに来たらなんやかんやあって吸血鬼になってしまいました」

 

「あ、お、大房ひよ里です」

 

 やっぱりそっちが市長か〜、人は見た目じゃないなあ。

 吸血鬼の本能が働いてくれて良かった。

 

「……さっきも市長さんに説明されたけど、この世界に吸血鬼なんてものがいるなんてなあ」

 

「しかも直太がねえ、そうは見えないけれど」

 

「うーん、市長さんとアンナさんを見ても人間と違いが分からないし、見た目の変化ってのは無いんじゃねえの?」

 

「良いところに気が付くのぉ、お主。その通り、人間と吸血鬼に外見的違いは無い。現に、隣にいる大房ひよ里は人間じゃしな」

 

 やっぱり家族は家族で吸血鬼に現実味が無さすぎてイマイチ掴み切れてない様子、というか受け入れはするんだなアンタら……そういうところは柔軟なのになんで俺に連絡入れないんですかね。

 

「だとすると、中々信じてくれと言われてもこう、掴みどころが無いというか」

 

「ねぇ。吸血鬼と言われても現実味も無いですから」

 

「でもこうして説明したってことは、映像とかあるんじゃないの?」

 

「そうだね、やはり信用してもらうには映像が一番だからね。この前風紀班と能力制御の練習を行った時の映像があるからそれを見てもらおうか」

 

 取り出されたのは説明のために撮影されただろう映像。

 撮られてるなーとは感じてたけどこのためだったか。

 

 内容としては佑斗や矢来さん、その他何人かに見てもらったり能力を打ち出してもらいながらちゃんと反射出来るかの練習だったり身体能力のチェックだったり。

 人間時代も身体能力は良い方だったけど、こう吸血鬼になってからはその何倍も動けるようになったからなあ。

 

 あ、ほらみんな身体能力にすら驚いてる。

 撃ち出された模擬弾も弾いてるし、これで吸血鬼ってのは理解してもらえたな。

 

 さてと、ここまでは前提としての説明だから……本番はここから、ってことだよな。

 

 何とかなるだろ、多分。

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