倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

34 / 44
chapter9-3『布良さんのお誕生日会大作戦!?』

「ほほう、それでバレないようにアレキサンドで布良さんの誕生日会作戦会議をしてると」

 

「そういうことです。お料理担当は私と稲叢さんとオーナーなので。……直太くんもお料理作りますか?」

 

「それ良いかもしれないですっ。倉端先輩、最近お料理もとても頑張ってますしアレキサンド合同でケータリングサービスをお誕生日プレゼントにしましょう!」

 

「おお、良いな。……ひよ里以外の女の子に何プレゼントすれば良いのかって難易度高いし、料理なら今の俺はハズレないだろ」

 

「下手にプレゼントしちゃうと誤解されかねないものも多いからね〜。そこを気遣わなくて良いのは大きいわよ」

 

「オーナー……マジで怖いんで勘弁してください……いやほんと」

 

 アレキサンドでは今、もう少ししたら布良さんの誕生日があるということで誕生日会の作戦会議が行われていた。

 ごまかしはしたけど、なんというか彼氏持ちの女の子に渡すプレゼントなんて何あげても俺の方が怖いというか、無いだろうけど万が一誤解されたら俺の命が無いからどうしようかって思ってた時に

 

「だったらここのみんなで料理でどう?」

 

 なんて聞かれ方されたらそれに乗っかるしかない。

 何せ俺もアレキサンドのメンバーだし、カクテルをしっかりと作れるようになってからは料理にも力を入れて結構自炊能力が上がってきたと自分でも太鼓判を押せるくらいになってきた。

 

 そんな俺の料理でプレゼントになるならこれ以上に堅実で波風立たない上に喜ばれるプレゼントも中々ないはず。

 オーナーが言うように怖いことになる可能性も佑斗と布良さんなら0になるから安心安全!最高の一手ってことだ。

 

「メニューはどうしましょうか。種類は多い方が良いと思うんですが」

 

「そうだなあ、やっぱり布良さんの好物は欲しいところだな」

 

「布良先輩の好きな物でしたら、やっぱりたこ焼きとお好み焼きは外せないです」

 

「お、それ採用して良いんじゃない?」

 

「そうですね、食べやすいものですし良いと思います」

 

 さてメニューに関してだけど、ちょうど布良さんの好物がたこ焼きとお好み焼きっていう誕生日会として手軽に食べやすい料理なのも良い。

 メイン料理はさておいてもサイドメニューになるものは食べやすい方が盛り上がると思うし。

 

「私としては麻婆豆腐も用意したいです。もちろん味付けは控えめですよ」

 

「ひよ里の麻婆豆腐は絶品だからなあ、絶対みんな気に入るぞ。それなら俺はスパゲッティサラダとか串焼き類作ろうかな」

 

「倉端先輩のスパゲッティサラダですか!?絶対皆さん喜びますよ〜!」

 

「それは私も保証します。直太くんが作ると私より上手いので」

 

「へへへ、それ程でも」

 

 ところで俺の得意料理は何故かスパゲッティサラダという何とも限定的なものになっていた。

 男子故、野菜もしっかり食べられてお腹も膨れてハイカロリーな、それでいて女子ウケもするオシャレなサラダが作りたいとなってしまってそれなら炭水化物をついでに取れるこれが良いんじゃないかと作り始めた次第。

 そしたらドンドン凝ってしまって、1ヶ月経たない内に何故かアレキサンドでも正式なメニューとして採用されてしまった。あとめちゃくちゃ好評。

 まだ寮組のみんなは稲叢さん以外食べたことが無いから、ここで作って持ってったら良いサプライズになりそう。

 

 あと串焼き類に関しては揚げ物も野菜も肉も魚も手軽に食べられるからって理由があったりする、せっかくの誕生日なんだから全力で飽きさせないような楽しいラインナップにしたいしな。

 

「材料の準備は私に任せて良いわよ。みんなは大船に乗ったつもりでドーンと考えちゃって」

 

「さっすがオーナー!頼りになるぅ!」

 

 そんでオーナーが頼りになりまくる。

 ちょっとだけ材料のことを考えてラインナップを考えようかと思ってたところにそんなことを言われたら不安要素も無くなって更に気合いが入るってもんよ。

 いつもならそれでも考えちゃうけど、今回ばかりは大船に甘えて乗せてもらおう。

 

 当日が楽しみになってきたぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お邪魔します」

 

「アレキサンド組到着〜」

 

 誕生日当日、なんでも寮のみんな総出でサプライズパーティということで布良さんには誕生日パーティをすることは伝えていないらしい。

 そんで主にこのアレキサンド組の準備の時間稼ぎとして2階では佑斗が布良さんに悟られないように色々やってるらしい。

 

「倉端くんはウワサのスパゲッティサラダを作ってきたんだよね。ふふ、まだ見ぬ切り札……楽しみだ」

 

「おうよ、店でもかなり好評の自信作だからな。食べてもらうのが今から楽しみだよ。あと串焼き類も俺担当」

 

「倉端先輩のお料理、本当に美味しいんですよ」

 

「ははは、稲叢さんは俺のこれかなり気に入ってくれてるもんな」

 

 みんなも俺のスパゲッティサラダには注目してるらしい。

 特に既に食べたことのある稲叢さんが絶賛してるだけに、期待値がかなり上がってると見た。

 稲叢さんいつもキラキラした目で食べてるもんなあ、気に入ってくれてるようで何より。

 

「さあ、そろそろメールで呼び出すわよ。準備は良いかしら?」

 

「はい、大丈夫です。お料理の準備も出来ましたし」

 

「皆さ〜ん、パーティクラッカーです〜」

 

「こっちの準備もバッチリだな」

 

 さて、料理については大半は既に出来上がったものを運んでくるだけだから楽だしパーティクラッカーも全員の手元に渡ったし、あとは呼び出してもらうだけだな。まあたこ焼きやお好み焼きみたいなものは現地で作るようになってるけど。

 佑斗もバレないように粘ってくれたみたいだし作戦大成功だな。

 

「それじゃメールするわ、クラッカーを構えて」

 

 言った瞬間、大急ぎで2階から降りてくる音が聞こえる。

 一体どんな文章を送ったのか分からないけど、まあ誤解されるようなもの送ったんだろうなあと内心苦笑い。

 

 てか早くない?さすが風紀員だな……考えてる間もほとんどなくものすごい速さでリビングに駆け込んでくる布良さん。

 ガチャリと音がしたタイミングで全員一斉にクラッカーを引っ張って……

 

「にゃっ!?」

 

「ハッピーバースデー!」

 

「え?え?ひよ里ちゃん?それに倉端くんと萌香さんまで?」

 

「莉音ちゃんから今日のパーティを聞いてね」

 

「おめでとうございます!」

 

「おめでとう!」

 

「臨場まで15秒……さすがに早いわね」

 

 よし、大成功みたいだな。

 この場に佑斗以外の男がいるのは少しどうなんだろうとも思うけど、まあそこはみんなが来てほしいって言ってくれたからそこもセーフってことにしとくか。

 

「美羽ちゃん、これって……きゃあっ」

 

 ここでもう一発クラッカー!

 うんうん、沢山用意しといて正解だったな。

 

「にひひ、サプライズパーティだよ」

 

「さあ、主役はこっちだ」

 

「佑斗くん!?」

 

 オロオロはしてるけどちょっとずつ状況が分かってきたのか少しだけ喜んでる感じなのが伝わってきてこっちまで嬉しくなる。

 

「かんぱーい!」

 

「じゃーん、これが私達からのプレゼント、ケータリングサービスですよ」

 

「今日のためのスペシャルメニューを用意したのよ。布良さんの好きなたこ焼きにお好み焼きもあるから、楽しみにしてて」

 

「俺特製のスパゲッティパスタもあるぜ!」

 

「わぁ……ほんとに!?倉端くんの料理も気になってたんだ〜」

 

「最初はみんなで料理する予定だったんだけどねー」

 

「たまには華やかなのも良いでしょ?」

 

「ミューからの猛プッシュでこうなったってワケ」

 

 今まで誕生日って言っても佑斗や本土にいた頃の友達なんかと軽くいつもより良いもの食べに行ったりするくらいで、ここまで気合い入れることもなかったよなあ。

 俺、本当に変わったかも。

 

「外で料理なんて久々だから気合いが入るわね」

 

「俺は初めてッスよ」

 

「まあいつも通りで大丈夫よ、ほら倉端くんはひよ里ちゃん達と前菜をお願いね」

 

「分かりましたー」

 

「りょーかいッス」

 

 俺達が料理の方に行ってる間に、寮のみんなの方ではプレゼントをそれぞれ布良さんにあげてる光景が目に入る。

 布良さん自身は誕生日だったことを忘れてたみたいで、おっかなびっくりしてるみたいだけど。

 それにしてもひよ里の誕生日を祝う前にこうして誰かの誕生日を祝えることになるなんてなあ、俺もこっちでそれだけ充実してる証拠かな。

 

 なんかエリナちゃんがえっちな本あげたりと色々やり合ってるけど、いやほんと交際バレてないと思ってんの当人達くらいだからな。

 そして本当に知らないのは稲叢さんくらいだからな。

 

 っと、前菜の準備完了。

 ほんと、豪華なもんだよ。

 

「はいはーい、一旦休戦してくださいね。前菜の甘鯛のポワレでーす」

 

「もぐもぐ……う〜ん、おいひー!」

 

「ほんとだ、とろけそー!」

 

「ふふ、ご機嫌も治ったかしら?」

 

「はい、美味しいです!」

 

「こんな本格的なの、店でもめったに出ないよな」

 

「ま、そりゃオーナーが仕入れたものだからな。ほんとすげーわこの人」

 

 ほんとこの人、どこから仕入れてきてるのか知りたい。

 どういう人脈持ってるのか俺じゃ想像つかねーわ。

 

「でも……いいの?わたしの時だけこんな……」

 

「何言ってるの?アズサだけ特別ってワケじゃないよ」

 

「そうよね」

 

「実はさ、みんなで話し合って、寮の新しいルールを決めたんだ」

 

「誕生日はみんなで祝うこと」

 

 しっかし、なんか……みんな仲良しで微笑ましいよな。

 俺は良く分かんないけど最近何かを悩んでたっぽい布良さんのために寮のみんなでアイデアを出したりとか、1人の友達のために全力で一生懸命お祝いしたりとかしてさ。

 ひよ里もあの輪の中ですっごい楽しそうだし。

 

 なんというか、この空間にいると人間とか吸血鬼とかどうでも良くなっちまうんだよなあ。

 だって今祝われてるのは人間の布良さんで、一緒に寮にいるのは吸血鬼、そしてその吸血鬼のみんなに力を貸してるのは人間と吸血鬼が一緒に働いてる俺達アレキサンドのメンツで。

 

 きっとみんなが求めてる世界ってこういうのなんだろうな。

 差別が無くなって、理解し合って、お互いにお互いをリスペクトして生きていく。

 

 いつかそんな世界が出来たら良いな、なんて思いを馳せて。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。