倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

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chapter9-4『吸血鬼って人を魅了するらしい?』

「それで俺に電話してきたってことか」

 

『ああ……まあな。吸血鬼と人間のカップルなんてそうそう居ない中でちょうど直太と大房さんは俺達と同じその《吸血鬼と人間のカップル》な訳でさ。文献を読むと、吸血鬼と人間って吸血鬼が人間を支配してしまうって書かれてあってだな』

 

「なるほど、だから心配で俺達がどうなのかって聞きたいと」

 

『そういうことだ。特に、えっちなことをすると支配してしまう……なんて書かれていて、それで今は控えているんだが……』

 

 布良さんのお誕生日会から数日、これと言って特に変わったことは無く……いや、寮のみんながアレキサンドに来て俺特製のスパゲッティサラダをリピートしてくれる程度の変化はあったか。

 かなり好評だったもんなあ、誕生日会の時は……やっぱり料理出来る男はモテるんだろうなあ、やってて良かった。

 

 っと閑話休題、そんな平和な日常を過ごしてる中で佑斗から何やら相談があるってことで連絡が来たんだが……聞いてみると吸血鬼と人間の恋愛についてだった。

 吸血鬼は人間と恋愛をすると言うよりも支配してしまう方が手っ取り早くて文献にもそっちの方の例が結構載ってたそうで。

 

 それで心配になって今佑斗と布良さんはそういうことを控えている……ということらしい。

 

 だから同じ『吸血鬼と人間カップル』の俺とひよ里がどんな感じか聞きたいという流れだった。

 

「俺の場合はなんというか……自慢じゃないけど、恋人関係になってから振り返って見るとその大分前からひよ里はかなり俺にベッタリだったし、もちろんそういう恋人らしいことしたのは恋人になってからだし、恋人になってからなんて俺の方がずっとデレデレしてるみたいなもんだから魅了されてるとすれば俺の方じゃない?なんてな」

 

『いやまあ確かにそうか……あーんとか普通にしてたもんな。それに知り合ってすぐからもう一緒に住んでたしなるほど』

 

「というか、俺からしたら佑斗と布良さんだって恋人になる前からかなりベッタリだった気がするんだけど。だって入院してる途中までは明確な恋人関係じゃなかったんだろ?」

 

『ま、まあ……』

 

「じゃあ大丈夫じゃね?入院前からそろそろくっつくだろうなって気がしてたからな」

 

 当人達は気が付いてないんだろうけど、恋人になる前から君達相当イチャイチャしてたんだよって力説してみたい。

 あれで気が付かないのは稲叢さんと、俺と出会ってすぐまでのひよ里くらいなんじゃなかろうか。

 だから心配しすぎなだけだって俺は思うんだけどなあ。

 

『そんなにバレバレだったのか……』

 

「少なくとも俺は、あのプール直後の事件の時にはもうこの2人はくっつくの確定だろうなって目線で見てたぞ」

 

『それはさすがにバレバレってレベルじゃなくないか?もう俺達の自覚を超えてるんだが』

 

「それだけお似合いだったってことだよ。だからそんだけ前からもう『ごちそうさま』レベルだったんだから安心しろって、支配とかそういうのは無い。ただのバカップルだ」

 

『それもそれでどうなんだ』

 

 ただ、心配になるのは分かる。

 大事な恋人だから下手に吸血鬼の能力で支配してしまっていないか……って思うのは大体のそういうカップルが考えるだろうし。

 俺は考えなかったけどな、だって振り返ってみた時どう考えてもほぼ最初からひよ里ってば俺に結構ラブだった気がするし。まあほんと余裕出来てから振り返って初めて思ったことだけど。

 だからそんな心配はしてない、一応そういう本とか見たけど。

 

 てか今日ひよ里はどっか出かけて来るとか言ってたけど、なるほどなるほど合点が行ったぞ。

 こういうことならそりゃひよ里は駆り出されるよな。

 

「……ははーん」

 

『いきなりどうしたんだ、何か凄く合点が行ったみたいな声出して』

 

「いーや実際合点が行ったんだよ。今寮にひよ里来てるだろ?」

 

『え?大房さん?……た、確かに来てるが』

 

「やっぱりな」

 

『ちょ、ちょっと待て。どういうことだ』

 

「布良さんもお前と同じ相談をひよ里や寮の仲間にしてるってことだよ。自分は吸血鬼のフェロモンで魅了されてるんじゃないか、佑斗くんを本当に好きなのか心配だから話を聞いてほしい!なんて感じで」

『お前の口から《佑斗くん》って梓のマネされると寒気がするから辞めてくれ』

 

「悪かったからドスの効いた声で言うのやめてね?」

 

 そう、つまりはひよ里もひよ里で布良さんに佑斗と同じ相談で呼び出されている……ってワケだ。

 なんともまあ似た者同士カップルだな、俺達も佑斗達も。

 

『しかしそうか……あっちもそういう相談を』

 

「似た者同士カップルだよな、俺達も佑斗達も」

 

『かもな。……ところで直太』

 

「なんだ?」

 

『その……エロいこと、主に《本番》というのは週に何度おやりに……?』

 

 っと急に話題がそっち系統になったな。

 でも気になるよな、エロいことで魅了するなんて言われたら。

 だが心配するな親友よ、俺達は正直かなりやっている。

 

「週7〜14くらいじゃないか?ま、相当やってると思うが変な影響も無いし心配しなくて良いと思うが」

『だよなあ……めちゃくちゃ多いって言ってもそれくらいだよなあ……』

 

 はい?いやちょっと待て、その呟き聞く限り飛んでもないことを今から聞くことになるぞ俺。

 週14でそれくらいってお前らどうなってんだ。

 

「……あの、佑斗さん?もしも控えてなかったら週何回の予定だったんでしょうか」

 

『1日5回』

 

「え?」

 

『1日5回、だ……』

 

「ええ……」

 

 魅了とかそういう以前にこの人達の性欲ヤバいんじゃないかって方面で心配になってしまった。

 さすがにそれは性欲旺盛ってレベルを大きく超えてるぞ、我が親友……違う意味でそれは先が思いやられるんだけど大丈夫かよ……

 

 

 

「おかえりーひよ里」

 

「ただいまです」

 

「やっぱ出かけてた理由って布良さんに呼ばれてたから?」

 

「やっぱりバレちゃいますよね。まあその、恋愛相談の方を少しだけ」

 

 あれからしばらく電話して終わったタイミングで、ちょうど帰ってきたひよ里に一応確認してみたらやっぱりビンゴだった。

 佑斗が爆弾発言を置いていっただけに、ひよ里がどんな相談を受けていたのかも気になるところ。

 

「俺も佑斗から電話掛かってきてさ。多分同じような恋愛相談をさっきまで受けてたよ。吸血鬼と人間の恋愛について〜みたいな」

 

「あ、私も同じです。吸血鬼が人をえっちなことを通して魅了して支配してしまう……というのは聞いたことがありましたが、そんな相談を私が受けるなんて思っていなかったので」

 

「俺もだよ。俺達もあの2人と同じだけど、別に参考になることなんてあんまり言えなかったし。恋人関係になる前からお前らデレデレのピンク空間だったから心配することなんて無いんじゃない?って感じのことと、俺達も結構してるけど全くそんなこと起きてないから〜ってくらいで」

 

「ですよね。私も同じでした。2人の仲を見ていればそんな間違いは起きてないはずですって、矢来さんと言っていました。その、直太くんとのことを赤裸々に話すのは中々に恥ずかしかったですけど」

 

「やっぱ話した?」

 

 まあ予想した通りだなあという感想。

 2人とも同じ心配してるならそりゃ同じ相談受けてるよなあ。

 にしても全く同じタイミングで本当に相談してたとか、仲がよろしいことで。

 

「まあ、はい……実際週どれくらいしているのかとか、付き合う前と付き合ってから変わったこととか、色々と。途中矢来さんがかなり質問攻めしてきた時はたじろいでしまいましたが」

 

「ああ、まああの人なら聞いてきてもおかしくないよな……オープンなのに実態はウブっていう良く分からない人だし。でも俺達も面白いよな、同じタイミングで同じカップルの片割れに相談受けるとかさ」

 

「ですよね。私達も仲良し?ってことでこれは良いんでしょうか」

 

「だな、仲良しすぎるくらいだな」

 

「ふふ、だったら嬉しいです」

 

 なんというか、考えれば考えるほど俺達って相性ピッタリなんだろうなあとほのぼのしてしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!?何故ここに違法滞在の吸血鬼がただの1人もいないんですか!」

 

「楓姫!どうやら今日一斉摘発されることがどこからか漏れていたらしい!だが陰陽局やその傘下はありえない……」

 

「ええそれはそのはずです!何せ陰陽局にすらシャットアウトして進めてきた作戦なんですよ!なのにどうして……」

 

 

 

『A班、開発地区の吸血鬼避難完了』

 

『B、C班も同じく完了しています』

 

『ご苦労さま、とはいえ送り込んだのは市役所の地下だからね。狩人共に勘づかれないように警護をしていてくれよ。……まさかアンナ・レティクルがあっさりと協力してくれるとは、いやはや面白いこともあったもんだよ』

 

 深夜の開発地区、そこでは本来狩人組がほぼ独断で違法滞在吸血鬼の摘発に乗り出すのだがそこに吸血鬼はいなかった。

 ほぼ秘匿の情報を掴んだのは洗脳能力を持つ彼の部下に1人狩人を洗脳させ、情報を引き出したからだった。

 

 そして彼はそれを手土産に、アンナ・レティクルと接見を行い大胆にも初対面で交渉を行って見せた。

 どうやって信じさせるかが見せどころ……と思いきや彼女は開口一番で承諾、自分の持つ能力である『瞬間移送』を使い狩人組を出し抜いてみせたのだ。

 

「んふふ、これでアンナ・レティクルの懐に入り込むことが出来た。彼女もまた、吸血鬼を想っての行動……だとするならば途中まで僕の理想のために勝手に動いてもらうべきだからね。何せこの島で一番影響力と信頼のある吸血鬼だ、何もせずとも彼女は僕に協力をする、途中まではね。だから使えるところまでは使ってあげるさ、アンナ・レティクル。キミの願う吸血鬼の楽園を僕が王になることで実現してみせよう」

 

「一体何があったんだ……?」

 

「でもこうなるとカリーナさん達が心配だよ」

 

「そうだな……」

 

 

「ええい探せ!探しなさい!いくら作戦がバレていようともそう簡単に遠くへは逃げられません!ましてや海に囲まれたこの都市から出ることは不可能です!だとすれば必ずこの都市に奴らはいます!絶対に探し出すのです!」

 

 

 

「……やっぱり愚かだね、狩人は。穢らわしい人間の中でも最も穢らわしい存在だよ、お前らは」

 

 闇の中でそう呟く彼に、いつもの飄々とした笑顔は無かった。

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