倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

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chapter2-2『俺はどうやら相当恵まれてるらしい』

「う、ううーん……?なんだよこんな時間にぃ……」

 

 ケータイの着信音で目が覚める……というのはありがちな事ではあるんだけど、何も今鳴らないでほしい。

 一応目はすぐ覚めたっちゃ覚めたんだが、何せ疲労が抜け切ってないからもっと寝かせてほしかった。

 

 ひよ里ちゃんからも

 

「ここ数日直太くんもゆっくり出来なかったと思うので、今日くらいはゆっくり休んでくださいね」

 

 と、言われてたんだけどなあ。

 家族なら良いけど、身内以外だったらすぐにでも切ってやる。

 

 はぁ、と機嫌悪くコールしてきた相手を見ると……佑斗?

 

「なんだよ佑斗ぉ〜」

 

『スマン、まだ寝てたか』

 

「そうだよお前と違ってこっちは人間から吸血鬼になった時だって6時間も寝てないってのにぃ……吸血鬼ならもう少し配慮してくれよぉ」

 

『悪かった悪かった。ただ今回はどうにも連絡しないといけないことがあってな』

 

「なんだそれ」

 

 佑斗から掛かってきた時点でなんとなーく嫌な予感がしてたけど、なんか予想通りになりそうでやだなあ。

 主に電話じゃ済まなさそうって点で。

 

『なんか扇先生が『君達の今後に関わる事だから』ってことで病院まで来てほしいんだとさ。避けられない吸血鬼の業、とも言ってたけど』

 

「それで、迎えと?」

 

『いや、迎えそのものは扇先生が迎えに行くらしい。あの人ほんと、ホモでさえなければ優秀なのに……』

 

 ほら面倒な事になったって。

 まあ今後バラ色のヴァンパイアライフを送れるならちょっとくらい我慢するけどさあ……って今佑斗なんつった?

 

「え?佑斗?今なんつった?」

 

『いやだから迎えは扇先生が行くって』

 

「いやいやその後その後!!」

 

『……ホモでさえなければ優秀なのに?』

 

「そこだよそこ!あの人マジ!?」

 

『そうだよ。てかお前は変な事されてないだろうな?』

 

「されてないから驚愕してるんだが……」

 

 お、扇先生がホモだと……?

 俺には一切そんな素振り無かったのに。てか無いからこそ逆に怖い、どういう事だよそれは。

 

『あ、あの人俺にだけセクハラしてんのかよ……!なんでよりにもよって俺だけ……』

 

「ま、まあドンマイ?」

 

 わりぃ佑斗、俺も男にそういう気を持たれるのはさすがに怖いから出来る事ならそのまま身代わりになっててくれ、今度通販するドクピの代金俺持ちにするからさ。

 

『ちくしょう……っと、取り敢えずそういう訳だから起きとけよ!寝込みをあの先生に襲われても俺は知らねえ』

 

「それはマジで勘弁だから起きてるわ」

 

『じゃ、また後でな』

 

「おう」

 

 しっかし吸血鬼の避けられない業かあ。

 弱点や差別については既に話してあるから違うとして、俺にも厨二病みたいな時代があったから分かるが多分読んで文字の通り『吸血』の事についてなんだろうなあ。

 さすがにそんな名前がついてんだから、どっかで血を吸う事はしないとなんないだろうし。

 

「話は聞きました」

 

「どわっ!?ひ、ひよ里ちゃん……聞いてたの?」

 

「はい。どういう用件かは分からなかったですが、もしも扇先生が本当にそういう方なのでしたら直太くんを毒牙から守れるのは私なので。着いていきます」

 

「あ、はい……」

 

 そしてシレッと話を聞いてたらしいひよ里ちゃん。

 オーラが凄まじい、扇先生から守ってくれるのはとってもありがたーい話ではあるけどちょっと怖い。

 しかも笑顔なのに目が笑ってない、この子ヴァンパイアじゃないんだよね?普通の人間なんだよね?

 

 というかちゃんと佑斗の声筒抜けなんだな。

 そんでもって佑斗じゃなくて守るのは俺だけなんだな……うん、重ね重ねドンマイ佑斗。

 

「あ、来たみたいです。……直太くんは出ないでくださいね、私が対応しますから」

 

「あ、ああ……うん、お願いします……」

 

 この後妙に警戒されていた扇先生が佑斗一筋発言をして約一名以外は安堵する事になるんだが、それはまた別の話。

 しかしこんな短時間で3回も佑斗に同情する流れになるとはなあ、しかも同じ話で。

 

 なんというか、強く生きてほしい。俺にはひよ里ちゃんがいるから安心だけどね。

 

 そう言ったら思い切り肩を揺さぶられた。

 俺は悪くねえ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、それじゃ後は血液だけ採取させてね」

 

「うーす」

 

 それにしてもなんで病院に呼んだのかと思ったけどまさか定期検診がてらの話になるなんてなあ。

 経過は良好みたいだから気にしなくて良いんだろうけど、この後から気にするようなことの話になるんだろうなあ。

 

「先生、佑斗……や倉端さんが人間に戻る方法はまだ……?」

 

 こくりと扇先生が頷き返すのが見えた、というかそっちはそっちで本題じゃないんだろうけど話が重たくなってないか?

 あと一瞬俺忘れられかけたよね?

 

「で、他の報告は?血液検査の報告もあるんでしょう?」

 

 ナイス佑斗、俺じゃこの空気はどうにも上手く変えられそうに無いから助かったぜ。

 

「そちらも特に変わったことはないかな。2人ともどれも平均的な値だったよ」

 

「それは当然、吸血鬼としてなんですよね?」

 

「……そうだね。すまない、悪いけどハッキリ言わせてもらう。僕が無力なこともあって、君達を人間に戻せる算段は立ってない

そういう意味では、君達が新たな住居を手に入れたことは、いい機会だと思ってる」

 

 まあそりゃ、すぐに戻せる何かがあるならこんなことにはなってないだろうなあってのは俺でも分かるし。

 ……ひよ里ちゃん、ここに来てから一言も話してないんだよな。

 佑斗を吸血鬼にしてしまったって矢来さんですら結構負い目を感じてるのに、ましてやあのパターンはちょっと……

先生の話だと、陰陽局って言うアクアエデンの治安維持をしてる団体やその関係者でもない一般の人間は後天的?に吸血鬼になる方法はほぼ知らないらしいんだけど、それに加えて100%吸血鬼の血で出来た血液パックなんか見たことも聞いたことも無いって言うし。

 

 とにかく佑斗のケースよりレアというか、世界初レベルの珍事で不運らしい。

 

「そうだ、何か希望なんかあるかい?ああ、学院編入に関しては大房さんの強い希望で君達4人とも同じクラスになるようにしたから安心すると良いよ」

 

「そうなのか、ありがとう大房さん」

 

「い、いえそんな……私のワガママみたいなものですから」

 

「そっか。それじゃ希望としては、前住んでた家から荷物の持ち込みをしたいんですが」

 

「あ、そういや家族への連絡ってどうなってます?」

 

 難しいこと考えてたけどそういや俺の場合佑斗と違って家族への連絡が残ってるんだったな。

 連絡入ってるんだとすればさぞかし心配してるんだろうなあ。

 

「荷物は政府側の検査を通さないといけないから、ちょっと時間が掛かるかもね。勿論順番は優先するけど。

あと倉端くんのご家族への連絡は一応したよ、『理由はこちらに来て頂いた時にお話することになりますが、倉端くんはアクアエデンで暮らさないといけなくなった』と。でも心配しないで、君が悪くないってこともちゃんと伝えたから」

 

「助かります」

 

「もう伝えたんですか。……おかしいな、だったら電話の1つくらいあると思うんだけど」

 

 でも良く考えたらおかしいということに気が付いた。

 連絡が入ってるなら電話が繋がるんだから電話してこれば良いのに、何をどうしたらそれもしないんだよ。

 

「あーその、非常に言いにくいんだけど」

 

「はぁ」

 

「君の落ち度が無いこと、住居と仕事も見つかりそうだって話したら『あ、じゃあ連絡はいいや。どうせ説明がてら荷物持ってくんだしその時にしよ』と言われてね……

 

「ええ……」

 

「仲、悪くないんだよね?」

 

 シンプルに見捨てられていた。

 確かに放任主義なところあるけどそこで発揮しなくても良くない?俺息子!実の息子!

 

 でもだからと言って仲悪いかって言うと仲は良いんだよな……

 

「逆に仲は良い方……だとは思うんだけどなあ。昔っから放任主義みたいなところがあるから」

 

「放任主義ってレベルなのかいそれは……」

 

「でも直太の家らしいな」

 

「仲良さそうでホッとしました」

 

 らしいっちゃらしいんだけどこれで良いのかこれで。

 

「あーあとですね、仕事がすぐ見つかった直太はさておき俺もそろそろ探したいと思ってまして。問題とかありますか?そろそろ手持ちも底を尽きそうで」

 

「それに関しては本当にひよ里ちゃんに感謝!だな」

 

「さ、採用を決めたのは店長ですよ」

 

「それでもだよ、ありがとう!」

 

「……やっぱりズルいですね、直太くんは」

「え?なにか言った?」

 

「い、いえ何もっ。そう言ってもらえるなら受け取っておこうかなと」

 

「うんうんそうしてくれ」

 

 ひよ里ちゃんにも笑顔が徐々に戻って来てるし良かった良かった。

 ……それはともかく佑斗、ダシにしたのは謝るからあんまり睨まないでほしいかな?ドクピ通販2回目も払うから。

 

「き、君には確か見舞金が支払われるはずだけど?」

 

「……そこのイチャイチャしてるのはさておき、月々の安定した収入源が欲しいんです。本土でも働いてましたし、何より直太に出し抜かれたのがなんか納得行かねえ」

 

「まるで俺が遊び人みたいなこと言わないでくれますー?あとこれはイチャイチャじゃなくて健全な友人としてのお付き合いですー!ね?」

 

「ふぇ?あ、はい、そう……です、ね……」

 

「え?あれ?ひよ里ちゃーん?」

 

 あれ?佑斗に睨まれたのはさておき今のは本当のことだよね?

 なんで反応悪いの?俺なんかやらかした?

 

「朴念仁」

「朴念仁ね」

「ま、まあ付き合い方には人それぞれあるから……」

 

 なんか凄いバカにされた気分なんだけど。

 ちくしょうなんだってんだ。

 

「ごほん、話を戻そう。君が働きたいというなら身体的に問題は無い。ただ、君の場合ちょっと特殊な事情があってね」

 

「それは一体?」

 

「それはね、この都市での吸血鬼さんのお仕事は基本的に特区管理事務局からの斡旋で決まるんだよ。……倉端くんの場合は、淡路さんがそっちの人と繋がりがあったから問題無かったけど」

 

「……俺めちゃくちゃ恵まれてんだな」

 

 話は変わって仕事のことだけど、ものすごくすんなり決まったと思ったらそんなコネがあったなんて。

 とんでもねえ豪運だな俺。

 

 ……いや、矢来さんや今話してる布良さん達みたいな美少女揃いの寮で暮らすことになってる佑斗もとんでもなく豪運だけども。

 

「お部屋探しでも苦労したのは美羽ちゃんから聞いてるけど、後天的に吸血鬼になったってことを知ってるのは私達風紀班くらいだから、それを隠しながらお仕事を探すってなると、それ以上に大変かも……」

 

「なるほどなあ」

 

「……実際部屋探しであれだけ難航したのだから、仕事もかなり限られてくるわね」

 

「うん、そういうことになるね」

 

「それで、具体的には俺が働けそうな場所はどんなところが?」

 

 ううーん……しかし関係の無い話を聞いてるとなんかすごく眠くなってくるなあ、やっぱり疲れが取れてないんだろうか。

 仕方ない、少し寝るかなあ。

 

 

 

「……長くなりそうだな」

「ですね」

「俺ちょっと居眠りするから、大事な話になったら起こしてもらって良さそ?」

「大丈夫ですよ、疲れがあまり取れてないように見えるので寧ろ休んでください」

「ありがと、助かるよ」

 

 優し過ぎるひよ里ちゃんに見守られながらそっと意識を落としていくのだった。




倉端直太
佑斗に比べ全てがスムーズに進んでいる
そりゃヒロイン1人だけだもんな
家族は基本放任主義だが仲は良い、但し急にアクアエデンに幽閉されることになっても連絡はしてこない

大房ひよ里
目下最大の警戒すべき相手が見つかった(扇)

六連佑斗
スムーズに全て決まってる直太が羨ましい
あと扇に狙われないのもめちゃくちゃ羨ましがってる

布良梓
初登場、ルート入るのが確定なので原作より多く喋らせてる
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