倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

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chapter2-3『そりゃ吸血鬼だもの、吸血くらいするさ』

「あの先生?結局のところなんで私と美羽ちゃんは呼ばれたんですか?」

 

「ああっとそうだった。一番重要なことを忘れるところだったよ、すまない。……大房くんは倉端くんを起こしてもらえるかい?」

 

「分かりました。……直太くん、起きてください」

 

 意識があるのかないのかって感じの中で声が聞こえる。

 うーん……どうにも話がメインディッシュに行きそうな気配……というかひよ里ちゃんの声めちゃくちゃ安眠効果あるなあ、まあ起きないと怒られそうだから起きるけどさ。

 

「ふわぁ~あ……おはよ、今から本題すか?」

 

「そうみたいです」

 

「ああ。布良くんと……本当は呼んでないけど大房くんもこの際だから都合が良いかな。君達には大切なお願いがあるんだ」

 

 そう言えばシレッとこの話に布良さんがいるけど、後天的吸血鬼になったことこの子には話しといて問題無い……というか知ってた口なのかね。

 寝てて話聞いてなかったけどここにいるってことは問題無いだろうし、俺は気にしなくていいや。

 それよりもメインの話がなんなのか気になる。

 

「取り敢えず、上着を脱いでくれるかな?」

 

「はい、分かりました」

 

「はひっ!?」

 

 おい先生、それはセクハラなんじゃ……

 あと布良さんは流れで即はいなんて言ってるけど気付いては……

 

「ってえぇっ!?」

 

 あ、気付いた。

 ひよ里ちゃんと違ってワンテンポ遅れるタイプなのかなあ。

 

「どどどどういう事ですか!?わたしの身体目的のセクハラですか!?悲しいような、でもちょっと嬉しいような……」

 

 あと自分のロリ体型気にしてるのはそんな軽々しく口にして良いもんじゃないと思うよ?佑斗だけならまだしも俺いるよ?

 

「なっ、失敬な!?バカにしないでもらおうか!僕は医者だよ!医者である僕が、女の子の裸にいちいち興奮するわけないじゃないか!」

 

「だったら俺にも反応しないでもらえます!?」

 

「それは無理だねっ!僕が興味あるのは男の身体だから!」

 

 うるさい上に本当に佑斗にガチ惚れしてるホモなのかよこの人、良く俺襲われなかったな。

 

「セクハラじゃないなら、どうして……服を脱がないといけなかったんですか?」

 

「それは私も思いました。さすがにびっくりしちゃったので」

 

「すまない、言い方が悪かったね。首元をさらす程度に服をはだけさせてほしかったんだ」

 

「先生、それは……」

 

「医者の立場から言わせてもらうと、身体を安定させる為にも一度経験しておくべきだと思ってる。吸血鬼としては避けて通れない道だから」

 

「そう、かもしれないですが……」

 

 ふむ……ふーむ、ピンと来たぞ。

 佑斗はさておき俺は何せ元厨二病患者、ともあれば『この手のこと』は佑斗より詳しいからな。

 多分吸血鬼の『吸血鬼というネーミングになったこと』ってところだろうな、簡単な話だぜ。

 

「布良くんと大房くんはどうかな?勿論今回のことは許可を取ってるよ」

 

「分かりました。そうですね、わたしも重要なことだと思います」

 

「……なるほど、合点が行きました。体験したことが無いので貴重な機会ですし、このままお付き合いさせていただきます」

 

「分かった、後は任せるよ。書類はあとで持ってきてね。――あと六連くん、倉端くん」

 

「はい」

 

「なんすか?」

 

「この子達にお願いしたことは非常に重要かつ大切なことだよ。君達には抵抗があるかもしれないけどね。それだけは分かっててほしい。それじゃ」

 

 俺と佑斗は顔を見合わせる。

 やっぱりコイツ、合点が行ってないって顔してるなあ。

 まあ吸血鬼かそれに関わってる人か厨二病じゃなきゃほんなに思いつかないだろうから仕方ないけど。

 

「それで、その重要な話ってのはここで出来ることなのか?」

 

「話自体は出来るけど、その後のことを考えると……」

 

「そうね、だったら学院の施設を借りるのはどうかしら」

 

「そうですね、体育館なら使えると思います」

 

「まあ、ここでやることでは無さそうだからなあ〜」

 

「なんだよ分かってないの俺だけかよ」

 

「まーまー、俺はたまたま分かったってだけだよ」

 

 佑斗1人置いてけぼりなのはちょっと同情する。

 俺が分かったのはたまたま、偶然に近いけど。

 

「そうだね、それくらい広い方が良いんじゃないかな。それじゃ移動しよっか」

 

 なんか釈然としないって顔の佑斗の肩をポンポンと叩いてから、布良さんに続いて移動するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが……」

 

「はぁ〜でっかいなあ」

 

 正直想像以上のデカさだった。

 どこまでの大きさかイマイチ想像が付かなかったけど、こりゃ都会のマンモス校レベルのデカさだな。

 

「ええ、ここが今度から佑斗と倉端さん……っていうのも面倒だしくん付けで呼ばせてもらうけど、2人の通う月長学院よ」

 

「とはいえこれから使うのは体育館だけどね、ささ行こ行こ」

 

 腕を引っ張られる佑斗を尻目に俺はのんびりとひよ里ちゃんの隣を着いていく。

 ……この流れだと俺ってもしかしてひよ里ちゃんの血を吸うことになんのかなあ、だとしたらめっちゃ緊張するんだけど。

 

 そうやってぼんやり考えてるとすぐに到着してしまった。

 

 

 

 …………中ではしばらく布良さんとひよ里ちゃんによる吸血鬼講座が開かれていた、俺も佑斗も大体知ってることは同じだったけど、それにしてもメガネ姿のひよ里ちゃんはめちゃくちゃかわいかった。

 こういう先生がいたらいくらでも授業受けるんだけど。

 

 

 

「そして第三、これが非常に重要な部分なんだけど、吸血鬼さんは人の生き血を勝手に吸ってはいけません」

 

 講座も終盤に来たかなという時に一番大事そうな部分が来た、というか今回のメインはここなんだろうな。

 

「勝手に吸ってしまうと無秩序になってしまって共生どころでは無くなってしまいますからね」

 

「それと、これは吸血鬼さんの能力の使用を制限するためでもあるんだ」

 

「吸血鬼の方達は人の生き血を吸うことで能力を発揮するんですよ」

 

「へぇ〜」

 

「ということは、俺達は今から血を吸うってことか」

 

 お、佑斗も辿り着いたみたいだな。

 でも生き血を吸うことで能力が発動するのか、それはまた面白いけどそりゃ規制もされるよなって感じだな。

 

「うん、少し言いづらいことではあるんだけどね……吸血鬼さんは人の生き血を定期的に吸わないといけないの、ヴァンパイアウイルスは生きてく上で無くしちゃいけないものだからね……」

 

「ち、ちなみに身体からそれが無くなるとどうなるとかは……」

 

「身体が弱って、最終的には死んでしまうと聞いてますね……」

 

「ひえっ」

 

「ちなみにこれは吸血鬼さんの血だとダメで、人間じゃないとダメなんだよ」

 

 割と面倒なデメリットちゃんとあるんじゃねえかよ。

 わざわざ誰が好んで血なんて見たいんだよ。

 でもなったからには仕方ないしなあ。

 

「ちなみに症状なんかは?」

 

「高熱にうなされたり、めまいがしたり、気だるくなったり眠気が取れなかったりとかたくさんあるね」

 

「確かにちょっとめまいしてたかもな」

 

「俺はずっと眠い……」

 

「じゃあ早めに吸血しないとだね」

 

 しかもなんかヤケに眠いと思ったらこれヴァンパイアウイルスが足りなくなってた初期症状かよ!?確かにおかしいと思ったんだよ、いくら寝る時間が足りなかったからってあんなに眠くなることあるか?って。

 それを思うと結構面倒そうだなあ。

 

「布良さんは慣れてたりするの?」

 

「な、慣れてるって程はないかなあ。相手の吸血鬼さんが能力を使って来る時もあるから……あ、でも美羽ちゃんだけだよ!?他の人なんて初めてで……」

 

 

 なんかあっちはあっちで妙な空間になりそうだし俺はひよ里ちゃんと話そっと。

 

「さっきの話ぶりだとひよ里ちゃんは吸血自体初めて?」

 

「そうなりますね。お父さんが陰陽局の局員なので色々と知ってはいたんですが」

 

「……そ、そうなると緊張するな」

 

「で、ですねっ」

 

 こっちもこっちで妙な緊張感が漂っちゃうんだけどね。

 

 そうしてる内に矢来さんが許可をもらってきたみたいで、こっから本格的に吸血タイムってところか?

 

「佑斗はどうするの?」

 

「吸わせてもらおうと思う」

 

「分かった、倉端くんは?」

 

「こ、こっちも吸わせてもらうよ、よろしくひよ里ちゃん」

 

「はい……」

 

 さあいよいよドキドキしてきた。

 女の子の肌なんて触ったことないんだぞどうすんだこれ。

 これでまだちょっと向こうにいる俺の親友が女経験あるならそれを真似させてもらおうと思ったのに、なんでアイツあんなイケメンなのに女の子とのお付き合いないんだ!?

 

「そ、それじゃあ首元、出しますね……」

 

「あ、はい」

 

 首元から肩にかけて服をはだけさせるひよ里ちゃん。

 私服は露出の少ない清楚系な感じでとても落ち着いた雰囲気だから、こうちょっとそうやって露出されるだけで正直めちゃくちゃ高校生男子には刺激が強い。

 多分向こうでは布良さんが同じ状況なんだろうけど、今別の女の子に目移りするのは絶対ダメだと俺の本能が呼びかけている。

 この光景を目に焼き付けろと叫んでいるのだ!

 

 ごくりと思わず生唾を飲み込んでしまう。

 

「は……恥ずかしい、ので。で、出来れば早めにしてもらえると……」

 

「あっ!?そ、そうだよな……で、でもこういうの緊張しちゃって……く、首筋で良いのかな……」

 

「その、急かしてる訳では無いんですごめんなさいっ。うぅ、自分でもちょっと緊張しちゃってるみたいで……で、でも直太くんなら優しくしてくれるって信じてます」

 

「ひ、ひよ里ちゃん……!よ、よし!ここまで言われて情けない姿は見せらんねえぜ!」

 

 しかもこんなに信じてくれるなんて最高じゃないか。

 尻込みなんて出来るかよこんなに、自分がちょっと震えるくらい緊張してる中で言ってくれた相手に。

 

 そっと抱き締める。

 ものすごくキモいことしてるってのは分かってるけど、この数日でひよ里ちゃんとの信頼関係を思い返せば大丈夫だと言い聞かせ、緊張を和らげるように抱き締める。

 

「あっ……直太……くん……」

 

「大丈夫……優しくす、する……から」

 

 ああもう!なのになんで噛むかなあ俺は!?

 締まらないじゃんこんなの、トホホ。

 

 心の中で絶叫しながらも気を取り直してそっと首筋に牙を突き立てる、本当は女の子の肌を突き破るなんてご法度だけどそこは許可があったからセーフってことで……南無三!

 

「かぷっ……んぐっ……」

 

「ひぁっ……ぁんっ、んんっ……」

 

 やっぱり最初だからなのかThe血の味って感じで美味しくはない……と思いきや案外行けるぞこれ。

 ヴァンパイアになったから味覚にも変化があるってのは聞いたけど、やっぱり血にもそういうの影響するんだなあ。

 

 ……それは良いけどなんかひよ里ちゃんの声が、その。

 

 いやいや待て待て、取り敢えず一旦血を吸って落ち着こう。

 

「あひっ、んぃ……んっんぁ……」

 

 アカン血を吸ったら吸っただけまずい声が漏れ出てる。

 なんて言う悪循環、いやでも素晴らしい声であるのには違いない。

 

「ちょ……っと、刺激的すぎるかも……しれない、ですっ……ひんっ、ぅあっ……」

 

 徐々に身体が温かくなってくる、心臓もドクドクと早くなってきてるしこれがヴァンパイアの健康に必要ってことかあ。

 

 ……待てよ、そういえば人の生き血を吸うと能力が発動出来るんだよな?じゃあ俺も今使えるってことか?

 そっとひよ里ちゃんの首筋から牙を抜いて優しく少し舐める。

 

「ひゃんっ……お、終わり……ましたか……?」

 

「う、うん……終わった、よ」

 

 うーん、自分でやっといてなんだけどさすがにキモいなあ。

 

「その……」

 

「ど、どったの?」

 

「美味しかったですか?」

 

「…………ご、ごちそうさまでした」

 

 能力お披露目云々より取り敢えずこの空気めちゃくちゃ恥ずかしいんだけど、ほんとどうにかできないこれ?

 

 

 

 

「ねえ、倉端くんと大房さんはもう終わってるみたいなんだけど?佑斗はいつまで布良さんの首筋を舐め回しているのかしら?」

 

「ま、待ってくれって!もう少しで何とかなるから!というか直太は終わらせたのかよ!?」

 

 ……心配しないでほしい、ひよ里ちゃん相手じゃなきゃ佑斗以上に延々情けない姿見せてたから。多分お前よりずっと情けないから、いやほんと。

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