倉端直太だって恋がしたい!   作:ひよちゃんLove

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chapter2-4『俺の能力はまだ分からないらしい』

 なんかずっとあっちでアホしてる佑斗は一旦放っておくとして、まずは俺がどんな能力を持ってるのか探すとこからやらないといけないんだけど……

 

「……何も起きませんね」

 

「矢来さんに言われた通り、これから起こすことを何とかイメージしようとしたんだけどなあ。うーん、何も思い浮かばなかったのが原因かなあ。なんというか頭が真っ白になっちゃうんだよな」

 

「真っ白、ですか?」

 

 矢来さんもあっちは一度ほっといてこっちにアドバイスをくれたにはくれたんだけど、どうにも上手くいかないというかなんというか。

 身体能力が高くなってるとか言われてもピンと来ないし、でも何かしらの能力が発動してるような感覚はあるんだよな。

 ただ、矢来さんに言われたような『これから起こすことをイメージしてみる』というのが難易度高過ぎる。

 妄想力豊かな俺がまさか頭真っ白になっちまうなんて、適当に思い浮かべようとしてもそうなるからなんか変だなあとは思ってるんだが。

 

「適当にアニメの出来事とかでも思い浮かべようかな〜なんてしたけど、その時でも真っ白になるんだよな。なんかおかしい気がして……」

 

「なるほど。それはちょっと難しいですね……」

 

「だから取り敢えず力を入れてみてるんだけどなあ。なーんにも起きない、力を使ってる感覚はあるんだけど」

 

「力を使ってる感覚自体はある、と」

 

「うん。だからこそなんか気持ち悪いというか、居心地が悪いというか」

 

「ということは、この場所では使えないものか、1人では使えない能力なのかもしれませんね」

 

「……なるほど!その発想は無かった!」

 

 そうだ、思えば能力とか言うんだから人それぞれ発動条件があったって別に何もおかしくはないんだ!

 風を操る、とかだとここは屋内で無風だから使えてたとしてもほんの少しだけで使えてるかどうかすら分からないはずだし、多分そういう何かしらってことにしておこう、うん、その方が絶対都合がいい。

 べっ、別に使えなかった理由を誤魔化すとかそういうのじゃないんだからな!本当だぞ!

 

「うにゃああああ!!ちょっと顔洗ってくるーーー!!」

 

「おわっびっくりした……あっちも終わった?っぽい?」

 

「みたいですね、布良さんが顔真っ赤にしてましたから」

 

「アイツは一体布良さんに何をしたんだ……?いや、俺も俺でちゃんと上手くやれたか分かんないけど」

 

 そう言えば感想は恥ずかしくて聞いてなかったけど、果たして俺の吸血は上手かったのだろうか。

 今も恥ずかしいけどさすがに聞かない訳にはいかないよな……

 

「心配しなくても大丈夫です、直太くんは上手でしたよ」

 

「ほ、ほんと?お世辞とか気を使ったりとかじゃない?」

 

「ほんとです。……ちょっと気持ちよくなっちゃったのは私と直太くんだけの秘密、ですからね?

 

「あ、は、はひ……」

 

 上手かったのならそれは良かった、良かったんだけどさ……唐突に耳元で囁かれると俺ドキドキしちゃってどうしていいか分からなくなるからやめてほしい。

 そして気持ちよくなったとか言うとんでもなく生々しい感想言われると思春期男子としては動揺をどう隠せば良いか分からないからコンボでやめてほしい、ひよ里ちゃんの声で囁かれるのは火力が高過ぎる。

 

「倉端くん、能力の方はどうだった?」

 

「お、え、あっ、えーっと、それが何も起こらなくて……」

 

「そう?……そうなるとここでは発動不可能な能力なのかしら。まあ倉端くんは陰陽局に所属してないから佑斗のように急かしたりはしないわ、扇先生に相談してゆっくりと見極めていくと良いと思う」

 

「そうだよなあ、ありがとう。ひよ里ちゃんも、付き合ってくれてありがとう」

 

 ドキドキが止まらない内から矢来さんに話し掛けられてびっくりして飛び上がるところだった、危ない危ない。

 しっかし能力の方はこれから気長に見つけていくのが良いかもなあ、俺は戦闘なんてしない平和なバーテンダーとして過ごすし。

 

「私は……この都市に住む以上当然のことをしたまでよ」

 

「いえいえ、こちらこそ貴重な体験になりました」

 

「それじゃ私は佑斗が落ち着いたみたいだからそっちの能力開花を見届けるわ」

 

「はいよー」

 

 ちょっと落ち着いてきたところで今度は佑斗がどんな能力を使うのか気になってきた。

 人畜無害に見えてサラッとセクハラしたりするからラッキースケベな能力でももらってんじゃねえか……?いやまさかな。

 そんな能力もらってたとしたら俺は血の涙を流すぞ、これは本気で。イケメンな上にラッキースケベも出来るなんてそんなことあってはならない。

 

 

「え?」

 

 その瞬間、パァンと言う音と共に弾けた――矢来さんの服のボタンが。そして現れる下着――

 

「ふぎゃっ!?」

 

「直太くんは見ちゃいけません、目に毒です」

 

 見えたと思った瞬間には小さくてスベスベの柔肌によって視界が全部隠されていた、間違いないこれはひよ里ちゃんの手だった。

 男としてはスタイルの良い矢来さんのあられもない姿というのは全力で見たかった気もするけど、それはそれとしてひよ里ちゃんに軽蔑されるのも良くはなかっただろうしこれで良かったのかもしれない。

 

 それはそうと佑斗俺はお前を許す気は無い。

 

「……な、なんだとっ……!?」

 

「ひゃ、ひゃんっ!?」

 

「あ、えーと、その、あの……」

 

「おい佑斗!!お前には何が見えてるんだ!?佑斗ォ!!」

 

「はい、ダメですよ直太くんそれはセクハラになっちゃいますから。こっちに来てくださいね」

 

「佑斗ォ!!俺はお前を許さないからな!!イケメンだからってラッキースケベをして良い理由にはならないんだからなあああああぁぁぁぁ……」

 

 目を隠されながらひよ里ちゃんに連行される俺に出来たのは、取り敢えず佑斗へ思いの丈を撒き散らすことくらいだった。

 

 

 

 

 

 

 

「お、怒ってる?」

 

「怒ってないですよ?」

 

 その後引きずり出された俺は無言でスタスタと歩くひよ里ちゃんになんだか気まずくなってしまいついついそんな事を聞いてしまった。

 多分怒ってはないのは事実なんだろうけど……なんというか良い気分ではないんだろうなと。

 

「な、なら良いんだけど」

 

「でも、ちょっとむっとはしました」

 

「と、言いますと?」

 

「うーん……なんででしょう?自分でもあまり分からないんですよね。直太くんが矢来さんにえっちな視線を向けたからというのはそうなんですが」

 

「本当に申し訳ありませんでした」

 

 でも原因はちゃんとそっちなんだ。いやまあそれはそうなんだろうけど。

 

「男の子ですから、そういうのは仕方ないと思いますけどあんまりそういう視線は向けちゃダメですよ?女の子は邪な目線には敏感なんですから」

 

「返す言葉もございません」

 

「前も言ったと思いますが、私ならそういう視線を向けられても直太くんなら大丈夫なので」

 

「え、あ、はい……じゃなくて!ひよ里ちゃんは自分を大切にして!?」

 

 ほんとひよ里ちゃんが優しくて良かった。

 これが矢来さんだったらきっと体育館を出た辺りで聞こえてきた佑斗の断末魔みたいに俺も一緒にぶっ飛ばされてただろう。

 もしかして俺がまだそんな目にあってないのは奇跡なんじゃないだろうか、佑斗より変態はオープンにしてるし。

 

 まあそれは良いんだけどさ、やっぱりこの子なんかおかしい。

 俺ならそういう視線を向けられても大丈夫ってどういう感情になったらその答えに行き着くのか知りたい。

 

「大切にしていますよ?直太くん以外から向けられるのはやっぱり抵抗感がありますし」

 

「逆になんで俺は大丈夫なワケ?」

 

 んで俺以外からはお断りってのもちょっと分からない。

 俺をそれだけ信頼してくれてるのは分かるんだけど、それにしたってこの数日で信頼度高過ぎるんじゃない?

 

「なんででしょう?あの時助けてくれて、私のせいで吸血鬼になったって言うのに一度も文句を言わないどころか笑顔で励ましくれて、この数日でとても話しやすくて楽しくて、今までよりも笑う事が増えた……からかもしれないですね」

 

「…………て、照れるなあ」

 

 だから信頼度高過ぎるんだって、ほんと。

 そんなこと言われたら勘違いで惚れちゃうってば。

 

 ……冗談で言ってるけどそろそろ本当に惚れてもおかしくないんだけど、本当に惚れたらどうしよう。

 

 多分その時はこの気持ちは……抑えられないと思うぞ。




倉端直太
吸血鬼としての能力は今のところ不明
まだ来てすぐのただの思春期男子なので欲望に負ける場面が多い
そろそろさすがに他の女子よりもひよ里にかなり傾いてきている

大房ひよ里
一目惚れしたとは言ったが自覚しているとは言ってない
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