盗賊の少女とドロスの英雄   作:ヽ(´▽`)/

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第十一話

「……退いてくれないかな」

「おいおい、そんな冷たくしなくたっていいじゃねぇか」

 

オクヘイマの城壁の外で、オルフェウスは白髪の戦士と対峙していた。

 

「今更オクヘイマに来るやつなんざ、怪しいに決まってる。お前はどこの都市国家の生まれだ?何の用事でオクヘイマに来た?」

「……退いてくれ、僕はこの世界を救うためにここにいるんだ──オルフェウス」

「目に光がねぇ、血の匂いがこびりついてやがる……そうは見えねえな」

「僕の話を聞いて欲しい。ここまでの旅の話を」

 

ファイノンは、千に届きそうなほどの回数の輪廻で起こった出来事をできるだけ細かく、不要な部分は簡潔にオルフェウスに話した。

すると、オルフェウスはその眼光を鋭くした。

 

「……つまり、お前は何度も俺の義娘を、俺を……アグライアを、トリスビアスを……全員を殺したってワケだな?」

「出来る限り避けてきたつもりだ。でも、避けられないことの方が多かった」

「過程じゃねぇ結果の話だ、誤魔化すな。…その話が本当なら、俺の目の前にいるのは俺の家族と仲間を何回も殺し続けた殺人鬼だってことになる」

 

オルフェウスは懐から短刀を取り出し、鞘を抜き放って放り投げる。

 

「……僕は選択を間違えたみたいだ。普段の君は、少なくとも最初だけは味方でいてくれたのに─────」

「お前は殺しに慣れすぎた、だから前のようにはいかなかったんじゃねぇか?」

「そうかもしれない。だが、立ち止まるわけにはいかない」

 

ファイノンはヘリオスをオルフェウスに向けた。

オルフェウスは体を低くして踏み込み、駆けた。

周囲の風、人、物、全ての動きを置いて行く神速の中、ファイノンの瞳が彼の姿を追った。

 

「─────っ!?」

 

次の瞬間、ファイノンは彼の首を鷲掴みにした。

 

「以前、君のルーツを知る機会があった。その神速は()()()()()()

「っ!?」

「いや、正確には二つの合わせ技だろうか。少なくとも、サフェルさんとは源流が異なる。今まであなたと直接戦ったことはなかったけど、その戦い方は知っていて、()()()()()。そう簡単に勝てるとは思わないことだ」

 

ファイノンが彼の首から手を離すと、彼はそのまま力が抜けたように跪いた。

 

(……諦めたのか?)

 

そう考えた彼の思考に数秒の隙が生まれた途端、彼の体から白い煙が立ち上り、辺りを覆い隠す。

立ち上がったオルフェウスの影が霧のようにあたりを覆う煙の中に消えて行く。

 

「小手先で誤魔化しても……っ!」

 

霧の中から彼の影が()()ファイノンを襲う。

ファイノンは二つの影を切り裂き、そして──

 

「っそこ!」

「─────ぐ、はっ、てめぇ──!」

 

霧の中に身を隠していたオルフェウスの腹を穿った。

 

「言っただろう?僕は君のことを知っている。霧を発した時、幻覚で攻撃をしながらその標的のすぐそばに構えるという癖もその一つだ」

「あぁ、そうかよ。じゃあ、コイツは知ってたか?バトルズ!」

 

彼の胸から取り出された光が、シーフ「バトルズ」へと投げ渡され、シーフはそれを受け取って何処かへと消えた。

ファイノンはオロニクスの神跡を利用して喚び戻そうとしたが、その行動はファイノンへ振り下ろされた短剣によって阻止された。

ファイノンはヘリオスでそれを受け止めながら、憐れむような目を彼に向けた。

 

「……また、君はサフェルさんに火種を託したんだね」

「俺が渡したのはバトルズだ。見えてなかったか?」

「『ドロスのオルフェウス』『サフェルが詭術の火種を奪い取った』」

 

 

「────これが、君がオンパロスに放った嘘、君の最大の詭術。そうだろ」

 

オルフェウスは目を見開く。

その瞬間、ファイノンのヘリオスが彼の短剣を弾き飛ばし、彼の胸を貫いた。

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