盗賊の少女とドロスの英雄   作:ヽ(´▽`)/

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第十二話

「……はぁ、ここで終わりか、つまんねぇなぁ。なぁ、そう思うだろ?」

 

口から血を流し、それでも彼は笑う。

 

「いや、君の旅路は英雄として誇らしいものだ。決して、つまらなくはないよ」

「……そうかよ。んじゃあ、あと少しだけ付き合ってくれ」

 

その時、彼の瞳にまだ光が灯っていることにファイノンは気がついた。

それと同時に、足元にオロニクスの紋章が浮かび上がる。

 

「……なっ」

 

瞬間、あたりの光景が仄暗いものに変わった。

 

「……奇跡の書物もなしに、時空を動かすなんて無茶だ」

「その無茶を通すのが英雄だろうが、─────ごほっ…、俺の命が尽きるまで、お前にはここに留まってもらうぜ」

 

オルフェウスは、してやったりとばかりに笑った。

 

────────────

一方その頃、オクヘイマでは

 

 

「お届け物だ!受け取ってくれ!オルフェウスのヤツから、姉御への最後の贈り物なんだ!」

 

息を切らしたバトルズがオクヘイマのサフェルの元へと走り込む。

その時、サフェルはちょうどアグライアと共に今後の計画を話していたところで、本来ならばこの後、サフェルは何も言わずにオクヘイマを離れる予定だった。

しかし、バトルズの言葉にサフェルの体が固まった。

 

「……え?最後のって、どういうこと……?」

 

それは本当に理解できていないというよりは、その現実を理解することを拒むような声、しかしバトルズは必要だと判断して真実を告げる。

 

「オルフェウスは死んだ、アイツはお前に最後の詭術を託して命を落とした」

 

バトルズの手には、詭術の火種が握られている。

 

「……え?その火種は、私が──」

「それがオルフェウスの最初の詭術。『オルフェウスは詭術の火種を奪えなかった』…いや、正確にはお前にその立場を譲った。本物の詭術の火種は常にあいつの手の中だったんだ。それをアイツは、〝俺に何かあったらセファリアに俺の火種を渡せ〟と言った」

 

サフェルは震える手でその火種を受け取る。

詭術によるものとはいえ、既に試練を通過していたサフェルに詭術の火種は即座に力をもたらし、消え掛かっていたサフェルの詭術はもう一度編み直された。

 

「そしてコレは、アイツが愛用してた得物だ。好きにしろ、そう言ってた」

 

サフェルはひったくるようにそれを受け取って、バトルズを睨みつける。

 

「……全部話して、アイツとアンタが編んだ詭術を、全部」

「あぁ、話してやるさ。たぶん、それだけの時間はある」

 

バトルズは深く深呼吸をした。

アグライアとサフェルには、今日この時だけはバトルズは嘘をつかないだろうという不思議な確信があった。

 

「今から話すのは、嫌われ者の英雄の話だ。瞬く間に消え去る神速の英雄の話をするんだからな、聞き逃すなよ─────」

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