盗賊の少女とドロスの英雄   作:ヽ(´▽`)/

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第十七話

『開拓』の運命を歩む星穹列車のナナシビトである星と丹恒は、切り離された列車の車両に乗りオンパロスへと辿り着いた。

しかし、その直後に車両が撃墜され、神殿のような建造物の廃墟へと不時着することとなった。

着陸した位置から離れて周囲を探索していた二人は、謎の無機生命体の襲撃を受け、応戦していたところ白髪の青年にそれを止められる。

彼の極端な手段を非難しようとした丹恒だったが、それを代弁するかのように、現れた赤髪の少女が青年を叱責した。

二人が天外から現れたと知った白髪の青年が

 

「つまり、僕たちに君たちを傷つける意志はないが、他の者ならそうとも限らないってことだよ。君たちは運がよかったね」

 

そう言った直後。

 

「残念だが、その二人は運がないみたいだぜ?」

 

 

星と丹恒の背後から、唐突に声が響いた。

それと同時に、先ほどまでなかったはずの強い存在感と圧迫感が二人を襲う。

軽薄とも威圧的ともとれるような口調でやってきた男は、ボロボロの黒いフード付きのローブを着て、口元を布は布で覆われている。

目元には冷徹な光が宿り、二人を見定めるような視線を向けている。

 

「……そのようだね、オルフェウスさん。だが彼らは悪意のない客人だ」

「その確証は?」

「えっと……」

 

ただならぬ雰囲気に丹恒がいち早く武器を構える。

折れた槍の柄に力を込め、幻の穂先を創り出した。

 

「お前は俺たちに危害を加える意思がある。先程の会話からすると、そのように受け取って相違ないな?」

「場合によって、と訂正させてもらおう。俺はそこの二人と違って、優しくないんでな、怪しかったらすぐに殺す」

「ちょっと!」

 

赤髪の少女が二人と男の間に割って入る。

 

「その乱暴な態度はやめなちゃいって言ってるでちょ!」

「……甘いぞトリスビアス。俺たちは一度の失敗も許されないんだ」

 

二人の間に重い沈黙が流れる。

どうやらお互いに譲る気がないと悟ると、トリスビアスと呼ばれた少女は大きく腕を広げる。

 

「とにかく!二人に手は出させないんだから!」

「……チッ、ならお前たちが責任を持って監視しろよ。──そして、必要があれば殺せ。情を抱くな」

 

次の瞬間、先ほどまでその場にいたはずの男の姿が影も形も残さず消えた。

 

「……幻術か?」

「いや、違う。彼はつい先ほどまでここにいた。少し移動しながら話そう」

 

白髪の青年……ファイノンと赤髪の少女トリビーは、自己紹介とここで難民を救助していたこと、丹恒の折れた槍は必ずファイノンに直させることなどを話すと、移動を始めた。

そこから、ヤーヌスの司祭ノーデスを助け、その神殿の隅でファイノンとトリビーは星と丹恒の質問に答えると言った。

二人は様々な質問をしたが、その最後はやはり……

 

「そういえば、俺たちを脅した…お前の知り合いらしいあの男。彼は何者だ?」

「彼は、『ドロスの神速の英雄』オルフェウス。僕たちと同じ黄金裔で……その過激なやり方から、オクヘイマを追放された黄金裔だ。彼のやり方は確かに過激だけど、誰よりも真摯に救世に取り組もうとしてる」

 

その時、突風が吹き荒れた。

その場の全員が目を瞑った次の瞬間、目を開ける頃には四人の中心の位置にオルフェウスが立っていた。

 

「ご紹介に預かった、神速の()英雄、オルフェウスだ。……あぁ、警戒しなくていい。俺はひとまずお前たちを見逃すことにした。司祭の件もあるしな。詳しい処遇は金織に任せる。……だが、俺はお前たちを見ているぞ、忘れるなよ」

「ッ待て!」

 

またその場を一方的に立ち去ろうとしたオルフェウスを丹恒が呼び止めた。

 

「何故、そこまで俺たちを警戒している?」

「救世の神託に、お前たちの席はない。だからこそ、お前たちが破滅を呼ぶ……そう俺は考えている。──もっとも、黄金裔の指導者は俺じゃない、最終判断をするのは金織だ。俺は珍しくアイツに呼ばれてるんでな、そろそろ失礼する」

 

そう言うと、今度こそ彼はその場から消え去った。

指導者“金織”。

その名前だけを残して彼は立ち去った。

気を取り直してトリビーがオンパロスに古くから伝わる詩を唄ったその最中、大地獣のキャラバンが訪れた。

星穹列車の旅人は、大地獣に乗り聖都を目指す──

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