盗賊の少女とドロスの英雄 作:ヽ(´▽`)/
「……きろ……起きろ、星!」
揺り起こされた星が辺りを見回すと、どうやらそこは聖都オクヘイマに程近い場所らしい。
だが、あちこちで煙が上がり、人々の悲鳴が聞こえる。
どうやら、この聖都は現在進行形で襲撃を受けているらしい。
別の大地獣に乗っていたファイノンはすでに大地獣から降りて剣を構えて臨戦体制を整えている。
丹恒と星の二人も同じように武器を手にして大地獣から降り、ニカドリーの眷属を倒した次の瞬間、オクヘイマ全体を吹き荒れていた鋭い風がトリビーも含めた四人の目の前で立ち止まった。
「来たか。一度しか言わねぇからよく聞け、ニカドリーの襲撃だ。悪いが俺は外側の奴らの対応と市民の救助で手一杯だ。ポリス内部はお前たちに任せる。行け」
次の瞬間、再び吹き荒れる風と共にオルフェウスが消え失せた。
彼が消えると、ファイノンは丹恒と星に振り向いて
「ほら、根は悪い人じゃないんだ。口も悪いし素行も良くないけれどね」
「……それは、悪い人なのではないか?」
「それでも彼の心の奥底にはきっと僕たちと同じ理念が宿っている。どんなことをしていても、最後には世界を救うために尽力してくれる。みんなそう信じてるんだ。……さぁ、君たちは避難を」
「あんたたちのそばに居た方が安全な気がするんだけど」
ファイノンの言葉に星がそう返すと、すかさず丹恒が一緒に戦いたいという意味だ、とフォローする。
すると、ファイノンとトリビーはしばらく悩んで
「……わかった。ただし、僕の傍を離れないでくれ。君たちがここにいる残党ごときにやられるとは思っていないけど、僕たちの仲間である「黄金裔」なら、話は別だ」
その言葉を素直に受け取り、星と丹恒はファイノンとともにトリビーの分け身であるトリアンとトリノン、モーディス、キャストリスとい四人の黄金裔と出会った。
そして、雲石の天宮にてアグライアとファイノンの共同によりニカドリーの神体が壊されたのを見届けた。
「オクヘイマの新たな盟友たち、ようこそオンパロスへ。決して優雅とはいえない歓迎会でしたが、私たちの疑念は晴れました。これより、あなたたちは聖都の賓客であり、黄金裔の大切なお客様です」
「……あなたが、『指導者の金織』で間違いないだろうか」
目の前に現れたアグライアに丹恒がそう問うと、アグライアはため息を吐いて
「金織は二つ名、私の名はアグライアです。……金織の名を口にした盗賊の男は、あまり信頼しないでください」
「おいおい、そんな言い方はねぇだろ?そもそも、なんで俺が言ったことになってんだよ」
「ほとんどの人々は、私のことをアグライアもしくは、金織のアグライアと呼びます。『指導者の金織』などと呼ぶ者はあなたくらいですよ」
アグライアは突然背後に現れたオルフェウスにも動じることなく返事をする。
そして二人に向き直ると
「初めて出会った黄金裔の一人が彼であるなら、私たちを疑うのも無理はありません。しかし、はっきりと言います……彼は私たちの中で最も人格に問題を持った人物です。どうか、私たちの全員が彼のような攻撃性と粗暴さを持ち合わせるわけではないことを知っておいてください」
「オイ!俺のどこに問題があるって!?」
「全体です」
「……チッ、覚えてろよ金織」
これまでと同じように瞬く間にオルフェウスの姿が掻き消える。
「お見苦しいところをお見せしました。話の続きですが……」
アグライアは平然と話の続きを始める。
丹恒と星はバルネアのニュンフェを通じてオンパロスの歴史を知り、そして星はアグライアと金糸を使った
そして二人は、天外のことを市民に知らせないという約束をして周辺を見て回ることに決めるのだった。