盗賊の少女とドロスの英雄   作:ヽ(´▽`)/

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第三話

「……ん」

 

セファリアは窓から漏れる朝日で目を覚ました。

部屋を出てリビングに向かうが、そこは静寂に包まれ、昨日のような明かりもない。

セファリアは声に出して彼を呼ぶが、答える者はいない。

また騙されたのだろうかと思うと少しだけ涙が出そうになった。

その時、家を揺らすほどの風が外から吹いたかと思うと、玄関のドアを開いてオルフェウスが帰ってきた。

その両手にはりんごが六つほど抱えられている。

 

「おはよう、食うか?」 

「食べるけど……、どこから持ってきたの?」

「近くの果樹園だ」

「…………盗んでない?」

「盗みとは失礼な、代金は置いてきたっての。……半分くらい」

「盗ってるじゃん!」

「あそこの果樹園は俺がこの前暗黒の潮から守って場所だ、対価なしで救われると思ってんのか?」

 

当たり前のように言ってのけるオルフェウス。、

 

「……それ以上喋らないでくれない?」

「急に辛辣だなオイ!?」

 

彼が一言喋るたびに、セファリアの中にあったオルフェウスという英雄の像、正確にいうならば『闇より出でて、人を助け、名を名乗らず見返りを求めず闇に還る』というダークヒーロー的な英雄像がボロボロと崩れてゆく。

セファリアは目を覚ました時とは別の意味で涙が出そうだった。

 

「……なんでアンタみたいなのが英雄やってるのかますますわかんない」

「それは昨日も答えたぞ。そもそも、俺は元々マトモな英雄じゃないってくらいは知ってるだろう?」

「えっ?……そんな話聞いたことないよ?」

「英雄の話しか伝わっていないのか……?俺は元々大盗賊オルフェウスだ」

「えっ?盗みは二、三回で飽きたって──」

「そうだな。二、三回くらい都市国家の王の蔵から金銀財宝を盗み出して、飽きてやめた」

「……は、はぁ!?」

 

セファリアはこの家に来てから一番の大声を上げた。

 

「元犯罪者が英雄、なんて御伽話なんかでよく聞くだろ?」

「聞かないよ!」

「そうか。それなら俺が特例だって覚えとけ、特別な英雄様だってな!」

 

セファリアは深く、そして長くため息を吐いた。

すると、オルフェウスは唐突に真面目な顔でセファリアを見つめ始める。

 

「……な、何?怒らせちゃった?」

「ため息一つでキレるわけないだろ?そうじゃない。……コホン」

 

彼はわざとらしい咳払いと共にサファリアに近づいた。

どこか品定めをするように彼女を見つめ、しばらくすると何かを決めたように目を瞑り、そして

 

「…よし、決めたぞ。これからお前に、詭術の術を伝授しよう。俺の持ち得る全てを、お前に教え込んでやる」

 

そう言って、セファリアを手招いて家の奥の部屋へと向かうのであった。

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