盗賊の少女とドロスの英雄 作:ヽ(´▽`)/
セファリアがオルフェウスへと啖呵を切ってからしばらくの時が経ち、二人はようやくオクヘイマへとたどり着いた。
すると、オクヘイマへ足を踏み入れた二人を山の民やオクヘイマの憲兵が取り囲んだ。
セファリアは思わずオルフェウスの背中に隠れるが、オルフェウスは堂々とした態度のまま自身を取り囲む者たちの背後を見据えた。
「おいおい、新しい指導者サマは随分な歓迎を用意してくれてたな?これがプレゼントってヤツか?嬉しすぎて涙が出そうだ」
「──物騒な歓待をお許しください、原初の黄金裔の一人〝疾風〟のオルフェウス」
「ほう?ずいぶんと調べたみたいだな?アグライア」
「散逸したあなたの逸話を探すのには随分手間がかかりました。大盗賊から黄金裔……そして英雄と呼ばれ…最後には、黄金裔十人を殺害した裏切りの刃。あなたはそれぞれの時代で全く別の名を呼ばれていた」
「……俺は厚顔無恥に黄金裔に戻ろうとしてるわけじゃねェ、聖女サマとの約束通りに俺の代わりを連れてきた。コイツはきっと、俺よりももっと上手くやれる」
オルフェウスは自身の背後から顔を覗かせていたセファリアを引っ張り出してアグライアの前に立たせた。
「……あなたはどうするつもりなのですか?」
「コイツが一人前になるまではここに居る、コイツが独り立ちする頃にはオクヘイマを去る。これで満足か?」
「えぇ、どうか約束を違えぬようお願いします」
アグライアの言葉と共に二人を囲んでいた者たちが道を開ける。
「……なんで同胞殺しなんて──」
「アイツらの方が裏切り者だった。俺はなんとか説得しようとしたが、俺の言葉じゃあまりに軽かった、だから
彼の声には悔しさや後悔が滲んでいる、セファリアはそう感じた。
その証拠に、セファリアにあれだけ表情を変えるなと説いたその眉間に皺が寄っている。
オルフェウスはセファリアを連れてルトロのある方向へ歩き出した。
「いいか?もう一度言うが、俺はお前に俺の知る全てを教えるがそれだけを信用したりするなよ。これは失敗した男の知恵なんだからな」
「はいはい、何度も聞いたよ。聞いたけど、あたしはアンタを信じる」
「そうか」
返答は短いものだったが、その響きには一言では言い表せないほど複雑な感情が渦巻いていた。
彼はセファリアを連れてオクヘイマの誰も目に止めないような端までやって来た、するとそこには隠し扉があり、その奥は埃に塗れた小さな部屋だった。
「ここは俺の古い隠れ家だ。コイツをお前にやるよ」
「埃まみれすぎない?」
「…………掃除は手伝う」
「よし、じゃあさっさとやっちゃおう!」
その日、二人はこの小さな個室の掃除に一日をかけた。