盗賊の少女とドロスの英雄   作:ヽ(´▽`)/

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第七話

某日、英雄のピュエロスにはアグライアとセファリアの二人が居た。

数秒間の沈黙の後、セファリアが口を開いた。

 

「教えてよ、オルフェウスのこと。あんたは知ってるんでしょ?」

「……私も残された文章を通してしか知りません。彼と共に旅をしたあなたの方が詳しいと思いますよ」

「確かに一緒に旅をした。けど、アイツはあたしに隠し事してると思う」

「そうですね」

「やっぱり知ってるじゃん!教えてよアグライア!」

「……しかし──」

 

サフェルの目を見て、これは引き下がらないだろうと悟ったアグライアはため息を一つ吐いて

 

「……彼は悩んでいるようでした」

「悩み?アイツに?」

「えぇ、あなたのことですよ。セファリア」

「えっ、あたし?」

「あなたの教育者として、自分は適任なのか…自分以上に彼女にとって有益なことを教えられる人物がいるのではないか、と言っていました」

「……っ、そんなこと──」

 

ない、とそう言い切れなかった。

彼が教育者として適任かなど、当の本人である彼女にわかるわけがないのだ。

 

「どちらにしろ、彼はあなたの要望を優先することでしょう。よく考え、あなたの答えを彼に聞かせるべきだと思いますよ」

「私の、答え。……うん、ありがとうアグライア、少し考える」

 

セファリアはそう言って、その場を去った。

 

「……彼女自身に答えを出すようにと誘導はしましたが、これでよかったのですか?彼女には──」

「俺じゃなくたっていい、お前だって、神悟の樹庭の学者だってできるさ、ただアイツが何を知りたいか、何を望むかが重要なんだ」

「……そうですか。それなら私からは何も言いません」

 

──────────

その日の践行の刻、セファリアは彼女の答えを得た。

彼女にとってのオルフェウスとは、即ち

 

「……家族、だよね。あんな奴でも、ずっと一緒にいて、楽しいし」

 

そう結論づけたセファリアはその結論を彼に伝えるために、彼がセファリアへ与えた隠れ家に戻ろうとした。

その時

 

「オルフェウスの一番弟子、セファリアだな?」

 

セファリアの背後からその首筋に剣が突きつけられた。

 

「っ!?誰!」

「そんなことはどうでもいい、付いてきてもらおう」

 

セファリアを囲んだのは、黒と金の衣装を纏い仮面で顔を隠した者たち。

彼らは人通りの少なくなった雲石市場を通り、路地裏を抜けて一人の男の前にやってきた。

 

「──ハ、ハハハ!ついにお前の落日だ、オルフェウス!」

「…随分と喧しいな、お前たちにはかなり昔に散々煮湯を飲ませてやったつもりだったんだが?」

「あぁ、だからこそ私たちはお前を殺す機会を伺っていたんだ。お前がどのような詭術で神速を名乗ったか知らないが、この場所ではそれは通用しない。さぁオルフェウス!お前が死ぬか、お前の一番弟子が死ぬか、選ぶといい!」

 

オルフェウスは懐から短剣を取り出し、自らへと向けた。

 

「セファリア、目を瞑ってろ」

「──っ!ダメ!」

「いいから、言う通りにしろ」

「……うん」

 

次の瞬間、セファリアの頬にべちゃりと液体がかかり、それと同時に何かが倒れるような音が響いた。

彼女が思わず目を開けると、オルフェウスは目の前に立っていた。

 

「……悪いな、汚しちまった」

 

彼の腕はセファリアの背後へと伸びており、その腕はセファリアを縛り付けていた男の胸を貫いていた。

オルフェウスの背後にも先ほどまで彼を脅していた者たちの死体が見える。

オルフェウスは腕を引き抜くと、五歩ほど後ろに下がって何かを言おうとしたその時

 

「貴様、どうやって……っ!?ザグレウスの加護はそのような神速ではないはずだ!クソっ!せめて……っ!」

 

生き残りのうちの三人が、手に持っていたクロスボウからセファリアへと矢を放った。

セファリアは死を覚悟して目を瞑ったが、しかし

 

「……っぐ、──」

 

その矢が穿ったのはオルフェウスの足だった。

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