盗賊の少女とドロスの英雄 作:ヽ(´▽`)/
「……あ、オルフェウス──あ、足が」
「いい、気にするな」
彼の姿がブレた次の瞬間には、襲撃者の生き残りは皆死んでいた。
しかし、神速を行使したオルフェウスは苦しげに顔を歪ませながらもセファリアの手を取って立ち上がらせると、彼女と共に帰路に着いた。
「……オルフェウス」
「気にするなって言ってるだろ?俺は敵を作りすぎたからな、いつかはこうなる運命だったんだ」
「その足じゃ──」
「走れないなんてことはないさ、俺はこれでも崇め奉られる英雄様だからな」
セファリアの心配をオルフェウスは冗談めかした言葉共に、軽く笑い飛ばした。
しかし、彼女はそれでも笑うことはできなかった。
「いいか?お前は何も悪くない、俺が油断してただけだ。俺がただ、引き際を間違ったってだけだ」
「……!そんなこと──」
セファリアが彼の言葉に思わずその顔を見上げると、彼はセファリアに自身の技を教えると言った時と同じような真剣な表情でセファリアを見つめ返していた。
「黄金裔は皆、その最期を予言されてるのは知ってるな?……俺に与えられた予言はこうだ。『汝は自らの跡を行く者に持ち得る全てを譲り渡し、その命で火を守るだろう』。いつか俺は俺の後継のために全てを捧げることになる、らしい」
セファリアの脳裏に、オクヘイマへ旅立つより前のことが思い浮かんだ。
彼は門と道の聖女トリビーへ、セファリアを自らの後継にすると言ったのだ。
「……それじゃあ、私は」
「あぁ、お前が思ってる通りだ」
話しているうちに、二人はオルフェウスがセファリアへ与えた──と言いつつも未だにオルフェウスも住んでいる──隠れ家へとやってきた。中へ入ると、オルフェウスはしゃがんでセファリアと目線を合わせて言った
「身勝手で傍迷惑な話かもしれないが、俺はお前を娘のように思っている。だから、お前が望むなら、俺はお前に全てを譲り渡そうと決めている」
彼の言葉は図らずもセファリアが求めた家族としての関係を認めるものだった。
「……私も、アンタのこと家族だって思ってる。だから、予言通りなんて言わないで、そんなことで死ぬなんて言わないで」
「ははっ、善処するよ。まぁともかく、言いたかったのは、お前という後継がいる限り、お前を守ることに最も価値があるってことだ」
そう言って彼はセファリアの頭を乱暴に撫でた。
「……よし、そうと決まれば明日から少しオクヘイマを離れるとしよう」
「え?急に…?」
「安心しろ、お前が手際良くやれば日帰りだ」
立ち上がった彼は不適な笑みを浮かべてそう言った。
そんな彼に一抹の不安を覚えたセファリアだった。