〜レッド&マホガニー編〜
コンコン……。
物音。レッドは飛び起きる。
薄暗い部屋の中、レッドの内ポケットにナイフがあって安心する。
時間は夜中の二時をちょっと過ぎたところ。
扉の向こうに誰かがいるのが分かって耳と鼻の感覚を研ぎ澄ます。この匂い、マホガニーだ。
「マホガニー?」
レッドは扉を開けた。
「ママ……」
マホガニーはレッドのことをママと呼ぶ。ママがどういうことかは分かる。だけどレッドは、マホガニーのこと覚えてない。
「おいで」
「ん」
どうしたらいいか分からないけど、マホガニーのことを抱っこした。マホガニーは小さくて温かい。ドクターやケルシーがやってくれるみたいに背中をナデナデしてあげる。
「何か飲む?」
レッドはマホガニーを抱っこしたまま部屋に戻って冷蔵庫を見る。ドクターに牛乳貰ったんだった。これ飲めるかな。
「牛乳飲む?」
レッドは聞いてみたけど返事がなかった。マホガニーはレッドの腕の中で動かない。もしかして死んじゃったのかと思ってマホガニーをベットに下ろしたら息はしてた。眠っちゃったみたい。
「おやすみ、マホガニー」
レッドはずっとマホガニーのそばで起きてた。一晩くらい起きてても平気だ。耳や尻尾がフワフワで可愛いし、髪の毛もソーンズみたいにフワフワで可愛い。ずっと見ていられる。
「で、なんでレッドはずっと起きてたの?」
「子守って起きてるものだと思ってた。違うの? ドクター」
「子守っていうのはね……」
今度マホガニーが眠れなくてレッドの部屋に来たら、添い寝をしてあげるつもりだ。
〜レッド&ツルギ編〜
レッドはロドス・ラズハの夜の巡回をしていた。ロドス・ラズハは足元の非常灯だけで少し暗い。
だけど何か気配を感じて立ち止まる。誰かいる……警報が鳴る前に潜入してきた敵……?
「ママ!」
通気口から小さい子が落ちてきた。レッドの腕の中に。見るとツルギだった。
「ツルギ……?」
声を掛けたら、ツルギが小さな声で、
「怖い夢を見たの……」
って答えた。
「大丈夫」
レッドはツルギをちゃんと抱っこして歩いた。背中をナデナデしてあげる。このままどうしよう。ドクターは……寝てるかな。ソーンズは……研究室にいるかも。
「一緒にいるからね」
レッドはツルギにそう言って研究室に向かった。前のマホガニーみたいに添い寝をしてあげたらいいかな、と思ったけど、ソーンズと一緒に添い寝したらツルギはもっと安心するかも。
来た。ソーンズのいる研究室。
コンコン……。
「……入れ」
研究室に入ると、ソーンズがお薬を作っていた。チラって目が合う。オレンジ色の目。夕日みたいで好きだ。
「何かあったのか」
ソーンズが透明の壁の向こうで聞いてきた。レッドは答える。
「ツルギ、眠れないって」
「今度はお前のところに行ったのか」
ソーンズの言葉に疑問を持った。
「今度はってどういうこと?」
「前は俺のところに来たんだ」
「そうなんだ」
ツルギはソーンズと添い寝したのかな。レッドも添い寝したかったな。
「ツルギは起きているのか?」
ソーンズは聞いてきた。起きてると思ってよく見てみたら、ツルギはレッドに抱っこされたまま眠ってた。
「寝ちゃった。どうしよう、ソーンズ」
このままレッドの部屋に行くかツルギの部屋に行くか迷う。
「ちょっと待ってろ」
「うん」
ソーンズはお薬をお片付けして手袋とかを脱いだ。こっちに来てくれるみたいだ。
「行こう」
「どこに行くの」
「マホガニーの部屋だ」
「え、マホガニー起こしちゃうよ」
「また泣かれたら困るからな……」
「……?」
そのあと、レッドはマホガニーのいる部屋に向かった。マホガニーは眠そうな顔で出てくれて、床にお布団を敷いたら四人みんなで添い寝をした。ツルギとマホガニーと、それからソーンズ。みんな温かくてすぐ寝ちゃった。レッドたち、いい家族……かな?