ロドス・ラズハ・アイランド   作:青瑠璃

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雷と氷

 

〜エアースカーペ目線〜

 

 今回の任務は、俺が隊長となって戦隊を引き連れていた。

 戦隊の中には俺の息子……らしいスノーグラウスがいるが、六年間棺の中で眠っていたことで、自分に子どもがいたことすら覚えていない。十六歳の子どもがいるなんて、俺は今でも信じられないところだ。

「父さん、目的地はアレだよな?」

 スノーグラウスに言われ目を上げると、今回の任務である目的地の集落が見えた。

「ああ」

 俺が父さんと呼ばれるのは今も慣れないが、レオンハルトも間違いなく俺の息子だというからそうなんだろうと思うことにしている。否定する理由もなかったし。

「親子としてだいぶ慣れてきたんじゃない? エアース」

 戦隊メンバーの一人であるレオンハルトがそう言いながら俺たちの間に割り込んできた。俺たち親子の関係を大事にしてくれるなら、わざわざ間に入って来なくてもいいのに。

「どうだか。俺はスノーグラウスのことは何も覚えていないし、むしろ何か不満を持っているんじゃないか?」

 レオンハルトに文句を言うのは一旦置いて、俺はスノーグラウスへ目を向けた。スノーグラウスは俺と視線がぶつかると驚いたように目を見開いたが、次には笑った。

「何も不満なんてない、父さん。それに、むしろ力が入っていたら色々やりづらいし」とスノーグラウスは言った。「あまり変わってなくて良かった。あ、いや、変わっててもいいんだけど……本当に……」

 スノーグラウスの言葉が途中で切れる。それもそうか。八歳の時に親を失くして、いないと思った親が現れたら複雑な気持ちになる。俺の「何も覚えていない」より辛いだろうなと考えた。

「出来るだけのことはする。今の俺に何が出来るかは分からないが……」

「敵襲だ!!」

 戦隊にいる偵察兵が声をあげた。俺は一瞬にして気持ちを切り替え振り向く。崖の上から敵の気配があった。

「上だ!」

 スノーグラウスも気づいたようだ。スノーグラウスの背中にあるパレットソードが開いて敵の奇襲を迎撃する。俺も応戦をしようとパレットソードを開いた。その内にレオンハルトが他の戦隊メンバーを安全な場所に避難させているのを視界の端で確認した。

 飛び回る刃を俺は自分のと見間違えたことはないが、スノーグラウスとこうして戦っている時は誰もが「どっちの攻撃か分からない」のだそうだ。確かにこうして見ると、スノーグラウスは俺の方に向かって平気そうに刃を飛ばしてくるし(後ろに敵がいたからだ)、俺も容赦なくスノーグラウスの方に刃を飛ばす。スノーグラウスの背後に敵が迫っていたからだ。

 こうしてスノーグラウスと共闘することは何度かあったが、そういえば互いに飛ぶ刃がぶつかり合ったことはない。俺は体が戦闘経験を覚えているようだが、スノーグラウスはあれでもまだ十六歳だ。それに俺と同じパレットソードを持つ奴なんてそうはいなさそうだし。

「うっ……!」

「大丈夫か」

 その時、スノーグラウスが突然体勢を崩しかけて俺は咄嗟に支えた。周りにいた敵は一通り片付けたが、スノーグラウスに不意打ちを仕掛けた奴がどこかにいるはずだ……。

「父さん、あそこに……」

 スノーグラウスはすぐに体勢を持ち直して崖の上を指した。俺の息子は勘がいいらしい。崖の上には術師がいたのだ。

「グラウス、あそこまで道を作れるか」

 俺は一気にあの場所まで攻撃する方法を既に思いついていた。

「ああ」

 スノーグラウスの返事はそれだけだった。

「行くぞ!」

「凍てつけ!」

 俺の声を合図に、スノーグラウスは崖から上に向かって氷の道を生成した。道の行き先はもちろん、敵の術師の足元だ。

 俺はその氷の道に相棒の電撃を放った。電撃は氷伝いにあっという間に術師の元まで迸り、怯んだ隙に一気に俺が畳み掛ける。術師はあっという間に倒れた。

「やっぱすごいな、父さん。カッコイイ」

 スノーグラウスが、崖上まで登って来てそう声を掛けてきた。俺はパレットソードを閉じた。

「アンタの反応速度も悪くなかった。さすが、俺の息子だな」

 親というのはこういう言い方をするものだろうか、と手探りで俺はそう言ってみた。スノーグラウスは驚いた様子だったが、耳がパタパタ揺れて照れているみたいにも見えた。大人っぽいのに、まだ子どもなんだなと思う。

「父さんと母さんの教えが今も活きてるんだよ」

 とスノーグラウスはいつも言うように、俺はコイツに戦い方をよく教えていたらしい。覚えていなくて悪い気はするが、スノーグラウスがネチネチした奴ではないということはもう分かっている。

「なら良かった」

 俺がいつかに教えたことがコイツを助けているのだとしたら嬉しいことだ、と頷いた。

「予想外の敵だったね〜」

 とレオンハルトも出てきて俺たちに話し掛けてきた。見ると戦隊メンバーは皆無事らしい。

「あとで報告書にまとめないとな」

 と俺は言い、本来の目的地に急いだ。今回の任務はあの集落の護衛だ。何かあったら大変である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後そのことを報告すると、ドクターは礼を言ってきた。

「敵が奇襲攻撃を仕掛けて来るとは予想外だったよ。対応してくれてありがとう」

「スノーグラウスの反応が良かったんだ。アイツといると戦いやすい」

 俺は正直に感想を伝えると、ドクターは優しく笑った。

「私が心配していた以上にスノーグラウスのことを受け入れてくれているみたいで良かった」

 ドクターはいつも、俺たちが記憶喪失になったことを辛そうにしていた。俺は何も覚えていないが、絶対的絶命の状況で生きてはいるんだし、気にはしていなかった。

「俺は覚えていないが、スノーグラウスは良い奴だし、ドクターも悪くないだろ。よくは分からないが……」

「そうだね……」

 慰めたつもりだったがドクターは俯いて顔を覆った。しまった。泣かせるつもりはなかったのに。

「泣いているのか? どうしたらいい?」

 俺は慌ててドクターの後ろに回り込んで背中をさすってみた。それでもドクターはすすり泣いていたが、放っては置けなかったのでしばらくそばにいてやった。レオンハルトよりは手が掛からないし、これくらいは、大したことはない。

 

 あとで聞くと氷と雷は相性がいいんだそうだ。そう考えると、スノーグラウスの氷で俺の漏電する武器がなんとかなるだろうか……? と思ったが、スノーグラウスは俺の武器を凍らせるのは嫌がったから、それは辞めて置いた。

 

 おしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





あとがき

エアースカーペは書きやすかったですね

大抵のことはなんでも受け入れてくれそうだし優しいし、それでいて口数は少ないけど割と脳筋なところとか()

エアースくんはずっとスノーグと仲良くしてて欲しいな、と願いながら書きました。解釈不一致だったらごめんなさい、私は満足です

氷は雷を通しやすいのは前から知ってはいましたが、双星方舟を書いた時からこういう共闘シーンは書きたかったんですよね!他にもあちこちで共闘して欲しい!と思いながら、今回のお話はここまでにします。またどこかで書けたらいいですね〜
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