ロドス・ラズハ・アイランド   作:青瑠璃

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パフューマーとブラックローズ

 

〜パフューマー目線〜

 

「えっと、これはラベンダーの香りかな?」

「ええ、そうよ」

 私はラナ。このロドス・ラズハではパフューマーと呼ばれている調香師よ。

 といっても、それ以上のことは何も覚えていなくて、二年前なぜ私が棺の中で眠っていたかは覚えていない。ただ、このロドス・ラズハにいるドクターくんはいつも一生懸命で、一生懸命になり過ぎて倒れてしまいそうだから、今はそこにいるブラックローズちゃんとリラックス効果のある花束を作っているところなの。

「ラベンダーはリラックス効果があるから、きっとドクターちゃんもゆっくしてくれると思うわ」

 と私と話しているブラックローズちゃんは、まだ十歳にもなっていない女の子。だけど花のことや患者さんのことを誰よりも思っていて寄り添ってくれている。将来優秀なお医者さんにでもなるのかしら?

 だとしたら、私は……。

 ない記憶を探しても仕方ないのだけれども、何か考え事をしたくて顔を上げる。そこにはブラックローズちゃんが植えた白い花があちこちに咲く色とりどりな花壇が広がっていた。療養庭園のことは馴染みはないけれど、私はロドスではここの管理人をしていて、ロドス・ラズハとなった今はブラックローズちゃんが大抵の植物を管理していた。

 その奥には、沢山の白い花に囲まれた碑があり……どうやらそれは棺で六年間も眠り続けていた私たちを助けてくれた英雄の一人の墓なのだそう。遺体がそこで埋まっている訳ではないみたいだけれど。

「あの方にも、ラベンダーをおすそ分けしましょ?」

 私は白い花の墓を目で指してブラックローズちゃんに提案してみる。あのお墓に代わる代わる人が手を合わせに来るのはよく見ていたし、あの忙しいドクターちゃんだって夜中にこっそり来てお墓の中の人とお話をしているのはこっそり見かけたことがあった。

 きっと、大事な人なのだろうと。

「あ、そうだね! マッドグリーンにもおすそ分け!」

 そう言ってブラックローズちゃんにとっては高い椅子をぴょんっと飛び下り、ラベンダーを数本持ってお墓の方に向かっていった。私もラベンダーを持ってブラックローズちゃんについて行った。

「マッドグリーン、これはいい香りがするハーブだよ! リラックス出来るんだって!」

 とお墓に向かってお喋りをするブラックローズちゃんは、とても無邪気だったわね。

 マッドグリーンさん……私はあなたとは面識はないけれど、きっと、私がこうしてここに立っているのも、ブラックローズちゃんが笑っていられるのも、あなたのおかげなのよね。

 ありがとう。どうか安らかに。

 私は、記憶喪失でよく分からなくなってしまった祈りっぽいものを捧げて、マッドグリーンさんのお墓の前に、ラベンダーをそっと置いた。

 

 おしまい






あとがき

マッドグリーン、なんでしんだんだよ……

私がこの物語を書いたということを忘れないように書きました。きっとパフューマーもその他のオペレーターもいつかは記憶を取り戻すと思っています

だけど、亡くなった人はもう取り戻せない

私はそう思いながら、今日もまた、書いていると思います

閲覧ありがとうございます
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