夏の灯火を蛍は見る   作:ミスブルー

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苦手な描写、区別的描写、差別的描写、グロい描写等そういった内容もあります。ご了承をしてください


夏の灯火を蛍は見る

夏の灯火を蛍は見る

 

夢の世界に行ったことある?

あたしはあるんだよ。

 

でもあたしは夢を見ることはできないんだ。

自分の臆質を潰して激しい痛みを得ることであたしは夢を見れるんだ。

そこであたしはその景色に思わず涙を流したの。

でも今起きてる自分の現象は夢じゃない。

ねぇ、信じてくれるかな?

目を開けたら自分が知らない場所にいたなんて話…。

カフカも銀狼も刃もエリオもいない。

あたしは独りぼっちの蛍になった。

 

人はここをこう呼んでるの。

青の世界、地球だって…

 

 

ファッション、アクセサリー、コスメ、そういうものは全部カフカに教えてもらった。

 

でも今自分がいるそういう場所とは縁遠い戦場。

賞金首として追われている最中だ。

追っ手が迫るがあたしはそれを突破する。

思ったより簡単。

追っ手を突破したことで静寂があたしを迎える。

空を見上げると流れ星が見えた。

すっと流れて消えていく。

あの流れ星は誰かと目を留めることはできたのかな?

そしていつかは忘れてしまうのかな?

あたしもあの流れ星のようにいつか忘れられてしまうのかな?。

そんなことを考えると穹のことを考える。

あれから数日連絡がなく返信がない。

どうしてるだろう。

何度もメッセージを送るとしつこいと思われるかもしれないと思い控えめにしている。

ファイアフライⅥの変身を解いた。

あれ…?

変身を解いて初めて分かったことがある。

何とも情けない話。

自分のいる場所が分からなくなった。

「ここどこだっけ…」

さっきまでは自分の居所が分かる場所にいたはずなのに。

 

ーーーーーーー

メッセージ

 

ホタル:カフカいる?…銀狼、刃?

 

 

ーーーーーー

 

しばらく待っても返事はない。

 

あたしは見渡すと歩いた先に明るい場所が見えた。

 

「あそこに行けば何か分かるかな?」

 

サムではなくホタルとして歩けば星核ハンターとして認識はされないはず。

行ってみよう。

そう考えてあたしはゆっくり歩き出した。

人通りのある場所まで来てみたけれど知っている所じゃなかった。

江戸星?。…でもない。

それに周りからの視線がすごく気になる。

あたし…今目立ってるんだ。

これは不味いかもしれない。

もしここで何か起こせば一発でサムだと分かるかもしれなーーーーー

背後に誰か立ちあたしに手を翳した。

振り向き様に反撃をする。

そう考えてたのにあたしの身体は動かずしゃがみ込んでしまう。

「なに…これ…」

唐突の体調不良を感じた。

熱は39℃近くまだ上がってる。気持ち悪い…。

自分の身体に緑のラインが走る。

声が聞こえた。

男の声?。

 

「ごめんねお嬢さん。お嬢さんは強そうだからちょっと健康を食させてもらったんだけど…」

 

あたしは戻さないように顔をゆっくり上げて声の主を見上げる。

着物を着ていて牛の頭の骨を被っていたのが見えた。

 

誰なの…?。

 

「…これは大変な子の健康を食べてしまった。ごめんねお嬢さん」

 

1人で勝手に納得していた。

ロストエントロピー症候群のことを言っているだろうか。

「けほっ…」

空咳をする。

「健康を貰ったお礼じゃないけど…」

着物の男は手を出すと緑と赤の小さな光があたしの周りに飛んだ。

何かされた…?

「それでは」

 

そんな声が最後に聞こえてそのまま意識が沈んでいく。

 

あたし…どうなっちゃうんだろう…。

 

再び目を開けると木造建築の中にいた。

天井が見える。

知らない天井だ。

おまけに身体の状態は最悪だ。

でも自分はまだ死んでいないらしい。

消えてもいないらしい。

自分の格好を見ると衣類を着替えさせられたらしい。

 

らしいばっかりだねあたし。

 

白い着物を着せられていた。

白装束…?

…あたしほんとは死んでないよね?。

 

状況からして誰かに助けてもらったと考えるのが自然だろう。

眠い…。

普段のあたしは長くは眠らない。

体調が良くないせいだろう。

もう少し眠ろう。

 

再び目を開けるとまだ夜だった。

まだ夜か…そんなことを思った。

近くに誰かがいた。

夜風がなびいて月の光が入る。

深い蒼い髪があたしの視界を揺らした。

こっちを向いたのが分かった。

「目が覚めた?」

声を掛けられた。

起き上がってもいないのに目が覚めたことに分かったらしい。

夜目が利く人だと感じた。

「…えっと…誰…かな?」

あたしはゆっくり口を開く。

「霊峰月夜。まずは…水分を取ろう。身体渇いてるとその体調じゃ辛いもの。ちゃんと飲んで。あとお薬もね、身体起こせる?」

 

月夜と言う女の人はあたしの身体を起こそうとした。

 

「お…起き上がれるから」

 

あたしは自分で身体をゆっくり起こす。

薬はとても不味く水分は嫌というほど飲まされた。

もはや薬が毒かと感じた。

けど月夜は満足そうに頷く。

あたしは再び横になる。

 

「ありがとう」

 

そう言うと月夜は頷く。

 

「ここは病院なの?」

「ううん」

「じゃあ…仙舟の幽囚獄の…病院とか?」

「どこなのそれは…」

………。

あたしはどこにいるんだろう…。

自分の正体を考えてしまうと今は逃げることが出来ない。今は体調が良くない。

まだあたしは名乗ってすらなく質問してばかりだ。

 

「ここはどこなの…?」

 

「ここは京ノ都の祇園だよ」

 

「………?」

それでも彼女は答えてくれた。

江戸星に似たような名前があったような気がするけど聞いたことがない場所だった。

月夜はそんなあたしの顔色で分かったのだろう。

 

「初めて来た場所だったのね」

 

「……」

 

沈黙は肯定だ。

 

「御名前は?」

 

サミュエルかホタルか。

悩んで考えて…でもそんな余裕はなくて

 

「ホタル…それがあたしの名前」

 

あたしは本名を名乗った。

月夜はあたしの前に正座して座り言った。

 

「ホタル、遠路はるばるようこそ京ノ都へ。この青の世界に」

 

それを聞いてあたしは再び眠りに付いた。

普段長く眠らない自分にとってこの睡眠は何故だか心地が良かった。

 

朝になりあたしは目が覚めたと自覚した。

 

身体を起こして手を握って開いてを繰り返す。

全ての身体機能オールグリーン。

治るのが早い。

薬が効いたのかな…?

扉が開いた。

 

「おはよう」

 

月夜が顔を覗かせた。

 

「もう大丈夫。ありがとう」

あたしはそう言った。

 

「どういたしまして。朝ごはんあるから来てね」

 

「???」

すぐに出て行くつもりだったがお腹は確かに空いていた。

何が何やらわからないけど食べていけということらしい。

 

あたしは普段の服に着替え扉を開けると全身真っ黒の棒人間が廊下に立っている事に警戒する。

思わず剣を握ってしまいそうになるが真っ黒の棒人間はあたしを見てお辞儀をした。

 

よく見たら顔が紙で顔のような模様が黒塗りされている。

たしか…墨?というものだったかな…?

後から聞いたけど扉じゃなく襖だとか。

 

「いったいこれは何なの…」

思わず呟く。

 

「それは式ですわお客様」

 

緑色の長い髪を結った女の人が隣の襖から出て来た。

 

「しき…?」

 

「黒百合様が考案した紙に血液と墨汁を混ぜ合わせて作られた人工妖怪ですの。

血液に含まれた霊力…妖力…魔力によって力はだいぶ変わりますわ。並の魔法使いならこれだけで蹴散らせてしまいますわね」

 

「??。人工妖怪…?」

 

「立ち話をするより居間へ行きますわよ」

 

あたしは緑の髪の人へ付いていく。

ここは思ったより広い建物だ。

居間も広かった。

あたしの他に、さっきの緑の髪の人と月夜もいる。

それともう一人。

 

「昨夜の娘はこの者か」

 

肌が真っ白で灰色の髪の女の人が座っていた。

 

「さあさあホタル。座って!」

 

「う、うん…」

月夜に促されて座る。

さっき見た黒い棒人間が食事を運んで来る。

すごい変な光景だ。

 

「ホタルって言いますのね。

私"わたくし"も自己紹介しますわ。

霊峰茨と申します」

 

「私は霊峰楠乃葉。よしなに」

 

「えっとホタルです。よろしく」

思わず流れで自己紹介することになった。

その間に食事が運び込まれみんなでいただきますをして食べることになった。

 

三人の会話を聞いていると三人共仲が良いことが分かる。

名字は一緒だけど姉妹ではないこと。

服やコスメの話、稽古や鍛練の話にここにはいないあたしの知らない人の愚痴。

学校という場所の話。

この三人の中で月夜が一番偉いということ。

上司みたいな…カフカみたいな感じかな?

あたしのことも聞かれた。

別の世界から来る人は珍しくも何ともないということ。

自分がした話は自分が病気なこと。

本来あんまり長く眠らないこと。

自分の生まれた星はもうないことを話すと宇宙人と会話してることになってしまった。

普通なことのように思えるはずなのに三人からはそんな反応だった。

それなのに三人共深くは聞いてこない。

良い人達…なのかもしれない。

 

「あたしからも…その聞いてもいい?」

「何でも言うが良い」

味噌汁を飲みながら楠乃葉が答える。

 

「えっと…しきって言うのかな?あれは人じゃないんだよね?」

 

「無論人ではない。霊峰黒百合が考案した人工妖怪だ」

 

「さっきも言いましたわよね。紙に血液と墨汁を混ぜて顔を書いものを式として使っていますのよって」

 

「それって今みたいにご飯運んだり武器にもなるってこと?」

 

「その通りだ」

 

「魔法使いってさっき茨さん言ってたよね。魔法使いなの?」

 

「私達のような力のある人を力のない人はそう言うそうですわね」

 

「もしかしてあたしもここじゃ」

 

「何か出来るのならあなたも魔法使いよホタル」

月夜がそう答える。

 

「その魔法使いが昨夜妖怪に襲われて家にいるわけですのね月夜」

 

茨は本題に入るように話しあたしを見た。

何か言わないとダメかな…?

 

「あたし…目を開けたら知らない場所にいて、明かりを目指してここに来たの。そしたら背後から襲われて急に気持ち悪くなって頭も痛くなって…」

 

「振り返った時、お主を何か見たか?」

 

楠乃葉があたしに聞く。

 

「うーん…角のある骨みたいなのを被ってたような気がする…口調は男の人みたいな感じかな。聞いたよ…ほ、ほんとだよ?」

 

「誰も疑ってなんていませんわよ」

 

茨が笑い月夜に目を向けた。

 

「月夜、やっぱり特徴通りですわよ」

 

月夜は「うーん…」と考える。

「お祭りが近いからって言うのもありそうだし最近は観光客の迷惑行為が京ノ都で多いからやっぱり怒ってるって言うのもあるのかな」

 

「あたしを襲ったのが誰か月夜は分かってるの?」

 

「うん、まぁ襲われてるのはホタルだけじゃないから」

 

「それは誰なの?」

 

月夜は答えにくそうに答えてくれた。

 

「牛頭天王って呼ばれてるこの京ノ都に神様だとか荒神だとか妖怪だとかで畏怖されてる存在なのよ」

 

さすがのあたしも少しびっくりした。

神様が人に手を出している。

 

「そういえばあたしの健康を食させてもらった…って言ってた」

 

「牛頭天王は京ノ都の祇園の八坂神社の祭神で、疫病を防ぐ神であり薬師如来を本地仏とし神道におけるスサノオっていう神と同体でもあるの。

この神を祭った場所は、しばしば祇園と呼ばれるの」

 

「病気を防ぐ神様ってこと?そんな神様がどうして人の健康を…」

 

「月夜も言ったが…祭りが近くある。そして海外の観光客の迷惑行為が最近度が過ぎていることがあってな。よもやだがそれが原因で怒っているということが一番考えられるな」

 

「迷惑行為って…?」

 

「神社仏閣にわざと傷を付けたり落書きをしたりする中国韓国の人間がな。ここより日本海を越えた国の人間がよくそういう行為を行っておると聞き及んでいる」

 

「そんなことをしてる人が急に体調が悪くなったって話を受けたのですわ」

「だけど全然無関係の人も体調を崩したって話もあるの」

 

「その無関係で狙われているのは力のある人って言われてるみたいですわ」

 

「健康食べられたあたしが言うのもなんだけどその神様はここが大事なんだよね?」

 

「そうですわね」

 

「迷惑を掛けてる人なら健康食べられて倒されても同情は出来ないかも…」

 

あたしの言葉に三人は無言になる。

楠乃葉が口を開く。

 

「その認識は間違いではないな。

私も立場が同じなら同じことをする。

だが魔法使いを狙う理由にはならないーーー私達はそういう存在も認めて共に共存をしていかないといけぬ。

せめて奴本人と接触し言葉を交わせたらいいんだがな…」

 

「あの神様は私達の話を聞こうとしませんわね…」

 

「神様なのに?」

 

「神が必ずしも人を助けるわけではないしそもそもあれは妖怪でもあるし」

 

月夜の言葉にあたしは黙る。

その通りだ。

 

グラモスが繁殖のスウォームに侵攻されてる時も星神は助けてくれたりはしなかった。

代わりにあたしが星を壊したのだから。

 

「そういう意味じゃあれは怒ってると言って間違いないわ」

 

「今日も夕方からは牛頭天王の捜査ですわね」

 

「そうだな…また夜遅くなってしまうだろうな」

三人が言う。

「あたしもその捜査、手伝ってもいい?その治療してくれた恩返しとして…」

 

「頼もしい援軍!お願いするわよ」

月夜がそう言ってくれた。

 

ちなみに牛頭天王は元々は鬼であるとか芸術が大好きだとか、中でも音楽や絵という物がとても気に入っている話もあるそうだ。

人の生み出す音楽や絵が好きなせいか人を食べない鬼となり普段から弱っているなんて話もある。

だからこそ代わりに健康を食べるようになったのかもしれない。

 

「ではホタルよ。その格好は目立つ。食べたら着替えよ」

 

楠乃葉がそんなことを言う。

あたし、服はこれしかないんだけど…?。

 

食事が終わりあたしは楠乃葉の部屋にやって来た。

月夜や茨だと服のサイズが違ったからだ。

 

「楠乃葉さん…どうして捜査は夕方からなの?」

 

「私達は学校だからな」

 

「学校…?」

 

「森宮学校、京ノ都にもある。そこも廃校だったがな。…なんだお主?そんな外見であるのに学校を知らんのか?」

 

あたしは頷くしかなかった。

ちょっと自分が情けなった。

戦うことしか知らなかったし。

服や化粧だってカフカに教えてもらわなかったら知らなかったし。

生きると死ぬの価値観も刃がいなかったら知らなかったし。

ゲームだって銀狼に会わなかったらやってなかったし。

恋とか友達だって穹がいなかったら知らなかったし。

 

まだ知らないことばかり。

 

そんなことを考えていると

「お主の服が決まったぞホタルよ」

楠乃葉が服を持ってきた。

「!!」

 

あたしは生まれて初めて学校の制服を着ることになった。

姿見の前に立ち何度も自分の姿を確認していた。

「よく似合っておる」

楠乃葉が言う。

 

穹に見せたら喜んでくれるかな…?

そんなことを考えて顔が少し熱くなった。

楠乃葉が持ってきたのは黒色の夏用制服というものだった。

 

「足りない衣類は買ってやろう」

 

「それは何か申し訳ない気がする…」

 

「お金は持っておるのか?」

 

「う…ないです…」

 

「なれば買われておれ」

 

「う〜ん…あたし何も返せないよ?」

 

「構わぬぞ」

即答された。

あたしは悩んだが「ありがとう」と言った。

楠乃葉は月夜や茨とは違い年上の人と話している気分になる。

口調がそう感じさせるのかもしれない。

お小遣いというものまでもらってしまった。

まるでお母さん…。

でもそれは言わないでおいた。

それは…あたしには両親がいないから。

でも母というのはこんな感じかな?と考えた。

 

「制服を着たからにはホタル。お主も共に来るがよい」

 

あたしは学校に行くことになった。

これからあたしはどうなるの。

 

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