夏の灯火を蛍は見る   作:ミスブルー

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街を巡る

京ノ都市東山区にある臨済宗建仁寺派の寺院。

山号は鷲峰山。

本尊は釈迦如来。

寺号は詳しくは高台寿聖禅寺と称する。

豊臣秀吉の正室である北政所が秀吉の冥福を祈るため建立した寺院であり、寺号は北政所の落飾後の院号である高台院にちなむ。

禅宗寺院であるとともに、秀吉と北政所を祀る霊廟としての性格を持った寺院である

 

高代寺だ。

あたしはその景観を写真に収めていた。

 

ーーー

 

ホタル:穹いる?見て!すごい綺麗じゃない?

 

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ーーー

 

「うーん…残念」

 

やっぱり送れない。

夏でもこんなに綺麗なら秋や冬や春はもっと見応えがあるに違いない。

大きな声が聞こえた。

あたしは行ってみる。

写真撮影で揉めているようだった。

 

「ここでの写真撮影は禁止です。やめてください」

 

住職さんって言うんだったかな?

住職さんの目先には観光客がスマホを持って怒っていた。

日本の人じゃないみたい。

 

「偉そうに言うナ。もう少しで中国のモノになるんだからそんなこと言ったら消されるヨ!」

 

カタコトな声が聞こえた。

 

中国?…中国人って言うんだったけ?。

 

周りの観光客の視線は揉め事に集中していた。

その時だった。

カタコトな日本語言っていた観光客が唐突に呻き泡を吹いて倒れた。

辺りはどよめき声に変わる。

住職は慌てて救急の連絡をして程なくすると救急隊員がやって来て担架に乗せて去っていく。

さっきまであの住職は迷惑していたのにそれでも助けようとするなんて。

この行動はあたしには少し理解できないものだった。

義理人情って言うのかな?

みんなは理解できるんだろうか。

 

それとあの中国人の観光客…健康を食べられた?

 

あたしはそう思った。

近くにあいつがいる?

 

あたしは寺院から出る。

下ってねねの道に出ると紫色の霞があった。

 

「なにしてるの?」

 

そう言うとあたしだとわかったらしい。

 

霞は動き露地へと入って行く。看板を見ると『この先、住居の為、撮影立ち入り禁止。罰金一万円』と日本語、英語、韓国語、中国語で書かれていた。

 

全部同じように読めるあたしって実はすごい…?

 

「でも立ち入り禁止だよね?」

 

「大丈夫だよ、入っておいで」

 

霞から声が聞こえた。

あたしは渋々入る。

建物に入ると、顔の真っ白な女性が数人いた。

あたしは小さくぺこりと頭を下げると向こうも困惑していた様子だったが頭を下げてくれた。

 

二階に登ると霞は人の姿を取っていた。

 

「牛頭天王…」

 

「お嬢さん、ようおいでやす」

 

この人が言うとなんか似合わないな。

 

「ここあなたの家?」

 

「仮住まいだよ」

 

神様が仮住まいって変な気分だ。

 

「お社とかに住んでるとか思ってた」

あたしが言うと

「確かにあそこは実家だね」と笑う。

 

「下の階の人達は?」

 

「舞妓さんって言うんだ。美しいよね」

 

この人はこの街が好きなんだと思わせる何かがあった。

 

「さっき…健康を食べた?」

 

「食べたよ」

「……さっきの人の健康を食べたのはわかった。

でも魔法使いの健康を食べるのはどうして?

さっきみたいに悪いこともしてないはずなのに」

 

牛頭天王は小さく笑うだけで何も言わなかった。

 

「……」

 

お互いに無言が続く。

先に口を開いたのは牛頭天王だった。

 

「食べる必要が僕にはあるんだ」

 

「なんで…?」

 

「人間はいろんな食事と睡眠をするだろう?

妖も同じく喰事をするよ。それと一緒。

僕は健康を食べて生きている妖だ」

 

「食事…」

 

あたしはじっと彼を見る。

牛頭天王はそんなあたしを見つめる。

しばらく考えてあたしは溜め息。

 

折れよう。

 

「もういい…そういうことにするよ」

 

「ありがとうお嬢さん」

 

「…。その代わり、あたしの目の前で魔法使いの健康を食べたらあなたを倒すから」

 

「いいね。それでいこう」

 

「……」

 

一瞬あたしはひるんだ。

サムで戦っても正直勝てるか…五分だろう。

神様じゃなく妖怪。

でも祀り上げられて大きな力を持っている。

絶対的な信仰心を基に力に変えている。

まぁもういいけど。

 

「じゃあ、あたし行くね」

 

「おおきにね」

 

だから似合わないよそれ。

そんなことを思って後にした。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

学校の授業に付いてくのは難しくなかった。

でもゲームとなると難しい。

銀狼みたいな裏技?

そういうのは得意じゃない。

 

ーーー

 

ホタル:銀狼いる?学校で勉強してるんだけど銀狼って得意な科目とかある?

 

メッセージを送信できませんでした

 

ーーー

 

送信失敗。

予想通りだけど…少し寂しい。

ホームシックってやつかな。

でも銀狼って元々賢いからそもそも習い事とか勉強もしてなさそう。

星核ハンターをしてる時は銀狼にも色々教わったくらいだし。

 

『ホタル、私がそんなことするわけないじゃん。あ、でもエーテルアンカーは勉強したかも』

なんて…いやエーテルアンカーそもそもゲームだし。

銀狼に会いたいな。

 

〜〜〜

 

高代寺の近くに住んでるクラスメートがいる。

今日はその子と一緒にお昼を食べている。

 

「それ楠乃葉さんのお手製?」

 

「分かるの?」

 

「分かるよーあの人よくそれ食べるから。2番目の好物らしいよ。かなり有名」

 

あたしのお弁当はいなり寿司で敷き詰められていた。

 

「あの人の好物がこれ?」

 

と言うか2番目って何?1番目は…?

 

「意外でしょ」

 

その言葉にあたしは納得した。

 

「ううん?。なんか合う気がするよ」

 

「まーじーかー」

 

そこから話しは高代寺に行った話しをした。

 

「罰金一万円て面白いよね」

 

「観光公害って大変なんだね…」

 

そんな話しをした時

 

「高代寺も1人で行ったのか」と久我がいた。

 

も…って。

 

「1人で…だけど?」

 

「サミュエル、話しがある。来てくれ」

 

唐突に久我はあたしの腕を取りひっぱろうとしたのだろう。

でもビクリとも動かなかった。

こんな細い腕のどこにこんな力があるのか久我はそれに驚いてた。

友達も少し驚いた。

 

「ごめんね、今友達とご飯食べてるし…」

 

やんわりと拒否したつもりだった。

「そんなに嫌なのかよ…」

 

小さく呟くのが聞こえ久我は去っていた。

「ふぅ…」

 

「サミュエルさん。アイツ絶対サミュエルさんのこと好きだよ。嫌ならもっとちゃんと断らないと」

 

「えぇ…?!あたし…断ったつもりだよ?」

 

そう言うと友達はやれやれとジェスチャーをするような仕草をした。

 

こういう時、あたし…どうしたらいいんだろう。

 

〜〜〜〜〜〜

 

「ホタル、恋人とかいないの?」

 

夕食を霊峰の屋敷で食べている時にあたしは今日の事を相談した。

そしたら月夜はそう言った。

 

「な…なんで?」

 

「恋人がいるって言った方が諦めてくれるって!」

 

「月夜、ホタルがそんなこと言って逆に彼がそいつを殺して私も死ぬってなったらどうするんですの?」

 

「ならないわよ!」

 

「乙女心すぎますわよ」

 

「なんでよー!」

 

「してホタル、そなた実際おるのかぇ?男は」

 

楠乃葉が聞いた。

その聞き方なんか恥ずかしい。

否が応でも考える言い方だ。

あたしの中で穹の顔が浮かんだ。

 

「あ、この顔はいないわね」

 

「友達以上恋人未満ですのね」

 

「案外おるかもしれぬぞ」

 

外野が色々言っていた。

 

けどこの3人になら話してもいいかもしれない。

 

「気になる人は…多分いるのかな…でもその…男の子と女の子の関係っていうのには…全然で…」

 

3人は真面目に聞いてくれていた。

それが少し嬉しい。

穹もこの世界に一緒にいられたらもっと楽しかったのかな。

 

「女の顔してるわ」

 

「静かにしてやりなさいですわ」

 

「年相応であろう」

 

3人は色々言っていた。

 

「写真はあるのかぇ?」

楠乃葉の言葉にあたしはスマホに撮った写真があると考える。

とても貴重なとても大事な写真だ。

 

3人はあるなら見たいと言う顔だ。

あたしはスマホを取り出し写真を見せた。

3人揃って「おおおーー」と声を出す。

 

とてつもなく恥ずかしい。

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

美術の授業があった。

棚にある物に目を惹かれた。

ガラスで出来た物や布地で出来た小物、日本人形。

いろんな物がある。

 

「ちょっとした美術館みたい」

 

「サミュエル、物を見るのもいいが授業だ

絵を描け絵を」

 

「あっ…すみません…」

 

背後に教師が立っていた。

というかあたしの背後を取れるなんて。

そんなことを考えながら授業に戻る。

うーん…。1日で難しい物を描くのは出来ないや。

適当でいいかな?

あたしは隣の人の絵を見る。

めちゃめちゃ上手だった。

しかもその中の絵が動いていた。

ま…魔法??

全く参考にならなかった。

 

 

ふと視線を感じ背後をちらりと見る。

久我があたしを見ていた。

 

居心地の悪さを少し感じた。

 

〜〜〜〜〜

 

寺街通り

京ノ都老舗商店街というやつだ。

こんなに人がいるなんて。

月夜と食べ歩きをしようと誘われた。

こんなに大勢の人がいるとサムになって戦うと目立ちそうだ。

 

「ホタル、変なこと考えてない?」

 

「え?あ、うん。ちょっとここだと戦うのは大変そう…みたいな」

 

「なんでそう言う思考なのよ」

 

「お祭りの前でそれが始まっちゃうとすごい混むの。

その前にいろいろ食べたくて。

今日はまだ少ない方だよ」

 

へぇ…と思いながらあたしは通り過ぎた学生の男女を見てピノコニーで穹を案内した事を思い出した。

 

彼と2人で過ごせたのはあの場所だけだった。

なけなしのおこづかいで奢ってあげるって言うと穹はクロックピザをまるごと買って一緒に食べようって言って食べ歩きをしたっけ。

 

「聞いてる?」

 

呼ばれていたらしい。

「あ、ごめんーーーそれでどうしたの?」

 

「いや尾行されてるんだけど…」

 

「え?」

 

人が多く判別が付かない。

緊張感が増した。

 

「あたしを尾けてる?」

 

「多分…って言うかあいつだよ」

 

「う、うん」

 

久我扇。

 

彼の姿が見えた。

 

「こういうのは堂々とした方がいいわよ」

 

「堂々…?」

 

そう言う月夜はずかずかと久我の前まで歩く。

久我はそれに少し面食らったような表情をした。

 

「私のサミュエルに何か用なの?」

 

"私の?"そんなあたしの思考は他所に2人は会話を続ける。

 

「いや…サミュエルがいたから声を掛けようとしたんだ」

 

「私いるんだけどー?」

 

「知ってる。じゃあ2人は何をしてたんだ?」

 

「市場の案内をしてもらってたの」

 

あたしはそう答えた。

 

「………」

 

「えっと…久我くん…?」

 

久我はしばらく無言だった。

大勢の人がいるのに今この場にいるのがあたしと月夜と久我の3人しかいない気がした。

いや事実あたし達だけしかいない。

どういうこと…?

戸惑うあたしに答えたのは月夜だ。

 

「久我、あなた…魔法を使ったわね…」

 

「サミュエルの性格を少しわかった気がしたんだ。サミュエル」

 

「は、はい?」

 

「サミュエルは今付き合ってる人いるのか?」

 

「………?……?え、ええ?」

唐突過ぎる問いにさすがのあたしも何を言われたのか頭が回らなかった。

 

「付き合ってる人だよ、いないのか?」

 

「久我…あなたさっきから何?それ失礼よ」

 

「お前に聞いてないだろ!」

 

2人が言い合う中あたしは「い…いるよ!!」と答えた。

この言葉に2人は固まった。

 

「いるよ、うん」

 

あたしはそう答えた。

言葉だけじゃ分かってもらえない気がしたからスマホの写真も見せた。

ごめん穹!今だけ頼らせて…!内心謝罪する。

月夜だけ声にならない悲鳴というか「きゃー」みたいな声をあげていた。

ちょっと静かにしてほしい。

しかしそれを見た久我は無言だった。

何も言わない彼にあたしは言った。

 

「あたしの、かれし…だよ」

 

言っておいてなんだが嘘付くのが悲しくなった。

 

久我の表情は笑うでも無く悲しむでもなく怒るでも無く凍り付いていた。

 

久我はただ一言「そうなんだ」だった。

 

彼は背を向け去っていく。

同時に人の波が押し寄せていつもの賑やかな市場の明るさが帰ってくる。

 

これで良かったんだよね?。

 

 

〜〜〜〜

 

被服室にあった日本人形が無くなった。

 

そんな話を聞いたのは休日明けの学校にあたしが行った時だ。

同時に久我も学校に来ていなかった。

 

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