その代わり更新速度早くするので><申し訳ございません。
博麗神社ーーーーーそれは幻想郷の最東端に位置し、幻想郷を一望出来る眺めの上桜が最も美しいと言われている場所。別名多くの妖怪が博麗神社に訪れるため妖怪神社とも言われていた。
そんな人間には訪れ難い神社だが、今、博麗神社には人間だけが和気藹々と言った感じに楽しく会話をしていた。
赤と白の袖が無い、肩や腋が露出した巫女服、ストレートの綺麗な髪に頭に乗っかった大きなリボンがトレードマークの博麗霊夢。そして片側だけおさげにしたロングショートの金色に輝く髪、リボンのついた黒い三角帽を着用し、黒と白色のエプロンドレスに身を包む魔法使いの様な格好の霧雨魔理沙。
どちらを見ても現代社会人のファッションには似ても似つかない奇抜な格好の中、その二人に挟まれる様に座った男性。特に記述する必要も無い普通のファッションをした格好の者が居た。
縁側に座りながら三人で談笑し、暖かいお茶を啜り太陽に当てられながらのんびりと過ごす三人。魔理沙が一笑したら男も笑い、霊夢が溜息を吐いたら魔理沙が苦笑いを零す、そんな雰囲気の中魔理沙がポツリと言葉を零した。
「それにしても………あっついなぁ」
「夏だからね、当たり前でしょ」
洋服をパタパタと仰ぎ風を少しでも送ろうとする魔理沙に素っ気ない態度で霊夢は返す。つまらない態度に彼女は苦笑いをしながら「つれないなぁ」と口を開く。
そういえば、と男が魔理沙の言葉を繋ぎ、口にした。
「確か紅霧異変もこの時期だったよね、レミリアが起こした異変の」
彼のその言葉に魔理沙は「そうだったなぁ」と霊夢は腕を組みながら「そうだったっけ?」と。霊夢の返し言葉に彼は溜息を小さく零し、頭をガジガジと少し強めに掻いた。
風が全く吹かなく、髪も靡かなければ暑い日光に照らされた体を冷やす事も出来ず彼の頬に一筋の汗が流れる。
「そうだったろ、こんな暑い夏の日に起きたじゃないか。覚えてないの?」
去年の出来事だったじゃないか、それにレミリアとは結構親しくしてるだろ? と付け加え彼女の記憶はちゃんと正常かを確かめる。心配そうな表情を浮かべる彼を一目見たあと面倒そうに。
「ちゃんと覚えてるわよ、馬鹿じゃあるまいし」
相変わらずの裏表の無い態度に彼から深い溜息が零れた。気を取り直す為先程よりは少し冷めた緑茶を一啜り、だが猫舌の彼にはこれ程の熱さがちょうどいいのか湯呑みを優しく茶托に置き、”ほう”と口から暖かい溜息を零す。悩みによる溜息ではなく、満足げな溜息。
その一連の行動に魔理沙は小さく笑った。「変わらないな」と嬉しそうに口にしながら。
「てことはお前が外界って場所から幻想郷に来てからもう一年が経つのか、時の流れは早いな」
しみじみと、嬉しさ半分名残惜しさ半分と言った表情を浮かべる魔理沙。”こんな時間が永遠に流れてくれれば嬉しいのにな”と言わんばかりに。
人間の彼女らは妖怪と違い簡単に傷つき、簡単に死んでしまう。一時一時の時間が大切で、なのに無情にも時は過ぎ去ってしまい彼女らを置いていく。「この時ばかりは妖怪が羨ましいな」と顔で笑いながら言う彼に対し魔理沙は首をゆったり横に振った。
「そんなことないよ、妖怪だと時間が長すぎて待ちくたびれる」
頭の上に乗った大きな三角帽子を外し手に持つと彼の顔に被せ、先程の言葉を少し震えた声で付け加えた。
「それに、私がもしも妖怪だったら人間のお前と離れてしまうだろ、それは絶対に嫌だしな」
恥ずかしいのか顔が林檎の如く真っ赤に染めあげる彼女、彼は顔面に被せられた帽子のせいで魔理沙の顔は見れなかったが声色から察したのか帽子を顔に被せたまま魔理沙の言葉を慣れない口調で返す。
「そ、そうか、まぁ俺も………魔理沙と離れるのは嫌だけど」
帽子越しでわかる程顔を真っ赤に染めた彼と彼女、こういうのは慣れないのか互いに恥ずかしくなってしまい無意識に距離を取ってしまう。普通の魔法使いも色恋沙汰になってしまうと形無しらしい。
なんとも言えない雰囲気に染まる中、霊夢だけが頭痛に悩ませられている様に頭を片手で押さえながら深刻そうな深い溜息を吐いた。
「一昨日恋仲になって嬉しいのはわかるけど、そういうのは私のいない所でやってくれない? 頭が痛くなるんだけど」
未だ顔を真っ赤に染め上げている二人は霊夢の言葉を聞き入れたのか「わ、悪い」と口を揃え同じタイミングで勢いよく立ち上がり、同じ歩調で肩を並べながら顔を互いに俯かせ参道を歩き、鳥居を潜った。
まさか本当にいなくなるとは思わなかったらしく、ポカンと呆けた顔をする霊夢だけが縁側に残った。
だが呆けた表情も一瞬だけ、すぐに我に返り顔を赤く染め上げた。魔理沙や彼とはまた違った、照れくささによるものでは無く怒りによって顔が赤く染まった。
手元に置いてあった湯呑みを乱暴に掴むと土の地面に思いっきり投げた。湯呑みが割れると同時に響き渡る高い音、破片が辺りに散らばり残骸と化すが、それだけでは怒りが収まらないのか魔理沙の使っていた湯呑みを力強く蹴った。
またも高い音が響き、破片が地面に突き刺さる。それに対し彼女は肩で息をしながら拳を力一杯に握る。白に近い肌色の拳が強く握りすぎたせいか青白く染まっていく中霊夢は誰もいない境内で叫びに似た声を上げる。
「魔理沙!!! アンタは幸せでしょうね!? 愛する彼を手に入れて!!!」
喉が潰れる様な甲高い声は神社全体に響き渡った。これほどまでに大きな声だと言うのに返ってこない言葉に更に機嫌を損ねたのか強く歯ぎしりをし、またも声を荒らげた。
「だけど私は幸せじゃない!! 彼を魔理沙なんかに奪われて!! これっぽっちも幸せなんかじゃない!!! これっぽっちも………これっぽっちも!!!!」
力を失った足ががくりと木製の廊下に膝を付ける。無意識に零れ出る涙を止める事なんて出来なく、唯唯嗚咽混じりに言葉を零しながら蹲って大粒の涙を零す事しか出来ない。
「助けて………助けてよぉ…………痛い、痛い」
小さな嗚咽混じりの言葉に気づく者なんていなくて、彼の名前を譫言にポツリポツリと涙を流す中。誰かの声が聞こえた様な気がした。
”取っちゃえばいいじゃない”
突然の言葉に涙に濡れた顔を左右に振り声の主を探すが見当たらず、ただ言葉が聞こえてくるだけだった。
”彼を無理矢理にでも取っちゃえばいいじゃない”
耳を塞いでも聞こえてくる声に霊夢は戸惑う事しか出来なかった。そこには異変を何度も解決してきた少女ではなく、ぐちゃぐちゃになった顔で呆然と虚空を眺めている少女。
”あんな奴より貴方の方が似合ってるわよ”
甘美にも似たその言葉は、脆く弱りきった霊夢の心を操る事なんて造作もなかった。段々と彼女の口元は歪み、気味の悪い笑みを作っていた。
”そう、魔理沙だ、魔理沙さえいなければ万事解決じゃない”
その言葉に目を大きく見開く霊夢。気付けば彼女は空を飛んでいた、魔法の森に向かって。手元には鋭く尖った封魔針と強力な妖怪退治用の札。人間なんて軽く殺せる程の強力な。
目は赤く染まり、瞳孔は黒く染まって、口元を気味悪く歪ませながら空を飛ぶ。
彼女に先程の声の正体を知る由はないだろう。何故なら先程の声の主は妖怪でも神でも無い。
ーーーーーーーー彼女自身だったのだから。
♥ ☂ ♠ ▼
さっき神社で駄弁っていた時はいい天気だったのになぁ………。
空は薄暗い雲に覆われ、夏だと言うのに太陽が訪れる気配もない薄気味の悪い空。今にも一雨きそうだ、と心の中で言葉にした。
折角の魔理沙との初デートだと言うのに、こんな天気じゃ盛り上がる話も盛り上がらないじゃないか、自分の運の無さに失望しながら彼女の到着を待つ。
場所は魔法の森近くの木々に覆われた一本の大樹の下。昼で、尚且つ霊夢お手製の妖怪避けの御札を手に持っているが流石に怖い。この場で妖怪に襲われたらどうしようと言う不安が脳裏を過る。
生温い嫌な感じの風が体を覆う。手首に付けられた腕時計を確認すると短い針が三を、長い針が十五を指していた。
確か待ち合わせ時間は三時だった筈、かれこれ待ってみても来る気配の無い彼女に苛つきを覚えてしまうが初デートから失敗したくなんて無い。頭を横に振り楽しい事だけを考える事にする。
一昨日彼女に告白された事を思い出すと思わずだらけた笑みが零れてしまう。だけど流石にあれはベタ過ぎるだろうに、”私の時間をあげるから貴方の時間を下さい”だなんて。
頬が弛みきり、気持ちの悪い笑みを作ってしまう。いかん、今魔理沙が来てしまったら一瞬で台無しになってしまう。折角今日は特別に力を入れて洋服選びをしたのに。
それにしても遅すぎる、もう一度時間を確認すると長い針は大きく変わり、四十を指していた。早すぎる時の流れに思わず声を上げて驚いてしまう。
博麗神社の帰り、彼女からデートのお誘いが来たにも関わらずこの時間の遅れ。流石に何かがおかしい、彼女に変な事をして嫌われたのかもしれない。だけどそれにしては心当たりが無さ過ぎる。
只管悩むに連れて同じく流れ出る時間、気付いた時には短い針までもが変わり、三から四を指していた。
わからない問題に頭を抱えてしまう、どうする? このまま魔法の森に向かうか? いや、俺単体で行くにしては危なすぎる、せめて霊夢が居れば助かるんだが。
大樹に背をやりずるずると腰を降ろす。俺の中で出来上がった今日のプランがズタズタだ。何故こうも自分はツイていないのだろうか、幻想入りした時だってそうだ。志望校が決まり浮かれきっていた所を無情にも幻想入り。
人の形をした妖怪に何度も襲われ精神共に弱りきった頃霊夢に助けられたのは幸運だったのかもしれない、不幸中の幸いって奴だ。
だけどそれで終わる筈も無く、自分にとって異世界の地に放り投げられ0からのスタート。社交的過ぎる人里の連中にうまく入り込めず、友人と言えるものは霊夢と魔理沙ぐらいだった。
今では昔よりもマシと言えるレベルだがそれでも俺は所詮外来人、変な目で見られているのには変わらない。
そんな中俺を物珍しい目で見てくれた魔理沙には感謝しているなぁ、人里に馴染めない俺を本当に良くしてもらって………。
しょうがない、魔理沙の家までは行くか、霊夢も呼ばなきゃ危ないし、彼女と会ったら色々と話そう。
だがやはり俺は運が向いていないらしく。目の前に突然現れた大きな熊に呆けた顔をするしかなかった。
☛ ☚ ☝ ☟ ☂
呆けた顔をする彼に向かって無慈悲にも迫ってくる熊。流石に妖怪避けの護符も熊には効果が無いのか平気な顔をして迫ってくる。
逃げようとしても腰が引けたらしく、動けずに居る彼。だが次の瞬間に熊は跡形も無く消え去った。
頭の整理が追いつかないのか狼狽える事しか出来ず、ただ地面に落ちた四枚の札を彼は眺めている。そんな彼を安心させる様に空から舞い降りたのは赤色の巫女服を着た彼女、博麗霊夢だった。
彼女の姿を見て一気に張り詰めた死の恐怖が解けたのか口で荒く息を吸い込み吐き出す彼。最後にもう一度深呼吸をすると顔を彼女へと向けた、礼を言おうと。
だが彼女を見て出てきたのは言葉にならない小さな悲鳴。彼女、博麗霊夢は赤色の血を巫女服や絹糸の様な綺麗な髪に浴びていた。
そして片手に持つのはピクリとも動かない白黒の魔法使い、霧雨魔理沙。彼女の目だけが大樹の下にへたり込む彼を眺めている。ポツリポツリと空から零れる大粒の雨、それはあっという間に大降りになり霊夢と魔理沙を濡らす。
唯一濡れていない彼が信じられないと、信じたくないと言わんばかりに口をする。現状を疑問する言葉を。
「れ……霊夢……なんだよそれ……何なんだよそれ!!」
後半の言葉に怒気を含め声を荒げる彼。すると彼女は嬉しそうにニタリ、と笑ってみせる。口元と目元を三日月に歪ませた笑みで。
そんな彼女を見ると心の底が冷たく震える。誰だこいつは、俺の知っている霊夢じゃない、誰なんだこいつは。そんな彼の考えを読み取ったのかゆったりと気味の悪い笑みを浮かべながら風鈴の様な涼しい声で言った。
「私は博麗霊夢よ、それ以外のなんでもない、幻想郷の素敵な巫女、そして貴方はその宿り木」
言っている意味がわからないという表情を浮かべる彼、だがそれも次の霊夢の言葉に打ち砕かれる。
「魔理沙はその宿り木を私から奪った、泥棒癖が付いていたのはわかっていたけど、まさかここまでなんてねぇ」
その言葉に一気に彼の表情が怒りに染め上がる。気付けば彼は地を蹴り、彼女へと猛牛の如く突っ込んでいた。
彼女の首へと折る勢いで突撃し、霊夢へと馬乗りになりながら憎悪に満ちた表情で彼女の首を絞め落とす。大粒の雨が彼らを濡らし、霊夢は苦しそうながらもどこか嬉しい表情で言葉にならない口を開いた。
「やと………わた……見てく…………た」
本当に嬉しそうに、欲しかった物が手に入った子供の様な表情を浮かべる彼女に彼は憎悪の言葉を投げ込む。
「うるさい!! 死ね!! 死ね!! 死ね!!!! 死んで魔理沙を返せ!! 魔理沙を返せよ!!!」
雨なのか涙なのかわからない、ぐしゃぐしゃになった表情で叫び声を上げる。それに対し霊夢は相も変わらず笑い、笑い、笑った。
彼女の態度が気に食わない彼が更に強く彼女の首を両手で締めると、何かが折れる音を発し彼女はようやく動かなくなる。
息をしていないのを確認すると彼は魔理沙を一目、そして霊夢へと視点を戻し彼女の小柄な体を抱き抱え必死に泣いた。
絶叫にも似た声が雨の落ちる音と合わさり、彼の涙までもが空から降ってくる水滴と混じ合わさり、彼から何もかもを奪い取った。
出す涙がなくなった彼は彼女の懐にある封魔針を掴み、躊躇うこと無く首元に刺す。抜くと同時に赤色の血が辺りの水たまりや地面を赤く染め上げる。
段々と霞んでいく目の前、冷たくなっていく体温を無視して霊夢の手を弱々しく握り、その場に倒れた。呼吸するのも精一杯と言った感じに、考える事もままならない中彼は強く思う。
どうか、どうか時間を過去に戻してください。お願いします。
力尽きた彼を、首が折れた霊夢だけが笑いながら見ていた。”やっと私の物になった”と。
私的にこれはBadEndですね、軽く欝になりましたもの。
ヤンデレはやっぱり難しいですね涙
オリ主は読者様の想像に任せます、読者自身でも宜しいですし、なんでもいいです。
次回からは主人公に名前を付けるかもです、名前無いと書きにくかったんで涙
こういう名前がいい!! って方はコメント欄で書いてもらえると助かります。