幻想少女達の不器用恋愛事情   作:ニア2124

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今回は前編と後編にわけたいと思います。

決して手抜きとかじゃなく、そうしないと一万文字超えそうで怖いからです。
手抜きじゃないですよ(震え声)


レミリアの場合①

 

死とはなんなのだろう。

 

 俺は赤色に囲まれた部屋でふと心の中で呟いた。そんな哲学じみた事科学者でも評論家でもなんでも無い俺にわかる筈もなく、ただ頭を悩ましていた。

 

 ある者は絶対なる”無”と言い張り、またある者は”天国や地獄”が死んだら待っている、と言い張った。どこかのテレビで少しだけ見たことがある、死後の世界はあるとかなんとか。うろ覚えでしか覚えていないが、確か死後の世界は誰もいない音もしない場所らしい。

 

 ある科学者はこう言った、「私は『寿命が来れば肉体は朽ち果てるが、霊魂は生き続ける。その意味で、人は死なない』という考えに至りました」と。この言葉に他の者は一笑し一蹴するだろう、「そんな筈ない」と。

 

 だが不思議な事に死後の世界は何なのだろうか、と考え追い求める科学者もそう少なくはないらしい。恐らく彼らや彼女らは未知の出来事に挑戦する事が大好きなんだ、ある者は霊に対し興味を持って、ある者は未確認生物、所謂UMAに対し興味を持った。

 

 科学者では無いが、かの有名な独裁者アドルフ・ヒトラーでさえ霊の存在を信じていたと言う。昔チラリと見ただけだが悪魔崇拝者でもあったらしい。

 

 っと、話がずれてしまった、まぁ俺が何が言いたいかと言うと俺は今までに何度も”死を体験した事がある”だけどそれは交通事故でも難病による物でも通り魔に襲われ走馬灯が脳裏に過ぎったとかそういう物じゃない。初対面の者らにこの話をしたら間違いなく正常かを疑われるだろう、悪くて精神病棟行きだ。

 

 

 だけども俺は何度も言い張る、俺は妖怪によって何度も殺されかけたんだ。

 

 昔の恐怖を思い出してしまい思わず弾力性のあるベットの上で居心地が悪い様に寝直す。そう、妖怪だ。魑魅魍魎と言った人に害を与える化物。

 

 俺は一年程前に幻想郷と言う”異世界”に放り出された、何の前触れも無く突然に。高校受験に受かった俺の浮かれ気分を突き放す様にこの世界に放り出された。そしてそこで待っていたのは過酷なサバイバル生活。どこぞのテレビでやっている無人島生活とは比べ物にもならない過酷な物。

 

 四月、五月、六月と妖怪の蔓延る森での一文無しスタートだ。何度も妖怪に襲われ怪我を負って、崖から落ちたりして、治療する手立ても見つからず幾度も死にかけた。食べれる物はなんだって食べた、飲める物だったらなんだって飲んだ。その飲める物や食べる物がなくなった時は泥水だって腐葉土だって食べ、吐いた。

 

 

 七月の中旬辺りに起きたのは空を赤色の霧が覆い隠す現象。

 

 誰が起こしたのか、それとも自然に起きたのかわからないが”それ”のせいで体調を崩し、這いつくばりながらもその霧の発生源の元へ進んだ。あの時何故あのような行動をしたのかわからないがきっと俺も疲れて、死を望んでいたんだろう。だからあそこに行けば死ねると思ったのかもしれない。

 

 だってそうだろう? 霧に当てられただけで体調を崩す程の恐ろしい霧なんだから。

 

 そして結果的に大きな湖を超え、深い森を超えたが運良く妖怪にも襲われず霧の発生源の元へたどり着いた、そこで俺を待っていてくれたのは大きな鉄製の門に赤髪の中国着の様な服を着た女性。そこで一度俺の記憶は途切れた。

 

 

 目を覚ましたら一人の少女が俺を見下ろしている。肌の真っ白な真紅の目をした青髪の少女、服は黒色のドレスにピンクのフリルスカート、頭の上辺りに小さくチョコンと乗ったシルクハット。見るからにお嬢様って格好をした少女が。

 

 外国人の様な幼い顔立ちに思わず体を硬直させてしまった。驚いて、とかじゃなく見惚れて、の方が正しかったかな。そんな俺を真紅の瞳がじっくりと見下ろしてくる。何秒程見つめあったのだろうか、その赤い瞳の目尻が愉快そうに歪むと少女はやっと口を開いた。

 

 

「貴方………人間?」

 

 突然の質問に戸惑ってしまうがすぐに、即答とは言えないがその言葉に肯定した言葉を返すとまたも愉快そうに、何が面白いのか鈴の様に高く、透き通った笑い声をあげる。

 

 一体何が言いたいのだろう、疑問に思うと同時に視界に映ったのはコウモリの翼に似た羽、それが背中から生えていた。この時点で察したな、”こいつは普通のお嬢様じゃない”って。

 

 心中に渦巻いた感情は殺されるかもしれないという恐怖が半分、そしてもう半分はやっと楽になれるかもしれないという嬉しさ半分。こんな可愛げな少女に、例え何年何十年生き続けた人外だとしても殺されるのなら嬉しいことだ。

 

 決した様に心の中で外界に居る母と父に今までのお礼を小さく呟いてからゆっくりと目を閉じた。せめて楽に殺してくれると助かる、と願いながら。だけど何秒待っても痛みを感じなく、疑問に思い目を開けると息のかかりそうな距離まで近づいた少女が居た。

 

 整った幼い顔立ちが目の前まで迫り、赤色の瞳に呆けた表情の俺が映る。またも硬直してしまった俺に閉ざしていた口を少女は開く。

 

 

「面白い目をしてるわね、ちょうどいいわ少し人手も足りなかったし人間には興味も湧いてきたしね。雇ってあげる」

 

 その言葉は死を覚悟していた俺にとってはあまりに唐突で、嬉しすぎる内容だった。

 

 

     ♥     ♠     ☂     ▼

 

 

「どうしたのよ呆けた顔なんてしちゃって」

 

 少し汚れの付いた窓を拭いていると突然に横から疑問を投げかけられる。

 

 呆けた顔をしていたのか俺は、と心の中で突っ込んでから窓を拭く手を止めると横に立っているのは銀髪の髪に青と白色のメイド服を着た少女、仕事仲間兼友人である十六夜 咲夜が訝しげな顔で腕を組みながら立っていた。

 

 

「別に、ただ昨日の夜からずっと思い出に耽けたり考え事してただけ」

「あら、悩み事なら相談に乗ってあげてもいいわよ?」

「そうか、なら戦争は何故起きるのか、死とはなんなのかを教えてくれると助かる」

「貴方ってそんなキャラだったっけ?」

 

 親友と言った仲ではないが軽口を言い合いながら話すこの関係はどこか居心地が良かった、「冗談だ」と軽く笑いながら言うと「日々の仕事の疲れで頭がおかしくなったのかと思ったわよ」なんて返す彼女と俺の関係。

 

 雑巾を半分水の溜まった水色のバケツに放り投げると「チャポン」なんて小気味良い音が聞こえる。バケツを赤色の絨毯が敷かれた上にそっと優しく置いてやると彼女が口を開く。

 

 

「お嬢様が待ってるわよ、そのバケツは片付けとくから早く行ってきなさいな」

 

 レミリア様がお待ちか………嫌な予感しかしないのは何故だろうか、どうせ無理難題な提案をしてくるに違いない。軽く溜息を零しクマの付いた目元を擦ると俺は彼女の言葉を返した。

 

 

「わかった、どこでお待ちで?」

「いつもの所よ、玉座の間で待ってる」

 

 考える間もなくすんなりと言葉を返してくる彼女に小さな苦笑いが零れてしまう。「わかった」と面倒そうに言葉を零し彼女と向き合っている状況から左方向百八十度ターン、早歩きで数メートル進んでから後ろを振り返ると音もなく消えた彼女とバケツ。

 

 俺以外にこの館の住民でマトモな奴はいないのか、と呟き前を向く。前方に広がるのは長い長い紅に染まった廊下だった。

 

 

 

     ☚     ☛     ☝     ☟

 

 

 この場も相変わらず赤く染まった一つの広々とした部屋、中央には豪華に装飾された赤色の椅子にチョコンと座るレミリア・スカーレットが居た。

 

 白に近い桃色のレースとナイトキャップを被り背もたれの長い椅子に身長の低い彼女にはあまり似合わなかった。そしてその少女の場所から大股で凡そ五歩程の距離を取った場所に燕尾服を着た男性が跪いている。彼のその姿を見て肘掛けの付いた椅子にレミリアは頬杖を立て、吸血鬼特有の八重歯を露出させながら嬉しそうに笑った。

 

 椅子に座るのは小さな少女だと言うのにその場は重たい雰囲気に染まりきり、彼の頬に一筋の冷や汗が流れた。そんな雰囲気の中少女は口を開く。

 

 

「ねぇ………貴方は本当に吸血鬼になる気は無いの?」

 

 その言葉を聞いた彼の心中はあまり穏やかでは無かった。

 

 それはそうだ、ここ最近、一週間程の期間だがレミリアは頻りに彼へとこの提案を出していたのだから。何かと会話が続けば絶対と言っていいほどの確率でこの話題が彼女から出される。その度に何度も拒否し続けるも今こうしてまた提案される。

 

 心の中で彼は小さく溜息を吐いた。もうこの話題は懲り懲りだ、と。

 

 だが主の手前、彼の心中に渦巻く言葉を投げつける事なんて出来なく、いつもの様に彼は笑顔を作りながら顔を上げこう返す。

 

 

「申し訳ございませんがやはりその提案には乗れません、私が妖怪を恨んでいるのはお分かりでしょう?」

 

 「何度も申し付けている筈です」と返してから彼はもう一度顔を地面に伏せる。何度も妖怪に殺されかけ、遊びものにされた彼には妖怪に対する怨念すら出来上がっていた。この館の住民はまた別だが、人間である咲夜以外にはどこか一線の距離を置いている。

 

 その返答に少女は悲しげに顔を伏せ「そう、残念だわ」と小さく呟く。その様子を見た彼の心が少しだけ痛んだ、針を刺された様な鋭い痛みが。

 

 この館に彼は長らく働いている、咲夜と同じく彼曰く「住む所があってご飯が食べれて服を着れるのならどこでもいい」という考えなのだがやはり長らく働くとその場所には少しの愛情が篭ってしまう。

 

 そして八ヶ月程の紅魔館での仕事の末出来上がったのはレミリアへの忠誠心。それが彼の心を紅魔館に縛り付けていた。

 

 

 暫しの沈黙の後、レミリアは少しの間考え込んで口を開く。

 

 

「もう今日は下がっていいわよ、目元にクマが出来てるわ、どうせ昨日もあまり寝付けなかったんでしょ?」

 

 レミリアの優しいその言葉に心が締め付けられる。”グッ”と何かを堪える様な表情を浮かべた彼は震えた声で礼を言った。

 

 彼の身長の何倍もの大きさをした扉前まで進み振り返った後彼は三秒ほど深く頭を下げ、扉を開ける。広い広い赤色の部屋には小さな青髪の少女だけが寂しげに残っていた。

 

 一度だけ悲しそうに顔を俯かせ、溜息を零した後誰もいないこの空間に一つの言葉を投げ込む。

 

 

「咲夜、いるかしら」

 

 投げ込んだのは紅魔館のメイド長の名前。その言葉は虚空へと消え去り、この場には誰も現れる事は無いと思ったが舞台は幻想郷であり更に紅魔館ときた。

 

 レミリアの目の前には一人の少女が現れ、それに驚く事なくレミリアは淡々とした口調で憂鬱な表情を浮かべながら言った。

 

 

「またダメだったわよ」

「それは残念でしたね」

 

 憂鬱に言うレミリアに対し咲夜は苦笑いを浮かべた。

 

 

「はぁ~……なんで吸血鬼になってくれないのよ、あの子も貴方も」

 

 これで愚痴を零されるのは何度目だろうか、と心の中で小さく呟く。深い溜息を吐きたいが咲夜もやはり主の手前そんな事を出来る度胸は無い。だから出来る事と言えば。

 

 

「だって人間ですもの」

 

 笑顔で目の前の幼い外見の主の相手をする事だけだった。

 

 

 

 

 

 

 




五時辺りまで山で遭難してたんでクタクタです。

五時の山って真っ暗ですね、何も見えませんでしたよ。
しかも熊は怖いし、散々でした。
最終的に優しいお婆さんに助けてもらわなければどうなっていた事か………。

ありがとうございます蕎麦屋のお婆さん!!


(今回の文字数少し少ないなぁ………次回多くします)
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