ジェヘナ〜別に生きていたかったわけじゃない〜 作:らぐらんEX
聖書で見たことがあるの
それ以外、出来ることは全てやってしまったから。ぺらり、とページを巡って見つけたその言葉
「ジェヘナ」
それは罪人の永遠の滅び場所。つまり、「地獄」
私にぴったりだと思わない?
何も未来がなくて朽ちていくだけの私にーーーーーーーー
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カーテンの外から声が聞こえる
弱りきってはあるけれど、張りのある声
「なぁ、元気か?今日の調子はどうだい?」
わかりきっていた挨拶に私は呆れて返す
「あぁ、もうねそういうのやめたの。だって、お医者様がもう回復の見込みはないですって」
だから静かな声で伝える何も聞かないで、と
そしたら彼は心底面白そうに笑った
耳に響く笑い声に私はまたもや呆れて言う
「何か?」
冷たく言い放った私に彼は動じず笑いを堪える
「失敬。まぁまぁ、まだ生きているだけいいじゃないか!」
その言葉を最後に彼は黙った
全く、どこまで気まぐれ屋なのかと私は今日で初めてのため息をついた
窓の外を見つめる
今日は天気がすこぶる良く、小鳥も歌うように飛び回っている
手を伸ばしてみたものの、絵本のプリンセスのように小鳥に愛されてはいなかったようだ
諦めて私は自分の手を見た
何百回と恨んだ私の手 細い腕に薄い、簡素な病院服
私にとって外の世界は羨望の対象だ
だって私は物心ついてから外に出ていないのだからーーーーーーーー
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私は生まれながら体が弱く、病院にいつもお世話になっていた
けど、入院なんてしたこともなく、平和に過ごしていた
今思えば、その時間が私に許された平和な時間だったのかもしれない
そんな幸せな日々は長くは続かなかった
よくあるお話し
私は肺の癌が発見され、家族とは離れ病院で暮らすことになったのが早くも3歳の頃だったらしい
これは親から聞いたことで私はそんな外の世界のことなんか覚えていない
覚えていないということは、知らないということ 私は外の世界なんて見たこともないまま、無感動に生きている
だけどそんな日々も多分もうすぐ終わり
私は後一年で死ぬ 死んで天国へ行って、幸せになるんだ
だけど今なお動き続けている心臓はまだ生きたいと叫んでいる
『えぇ、当たり前。人はみんな、死にたくないもの』
心の中でぽつり、と呟く
そして私は外を見る 季節は春
新しい季節と共に、私の最後の年がやってくる
ねぇ、神様。私の願いを覚えている?
それはねーーーーーーーーーーーー
「潔く、殺して」
誰に言うのでもなく呟いた
呪いとなって、世界を包みますように
優しく、雨に溶けるようにーーーーーーーーー
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「♪〜」
ら、ららら 歌を歌う
うろ覚えだけどお母さんがよく歌ってくれた歌だ
お母さん、私のお母さん
数年前に事故で死んでしまったお母さん
私より早く死んでしまってショックで一週間くらい食事に手をつけられなかった程、大好きだった
けれど、私はそのお母さんの葬式にも出られなかったのだ
「馬鹿なはなしね」
私は無感動に呟く
涙はもう出ない 出るのならば外の世界などを恨んではいない
がらり、と音が聞こえた 私は遠いドアをゆっくりと振り向いた
期待はハズレ 誰もいない景色がそうやって私を嗤っていた
お父さんも弟もお母さんがあの世へ行ってからお見舞いにも来なくなった
まぁ、そんなことはどうでもいい
それよりも、私には本がある
「ーーーー。」
歌うのをやめて、小さなテーブルに置いてある一冊の本を取る
ー人魚姫
お母さんの置き土産 昔から物語りが好きだった私にお母さんは買ってきてくれた
挟んでいた栞を取り出して読み始める
何百回も読んでいたから結末は読めていた
「泡になって消えるーーー」
なんて幻想的で羨ましい死にかた、消えかた
それなら苦しみも、痛みもないだろう
私は本をぱたん、と閉じて窓の外を見る
今日という地獄は私を責めるようにこちらを見ていた
こんにちわ!初投稿のらぐらんEXです
wotakuさんのジェヘナを元にして作品を作らせていただきました
プロセカを最近初めて胸に刺さったのがこの曲で、だれも元にして書いてないなら書いちゃおう!と思って書きました
連載に間が開くかもしれませんが温かい目で見守っていただくと光栄です!!