数日後、本当に城から兵士が来た。
「本当にそこまでの権限があるのか…?一服盛ったのか?帝に」
「貴方は私を何だと思っているのかしら?」
かぐや姫の部屋の前で、ぼそりと(本人曰く)呟いた声にかぐや姫が突っ込んでくる。
「そんなことは置いておいて、早く本題に入ったらどうなの?」
「…そうね。というか、私は貴方がここにいる事に一番驚いているのだけれど?」
かぐや姫の驚きの原因はルーミア。それはそうだろう。(後に聞いた話だが)ルーミアは陰陽師たちの中で妖怪の王のような扱いを受けているらしく、会ったら死ぬ事が確定しているので、危険度最大らしい。しかも、なぜか月の書物にも載っているらしく、かぐや姫は軽口を叩いてはいるが、死ぬほど怖いのだとか。
「黙って説明。しないなら黙る。良い?」
「わ、分かったわ…」
「…なんか、機嫌悪い?」
「そんな事無いわよ?」
ルーミアはそう言うが、どう考えても機嫌が悪い。
「と、とにかく、私を迎えにくる月の民には一人だけ仲間がいるわ。私の先生であり、月の重要人物の一人。その人は私が地上に落とされる原因を作った人だけど、私自身はかなり感謝しているわ。それで、たぶんその人は迎えに来る人物の代表をしているはず。ただ、その人はさっきも言った通り味方よ。おそらく迎えの代表として私の元に一人で来るわ。そして、その時に合図を出すわ。そしたら他の月の民たちを倒して。ううん。言葉を濁さずに言うなら、殺して」
「良いのか?言い方は変だが、同族だろ?」
「向こうはそんなこと思ってないわ。たぶん私の事を『穢れ』を浴びた不浄の人間だと思ってるわ。だからこそ、私は帰りたくないわ。どうせ監禁されて永遠を過ごすだけなんて耐えられないわ。だから力を貸して」
「…………ハッ!中々ひどい生活だな。そんなもん、帰りたくなくて当然か。なら、今回はやる気を出すか。ルーミア。手伝ってくれるか?」
「……迅真がやるって言うなら、私は構わないわ。でも、良いの?たとえそれで逃げ切れたとしても、追跡される心配は?見つからない術はあるの?」
「それは……後で考えるわ。今はとにかく逃げる。それを考えるわ。今も軽い監禁状態だから、隠れ場所を探す事すらできないの。だからこその後回しよ」
「そう。じゃあ1時間だけ時間稼ぎをしてあげるわ。その間に迅真と一緒に逃げる場所を見つけなさい。良いわね」
「え、俺も手伝うの?戦いたいんだけど?」
「……じゃあ役目交代で。迅真が1時間稼ぐから私達で逃げる場所を見つける。これで良いわね?」
「え、えぇ。分かったわ」
「うん。その、無理言ったみたいですまん。だからそんな怒らないでくれ。後で何でも言うこと聞くから」
「え、なんでも?…分かったわ。ちゃんと聞いたからね。ふふふ」
何か変なスイッチを押しちまった。と迅真は気付くが、ここで撤回したら一体どんな報復が来るのかが怖すぎて何も言えなかった。
「と、とにかく、夜までは何もすることは無いんだよな?」
「そうね。特には何もないわ」
「そうか。じゃあ何するか」
「あ、迅真。私アレをやりたいわ。ほら、この前の…なんだっけ?」
「あぁ、あれか。了解。これでいいか?」
「うん。これこれ。じゃあ借りるわね」
「おぅ。なら、俺もやるか」
迅真はそう言って、ルーミアに渡したものと同じモノを取り出す。
「ねぇ、それは?」
「ん?あぁ、これか。これは大雑把にいうならゲーム。持ち運びがしやすい大きさから携帯ゲームとも言うが、そこは置いておこう」
「ふぅん?『げえむ』って言うのね。月にはそんなの無かったわ…」
「そうなのか?むしろこれよりすごいのが色々ありそうな気がするけどな?」
「まさか。そんな訳無いわ。月なんて娯楽と呼べるものなんて無い、暇すぎて死んじゃいそうな所よ。ねぇ、それ、借りていい?」
「良いぞ。ほれ」
「ありがとう」
かぐや姫は笑顔でそう言い、ゲーム機に意識を向ける。
「うわ!何か光ったわ!な、何かしら、この文字は…?あ!ひ、人が!人が中にいるわ!?どうして!?」
「……うるさい。ったく、これじゃあいくつあっても足りない気がするな…」
迅真は呟きながら、サラリとバッグの中から第三のゲーム機を取り出す。
「……あれ?俺、何か未来に関係する重大な事をやらかした気がする。なんだ?俺、何をやらかした?」
唐突なお告げの様なものを迅真は感じ、考えたが、結局、そのお告げの様なものの伝えたかった事は分からず、何だったんだろうか。と疑問のまま放置しておくことにした。
そのお告げの真実が分かるのは、大体1300年後くらいの事だが、この時の迅真は知る由も無かった。
はてさて。迅真がやらかした事とはなんだろうか…
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