東方種変録   作:大神 龍

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 はい。そろそろお前のテンションについて行けるか馬鹿垂れっ!と言いながらもついてきてくださるツンデレな方々。いや、別に気にしてないから良いけど?というか見てねぇし。な方々も、今日のイベントはこれで最後!最後はこいつだぁ!


番外 バレンタイン ④

 今、彼女――――風見 幽香の前には、いくつかの材料があった。

 

「……これで、何を作れって言うのよ…」

 

 取りあえずそこにあるいくつかの材料を手に取ってみると、ひらり、と一枚の紙が落ちる。

 

「何かしら?」

 

 そこに書いてあったのは、材料の説明と湯煎の仕方。

 

「……私じゃ無理かも。香いる?」

 

「ん?どうした?」

 

 後ろからひょっこりと現れる香。

 

「これ、よく分からないんだけど…どうやるの?」

 

「あ~…チョコレート…ん~…やったのはもう何年も前だしなぁ…いや、出来なくはないか。どんなのを作ってみたいんだ?」

 

「え?あ~っと…じゃあ、花の形ってできるかしら」

 

「うわぉ。とんでもなく難しいのをチョイスしたな。まぁ、出来ない事は無いだろうけども」

 

 言うものの、香は難しそうな顔をする。

 

「じゃ、じゃあ良いわ。簡単なのにしてくれる?」

 

「了解。っていっても、何にしようか…ん~…ケーキとかにするか。ただ、そうするとここにあるやつだけじゃ難しいな…ちょっと何かないか見て来るから、少し待っててくれ」

 

「わ、分かったわ」

 

 香はそう言って倉庫の方へと行ってしまう。

 

「……『けーき』って何かしら…?」

 

 一体どんな食べ物なのだろう…と彼女が考えていると、香が戻ってくる。

 

「こんなもので良いかな…さて。始めるか」

 

 香の言葉と共に、調理が始まる。

 

 

 * * *

 

 

「さて。まず、色々とやる事はあるが、そこは裏で俺がやるとして、幽香にはスポンジ――――ケーキの土台部分を作ってもらう。まず、卵を卵黄と卵白に分けて欲しいんだが…出来るか?」

 

「や、やってみるわ」

 

 パシッと幽香は卵を持つと、ひびを入れようと机の角にぶつけ――――

 

 

 

 

 

 グシャッ!と音を立てて卵が砕け散る。

 

 

 

 

 

「……………」

 

「……えっと、その…もう一回やってみるわ」

 

 まだ一回目。そう、一回目だ。大丈夫。行ける行ける。そう言い聞かせながら幽香はもう一つ卵を取り、今度は勢いが付きすぎない様に細心の注意を払い――――

 

 

 

 

 

 

 

 ベキャッ!!と音を立てて今度は卵が握りつぶされる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………」

 

「……あ、あはは…大丈夫…まだ、二回目…二回目なのよ…」

 

 まだ、大丈夫だから…やれるって…と思いながら幽香が三個目の卵に手を伸ばし―――

 

「ストップストップ。ちょ、何か危ないから。見てられないんだが…」

 

 さすがに二回連続で卵を破壊して滅入ってる状態で倍プッシュしたら一体何個割られるか分かったモノではない。

 

「俺がやるから少し休んでろ」

 

「う、うぅ…分かったわ」

 

 しょんぼりとした様子で後ろに下がる幽香に苦笑いをしつつ、とりあえず卵を割る作業を手早く終わらせる香。その時間は10秒も無いだろう。

 

「なんでそんなに早く出来るのよ…羨ましいわ」

 

「色々やってたからな。基本独学だけども」

 

「十分すごいわよ。むしろ、なんで今まで隠してたのよ」

 

「いや、隠していたって言うよりも、披露できるような場所が無かっただけだけどな?」

 

「ふぅん?でも、趣味で作っても良かったんじゃないの?」

 

「いや、庭の手入れの方に力入れ過ぎてそれは考えなかったかなぁ」

 

「そう…」

 

 そんな会話をしているうちに卵黄と卵白が分けられ、卵黄が入っているボウルの中には溶かしてあるチョコレートも一緒に入っていた。

 

「コレ、かき混ぜておいてくれるか?」

 

「う、うん。分かった」

 

 地味に手伝えることあって嬉しい幽香なのだった。

 

 

 * * *

 

 

 その後、ある程度かき混ぜたソレに香が色々と粉類をブチ込み、泡だて器からゴムべらに持ち変え、かき混ぜている間に、香はいくつかの作業をしていた。

 

「……生クリーム無いな…作るか?」

 

「混ぜる事なら任せて」

 

「お、おぅ」

 

 妙にキリリッとした表情で言われ、反応に困る香。だが、混ぜる作業ではあるので材料である牛乳とバターを9:11の割合でボウルに放り込み、幽香に渡してかき混ぜてもらう。

 

「……なんか、幽香が一瞬オートかき混ぜ機(?)に思えてしまった…やばいかもしれない」

 

「なによそれ…」

 

 バカにされているのだろうとは思うが、まぁ、あながち間違いでもないかもしれない。

 

「スポンジの方はもう大丈夫だろ。生クリームの方を頼むわ」

 

「了解」

 

 幽香から生地を受け取り、そこに幽香がやっている間に作って置いたメレンゲを投下。そして、ゴムべらで少しかき混ぜた後、焼くッ!

 

「オーブンは…無いから窯で」

 

「大丈夫なの?」

 

「やった事無いから知らん」

 

「なんか、一気に不安になったわ」

 

 ハハハハハ。と、香の乾いた笑いが響いた。

 

 

 * * *

 

 

「って事で、焼き上がってから数分して冷えたのがこちらになります」

 

「どこに向かって言ってるのよ」

 

「カメラワークは重要なんだぞ?」

 

「いや、意味分からないから」

 

 そもそも『カメラ』って何よ。とは突っ込まない幽香。

 

「んで、この生地を横で3等分して三段にする。そして、冷えるまでの間に作って置いたこのチョコホイップを間に入れて平らにし、ちゃんと重ねる。そして、その生地の周囲にもこのクリームを塗ると、一応ケーキの完成。これに削って置いたチョコレートを振りかけ、適当なフルーツを乗せると――――」

 

 完成品を持ち上げ、

 

「チョコレートケーキの完成だ!!」

 

 普通においしそうだった。

 

「ね、ねぇ、早く食べましょうよ…!」

 

「よしよし…じゃ、座ってろ。持っていくからさ」

 

「わかったわ!!」

 

 今日一番の返事を残し、幽香は行ってしまう。

 

 

 * * *

 

 

 机の上にあるチョコレートケーキ。輝かんばかりの出来栄えに少し食べるのがもったいなく感じ始めた幽香と香。しかし、作ったからには食べるのまでが礼儀である。

 

「「いただきます!!」」

 

 二人は、昔香が作った木のフォークをそのケーキに豪快に突き刺す!抉る!食べるっ!

 

「「うまいっ!!」」

 

 大満足な様子。

 

「ほんのり甘くて、でもそれを塗り替える様な優しい苦み…」

 

「このふんわり、しっとりとした食感もまた味を引き立てている…!」

 

「そして、ケーキの上に乗っているフルーツ。それを噛んだ時の若干の酸味すらも苦さが打ち消し、甘さだけを残す!」

 

 要約すると、

 

「「おいしいっ!!」」

 

 つまりはそういう事なのだった。

 

 

 * * *

 

 

 ケーキを食べきり、後片付けも終わらせた後、幽香が不意に口を開く。

 

「ねぇ、また今度何かを作りましょうよ。私も少し興味がわいたわ」

 

「そうか…なら、とりあえず卵を割れるようにしなくちゃな」

 

「うっ…頑張るわ」

 

「おぅ。頑張ってくれ。ところでさ、どうしていきなりお菓子作りなんてしだしたんだ?」

 

「えっ!?そ、それは…なぜかいきなり目の前に材料が送り込まれてきたからかしらね?」

 

「なるほどな…じゃあ原因は迅真かな?」

 

「別に、討伐しに行かなくてもいいんじゃないかしら」

 

「行かないって。お菓子作りを教えたいしな」

 

 そうして、幽香のお菓子への挑戦が始まるのだった――――。




 え?今回のイベントの中で一番文字数多くないかって?そりゃそうでしょう。一番やりやすいキャラだもん(実は幽香を最初の時点で組み込むのを忘れた結果こうなってしまったなんて言えない)。

 ではでは。また次回もよろしくお願いします!!(`・ω・´)ゞ






 人気投票まとめ

 1位 『霧咲 香』

 2位 『閃鬼』

 3位 『薙浪 迅真』『龍華 緑』『鳳花』『絢覇』
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