「というわけで!第一回ホワイトデー会議を始める!!」
「じゃ!解散!」
「ちょ、おぉい!?何で即解散なんだよ!?」
「うるさい!材料渡してとっとと去れ!」
初っ端からアクセル全開でぶっ放す迅真と閃鬼。
今ここにいるのは迅真、閃鬼、恂覇、香の4人である。
「ったく…お前らはそれでいいかもしれんが、恂覇はどうするんだよ!こいつが一番の問題なんだよ!」
「なんで私がここに呼ばれたのかすら知らないのだが…?」
「ほら!こいつもこう言ってるぞ!?」
「そりゃそうだろうがよ!お前全く説明してないだろうが!!」
そもそも、彼らは突然足元に広がったスキマに落ち、気付いたらここ―――閃鬼の家に居たというわけだ。
「大体!なんで!集合が!!俺の家なんだよぉ!!」
「そりゃ、お前の家が一番設備整ってる上に誰も来ない」
「来るよ!めっちゃ来るよ!!萃香姐さんとか勇儀姐さんとか鳳花姐さんとかが来るよ!!低確率で緊急案件を運んでくる鬼も来るよ!!」
「なんだ。滅多に人居ないじゃんか」
「これで!?」
「そりゃそうだ。まず、恂覇の家は設備問題で却下。香の家は常時幽香がいて却下。俺の家はルーミアが常時監視してるからサプライズにならない。ほら、一番監視の目が無いのはお前の家だ」
「嘘…だろ…!?」
え?適当に家作るのは?とか、じゃあ恂覇の家を改造すればよくね?とか言っちゃいけません。事実なんですから。
「それじゃ、改めて。第一回!ホワイトデー会議を始める!!」
「議長!やる必要が無いので解散を要求します!!」
「今度はお前か香!!」
「だって!閃鬼の言う通りさっさと材料渡して作り始めた方が得策だろ!?」
「……それもそうか。じゃ、渡す物の意味とかは香に全部任せるぜ。それじゃ、ここに材料は置いておく。各自好きな物を作るように!!」
迅真はそう言って調理器具から材料までを一式揃えて台所へ向かった。
「……さっきのくだりは何だったんだよ…」
「やりたかっただけとか?」
「きっとそうですよ…」
あいつならそう考えかねない。と、全員の意見が一致した瞬間である。
……そう言えば、確か閃鬼はバレンタインデー当日に迅真を探して旅立ったはずだが…はて。その時の戦利品をどこへやってしまったのだろうか?
* * *
~恂覇のターン~
そもそも、彼はバレンタインデーもホワイトデーも知らない。純粋に部下から何かもらった。程度の感覚しかなかった。
まぁ、あながち間違いでもないし、文自体もそんなに気にかけている様子は無かったので問題はほとんどないのだろうが。
という事で、今回は珍しく料理に挑戦。というか、地味に料理自体が初挑戦である。
だが、そんな貴重なシーンは全カットでお送りさせていただく。
「…香から教えてもらい、作ったは良いものの…ふむ…うまく出来たような気がしない…文の渡してくれたものの方が何倍も良いような気がするが…」
「どうしたんです?天魔様」
不意にかけられた声に驚いて振り向くと、そこには件の文がいた。
「あ、あぁ…文か。良かった…」
「む。それはどういう事でしょうか?」
「あぁ、いや。別に深い意味は無いんだ」
笑って誤魔化す恂覇。
「そ、それでだな、文。この前の礼だ。受け取ってくれ」
「え?あ、ありがとうございます…?」
恂覇が差し出した袋を受けとった後、はて。何かしたっけな?と文は考えるが――――まぁ、貰えるのならそれに越したことはない。と結論付け、考える事をやめる。
「で、では、私はもう行くぞ」
「はい。ありがどうございました!」
恂覇がいつもの仕事場へ戻っていく姿を見送り、文はすぐに家へ帰る。
「ん~…何かやったっけなぁ…?まぁ良いか。それで、中身は何だろう?」
文が袋を開けると、ふわりと甘い香りが漂う。
「…?」
文が中身を取り出してみると、そこには小麦色に焼けた綺麗なお菓子が何枚か。
「見た事の無い食べ物ですね…いい匂いです。なんでしょうか?」
取りあえず、文はそれを食べてみる。
サクッ!と軽い音と共に甘さが口全体に広がる。
「んんっ!これは…!!すごくおいしいです!!今度教えてもらいたいですね…でも、天魔様は忙しそうだからなぁ…はぁ、今日は休憩するとします」
文は座り込み、今日一日はのんびり過ごそうと決めた。
* * *
~迅真のターン~
「緑~。久しぶり」
「はい?って、なんでここに迅真さんが!?」
今いる所は実は迅真自身も分かっていない。なにせ、緑の気配だけを追ってテレポートしたからだ。
唯一分かってることといえば、ここが地上からはるかに高い所にある、という事だけだ。
「いやぁ、ちょっと探すのに苦労したぜ。だって最後にあったのが一か月前だからなぁ…気配なんかほとんど覚えてないっての」
最後に会った日。それはバレンタイン。あの後迅真はわざわざ緑のところまで行ってもらってきたのだ。
「ま、そんなことはどうでもいいんだ。ほら、これやるよ」
そう言って差し出したのはクッキー。それもチョコクッキーだ。
「たぶんこれからも世話になるだろうからな。よろしく頼むよ」
「え、あ、ありがとうございます!」
まさか貰えるなんて思っていなかった緑は、喜んで受け取る。
「じゃ、俺はもう行くよ。じゃあな」
「はい!またいつか!!」
迅真はそういうと、姿を消す。
その日、緑は自室から出てこなかった。
* * *
~迅真のターン その2~
「フンフンフ~ン♪フフンフンフフ~ン♪」
妙に上機嫌で迅真は家に帰る。
「迅真?どうしたの?」
「ん~?いやぁ?別に大した事は無いよ?ただ、ルーミアに渡すものがあるだけだ」
「ふぅん?何をくれるの?」
その言葉を聞き、にやりと笑う迅真。ルーミアは一瞬嫌な予感を感じるが…
突然ルーミアの唇を奪う迅真。
コロンッとルーミアの口の中に何かが転がってくる。
「むぅ?ん~…」
唇を離した後、ルーミアは少し考え…
「飴玉…?今日、なんかあったっけ…?」
「ホワイトデーっていうのがあってだな…この前のバレンタインデーのお返しだ」
「……ありがと」
満面の笑みで返され、思わず赤面する迅真。
「こ、これ。残りの飴玉な」
「うん。本当にありがと」
その日、二人は家から出なかった。何があったのかは二人しか知らない。
* * *
~閃鬼のターン~
「…まぁ、昔の意味で伝えれば良いか。正直被らせたくないからな……でもなぁ…」
悩まし気に歩く閃鬼。その手には一つの袋がある。
「閃鬼?どうしたんだい?」
「あ、鳳花姐さん。えっとですね…コレ、受け取ってください」
「ん?何だい?これは」
閃鬼が渡した袋の中には、白いふわふわしたものが入っていた。
「あ~…マシュマロってやつです。んで、中には…いえ、食べてみた方が早いですね」
「ふぅん?じゃ、ありがたく食べさせてもらうよ」
鳳花はそう言ってマシュマロを食べる。
「……これは…この前の『ちょこ』が入っている…?」
「えぇ、入ってます。まぁ、この前のお礼ですね。じゃあ、俺はこれで」
「あぁ、ありがとう」
鳳花に言われ、少し照れながら閃鬼は去る。
さて、余談だが、マシュマロは現代では嫌いな人へのお返しとなっているらしい。が、昔。ホワイトデーが生まれた当初はマシュマロの中にチョコを入れて渡すのが良かったらしい。意味合いとしては、彼女の気持ちというチョコを純白の愛であるマシュマロで包んで渡す、といったものであったらしい。
だからと言って、今は相手が嫌いだ、という意味になってしまっていることには変わりはないのだが。
* * *
~香のターン~
「幽香?居るか?」
「いるけど…どうしたの?」
ぼんやりとお茶を飲んでいるところに帰って来た香に驚きつつも、冷静に返す幽香。
「よかったよかった。居なかったらどうしようかと思ったぜ」
「一体何よ」
「ん?あぁ、渡すものがあってな。ほら、これだ」
「え?えっと、これは?」
それは、様々な色をした半円形の焼き菓子。
「マカロンっていうんだよ。ほら、この前俺にチョコを渡そうとしてくれたろ?そのお礼だ」
「え?でも、あの時は結局香が作ったじゃない。私、何も渡してないわよ?」
「いやいや、別に、貰ってなくてもいいんだよ。作ってくれようとしただろ?それで充分」
「…なんか、納得いかないわね。はぁ、いつか絶対借りを返すわ。貰ってばっかりじゃ悔しいじゃない」
「クククッ、なら、もっと努力することだな。ほら、食べてくれ」
少し悔しそうな顔をしつつも、マカロンを食べると同時に表情が明るくなる。
「これ、おいしいわね!」
「だろ?ほら、お茶もあるからどんどん食べてくれ」
「ありがとう!」
満面の笑みで言う幽香を見て、微笑む香。
彼らは、その日はお茶会をし、過ごすのだった。
マシュマロのやつですが、まぁ、ネットで調べただけなので真実かはわかりませんが、そういう設定だったそうで。
作中でも言っている通り今が嫌いというのを意味することに変わりはないそうですが。とりあえず、これは渡さない方が良いですね。誤解されたら色々とひどい事に(ノД`)・゜・。
え?私?ハハハッ!!ご冗談を!!用意する必要なんてありませんよ(ノД`)・゜・。