東方種変録   作:大神 龍

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第百十話

「幽々子ぉ!!」

 

 駆け付けた迅真は、幽々子を抱き上げる。

 

「クソッ!黒い糸がそこらじゅうに絡まってやがる…!!」

 

 そう言う迅真の視界には一瞬にして無数の黒い糸に絡め取られた幽々子が見えていた。

 

「消失の指輪は…!?」

 

 辺りを見回し、発見すると同時に手に取ると、目に見えて絶望する。

 

「チクショウ…能力が『死んで』いやがる…!!」

 

 その指輪にもう能力は存在していない。あるのは能力の抜けきった器だけだ。

 

「妖忌!!そこに突っ立ってねぇで紫とルーミア呼んで来い!!」

 

「わ、分かった!!」

 

 妖忌は走り出し、紫とルーミアの元へと急ぐ。

 

 迅真も行こうかと一瞬考え――――

 

「――――まぁ、行けるわけもねぇか」

 

 後ろでうごめく桜を睨む。

 

「『アナライズ』」

 

 分析魔法。しかし、それでわかったのは名前だけ。

 

「…西行妖…ハッ、名前通り妖のような桜だな。分析効果のほとんどが殺された」

 

 本来は弱点なども分かるはずの魔法。しかし、判明したのは名前。しかもそれすら一瞬だ。

 

「……俺一人で…行けるか?」

 

 存在の欠片である黒い糸の呪いですら能力の付いたアイテムの効果を消失させた。あれは能力を入れていた器自体が脆かったが、そもそも能力が『死ぬ』というのは中々あるモノではない。

 

「一か八か、だな」

 

 ダーインスレイヴを召喚する迅真。桜の強大さに恐怖する一方で、反対にわくわくしている自分も居る。そんな心が現れているのか、表情だけは笑っている。

 

「……行くぞ」

 

 迅真は飛び出す。魂を返させる為に。

 

 

 * * *

 

 

「ぅぉらぁ!!」

 

 ザンッ!!と音を立てて桜の枝を斬るが――――

 

「ハッ!傷つけるだけで切り落とすまでいかねぇのかよ!しかも再生してるし!!」

 

 ダーインスレイヴ本来の不治の傷を与える効果が発揮されない。推測されるのは『死なされて』いる。効果そのものが。

 

「チィッ!!詠唱略!『爆炎矢(ヴァ・ル・フレア)』!!」

 

 瞬間的に生み出された炎の矢は、桜に向かい――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 フッ。と、消滅する。

 

 

 

「ッ!?」

 

 むしろ、迅真の放った矢を利用して枝が消えた矢の向こうから迫る。

 

「テメェッ!!」

 

 悪態をつきながらもテレポートを使用。

 

 桜の上空へと移動したのち、能力を発現させる。

 

「『光化静翔(テーマソング)』。光の速度を見せてやる」

 

 音も無く迅真は桜にダーインスレイヴを振るう。

 

 一瞬にして伸ばされた枝は切り落とされる。が、斬られた所からすぐさま再生し、再び迅真を襲う。

 

「『言葉:逆説』。不滅の妖桜(あやかしざくら)。『だから』殺せる」

 

 ゾンッ!!と切り捨てられる桜の枝。しかし、能力で断ち切られたにも拘わらず、すぐさま再生する。

 

「チッ、瞬間しか効力を持たない能力は効かないか…さて、どうするか」

 

 幽々子と桜の間で剣を振るい、幽々子へ一瞬たりとも触れさせない様に枝を弾きながら迅真は考える。

 

「……これならどうだ?」

 

 地面に転がってる石を正面まで飛ばし、それと並行して左手にダーインスレイヴを持ち変え、開いた右手で全力でその石を殴り飛ばす。

 

 ドゴゥッ!!と轟音を立てて撃ちだされた凶弾は桜に突き刺さり――――

 

 

 

 

 

 

 

 朽ち果てて消える。威力もろとも。

 

 

 

 

 

 

 

「物質や能力、さらに威力にまで『死』を与えるってのか!!」

 

 吐き捨て、怒りを込めた大ぶりの一撃。

 

 しかし、それは愚策。一瞬の隙が生まれ――――

 

 

 

 

 

「『現世斬』!!」

 

 

 

 

 

 一陣の風と共に枝は断ち切られる。

 

「ハッ、主人公みたいな登場だな。妖忌」

 

「お主ほどではない。それに、何をやけになっているのだ?」

 

 迅真の横に並び、迅真と共に枝を迎撃していく妖忌。

 

「ハハハッ!見抜かれてるか。まぁ、能力が効かねぇんだもん。やけにもなるさ」

 

「お主らしくないと思うが?」

 

「……それもそうか。いやぁ、会って間もない奴に言われるとはな。ただ、今回は俺一人じゃ無理だな。おい紫!!もう来てるんだろ!?」

 

「えぇ!今起きました!!」

 

 迅真の真後ろに開くスキマ。その中から紫が飛び出してくる。

 

「遅い!!自分の親友のピンチくらい察してさっさと起きやがれ!!」

 

「えっ…?」

 

 紫は振り向き、そこに横たわる幽々子を見つけると、いつもの様子からは考えられない速度で幽々子に近寄り、

 

「嘘…なんで…!?」

 

「原因はこの桜だ!!こいつが幽々子の魂を吸い取りやがった!!こいつを封印さえすれば俺がその魂を引きずり出してやる!!手伝え!!」

 

「…私は何をすれば?」

 

「封印の準備!!お前の持っている最強の結界でぶっ潰せ!!それまでは俺と妖忌。そして、()()()()に任せろ!!喰いとめてやる!!」

 

 腰を捻り、居合の様な型を取ったと思った瞬間、ダーインスレイヴと、迅真の腕が見えなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 バキィッ!!と明らかな破砕音と共に、紫の背後の空間が壊れる。

 

 

 

 

 

 

「異次元とこの世界の境界を断った。来てくれ、異世界の住人…!!!」

 

 冷や汗を流しながら、迅真は枝を叩き斬り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、願いは届く。

 

「…?」

 

 最初に気付いたのは紫。背後の空間からとてつもない数の気配を感じ、その中のいくつかがこちらへと向かって来る。

 

 敵か味方かは分からない。しかし、味方だと信じたい。

 

 そして――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一人の少年を皮切りに十二人の『正体不明』が現れる。

 

 

「…あれ?ここ何所?」

 

「なんだここは?確か俺は不知火ちゃんに弁当を作ってたはず…?」

 

「おいおいおいおいおい!!またこの桜か!?」

 

「迅真さん!?と、桜?」

 

「えっと、俺は家にいたはず…ただ、何か危険が迫ってるのは分かる」

 

「迅真!大丈夫か!?」

 

「んん?あれぇ~?確かアタシは屋敷を目指してたはずなんだけどなぁ?」

 

「…ここはどこだ?確かさっき黒い何かに飲み込まれて…」

 

「あら?確か私は消えたはずなんだけど…まぁ良いわ」

 

「あれ?俺、何時の間にこんな所に?」

 

「……ここはどこだ?」

 

「んー、ここどこだろー?」

 

 

 

 

 

 

 さぁ、全力で暴れろ。何も考えず、ただひたすらに生き残れ――――!!




ってことでコラボ開始です。

白狼牙龍 さん

もう眠い さん

音無 仁 さん

reira さん

hartmann さん

首吊り道化師 さん

咲き人 さん

生きる死神 さん

よろしくお願いします。

ではでは。また次回
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