東方種変録   作:大神 龍

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第百十一話

 十二人の少年少女。彼らは目の前に広がる光景を見て、感じて、理解する。

 

 

 

 

 

――――何か面倒な事に巻き込まれた。

 

 

 

「オイお前ら!!何か今めっちゃこの場に合わないこと考えたろ!!」

 

「そりゃ桜と戦ってるとか見た事無いから!!なんでこんなことになってるの!?」

 

 青髪でショートヘアの少年が叫び、数人が頷く。が、

 

「西行妖が暴れてんのか!?んで、幽々子が倒れてるって、つか、その横の男誰だ!!」

 

 黒髪に紫色の瞳の少年――――俊の叫びに、3人ほど反応する。

 

「説明は後!全員!前来た事あるやつらも!名前と能力は!?」

 

「え!?あ、白狼(はくろう) 牙龍(がりゅう)!能力は『人格を操る程度の能力』!」

 

狂島(きょうじま) 左右(さゆう)。能力なんて持ってない『普通(ノーマル)』だ。よろしく」

 

笹塚(ささづか) (しゅん)!『あらゆるものを消し去る程度の能力』!」

 

仲光(ちゅうこう) (きずな)。『絆を扱う程度の能力』です!」

 

「シルヴェル・スネーストルム。『物事の優先順位を操る程度の能力』、『理に適わないモノを追放する程度の能力』です」

 

神童(しんどう) レイ。『ありとあらゆるものを模倣する程度の能力』だ」

 

「アタシはリッパー。『霧を操る程度の能力』だよ」

 

(あかつき)だ。能力は『才能を開花させる程度の能力』。よろしく頼む」

 

鳥遊(たかなし) 妃香梨(ひかり)。『先を消す程度の能力』。よろしくね」

 

(はじめ)!『何でも100%なおす程度の能力』だ!怪我があるなら言ってくれ!」

 

怪魔(かいま) (ひかり)だ。『ある程度の能力』。それが私の能力だ」

 

全無(ぜんむ) 真也(しんや)だよー。能力はー、『無を操る程度の能力』だよー。よろしくねー」

 

「いよっし全員覚えられるか!!!総計十二人の異世界来訪者とかやってらんねぇ!!」

 

「嘘吐け覚えられるだろ!!」

 

 前回の来訪の時には十五人いたうえ、全員覚えているのだから言われるだろう。

 

「状況が違うっつの!!しかも能力まで頭の中で一致させられるかよ!!」

 

「迅真さんなら出来ますって!!」

 

「ありがとな絆。俺を心配してくれるのはお前だけだよ」

 

 言いながらも、そろそろ反応速度が落ちて来た迅真。しかし、

 

「やらせるか!東雲流組手術『霊月崩天刃(れいげつほうてんじん)』!!」

 

 俊は瞬時に迅真の前に行くと、霊力を纏った足で桜の枝を蹴り上げる。

 

「っあ!?硬すぎんだろ!」

 

 足を抑え、距離を取る俊。

 

「言い忘れてたが、絶対生身で突っ込むなよ!?死ぬぞ!?」

 

「それを先に言えよ!!」

 

「お前が飛び出すとは思わなかったんだよ!つか、武器は!?」

 

「全ロス!理由は聞くな!」

 

 言い合っている間にも、桜は迫り、一瞬の隙を突いて迅真を越えた桜は、俊を狙い――――

 

「ファフニール!『ファイアウェーブ』ッ!!」

 

 ゴゥッ!!という音と共に突如出現した業火に焼かれる。

 

「あ…危ない危ない。危うく一緒に焼かれそうだったぜ…」

 

「そんなヘマはしないよ!?」

 

 俊の呟きに即座に突っ込む白狼。

 

「じゃあ、次は俺の番かな」

 

「ちょちょちょ!!今の話聞いてた!?能力が無かったら即死だぞ!?」

 

 時夜が慌てて言うが―――

 

「そのくらい、気合いで何とかできるだろ」

 

「「「気合!?」」」

 

 ほぼ全員の渾身の突っ込み。しかし、それすらも無視して左右は桜を正面にして一発、虚空を殴る。

 

 直後、ズドンッ!と放たれた不可視にして凶悪な弾丸は、桜の枝を一本砕く。

 

「「「うわぉ」」」

 

 もうキャラ崩壊なんて関係なく、全員が呟く。そりゃ、即死の効果の付いている枝を拳圧で叩き割るのだ。唖然としないわけが無い。

 

「え、えっと…これ、僕の力じゃ役不足じゃないですか…?」

 

「い、いや、さすがにあの威力は誰も期待してない」

 

「そ、そうですか…?いや、でも…これ、なんかハードル上がってません?」

 

「じゃー僕が行くねー」

 

「「「え!?」」」

 

 この場合の“え!?”は、どう考えても、『よく行く気になったな!』の意味だろう。

 

「感情『空から降り注ぎ沸き起こる喜び」』」

 

 空を飛んで右手を上げ、左手を下げて宣言されると同時、両手から放たれる無数の弾幕。それらは下の弾幕が地面に着くと同時に上の弾幕も止まり、

 

 キュンッ!と音を立てて上下から一気に襲い掛かる。

 

 しかし、桜には全く効いていない様子で、全て叩き落とされる。

 

「ん~…ちょっとこれは許せないかも」

 

 全無は呟くが、それは下の人物の叫びにかき消される。

 

「うぎゃあぁぁぁぁ!!俺もやばいぃぃ!!」

 

 叫びながら迅真は自分に迫ってくる弾幕ごと枝を斬り伏せる。

 

 隣の妖忌がなぜかめちゃくちゃ楽そうに切り伏せているのが気に入らない。

 

「っていうか、お前ら遊び半分だろ!!やるきあるか!?」

 

「「「ある《あります》よ!」」」

 

 息ピッタリの全員の言葉。だが、どうしても信じられない。

 

「じゃあ僕!行きます!!絆『スピア・ザ・グングニル』!!」

 

 絆の手の中に現れた真紅の槍。それを構え、絆は全力で投げる。

 

 ドォンッ!!と空気の壁を突き破って飛ぶその槍は、枝を一本吹き飛ばし、しかし、次の枝にかき消される。

 

「あわわ…やっぱり駄目でした!」

 

「十分だから!!俺よりマシだから!!」

 

 言いながら、ホロリと涙が出そうになる俊だったが、瞬時に、迫る桜の枝を感知して逃げる。

 

「じゃ、次は僕の番かな?」

 

「お前らいい加減に順番じゃなくて攻撃してくれ!!死ぬ!!俺死んじゃうから!!」

 

「…あれ?僕不遇?」

 

「安心しろ。そもそも順番が回って来てないのはほとんどだから」

 

 レイに慰められ、ちょっと泣きそうなシルヴェルだった。




…シリアスどこ行った?( ゚Д゚)
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