「でりゃぁ!」
「まだまだぁ!」
と、叫びながら未だに殴り合っている迅真と鬼の男。それを見ているルーミアは、迅真が邪魔だったのか投げた迅真のバッグを持ちながら被害を受けない様に移動していた。
すると、村の方から鬼が一人、だんだんこちらに向かって来る。
「鬼がこっちに来る?もしかして迅真が戦ってるから?」
と、ルーミアは少し考えるが、たぶん私に被害は無い。という結論にいたり、無視することにした。
「っはぁ、はぁ、あんた、意外と耐えるな」
「っ!はぁ、ははは。そりゃこっちのセリフだ。正直お前くらい余裕で倒せるつもりだったんだけどな……さすがに身体能力強化しか使ってないとはいえ、ここまで苦戦するとは思わなかったわ。はぁ、ちょっとしんどいな……」
「なんだよ、それ。まだ俺は本気を出してねぇみたいな言い方。カハッ!……いいぜ、来いよ。あんたの本気ってのをよ」
「……分かった。使ってやるよ。俺はお前が三分は耐えられると信じてるぞ?」
「くはは!あぁ!三分だろうがなんだろうが耐えてやるよ!じゃあ、行くぞ!」
そう言って男は迅真に殴り掛かる。しかし、拳が当たる直前、迅真の目が紅、髪の色が白に変わった。そして、拳が当たると、ズパァン!と言う音がし、男の腕が後ろに引っ張られ、血飛沫が舞う。
そして、男が一瞬怯んだ隙に、迅真は男を殴り、足元にあった石も蹴り飛ばす。すると、殴られて吹き飛んだ男の後を追うように石が襲い掛かる。男が木を二、三本折れながら飛んでいき、止まった直後に石がズガンッ!という音をたてて男に突き刺さる。更に、迅真は追い打ちをかけるように男が吹き飛んだ時に折れた木全てを殴り飛ばす。その木は、電気を帯びながら飛んで行き、ズドガガッ!という音をたてて当たり、男が刺さっていた木が、メキメキッ!といい、倒れる。
「……ケフッ!はぁ、やっぱ三十秒持たないか。まぁ、そもそもこんなの生物に使うもんじゃないしな。そもそも最初の一撃で体が消し飛ばないんだ。あいつは良くやったと思うぜ。にしても、俺もずいぶん弱くなったな。身体能力だけで倒せないなんて。いや、そうでもないか。相手が人間じゃなかったし」
迅真がそう呟いていると、後ろからルーミアがやってきて、バッグを投げつけてくる。それを迅真は受け止めるが、少しよろけてしまう。そして、迅真がルーミアの方を見ると、頬を膨らませたルーミアが、
「何があいつは良くやったなの?そんなにボロボロになって、バカじゃないのか?」
「う、何も言えねぇな……だけど、勝てたんだから良いだろ?」
「良くない。自分が一人でいると思って、好き勝手して、私の心配も知らないで」
「うぐ……ていうか、お前、俺の心配をしてくれてたんだな」
心配してくれていた事にちょっと驚きつつ、そう言うと、いきなりルーミアの顔が赤くなり、目を逸らす。
「まぁ、その、ありがとな。俺を心配してくれる奴なんかそんなにいねぇからな」
ルーミアの頭を撫でながら迅真が言うと、ルーミアの顔は更に赤くなり、ついには目を回して倒れてしまう。慌てて迅真はルーミアを受け止め、大丈夫なのか確認するが、ルーミアは完全に気絶しており、起きない。だが、あくまで気絶しているだけなので、一応大丈夫なようだ。しかし、どうして気絶したのかは迅真には分からなかった。
そんなことをやっていると、後ろ――――男のいる方向からドンッ!という、何か重い物を落としたような音がした。迅真は疑問に思い後ろを振り返ると、倒したはずの男が立ち上がっていた。
「グバハァ!ゲフッ!グフッ!ゲホ、ゲホッ!っっあぁ!はぁ、はぁ。くはは、こりゃ効いたわ。もう戦える気がしねぇ……ったく、あんた、本当に人間か?」
迅真はルーミアを抱えたまま、男に近づく。
「種族的には人間だ。そういうことにしておけ。後、あんたじゃなくて迅真だ。薙浪 迅真。お前は?」
「迅真か。俺は
「おう、よろしくな。閃鬼。まぁ、すぐに居なくなるかもしれねぇけどな」
「くはは。そんなにすぐにはいなくなるんじゃねぇぞ?俺はまだお前と戦いたいんだ」
「ハハハッ!俺は良いぜ?だが、こいつのいない時にしてくれ。さっき説教されてな。ま、こいつにばれないなら問題なく受けるが、それでもいいか?」
「さっきみたいのは難しいって事か。分かった。それでいいさ。さってと、姐さん達の所にそろそろ戻らなくちゃならねぇな」
「そうか。じゃあ、これは楽しませてもらったお礼だ」
そう言って迅真が閃鬼に手をかざし、ぶつぶつと呟くと、閃鬼の傷は治っていく。不思議に思った閃鬼は、
「傷がすぐに治った?何をしたんだ?」
と聞く。迅真は、
「魔法を使っただけさ。じゃ、行って来いよ。その姐さん達の所にさ」
と答え、閃鬼に行くように言う。すると、閃鬼は少し悩むと、
「なぁ、一緒に行くか?」
と言い出す。それを聞いた迅真が答えようとすると、
「それは良いね。じゃあ、行こうか」
と、背後から声がする。迅真がゆっくりと振り返ると、そこには額から赤い角を生やした金色の長髪の女性が立っていた。
「ありゃ、勇義姐さん。来ちゃったんですか?」
「そりゃあれだけ派手にやっているんだ。気になってくるだろう?だけど、もう終わっちまったみたいだね。で?どっちが勝ったんだい?私にゃ閃鬼、あんたが負けたように見えるけど?」
「その通りですよ。俺は負けましたよ。人間にね」
「あっはっは!そうか!負けたか!これはいい酒のつまみになりそうだね!」
「茶化さないでくださいよ。姐さん。確かに負けましたが、俺は胸を張って頑張ったって言えますって。姐さんも戦ってみれば分かりますよ」
「閃鬼がそれほど言うって事は期待しても良いんだね?これで期待外れだったらさっきの話は皆に話すぞ?」
「あぁ、かまわないですよ」
あれ?なんか俺、戦うことになってるぞ?ということに気付いた迅真は、逃げれそうにもないため、諦めてルーミアが起きる前に終わらせよう。という結論に至る。そして、近くの倒れている――――先ほど倒したともいう――――木にルーミアを寄り掛からせ、バッグをその隣に置いた後、勇義と呼ばれた女性の方を向く。
「じゃあ、手合せ願おうか」
「あぁ、さっさと終わらせてやる。さぁ、始めようじゃねぇか」
なんか最近戦闘しかしてないような気がする。というか、最初から戦闘しかしていないような……うぅむ、どこかでほのぼのとしたのを書こうかな……