ルーミアは宴会場に戻ると、また声をかけ始める。
「えっと、シルヴェルとレイだっけ?どう?楽しんでる?」
「えぇ、一応」
「楽しんでは…いるよ。何と言っても料理が美味いしな」
二人とも、それなりに楽しんではいるようなので、ルーミアはその場に座る。
「さてと、じゃあ、二人にも何か上げよう!」
「いやいや、良いですよ、そんな。俺、ほとんど何も出来てませんよ?」
「別にいいのいいの。来てくれただけで十分よ」
ルーミアはそう言うと、バッグの中を漁り、
「シルヴェル君にはこれで良いかな?」
そう言って渡されたのは、白い腕輪。
「コレは完治の腕輪。たった一回しか使えない代わりに、一度だけ死を無効化し、且つ怪我を完治させて元の状態に戻す腕輪。貴方は基本的にどれだけ怪我を負っても普通に戦えるみたいだけど、それだといつか誰かを悲しませることになるかもしれないわよ。私みたいな悲劇を繰り返すわけにはいかないからね」
「……そんな人、俺に出来るかな」
「出来るわよ。私が保証するわ。だから、その人の為に生き続けなさい。良いわね」
「…はい」
シルヴェルはそう言って受け取る。
「で、レイ君にはコレかな」
そう言って渡したのは、黒いネックレス。
「今回も霊力、体力の超回復よ。ついでに怪我の完治も。ただ、前回と違う所は、自動発動って所かしら。限界に来たら、このネックレスが壊れて完治させるって感じかな。本気で戦う時だけ付けておくっていうのが一番かな。どうでも良いときに発動されても困るし」
「そんな枯渇しないと思うけど、まぁ貰っておくよ」
そう言って、レイはネックレスを貰う。
「じゃ、私は行くわね。まだ見回りは終わってないのよ」
「そうですか。じゃあ、また」
「また後で」
「えぇ、後でね」
ルーミアはそう言って、移動する。
* * *
「楽しんでる?」
「まぁまぁかな?いや、全然かな?」
「どっちなのよ」
「どっちでもいいだろ」
「ん~…中々変な組み合わせのようで、お似合いの様な?」
リッパー、妃香梨、光の三人が一緒にいる様子は、何か危険な香りがした。
「さて。じゃあもう定番のアイテム渡しと行きましょうか」
「何かくれんのか?」
「はいはい。リッパーちゃんにはこれね」
そう言って差し出したのは、紅い腕輪。
「コレは?」
「血魂の腕輪。傷つけた相手の記憶を見る事ができる腕輪ね。要らないなら捨てても良いわ。貴方は今のままで十分でしょうし」
「ハハハッ、まぁな。でも、貰えるもんは貰っとくぜ」
「そう。じゃあ貰っといて」
リッパーはそう言って腕輪を受け取る。
「妃香梨ちゃんにはコレかな?」
「…ちゃん付けって、何か恥ずかしい」
「何言ってんのよ。っと、これこれ」
そう言って差し出すのは、銀色の髪飾り。
「まぁ、もしかしたら何の意味も無いかもしれないけど、とりあえず渡して置くわ。コレはただ単に身体強化だけだけどね。あっても問題は特にないと思うわ。一応肉体生成も付けておいたけど、それは霊力込めてる間だけだし、特に必要ないでしょ」
「まぁね。でも、貰っておくわ」
妃香梨はそう言って髪飾りを受け取る。
「光君にはコレかな?」
「君付けで呼ぶな。気持ち悪い」
「はいはい。じゃ、光にはこれね」
そう言って差し出すのは灰色のリストバンド。
「気配は消せるし、音は無くなるし、身体能力は上がる。代わりに不幸が来るだけのただのリストバンドよ。ありがたく受け取りなさい」
「全然ありがたくねぇ!!」
「嘘よ。実は週7で恥ずかしい目に会うだけよ」
「めちゃくちゃ不幸!やめてくれ!」
「冗談よ。本当は気配と音は消せないの」
「一番嘘じゃダメな部分が嘘だ!!」
「まぁまぁ。貰いなさいって。一応そのリストバンドは即死耐性があるから。5分だけ死を無効化できるわ。首飛んでも5分なら何とか」
「す、すげぇ…でも、それって首飛ぶ不幸が舞い降りる可能性もあるって事か?」
「………」
「目を逸らすな」
ルーミアは目を逸らしたままリストバンドを光に押し付け、
「じゃ、私はもう行くわ!」
「おい、押し付けて行くのか?」
「じゃあね!」
そのままルーミアは行ってしまった。
「……本当に押し付けて行きやがった」
光は、押し付けられたリストバンドを見つめ――――
「…まぁ、帰ったら付けてみるか」
* * *
「ん~…中々見つからないわね…」
「誰が見つからないの?」
「貴方よ」
ん?というような表情で真也が首を傾げる。
「ふぅ、やっと見つかった。何してたの?」
「えっと、あちこち見て回ってただけかな?」
「そう。私と一緒か。じゃ、そんな真也にはコレをあげよう」
ルーミアはそう言うと、黒い箱を渡す。
「コレは何?」
「見ての通り『ブラックボックス』。よく分からない何か。そう言う意味がある箱。でも、この箱は思ったものが現れる道具よ。使用回数は5回。ちなみに、出現するモノに基本制限は無いわ。本物か偽物かは置いておいて、ね。異世界への扉でも、心でも。人でも武器でもなんでもね。霊力とかその辺の力を流し込みながら出てきてほしいものを考えると、箱が開いてそれが出現するわ」
「ふぅん……?危険なんじゃないの?それ」
「えぇ、危険よ。使い方を間違えば、世界を壊せる代物。でも、何も無い貴方でも、愛する人が望まないのにそんな事をするなんて思ってないわ。それとも、するのかしら?」
「……さぁね。まぁ、貰っておくよ」
真也はそう言って、黒い箱を受け取る。
「頑張ってね。でも、愛する人を守るためなら躊躇なくその箱を使いなさい。例え全てを壊し尽してでもね」
「……言葉の重みって奴?」
「さぁね。そう感じるならそうなんでしょ。じゃ、私は全員に挨拶したし、そろそろのんびりと楽しむかな」
ルーミアはそう言うと、ふらふらとどこかへ歩いて行った。
「……『何も無い貴方』…ね。分かるのかぁ…」
真也は、ルーミアの背中を見送りながら、少し考え、またあちこちへ歩き出した。
うぅ…今回は重い話メインのぶっ壊れ性能装備一式です。前回の方々と比べて何かおかしくね?とか言わないでくださるとありがたいです。さすがにネタ被らせすぎるのは…って思ったらこうなったので…す、すいません。