「はぁ……月が綺麗で憎いわ」
「変な物を憎むな。月は何も悪くねぇだろ」
屋根の上でルーミアが呟いた言葉に突っ込む香。
「別にいいでしょ。今日くらいは世界を憎ませてよ」
「…あぁ、自由にしろ。ただし破壊はするなよ?」
「当たり前よ。そんなことしても迅真が褒めてくれるわけでもないし」
「…あいつが褒めるならするのか」
「当たり前じゃない。褒められるためならなんだってしてやるわ。ま、迅真はそんな事しないでしょうけどね」
「それなら安心なんだがな…昔のことがあるし」
「むぅ……あの時は何も考えてなかっただけよ」
「十分問題だ」
昔。迅真が来るよりも、ルーミアが封印されるよりも前の頃。神々が跋扈し、幻想の獣が暴れていたころだ。
「生きるのに必死だったでしょ。貴方も、私も」
「お前はめちゃくちゃ楽しんでるように見えたけどなぁ」
ため息を吐きながら、香は持ってきたつまみを食べる。
「それで、これからお前はどうするんだ?」
「ん~…特に何かするっていうのは――――あ、一つだけあるわ」
「…それは?」
「紫の手伝い。あの子の理想郷を作るための手伝いをするのよ」
「あ~…なるほどな。それは手伝わないとか」
「うん。だから、しばらくは紫と一緒にいるわ。それが終わったら――――…そうね。迅真と一緒にいた場所でも回りましょうか」
「そうか…じゃあ、いつか俺の所に来るのか?」
「そうねぇ…いつかは行くかもね。楽しみに待ってる?」
「のんびりと待ってるよ。何時でも来ていいんだからな?」
「…そうね。気が向いたら行くことにするわ」
ルーミアは立ち上がると、
「じゃ、そろそろ宴会も終わりかな?」
「…そうだな。なら、あいつらを元の世界に帰すか」
「そうね。で、どこに帰すのか分かるの?」
「気配で世界を繋げば何とかいける」
「…いや、それなら私がやるわ」
「私がやりますわ」
突然スキマから半身だけ出して現れる紫。
「相変わらず突然現れるわね」
「それが取り柄ですわ」
「つまり突然現れなきゃ無個性なわけだ」
「それは言わないでください」
紫はため息を吐きながら、
「一応、私は皆さんの世界を把握したので帰す事は出来ますよ」
「「紫が珍しく有能」」
「酷い言われようです!!」
紫が珍しく働いていることに驚きを隠せないルーミアと香は、思わずつぶやき、紫に怒られる。
「はぁ……それで、もういいんですか?」
「えぇ、良いわ。見送りしましょう」
ルーミアはそう言うと、屋根から飛び降りた。
* * *
宴会場のど真ん中に着地したルーミアは、全員の視線を集めながら言う。
「やっほー。さて、それじゃ、残念だけど、今回はここでお開きよ。準備はいいかしら?お疲れ様でしたぁ!!」
「「「「「「「「「「「「「「お疲れ様でしたぁ!!!」」」」」」」」」」」」」」
ルーミアの声に続いた声は、白玉楼に響いた。
「さってと。じゃあ、順番に紫の所に行ってね」
ルーミアが言うと同時に紫が現れ、スキマを開けた。
「えっと、誰から帰る?」
ルーミアが聞くと、白狼達が立ち上がる。
「じゃ、俺達から帰るぜ」
「了解。じゃあどうぞ」
「………頑張れよ」
「特に何かできる訳じゃないけどな」
「さすがに、心までは何も出来ませんから…」
「……分かってるわよ。気を使わなくたっていいの。貴方達も私みたいにならない様に頑張りなさいよ」
「あぁ、じゃあな」
そういって、白狼、暁、一の三人はスキマの中に入って行く。
「っと、じゃあ、次は俺かな」
左右は立ち上がると、スキマへと向かう。
「ん~…貴方、ここにいる誰の世界とも全く似つかない場所なのね」
「やっぱり?そんな気はしてた」
「まぁ、だからってあんまり気にしないけどね」
「そうなの?ま、それじゃあ帰るよ。じゃあね」
「じゃあね~」
そのまま左右はスキマの中を通って帰って行った。
「さってと。じゃあ、俺も帰るかな。さすがに心配されるだろ」
俊はそう言ってルーミアの前まで行く。
「まぁ、なんだ。迅真は帰って来ると思う。何となくでしかないけどな。でも、あいつは帰って来るよ。だって、そう言う約束をしたんだろ?なら、帰って来るさ」
「……そうね…迅真は約束を破ったりしないわよね。うん。大丈夫。そんなに貴方が気にするような事は無いわ」
「…じゃあな」
「えぇ、じゃあね」
俊はそのままスキマの中に入って行く。
「僕は、特に何も言いません。ルーミアさんの場合、そっとしておくのが一番だと思うので」
「えぇ、そうして頂戴。じゃあ、またいつか」
「えぇ、またいつか」
絆はそう言って、スキマの中に入って行く。
「俺の番ですか」
シルヴェルは立ち上がると、スキマへ向かいながら、
「俺は特に言えることは無いので、失礼しますね。その、強く生きてください」
「えぇ、最初からそのつもりよ。別に無理して言葉なんて作らなくていいの。来てくれただけで十分なんだから」
「そうですか。では、さようなら」
「さようなら。またいつか」
シルヴェルはそう言って、行ってしまう。
「じゃあ、次は俺の番かな」
レイは立ち上がり、軽そうな足取りで歩いて行く。
「…迅真は、帰って来ると思う。俺はそう思ってるよ。だから、その、なんだ。そんな思い詰めなくたっていいと思うぞ」
「そんなの分かってるって。それより、貴方は迅真と同じバカな事はしないでよ?大丈夫だとは思うけど、それで死んで悲しむ人の事も考えなさい」
「……そうだな。じゃ、帰らせてもらうよ。またいつか」
「またいつか。何かあったらね」
レイはそう言ってスキマの中に入って行った。
「じゃあ、次は僕かな?」
リッパーは飛び起きると、スキマに向かっていく。
「僕は基本人がどうなろうが特に気にはしないけどね。ま、気持ちは分からないでもないかもしれないよ」
「別に、分からなくたっていいんじゃない?知ってて得するような気持ちじゃないでしょ。貴方的に」
「さぁね?そんなの分からないよ。ま、いつか分かるかもしれないし永遠分からないかもね」
「そんな感じで良いわ。ほら、帰るんでしょ?」
「お~。そうだったそうだった。じゃあね~」
「じゃあね」
リッパーはそう言って行ってしまう。
「よし。私も帰ろっかな」
妃香梨はスタスタとスキマまで行くと、
「大切な誰かを奪われる気持ちは分かるわ。気持ちに整理がつかないなら手当たり次第に八つ当たりしちゃえばいいのよ」
「しないわよ。私は別にそこまで思い詰めてないわ。どうせいつかは別れるもの。そう思ってるもの」
「……そう。じゃ、私は帰るわ。楽しかったわよ」
「そう。それなら良かったわ」
妃香梨はそれだけ言うと、さっさと行ってしまう。
「んじゃ、次は俺だな」
光はそう言うと、スキマに歩いて行き、
「俺は別に人がどうなろうと興味ないしな。俺は帰らせてもらうぜ」
「構わない。そう言ってるでしょ。いちいち確認取らないで?」
「はいはい。じゃ、楽しかったぜ」
「はいはい。これは良かったわ」
光はスキマの中へと素早く入って行ってしまった。
「最後は僕かな~?」
真也は立ち上がり、ふらふらとスキマに向かって歩く。
「まぁ、別に頑張れなんて言わないよ~。僕だってそうなるだろうし、そうなったら頑張れなんて嬉しくないだろうし~」
「思ってるなら言わなくていいの。貴方だって、今は大切な人は居るんでしょう?絶対相手より先に死ぬんじゃないわよ。その箱は使わないのが一番正しいんだから」
「分かってるよ~。安心して」
「…ま、今を楽しみなさいな。未来なんて考えるもんじゃないわ」
ルーミアの言葉を聞きながら、真也はスキマの中に入って行った。
「さってと。これで全員終わったわね。はぁ…片付け始めるわよ」
「それは私めがやっておきましょう。ルーミア様はおやすみになられた方がよろしいかと」
突然妖忌は現れると、そう言う。
「…なら、そうさせてもらうわ。もう、眠いもの。じゃあ、おやすみ」
「お休みなさいませ」
「おやすみなさい」
妖忌と紫に見送られながら部屋に戻ったルーミアは、ダーインスレイヴを取り出し、抱きしめたまま眠るのだった。
はい。って事で!コラボの皆様、ありがとうございました!!
さて、今回もいつもの様にコラボが終わった所で謝辞を書かせていただくつもりでしたが、もうしばらくお待ちください。あとちょっと、あとちょっとラストなんです!!どうか、その時までお待ちください。後二話です!
皆様、後二話だけ、よろしくお願いします。