東方種変録   作:大神 龍

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第十五話

「っつ~……頭がいてぇ……」

 

「フンッ!」

 

 頭をガブリと噛まれた迅真は噛まれた所をさすりながら。ルーミアは迅真の後ろを頬を膨らませて怒ってるんだぞ!とアピールするように出て来た。その二人の前に広がっていたのは――――

 

 

 

 酔っぱらった様に顔を赤くして倒れている鬼たちだった。よくみると、そこらじゅうに酒瓶が転がっている。

 

 

 

「……なんだこの状況。つか、酒くせぇ!ここ外だよな!?」

 

 迅真はその惨状を見るや否やそう叫ぶ。ちなみに、もうすでに夜である。だが、月は東側にあるのでまだ夜になったばかりのようだった。すると、

 

「もう起きて来たのかい?ほら!さっさとこっちに来なよ!」

 

と、誰かが呼んでいる。その声の方向を見るとそこには、顔を赤くしている勇義と、なぜか幼――――少女に捕まっている閃鬼がいた。しかも、周りには何人もの鬼が倒れている。閃鬼は先ほどと変わらないようだが、隣にいる人物は顔を赤くしていて、どう見ても酔っぱらっている。

 

「さっさと来いって、別に急がなくても問題は無いだろうが」

 

 足場が少ないので、とりあえずルーミアを抱えて移動する。その時ルーミアが暴れていたが、ある方向を向くと同時に、げっ。と呟くと同時に静かになる。ふと疑問に思った迅真がルーミアの向いた方向をみると、こちらを見ている女性がいた。

 

 とりあえず閃鬼辺りに聞いてみるかな。と思った迅真は、少し小走りになりながら閃鬼の所にたどり着く。

 

「おう、やっと来たか」

 

「おかげさまでな。たぶんお前が起こしに来なかったらもうしばらくは出てこなかったさ」

 

「そうか。ま、出てきてくれて何よりだ」

 

 ははは。と笑いながら迅真はその場であぐらをかき、抱えていたルーミアはそのまま足の上に乗せる。と、そこで迅真は思い出したように、

 

「あぁ、そうだ。閃鬼。あそこにいるのは誰だ?」

 

と、先ほどルーミアが見ていた女性を指差して聞く。それを見た閃鬼は、

 

「あぁ、鬼子母神様だよ。っていうか、なんかすごい見られてる。うわっ、こっちに来そうなんだけど……」

 

 言いつつ、閃鬼は逃げようとするが、隣にいた幼――――少女にがっしりと捕まれ、逃げられない。

 

「おっと、閃鬼。どこに行くんだい?」

 

「やめてください萃香姐さん。俺は今すぐここから逃げ出さなきゃなんですぅ~!」

 

 なるほど、その小っちゃいのの名前は萃香っていうのか。って、俺の事を睨むな。迅真はそう思いながらそのやり取りを見ていると、後ろから左肩を叩かれる。

 

 ん?と思い迅真が振り返るよりも早く、なぜかルーミアがビクッ!と跳ねると同時に逃げ出そうとする。しかし、後ろから伸びてきた手がそれを阻止し、ルーミアは元の所に戻されてしまった。そして、観念したようにルーミアがゆっくり振り向くと、そこには先ほど見た女性――――鬼子母神が立っていた。

 

「やぁ、久しぶりじゃないか。宵闇の妖怪」

 

「はぁ、なんで話しかけるのよ……無視していたっていうのに……」

 

「つれないねぇ。昔の威勢はどうしたのさ。もしかして、その男に何か言われたのかい?」

 

 鬼子母神は勇義と萃香の間辺りに座る。その時勇義が気まずそうな表情をしたような気がしたのだが……

 

「じ、迅真は関係ないわよ。ほら、これのせいで今襲われても何もできないって事」

 

 ルーミアは頭のリボンを鬼子母神に見せるようにする。鬼子母神がそのリボンに触ろうとすると、バチッ!という音と共に手が弾かれる。

 

「っ!なるほど、封印されてるわけか。でも、なんであんたがそんなものをされてるのさ」

 

「気持ちよく寝ている間にやられちゃったの。まぁ、封印した本人は反撃を想定してなかったのか、私にあっさりやられちゃったけどね」

 

「あっはっは!そりゃ災難だったね!じゃあ、決着はつけられない訳だ」

 

「決着?何かあったっけ?」

 

「ありゃ?忘れちまったのかい?あれだよ。私と前戦った時の決着。結局あの時は邪魔が入ったじゃないか。それで、仕切り直そうって言ってそのままだったろう?」

 

「ん~……そんな約束したような……あぁ!あの時のやつ?確かに決着ついてなかったね。じゃあ、今からやろうよ。私は代理だけどね」

 

「はぁ?代理?私とあんたの戦いだろう?なんで他の奴か出て来るのさ」

 

鳳花(ほうか)こそ何言ってるの。今の私は良くて中級程度の力しか出せないんだよ?そんなのと戦って楽しいわけないじゃない」

 

「そりゃそうだけども……まぁいいか。で?代理って誰だい?」

 

「誰って、今目の前にいるでしょ?」

 

 ん?と反応する迅真。先ほどまで酒のつまみとして出されていた料理をつまんでいたので、話している内容はぼんやりとしか聞いていなかったのだが、ふと自分が呼ばれている気がしたので鬼子母神――――鳳花の方を向く。

 

「……まさか、その人間っていうわけじゃないよな?」

 

「そのまさかだけど?一応迅真はそこの閃鬼と勇義に勝ってるわよ」

 

 その言葉が出る寸前に閃鬼と勇義が急いでルーミアの口をふさぎに行こうとしたのだが、閃鬼は萃香に。勇義は鳳花に止められ、言われてしまう。そして、ルーミアが言い終わると同時に、鳳花の口がにやけ、それとは逆に勇義と閃鬼の顔は青ざめていく。

 

「あっはっはっは!!それは本当かい?嘘だったら承知しないよ?」

 

「嘘なわけないでしょ。二人の顔を見てみなさいよ」

 

「ふ~ん。どうやら本当みたいだね。だけど、萃香には勝てるのかい?せめてこの三人を倒せなきゃ私は認めないね」

 

「はぁ。昔から変わらないわね。私の時もそんな感じじゃなかった?」

 

「私はこれを変える気は無いからね。で、戦うのかい?」

 

「どうするの?迅真」

 

「そこで俺に投げるのかよ。はぁ……まぁ、俺は良いぜ」

 

「だそうよ?」

 

「そうかい。じゃあ、萃香。行けるかい?」

 

「ふぇ?あぁ、大丈夫だよ~?」

 

 萃香のどう考えてもノリで言ったような返事を聞くと、鬼子母神は立ち上がり、

 

「よし。少し待ってろ。あいつらをどかしてくる」

 

と言って、倒れている鬼たちを起こしてどかし、起こした鬼たちにゴミを持っていかせる。

 

 

 

「さて。舞台も整ったし、さっさと始めようじゃないか」

 

 その声で、迅真と萃香は鬼によって作られた円の中心へと歩いて行く。

 

「取りあえず自己紹介をしとくぞ」

 

 迅真は円の中心に着くとそういう。

 

「俺の名前は薙浪迅真だ。能力までは教えないけど、よろしく頼む」

 

「意外と律儀なんだねぇ。私の名前は伊吹萃香ってんだ。覚えておいてくれ」

 

「おう。よろしく頼む。さて、そろそろ始めるか」

 

「そうだね。じゃあ行くよ?」

 

 萃香はそういうと、戦闘態勢になる。そして、迅真はそこらへんにあった石ころを萃香に向かって蹴る。それにより、戦闘の幕は上がった。




……ルーミアってこんなキャラだったっけ?
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