東方種変録   作:大神 龍

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第二話

 暗闇の中しばらく進むと、道のような所に出た。そこで、ふと空を見上げると、満月が真上に来ていた。

 

「ん~、今日はさすがに野宿しかないかな」

 

 少年はそう呟くと、軽く跳躍し、木の枝に飛び乗る。跳び乗った衝撃で木が揺れるが、枝が折れる様子はない。少年はその枝に座ると、幹に寄り掛かり目を閉じて眠る。

 

 

 

 少年がふと目を覚ますと、辺りはすでに明るくなっており朝であることが分かるが、少年はそんな事よりも、目の前で自分に乗った状態で寝ている少女に気付き、驚く。

 

「んんと、こいつどっかで……昨日のか?でも、それ以外でも見たことがあるような……」

 

と、ぶつぶつ呟いていると、少女がピクッと微かに動き、そして目を覚ます。そのまま起き上がって周囲を確認しているのか、キョロキョロと辺りを見回し、少年を見つけた瞬間に、思いっきり目を見開く、少年に抱きつく。それに驚いた少年は、

 

「うお!?ちょっと待て!まずはお前が誰なのか、後なんで俺の上にいるのかを教えてくれよ!」

 

と、半ば叫ぶように言う。それに対して少女は顔をあげて、少年の目を見ながら

 

「私はルーミア。それと、あなたの上にいるのはあなたについてきたからだよ」

 

「いや、それは説明になってないような気がするが……まぁ良いか」

 

 少年ははぁ、とため息をつくと、とりあえず自分にくっついている少女――――ルーミアを引きはがす。そして、

 

「さて、ルーミアよ。ここがどこだか知っているか?」

 

と質問すると、

 

「ん~とね、知らない」

 

と、満面の笑みで言われてしまう。

 

「知らないかぁ……じゃあこれからどうするかなぁ」

 

 少年はそう言いながらルーミアを抱えた状態で木から飛び降りる。そして、ルーミアを降ろしてから、何となく左側へ進む。そして、そのすぐ左側を、ルーミアがついてくる。

 

 

 

 そのままぼんやりと何も考えずに進んでいくと、何か村のようなものが見えてくる。

 

「村?じゃあ、ここは田舎か……?」

 

と、少年が呟くと、何かが村の方から誰かが歩いてくる。

 

 何となく少年はその人物が気になり、昨日のように、一度目を閉じる。そして再び目を開けると、猛禽類のような鋭い眼だった。そして、再びその目でこちらに向かって来る人物を見る。そして、その状態で確認できたのは、その人物はルーミアと同じか、それより少し高いくらいの少女で、髪は肩までの長さに、ルーミアより明るい金色の髪色をしていて、頭に二つの目のようなものが付いている帽子をかぶっている。

 

「……なんだろう、あいつには近づいちゃダメな気がする……いや、別に負ける気がするわけじゃないぞ?たぶんやろうと思えば行けるはずだ。うん」

 

と、少年は、誰に向かって言っているのか分からない言い訳を言いながら、じりじりと後ずさりをする。

 

 すると、遠くにいたはずの人物は、異常な速度でこちらへ近づいてくる。その直後、少年はルーミアを抱えて左に向かって逃げる。すると、さっきまで少年とルーミアが立っていた所を、何かが通り過ぎる。おそらくさっきの人物だろう。

 

 少年は急いで村の方へ逃げる。が、ふと嫌な予感がし、すぐさま右へ飛ぶ。すると、つい先ほどまで少年がいた所に、なにか光の玉のようなものが上空から飛んでくる。その玉が飛んできた方向には、さっきの少女がいた。つまり、その少女は飛んでいた。

 

「……ルーミア、ちょっとこれを持って離れてくれ」

 

 ルーミアは、分かった。と言い、少年からバッグを受け取り離れる。それを確認した少年は、改めて相手に向き直り話しかける。

 

「さて、あんたは誰だ?ついでに目的とここの事も聞きたいんだが」

 

 その発言に、少女は少し顔をしかめ、

 

「それはこっちが聞きたいね。貴方は私の村に何をしに来たの?」

 

「ん~、俺はただの迷子なんだが……その表情じゃどう見ても信じてくれないよなぁ……まぁ、一応俺は村を襲う気は無いとだけ言っておく」

 

 その言葉を聞いた少女はふわりと地面に降り立ち、少年の方を見て、そして悩みながら呟く。

 

「危ない感じがする力を村に入れるのは不味い気がするけど……私の監視下なら大丈夫かな?」

 

 おそらく少女は少年に聞こえないように言っているつもりなのだろうが、少年にはすべて聞こえていた。すると、少女は一度頷くような動作をすると、

 

「私の見える所にいるなら村に入っても良いよ」

 

「む、それはありがたいが、今更ながら俺は一文無しだぞ?」

 

「そんなものは別に要らないけど、その代わりにしっかりと働けば良いよ。後、一応私について来てよ?先に神社の方に行くから」

 

と言うので、少年は頷き、了承する。そしてルーミアを呼んでバッグを受け取り、再び少女を見て言う。

 

「さて、神社に行くんだろ?じゃあ早く行こうぜ?」

 

「うん……あぁ、そうだ。そう言えば貴方の名前は?」

 

「ん?あぁ、名前な。俺の名前は薙浪(なぎなみ) 迅真(じんま)だ。ちなみにこいつはルーミアだ」

 

「迅真とルーミアね。私は諏訪子だよ。よろしくね」

 

と、二人は自己紹介をすると、三人は村に向かって歩いて行く。

 

 

 

(それにしても……諏訪子か……これもどこかで聞いたことがある気がするんだよな……)




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