『フリーズ』によって凍った霧の中。自分の周りの霧をある程度吹き飛ばしていた迅真は、その空間の中で呪文を唱える。
「『
迅真はそう言った後、再び呪文を唱え、
「『
『
そして、その壁がほとんど壊れた時、ドサッと音がした。む?と思った迅真がその方向を見ると、恂覇が倒れている。その姿はボロボロで、所々が凍っていた。
「うわ。人――――妖怪?って凍るんだな。これは少し面白いものが見れたかもしれないな。っと、さっさと回復しないとな。死なれたら少し心痛むからな」
少し小走りになりつつ恂覇の所まで行き、回復魔法を唱え、炎系の魔法を最大まで威力を抑えて使い、凍った部分を溶かす。
「このくらいで良いかな。よし。治療完了。これで後数時間安静にしておけば動けるようになるだろう」
ふぅ。と息を吐き迅真は立ち上がると、恂覇を負ぶって他の天狗たちがいる所に戻る。
村の中まで入ると、天狗たちが驚愕の表情で迅真を見る。
「おいお前ら。こいつをどこかで寝かせとけ。そうすりゃ今日中には動けるようになるからよ」
迅真はそう言い、恂覇を天狗たちに投げ飛ばす。投げられた所の付近にいた天狗たちは慌てて恂覇を受け止める。
「それと、恂覇が起きたら鬼の所まで知らせに来い。閃鬼辺りの名前を出せば俺が行くからな。良いか?必ず伝えに来いよ?じゃあな」
迅真はそう言い放つと、来た道を戻っていく。それを見ていたルーミアは、迅真の元へとスタスタと歩いて行き、その隣を歩く。
「なんで天狗たちにアイツが起きたことを知らせに来るように言ったの?」
天狗の村から少し離れた所で、ルーミアが聞く。迅真は少し驚いたような表情をして、
「ルーミア。それ、本気で言ってるのか?」
「むっ。それは私をバカにしてるって思って良いの?」
迅真の言葉に少しイラッときたルーミアは頬を膨らませつつそういう。
「いや、別にそう言ってるわけじゃないが……ほら、戦う前に賭けみたいなのをしてたろ?で、俺が勝ったからその
「むぅ……最初からそう言ってくれればいいのに。迅真のケチ」
「なんだよケチって。俺は意地悪い事をした記憶なんかないんだけど?」
ブーブーと文句を言うルーミアに、やれやれといった感じの表情をしながら、迅真は鬼の村へと戻っていく。
「で、なんで俺が連絡係になってんだ?」
村に帰った迅真は、まず最初に閃鬼の所へ行き事情を説明して伝言してもらうように言ったら、なぜか閃鬼が不機嫌になった。ちなみに、ルーミアは村に着くと同時にどこかへと行ってしまった。
「え、だって、閃鬼の方が頼みやすそうだし、何よりも一番まともに仕事をやってくれそうだからだけども?」
当たり前だろ?と言わんばかりの迅真の表情になぜか閃鬼はイラッとしたが、どうにか殴るのだけは堪えた。
「自分でやればいいだろ?自分でまいた種なんだからよ」
「すまんな。俺、自分でまいた種は人に押し付ける主義なんだわ」
ドヤ顔で言う迅真の顔に閃鬼は反射的に拳を振ったが、軽い足取りで躱されてしまう。
「最低だなお前!」
「よく言われるよ。いや、最近――――というか、ここ数十年は言われてないけどもな」
ふふん。と得意げに笑う迅真に、閃鬼の怒りゲージはどんどん溜まっていく。と、そこで迅真はあることを疑問に思う。
「なぁ、そういえばさ。お前の口調、最初と変わってないか?」
「んあ?口調?あ~……そりゃ、お前と最初にあった時は少しテンションがおかしくなってたのと、なんとなく人間の鬼のイメージ的な口調を言ってみたかっただけだな。こっちの喋り方が素だよ」
「ふうん?じゃあ、あの「くはは」って笑い方もイメージの方か?」
「あ、いや、それは素だ。あれは役作りじゃねぇよ」
「そうか。まぁ、興味なんか全く無かったけどな」
「じゃあなんで聞いたんだよ!?」
あれだけ聞いたくせに興味が無いと言い切る迅真に全力で閃鬼は突っ込む。
「あ~……お前と話してると疲れるわ……はぁ、とりあえず、天狗から知らせが来たらお前に知らせりゃいいんだな?」
「おう。頼んだぞ」
「はいはい。分かったよ」
疲れた表情をしながら迅真に向かってシッシッと手を振る閃鬼を尻目に、迅真はどこか満足げな表情をしながら去っていく。
「……それにしても、ルーミアはどこに行ったんだ?」
ぼんやりと村の中を歩いていた迅真は、ふと隣にいないルーミアを思い出し探し始める。
――――数分間ルーミアを探していた迅真は、なぜか黒い煙の出ている家を見つける。しかも、その家は周りの家に比べて若干大きい気がする。
「……火事?あの家木造だぞ?おもっくそ燃えるじゃねぇか」
迅真はそうブツブツ呟きながら、その家に向かっていくのだった。