東方種変録   作:大神 龍

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第二十四話

 煙を出している家に近づくと、中から黒く汚れたルーミアと鳳花が飛び出してくる。

 

「ケホケホッ!はぁ、なんでいきなり燃え始めるのよ!」

 

「知るか!あんたが勝手にやりだしたんだろう!?正直私の方が大ダメージだよ!」

 

 いきなり目の前で喧嘩が始まったことに少し呆れ顔をする迅真だったが、とりあえず中にはもう誰も残ってないのかを能力で確認する。

 

「……サーチに引っかからないから大丈夫か。ま。ここの奴らは焼かれた程度じゃどうってことは無いだろうがな」

 

 もちろん、中に誰も居なかった。おそらくここは鳳花の家だったのだろう。鳳花の怒り具合からしてそんな雰囲気だ。そして、目の前で繰り広げられる喧嘩。さすがに見ているだけなのはどうかと思ったので、止めに入ってみる。

 

「二人とも、そのくらいでやめとけ。周りへの被害がヤバい」

 

 風が発生するほどの大ゲンカ。このまま見ているのも良いかもしれないと思わなくもないが、昨日のルーミアの言葉を考えると一撃でも鳳花の攻撃がルーミアの当たった瞬間ルーミアが死にかけない。なので、二人の間に割って入った迅真は――――

 

 

 

 二人の振りかぶっていた拳をまともに受ける。

 

 

 

 両方から同時に殴られたためどちらかへ飛んでいくことも出来ず、その場に止まる迅真。もちろんまともな一般人が受けたら致命傷どころか即死モノの一撃を二方向から同時に受けた迅真は、血を吐きだす。

 

「「あ……」」

 

 迅真がそこまでの被害を受けてから、二人は迅真の存在に気が付く。そして同時に、二人は本能的にその場から逃げようとし――――

 

 

 

 ガシッと腕を捕まえられる。

 

 

 

 直後、ゾワッと背筋を駆け抜ける寒気。迅真の傷はもうすでに修復されていた。

 

「お前ら……どこに行く気だ?」

 

「「うえぁ!?」」

 

 地獄の底から響いて来ているような声に、二人は思わずうわずった声を漏らし、反射的に腕を引こうとするが、恐ろしいほどの力で阻止される。

 

「逃がしはしないぞ?とりあえず、事の発端を教えるまではな?」

 

「ひゃ、ひゃい」

 

 ゴゴゴゴ……という擬音が聞こえそうなくらいの威圧感を出しながら満面の笑みで迅真はルーミアに言う。そして、恐怖からか、震えながらルーミアは答えるのだった。

 

 

 

「――――で、お前らは料理をしてたと?で、その途中で燃え広がったと?」

 

 話を聞くと、どうやら不注意だったようだ。ちょっと思ったより火が強く燃え上がってしまい、それが家にまで引火したようだ。

 

「……お前ら、どうやったらそんなことになるんだよ普通ありえないだろうが。むしろどうやったら家に燃え移るくらいにまででかい火を起こせるんだよ!更に言えば、なんですぐ消そうとしなかったんだよ!気付いた時点で消せよ!」

 

 途中から声を荒げて説教する迅真。ルーミアと鳳花はそれを、正座をして黙って聞いているのだった。ルーミアはまだしも、鳳花が説教されているのはどうなんだろうか?と突っ込みたくなるような状況だが、周りが誰も突っ込まないので良いのだろう。

 

「はぁ、とりあえず家は燃え尽きたからどうしようもないとして、お前らが怪我をしてないのは良かったよ。その後に喧嘩をしていなければの話だけどな?まぁ、説教はあんまり得意じゃないからこれで終わりだ。ほら、鳳花は早く家の修理……建て替えか?をして来いよ。でないと寝る所が無いだろ?」

 

 やっと説教から解放された鳳花は、急いで家の跡地へと行き、そこら辺を歩いていた鬼たちを使って家を修復しに戻り、ルーミアは涙目になりつつ迅真のことを見るのだった。

 

「……ルーミア?なんでそんな目で俺を見てるんだ?」

 

「…………」

 

 迅真は聞くが、ルーミアは答えず、ただただ迅真のことを見つめている。

 

「…………えっと……足、痺れたのか?」

 

 少し考え、思い至った原因を言ってみると、ルーミアはコクコクと頷く。

 

「お前……いや、正座をさせたのは俺か。なら俺が悪いのか?」

 

 迅真はブツブツと呟きつつ考えつつ、ひょいっ。とルーミアを持ち上げる。

 

「これなら問題ないな。よし。閃鬼の所に戻るか」

 

「良いわけないでしょうが!」

 

 ベシッ!と迅真の頭に手刀が当たる。

 

「む。何をするんだよ?別に問題はどこにもないじゃねぇか」

 

「あるよ!めちゃくちゃあるよ!」

 

 ベシッ!ベシッ!ベシッ!と何度も叩かれる迅真。

 

「どうせ恥ずかしいと思ってるくらいだろ?なら問題は無い」

 

「それが一番問題でしょうがぁ!」

 

 言うと同時にルーミアは痺れているはずの足で迅真の頭を蹴り上げる。

 

「……ばび、ぶぶんばぼ?(なに、するんだよ?)」

 

 ゲシゲシゲシッ!と、更に蹴りを追加するルーミア。容赦がなさすぎである。そこまで元気に動けるなら自分で立てよ。と突っ込みたい。

 

「…………」

 

 ついに迅真は黙り込む。それに気付いたルーミアは、やりすぎたかな?と思い動きを止め、足を降ろす。ただ、未だに迅真がルーミアを持ち上げたまま離さないため、足は地面に着かず宙を浮いたままである。

 

「えっと……その……」

 

 ずっと迅真が黙ったままなので、だんだんと不安になってきたルーミアはおどおどしながらも勇気を振り絞り声を出すと、

 

「よし。じゃあ行くか」

 

「全スルー!?」

 

 何事も無かったかのようにルーミアを肩車し、迅真は歩き出したので、思わずルーミアは突っ込む。しかし、ルーミアの突っ込みは、迅真の耳には届かず、本当にそのまま目的地まで行くのだった。




 迅真の性格がぶっ壊れて来たと思う今日この頃。
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