「ごちそうさまでした」
迅真が手を合わせてそう言ったころには、すでに全員が食べ終わっていた。そして、ルーミアは迅真の使っていた食器を持ってパタパタと音を立てて台所へと行ってしまう。
「しかし、あの人も料理できたんだな」
「ん?あぁ、ルーミアな。俺が教えた。ただ、たぶんさっきの火災を起こした原因だろうから、まだまだ不安だけどな」
「へぇえ……ってちょっと待て。さっきの火事の原因があの人?お前、それでもし俺の家まで燃えたらどうする気だったんだ?」
「爆笑しながら外で見てるつもりだった」
「この外道が!」
口角を上げながら不敵な笑みを浮かべてそう言い切った迅真を見て、明らかに嘘を言っている様子ではないので本気で突っ込む。
「冗談だって。1%ぐらい」
「99%本気じゃねぇか!お前やっぱ喧嘩売ってんだろ!表でろやコラァ!!」
溜まりに溜まったストレスをぶちまけるように迅真に宣戦布告。しかし、その宣言は――――
「閃鬼~、天狗があんたを呼んでるんだけど~?」
「お、来たか」
ふらふらと現れた萃香によってスルーされた。
「じゃ、閃鬼。また後でな」
そう言って出て行く迅真の背中を見送りながら、閃鬼はぼそりと、
「萃香姐さん……タイミング悪すぎでしょう……」
と呟くのだった。まぁ、もちろんその言葉が萃香に聞こえていないはずはなく、その後閃鬼に無慈悲な宣言が下されたのであった。内容は閃鬼のためにも言わないでおこう。
閃鬼の家から逃げるように出て行った迅真は、閃鬼の事を呼んでいたと言われる天狗を探す。そして、鬼の村でただ一人ポツンといる天狗を見つけ、その天狗の元へと向かう。
「えっと、お前が恂覇が起きたことを伝えに来た奴で良いのか?」
天狗の元にたどり着くと、すぐに迅真は質問する。その人物は、ショートカットの黒髪に赤い眼をした少女だった。
「そうですが……あれ?あなた、鬼じゃないですよね……って、あぁ~!昨日の不審人物!」
「おい待てそれはどういう意味だこの野郎しばき倒してやろうかこの天狗」
突然不審者呼ばわりされた迅真は思わず天狗の頭にアイアンクローをくらわせつつ持ち上げる。
「あやや!い、痛い!痛いってば!や、やめてって!!」
「……チッ。後で恂覇か閃鬼に八つ当たりしとくか」
そう言って迅真は手を離す。八つ当たりの対象が男だけの気がするが、気にしたら負けである。
「で、恂覇が起きたことを伝えに来たって事で良いんだな?」
「別に人間には関係のない事でしょう?」
「……お前、朝何所に居た?」
少し疑問に思った迅真はそう聞く。
「……べ、別に関係ないでしょ――――い、痛い痛い!すいません!すぐそこの草むらで倒れてました!」
口ごもる少女に二度目のアイアンクローをくらわせ半強制的に言わせる。そして、言い終わると同時に手を離すと、
「なるほどな。そりゃこんな態度をするわけだ。はぁ…お前、名前は?」
たぶん力をある程度出さないと喋ってくれないと思った迅真は、昨日鳳花に使った闇の力を少し解放しながら問う。
「射命丸文……です」
「そうか、じゃあ文。恂覇の所に行くからついて来い。ちなみにお前が呼んだ閃鬼はここには来ないぞ。なぜなら閃鬼を呼ぶように言ったのは俺だからな」
タイミング良く出していた闇の力を使い、迅真は天狗の村へと向かって行く。それを見ていた文は、迅真の突然の変化について行けずに数秒唖然としていたが、すぐに我に返ると迅真を追って行くのだった。
「っと、あれ?恂覇の家って何所だっけ。そういや知らねぇな……文、恂覇の家って何所だ?」
天狗の村の上空に来た時、迅真は思い出したように文に聞く。
「天魔様の場所は案内しますよ。人間もどきさん」
人間もどき。新しい呼び名である。まぁ、迅真はそう呼ばれた所で反応はしなかったが。
ともかく、文の先導で迅真は恂覇の元へと案内される。そこには、門番の様な二人の天狗がいた。その二人の天狗は、迅真を見るなり一礼し、中へと通してくれる。ただ、その時、
「今客人が来ていらっしゃいますが、ご了承ください」
と囁いてくる。一瞬迅真は反応するが、すぐに何事も無かったかのように中へと入っていく。文は中までは入らず、入口で迅真を見送るのだった。
「恂覇~。生きてるか~?」
「物騒な事を言うな!お前のそれはシャレですまなそうだろうが!」
迅真が部屋に入り開口一番言った言葉に、半ば悲鳴のような声が聞こえる。部屋の中は、まず恂覇が奥に座っていたのだが、もう一人だけこの部屋にいる。その人物は入ってすぐ左に優雅に座っており、金髪の長い髪を持った紫色の目の色をした少女だった。
「あら、あなたが天魔さんを負かした人間ですか?」
胡散臭そうな雰囲気を持った人物だったが、不思議と苦手ではなかった。しかも、この人物もどこかで見たことがあるような気がしてならない。
「お前がさっきの奴が言ってた客人か。良いのか?俺がここに入って。邪魔だったら出て行くが」
迅真がそういうと、恂覇は首を横に振りつつ、
「いや、お前が入ってよいと言ったのは私じゃなくてそちらの方だ」
と答える。迅真はそう言われて少女の方を向くと、口元に手を当てた少女が、
「えぇ。貴方には少し興味がありましたからね」
という。迅真はそうか。と言うと、少女の隣に座るのだった。
キリが悪いけどここで切ります。でないと4000文字を軽く超えそうだったんで……後、ちゃっかり登場しちゃってますが、まだコラボは募集してます。来週ぐらいまで。