東方種変録   作:大神 龍

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第二十七話

「まずは自己紹介からしようぜ。俺は薙浪迅真だ。よろしくな。あぁ、恂覇は知ってるから言わなくていいぞ。どうせさっき名乗ったんだろ?」

 

 恂覇が名乗ろうとした直後に迅真は恂覇に言う。自分の喋るタイミングを消された恂覇は悲しそうにするが、無視だ。

 

「私は八雲紫ですわ。よろしく」

 

 少女改め紫はそう名乗る。自己紹介が終わった所で、

 

「さて、一体何の話をしてたんだ?」

 

 と迅真が切り出すと、

 

「私の夢に協力をしてくださらないか聞いていたんです」

 

と紫が答える。迅真はそれを聞いて、

 

「夢?どういう内容なんだ?」

 

 興味津々といった様子で紫に聞く。

 

「人と妖怪が共存する世界をつくる事ですわ」

 

 紫ははっきりとそういう。迅真はその夢を聞き、

 

「人と妖怪の共存ね。面白そうな夢だ。じゃあここにいるのはその夢を叶える一つとしてこの山に相談しに来たって事で良いのか?」

 

「それで合っていますわ。まぁ、貴方がいたのは誤算でしたけども」

 

 紫は迅真の質問に答え、迅真を見る。

 

「誤算?どういうことだ?っていうか、なんでお前は俺の事を知っているんだ?更に言えばどこまで知ってる?」

 

 迅真はなぜか視線を鋭くして紫を見る。それに対して紫は特に気にする様子もなく、

 

「貴方の事は数年前から知っています。知ってる事と言えばあの宵闇の妖怪と共に生活している事と貴方がとてつもない力を持っている事くらいです」

 

 それと、と付け加え、

 

「誤算というのは、貴方の居場所が分からなくなっていて、それで私の夢の話を出来なかったからです。私の目標である妖怪と共存している人間ですからね。要するに嬉しい誤算ですわ」

 

と言い、ふふっ。と笑みを浮かべて笑う。

 

「なるほどな。確かにそれは嬉しい誤算だ。しかし、正直この山に協力を求めるなら恂覇じゃなくて鳳花、いや、鬼子母神に言うべきじゃないか?」

 

 迅真は納得しつつ紫に更に問う。少女は少し悩むが、

 

「それは確かにそうですが、素直に通してくれるかどうか……」

 

「あぁ、なる程な。確かにあいつらは通してくれなさそうだ」

 

 紫は苦い顔をして言い、迅真は閃鬼たちを思い浮かべつつ納得する。

 

「まぁ、最終的には行きますけど、さすがに今の私じゃ勝ち目がないので」

 

「ハハハッ。確かに今のお前じゃ歯が立たないな。せめて今の倍以上に強くないとな。つか、よくそれで夢を叶えようと動いたな。普通もう少し力を付けるだろうが」

 

 紫が諦め交じりのため息をつくと、笑いながら迅真は紫に言う。その言葉に少し怒りを覚えた紫は言い返す。

 

「そんなに過小評価しないでください。これでも一応妖怪の中では強い方なんですよ?」

 

「そんなのお前の能力が原因だろうが。俺が言ってるのはお前の能力無しの状態の事だ。素の状態を今の倍以上にしないとあいつらとはまともに戦えないぞ?」

 

「やってみなければ分からないでしょう?どうしてそこまで断言できるんですか?」

 

「お前、それを本気で言ってるならもう少し修行して来いよ」

 

 ピタッと紫の首筋に何かが当たる。紫は瞬時に動いたら死ぬと本能的に悟る。触れていたのは迅真の手だったのだが、迅真は全く動いていない。迅真の手首から先の部分だけが紫の首筋の所にあるのだ。その手は虚空にある不思議な裂け目から出ており、それは紫が良く知るモノ。

 

「せめて俺の不意打ちを躱すくらいの事はしてほしいもんだな。まぁ、お前の力云々(うんぬん)は置いといて、お前の夢を叶える手伝いくらいはしてやる。とりあえず天狗と鬼は解決な。他に何かあるなら俺に言え。お前の成長と俺の気分と内容次第で手伝ってやるからさ」

 

 迅真は空間の裂け目から出ていた自身の手を引っ込めると、今度は恂覇の方を向き、

 

「ってことで、今朝の戦いの報酬の『お願い』は紫の夢に協力することだ。本当は別の事を言うつもりだったが、まぁ良い。じゃあな」

 

 そう言うとその部屋から出て行く。

 

 

 

 迅真の去った部屋の中、紫と恂覇は沈黙していた。迅真が色々勝手に決めて行ったせいで気まずいのだった。その沈黙を破ったのは――――

 

「えっと、天魔さん。その……よろしくお願いします」

 

 紫だった。とりあえず迅真が勝手に決めて行ったが天狗との交渉を色々省略してくれたので、紫はそれに便乗して恂覇に手を差し出してみる。

 

「あぁ、こちらこそ頼むよ。迅真のせいで色々と調子が狂ったが、こちらも了承するつもりだったしな」

 

 恂覇も恂覇で迅真には感謝してはいたのだが(主に鬼の説得)、やはり強引過ぎてあまり実感が湧かなかったが、紫の言葉で我に返ると、紫の差し出した手を取り、簡略的だが契約はなされたのだった。

 

 

 

 一方部屋を出て行った迅真は、

 

「八雲紫……能力は『境界を操る程度の能力』か。やっぱりどこかで聞いたことのある名前だ。いったいなんなんだ?諏訪子、神奈子、ルーミア、萃香、勇義、文、紫。全員初対面なはずなのに聞いたことのある名前と能力だった……それにこっちに来る前の記憶が途切れ途切れになっているのも気になる。何なんだよ……誰だよ、俺をこの世界に送り込んだ奴は…」

 

 鬼の村へと戻りつつそんなことを呟くのだった。




 紫様登場。これで本格的にコラボの話を書ける…!
 でも次回はいつも通りですけどね。
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