東方種変録   作:大神 龍

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第三十七話

 時間を進ませ、迅真が異世界から人を拉致…ゲフンゲフン。連れて来た日から1週間後の事。

 

 

 

 その日、迅真は紫の修行を手伝っていた。

 

「よし、じゃあ紫。今から攻撃するから、スキマ無しで回避してみろ」

 

「なんでいきなりそんなハードなんですか!?」

 

「いいから避けろ。回避失敗したらとんでもないモノが来るからな~」

 

「いやな予感しかしない!?」

 

 紫がそう言った途端、突如として紫の頭上から霊力製の槍が落ちて来て、紫は素早く身を引くことで回避する。

 

 ちなみに、紫と迅真の距離は5メートルくらいである。

 

「よしよし、まずは一撃だな」

 

「ちょ、ちょっと待って!?今の殺す気でしたよね!?」

 

「気にしない気にしない。どの道避ければ問題ないんだからさ」

 

「そんな軽い問題じゃない!!絶対そんなんじゃない!!」

 

「ほら、喋ってていいのか~?どんどん来るからな~」

 

 迅真はにやにやと笑いつつ今度は妖力の槍を右から、霊力製の剣を前から放つ。そして、紫が斜め前へと移動すると同時に二つの武器は互いにぶつかり合い、紫の元いた地点を中心として、右下全てが飛び散った破片で埋め尽くされる。

 

「殺す気!手加減が感じられない!!」

 

「そろそろうるさい。鳳花達に放ったような圧倒的物量をぶつけるぞコラ」

 

「や、やめてくださいッ!!」

 

 紫を囲む様に展開された武器の群れは、同時に紫の頭を狙って射出される。紫は勢いよく身をかがめて回避し、その頭上を武器が通過していく。

 

「じゃあ次。まぁ、その、なんだ。死ぬなよ?」

 

 迅真がそう言うと同時、今度は逃げ場がないくらいの膨大な霊力、妖力、魔力の武具が紫を覆い、寸分の狂いもなく同時に放たれる。

 

「き、キャアァァァァァァァァ!!!!!!!」

 

 紫はさっき脅迫のように言われたあのふざけた物量に半泣きになり、出来る限り小さく縮こまる。

 

 そして、その武具が後数センチでぶつかるという所で、ガシャアアアァァァァァァァァンッッッッッ!!!!!という盛大な破砕音と共に武器が全て砕け散っていく。

 

「……ふぇ?」

 

「お、お前、紫…キャアってお前…そんなキャラじゃないだろ……」

 

 涙目で、今起こったことを理解できていない紫が辺りを呆然と見回していると、迅真はそう言って全力で笑いをこらえている。

 

「う、ううぅぅ…!そ、そんなに笑わなくても良いじゃないですかぁ…!」

 

「す、すまんすまん。あまりにも似合わな過ぎて…ククク…はぁ…よし。じゃあ次は攻撃して来い。手段は問わない。俺に一撃入れてみろ」

 

 迅真がそう言うとほぼ同時に紫は自身の近くと迅真の少し後ろにスキマを開き、そこから妖力弾を放つ。が、迅真はそれに対して霊力製の盾を瞬時に展開して防ぐ。

 

「不意打ちね。まぁ悪くは無いが、それなら視線にも気を付けるべきだ。殺気を隠せまでとは言わないが、視線誘導くらいはしないと俺は倒せねぇぞ?」

 

「っ…なら、これで…!」

 

 紫はそう言うと、先ほど迅真のやったような全方位同時射出弾幕。全くの隙間もなく放たれた弾幕の群れは、迅真を中心として収縮していき、ドガガガガガガガッッ!!!という音と共に、弾幕は霧散していき――――

 

 

 

――――その場所には誰も居なかった。

 

 

 

「へ…?」

 

「残念。あの程度の弾幕なら普通の避けれるぞ」

 

 そんな声が背後から聞こえ、それでやっと今自分の後ろに迅真がいるという事が分かった。

 

「どうする?今日はここまでにして、休むか?」

 

「う……えっと、その、迅真さん?なんというか、そのですね、その休むかっていうの、もう5回も言ってますよ?」

 

「……」

 

「もしかして、自分が休みたいとか、そんなこと考えてません?」

 

「……よし紫。今から結界張るからお前その中で耐久してろ。ちなみに拒否権は当たり前だがない」

 

「えっ、ちょっ…!?」

 

 紫が突然の展開について行けず固まっている中、迅真はすぐさま札を取り出して霊力を込めると、5×5の正方形を描くように札をばらまき、結界を発動させる。そして、追加で4枚札を取り出し、自身の指を切って血を染み込ませ、先ほどの正方形より大きい正方形で覆い、発動させる。

 

「じゃ、頑張れよ~」

 

「え、えぇぇ~~~~!!!!」

 

 紫が叫んでいる間にも、最初の結界から発生したのか、霊力製の武具が紫を狙って飛来する。

 

 紫がそれに気付いて必死で逃げ惑ってる間に、迅真は大きなあくびをしつつ閃鬼の家へと戻っていく。

 

「迅真。修行はもういいの?」

 

 閃鬼の家の前にある長イスにルーミアが座っており、迅真にそう問う。

 

「ん~……まぁ、あの時はノリで手伝うとか言ったんだが、俺、修行を手伝うのとか、あんまり得意じゃねぇんだ」

 

「そうなの?それにしては諏訪子の修行を手伝ってた気がするけど?」

 

「それは気のせいだ。あれは諏訪子自身の頑張りだ。俺はそれにいくらか助言しただけ。それを実現できたのは紛れもなく諏訪子自身の力だよ」

 

「ふ~ん……まぁ良いけどね。で、迅真は何しに来たの?」

 

「いや、寝ようかなってな?まぁ、その場所にすでにお前がいるから諦めたが」

 

 迅真はそう言いながらルーミアの隣に座る。

 

「なんだ。そんな事?じゃあ寝ちゃえばいいじゃない」

 

「いや、だから場所がな?」

 

「あるでしょ」

 

「……どこに?」

 

「私の膝があるじゃない」

 

「……良いのか?」

 

「大丈夫。というか、そうしてくれると私は私で嬉しいかも」

 

「じゃあ遠慮なく」

 

 迅真はそう言うが早いか、ルーミアの膝を枕にして寝始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…いつまで、この平和な暮らしが続くのかな……」

 

 青く澄み渡る空を見上げつつ、ルーミアは誰に言うでもなく、そう呟いた。




今回の話を書いてそれを確認して思った事。

『結局何がしたかったんだろう……』
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