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「……そろそろ妖怪の山を出て行こうかなって思う」
朝食を食べ終え閃鬼が片付けた後、唐突に迅真はそう呟く。閃鬼はそれを聞いて行動が完全に止まり、機械の様にギギギ…という音が聞こえそうなくらいの機械的な動きで首を動かし迅真を見る。ちなみにルーミアは珍しく二度寝をしており、朝食を作った後すぐに迅真の膝枕の上で幸せそうな表情をして眠っている。
「今なんて言った?」
「いや、だから、そろそろ妖怪の山を出て行こうかなって思ってさ」
「そうか……ここを出て行こうって言ったのか……」
「…お前、どうしたんだよ。なんか変だぞ?なんというか、気持ち悪い」
「なんだよ気持ち悪いって。泣くぞ?」
「泣くな気持ち悪い」
「グゥッ……はぁ、もう良いや。で?もちろんルーミアさんを連れて行くんだろ?」
「当たり前だ。というか、自分の心の拠り所を置いてってどうするんだよ」
「……今とんでもない発言が聞こえたような……」
「二度は言わないし言いたくない。本人になら言っても良いが他人に言うのは正直恥ずかしいからな」
「じゃあなんで今言ったんだよ」
「うっせぇ。これ以上この話題を言ったら殴るぞ。一方的に」
「すまんすまん。別に悪気は微塵もないから。許してくれ許して下さい心の底からすいませんでしたぁッ!!」
なぜか可視出来るくらいまで膨れ上がる殺意を前に半泣きになりながら閃鬼は謝る。
「はぁ、もういい。で?なんでお前はさっき気持ち悪い雰囲気を出してたんだ?」
「だから気持ち悪いっていうなよ……いや、ただ、さびしくなるかもしれないなって思っただけだ」
「そうか。まぁ、最後に山の妖怪の一部の妖怪達と戦おうかと思ってるが……まぁ、紫にも参戦してもらうかな」
「お、おぅ……紫、お疲れさん。まぁ、修行代わりになるからなんだろうけどな……」
「一応そのつもりだな。修行したって本番で動けなくちゃ何の意味もねぇからな」
「だよな。そんなことだろうと思ったよ」
「まぁ、楽したいのもあるけどな」
「……そっちが本音か?」
「……さあな」
いつの間にか紫が巻き込まれているが、本人はここに居ないため反論も何もないのだった。
「さて。そろそろ人を集めてみるかな……とりあえず、天狗あたりを誘ってみるか。というか、乗って来そうなのはそのくらいだからな。河童は乗ってくる気がしないからなぁ……」
「いや、河童もそれなりにノリは良いぞ?」
「そうなのか?じゃあそのあたりも誘ってみるか……って、俺、河童の奴らとそんなに関わりないや」
「む。意外だな。お前があまり関わりの無い奴らがいるとは」
「お、お前の中の俺は何者なんだよ」
「ん~……何なんだろうな」
「こっちが聞いてるんだっつうの」
「そう言われてもなぁ……とんでもない奴ってことくらいしか思いつかないしなぁ……」
「なるほどな。しかし、なんでそれで俺の交友の範囲が広いなんて思われてるのか……全く不思議なもんだ」
迅真はそう呟いた辺りで、ルーミアが起きる。
「ん、んん?ふわあぁぁぁぁ……ん~~~~ッ……おはよ~」
「ん、おはよう。ちゃんと眠れたか?」
「ん~っとね……若干寝すぎた感があるかな。まぁ、疲れはしっかりとれたよ」
「そうか。お前が良いならそれでいいさ。ただ、無理はするなよ?」
「分かった。無理は絶対しないよ」
「……お前ら、ここでいちゃいちゃするんじゃねぇよ」
ルーミアと迅真のやり取りを見て閃鬼は怒りを込めつつそう言った。
「お前に言われてもなぁ……」
「なんだよ、その言い方。何か怖いじゃねぇか」
「いやぁ……どう考えてもお前は人のこと言えないだろ?って思ってな?」
「は?なんで?」
「それは自分で気付け。俺はにやにやしながら見ていてやるよ」
「お前に見られてるとか……死にそうだわ」
「フハハハ!まぁそのなんだ。一緒に暮らせて行ける仲間がいるんだ。大切にしろよ」
「……あぁ、大切にするさ。あの人達に命の危険がせまったら、俺は死ぬつもりで戦う。今度こそ……絶対にな」
「頑張れよ。ただ、無理しすぎるのも良くないからな…っと。じゃあ、俺達はそろそろ参加者や観客を集めに行ってくる。また後でな」
迅真がそう言って立ち上がると、ルーミアも立ち上がり、閃鬼はそれを見送ろうと――――
「おう。……って、場所はどこだよ?」
「場所?ん~……いつもの広場で良いだろ。どうせ結界で空間弄るしな。ついでに、時間は昼だ。今から集めるならそのくらいでちょうどって位だろ」
「了解。じゃあ俺も姐さん達を呼びに行くかな」
結局閃鬼も一緒に出て行くのだった。
「……閃鬼…やっぱりあいつとどこかで会った事があるはずなんだ……どこで会ったのか……あぁ、ダメだ。思い出せねぇ。しかし、あの言い方、あいつもあいつで闇を抱えてるみたいだな」
閃鬼と別れた後、迅真は誰に言うでもなくそう呟き、ルーミアはその言葉を聞いて不安げな表情になるのだった。
物語に不穏な風が…!